Archive for the ‘刑事事件’ Category

スピード違反で免停

2019-06-04

スピード違反で免停

宮城県塩釜市に住むAさんは最近、排気量が多い新車を購入しました。
アクセルを踏めばしっかり答えてくれて、力強く加速してくれる感覚が楽しく、ついついスピードを出しすぎていました。
しかしある時、制限速度を大きくオーバーしたところをパトカーに見つかり、停車させられました。
警察官によれば制限速度を40キロオーバー。
通勤に自動車が必須のAさんは免許停止取消しを避けたいですし、罰金額なども気になります。
Aさんはどのような処分を受けるのでしょうか。
(フィクションです)

~交通反則金制度~

スピードオーバーなどの交通違反を犯すと、刑事裁判にかけられ有罪となり、前科が付くのが本来の建前です。
しかし、交通違反は軽微なものも含めると膨大な数に上るため、裁判所や検察庁がパンクしてしまいます。
そこで軽微な違反については反則金を納めれば、刑事裁判にはかけられず、前科も付かないという簡易な手続がなされています。

違反していないと争うのであれば、反則金を納めずに、刑事裁判で争うことになります(負けると前科が付くのでリスクはあります)。

しかしAさんの場合は40キロオーバー。
一般道路だと30キロ以上、高速道路だと40キロ以上のオーバーの場合、軽微な違反とはいえず、刑事裁判を受けることになります(道路交通法別表第2参照)。
刑罰は、6か月以下の懲役、または10万円以下の罰金となります。

道路交通法
第22条第1項
車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
第118条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第1号
第二十二条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者
第128条
第1項 省略
第2項 前項の規定により反則金を納付した者は、当該通告の理由となつた行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない。

~違反点数制度~

違反点数は道路交通法施行令の別表に記載されています。
40キロオーバーの場合、違反点数は6点となります。
これで免許の停止や取消しになるか否かは、こちらの警視庁ホームページなどが参考になります。

https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/menkyo/torishimari/gyosei/seido/gyosei20.html

例えばAさんが過去3年以内に免許停止や取消しをされていない場合(前歴なし)でも、30日間の免許停止となります。
ただし、停止処分者講習を受けることにより、講習内の考査成績に応じて、停止期間を1日~10日に短縮できます。

一方、前歴が2回あれば免許が取り消され欠格期間が1年間となるので、1年間は免許の再取得ができないことになります。

~疑問点は弁護士に相談を~

Aさんの場合、刑事裁判となることを避けるのは難しいと思われます。
しかし、Aさんに前歴がないのであれば、懲役ではなく罰金刑で終わる可能性も十分考えられます。
そうなると、前科が付くことにはなってしまいますが、違反を認めているのであれば、略式裁判という簡易な刑事裁判手続により、罰金を納付して手続が終了することも考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。

反則金制度違反点数についての説明や、今回の違反だと刑事裁判を受けることになるのか、反則金納付で済むのか、刑事裁判になるのであればどれくらいの刑罰を受けることになりそうか、違反した覚えはないのだが争うことは可能か等々、疑問点にお答えいたします。

スピード違反などの交通違反で処分を受けそうなら、ぜひご相談ください。

アナログ回線終了を悪用した詐欺

2019-06-02

アナログ回線終了を悪用した詐欺

宮城県仙台市に住むAさんの下に、高校時代の友人Bから電話がありました。
「ちょっと仕事を手伝わないか。危ない仕事だけど、成功したら大金が入るぜ。」
その仕事の内容は、お年寄りの家に電話をかけ、電話のアナログ回線が全て光回線に切り替わるから、変更工事費用が必要だと言って、お金をだまし取るというものでした。
定職に就かず、お金に困っていたAさんは、誘いに乗ってしまいました。
Aさんはお年寄りの家に電話をかけ、変更工事が必要という虚偽の説明をして、工事費用を振り込ませるという手口でお金を稼いでいきました。
山元町に住むVさんは、Aさんから電話を受け、変更工事費用を振り込んでしまいましたが、詐欺だということに気付き、亘理警察署に被害届を提出していました。
他にも同様の被害が同町内で出ていたことから捜査を進めていた亘理警察署は、Aさんが犯人であると突き止め、Aを逮捕しました。
(フィクションです)

~アナログ回線終了~

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、2024年から2025年にかけて、従来の電話回線(アナログ回線)が、光回線に完全移行されます。
インターネットをISDN回線で利用している場合などには、インターネットが利用できなくなってしまうので、手続が必要となってきます。

しかし、電話はこれまで通り使い続けることができます。
したがって、インターネットを利用していないご家庭、あるいはすでにインターネットで光回線などを利用されているご家庭などは、何ら手続や工事をせず、電話やインターネットを使い続けることができます。

ところが、これに目を付けた詐欺が発生してきているようです。
変更工事が必要と偽り、工事費用をだまし取るといったものです。

先日、当事務所仙台支部にもNTTの方がお越しになり、
「こういったお仕事をされているのであれば大丈夫かと思いますが、詐欺が発生していますのでお気を付けください」
と、注意喚起をされていきました。

~詐欺罪が成立~

このような手口でお金をだまし取った場合は詐欺罪が、だまし取ることに失敗した場合は詐欺未遂罪が成立します。

刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条
この章の罪の未遂は、罰する。

また、AさんはBさんと一緒に詐欺を行っています。
この場合、AさんとBさんは共同正犯となるでしょう。

第60条
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

共同正犯となると、共犯者の行為についても責任を負うことになります。
つまり、Bさんが電話をかけた相手への詐欺について、Aさんにも詐欺(未遂)罪の共同正犯が成立し、懲役の年数などに影響してくる可能性があるということです。

~詐欺罪で逮捕されたら弁護士に相談を~

逮捕されると、まずは3日間身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
その後、検察官が勾留請求し、裁判官が許可すると、さらに最大10日間、勾留と呼ばれる身体拘束が続き、場合によってはさらに最大10日間の勾留延長がされることがあります。
その後、検察官が刑事裁判にかける(起訴する)という判断をすれば刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続くことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼頂ければ、留置されている警察署などにすみやかに接見に伺い、取調べでの受け答えのアドバイスや、今後の見通しなどをご説明いたします。

また、正式に弁護をご依頼いただければ、身体拘束を終了させるために、あるいは不起訴処分執行猶予の獲得、懲役を軽くするために様々な弁護活動をいたします。
たとえば、検察官が勾留請求や勾留延長請求をしないよう弁護人としての意見を伝える、裁判官が勾留許可を与えないよう意見を伝える、勾留許可がされたら準抗告と呼ばれる不服申立てを行う、保釈申請をする、検察官が起訴しないよう意見を伝える、被害者に弁償して示談を締結する、裁判において軽い判決にすべき理由を的確に主張する、といった活動を行います。

なお、逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で受けていただくこともできます。
詐欺罪逮捕された、捜査を受けた場合には、ぜひ一度ご連絡ください。

東北本線での痴漢で逮捕

2019-06-01

東北本線での痴漢で逮捕

宮城県利府町に住むAさん。
いつものように、通勤のためJR東北本線を乗車していました。
仙台駅に近付くにつれて混雑する車内。
意図せず、Aさんの手が隣に立っていた女性のおしりに当たりました。
「意外といけるんじゃないか」
そう考えてしまったAさんは、今度は意図して、女性のおしりを触りました。
しかし、女性がすぐさま「この人痴漢です」と声を出し、あえなく現行犯逮捕となりました。
(フィクションです)

~強制わいせつ罪・迷惑行為防止条例違反~

痴漢をした場合、各都道府県の条例違反になる場合と、より重い刑法の強制わいせつ罪が成立する場合があります。
どちらに該当するかは、痴漢の方法によります。

Aさんのように、服の上から痴漢をした場合、各都道府県の条例違反となることが多いですが、具体的な態様によっては強制わいせつ罪が成立する可能性がないとはいえません。
また、スカートや下着の中に手を入れて触ったというようなケースでは、強制わいせつ罪が成立する可能性が高いでしょう。

宮城県の条例は、以下のような規定となっています。

宮城県・迷惑行為防止条例
第3条の2第1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
第1号
衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。

罰則は以下のようになっています。

第17条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第1号
第三条の二第一項から第三項までの規定に違反した者(以下略)
第2項
常習として前項第一号から第三号までの違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

Aさんが痴漢常習者ではない場合、17条1項1号により、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金になる可能性があります。
Aさんが痴漢常習者の場合はより重く、同条2項により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金になる可能性があります。

一方、強制わいせつ罪は以下のような規定になっており、定められている刑罰もより重くなっています。

刑法第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

~手続きの流れ~

痴漢で逮捕された場合でも、犯行を認めているなどの事情により、その日のうちに釈放されるケースもあります。
釈放された場合でも、
①後日、刑事裁判が開始され、自宅から裁判所に行き裁判を受ける場合と、
②起訴猶予処分(不起訴処分)となり、前科も付かない場合
があります。

一方、犯行を否認している場合や常習者の場合などには、すぐに釈放されないことも考えられます。
そうなると、最大23日間の身体拘束がなされ、その後に刑事裁判が開始されるという流れになる可能性もあります。

どのような流れになるのかは、今回の犯行内容、犯行を否認しているか、常習者かどうか、被害者と示談が成立しているか(あるいは成立する見込みがあるか)といった様々な事情を考慮して判断されます。

~弁護士に相談を~

痴漢で逮捕された場合、どの罪が成立するのか、今後の手続の流れがどうなるか、懲役や罰金はどれくらいになりそうか、執行猶予が付くのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいか、被害者との示談はどうしたらよいか等々、不安な点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼頂ければ、留置されている警察署等に速やかに接見に伺い、上記のような不安点についてお答えいたします。
また、特に性犯罪などの被害者の場合、加害者と直接の連絡を取りたくないと考えるケースもあり、弁護士が間に入ることで示談がスムーズに進んでいくこともあります。

痴漢で逮捕された場合には、ぜひご連絡ください。

客引きをして中止勧告を受ける

2019-05-31

客引きをして中止勧告を受ける

宮城県仙台市に住むAさんは、同市中心部にある居酒屋の店員をしています。
この居酒屋近くにあるアーケードでは以前から、居酒屋店員による客引きが多く行われており、Aさんも数年前から客引きを行っていました。
しかし最近になって客引きを規制する条例が制定されたことから客引きの数は減っていました。
ある日、Aさんは店長に指示され、このアーケード内で客引きをしていたところ、警察官に声を掛けられました。
警察官からは、条例が制定されたことを説明され、氏名や店の名前等を聞かれた上で、客引きをしないよう勧告というものを受けました。
翌日、不安になったAさんは弁護士に相談してみることにしました。

~仙台市客引き行為等の禁止に関する条例の概要~

仙台市中心部のアーケードや歓楽街では、以前から居酒屋などの店員が客引きをしている人が数多くいました。
必ずしもぼったくりをするような店だけではなく、健全な営業をしている店による客引きも多くありました。

しかし、中には悪質な店があるほか、通行の妨げや不快な声掛けになる例もあることから、仙台市は「仙台市客引き行為等の禁止に関する条例」を制定し、今年4月に完全施行されました。

この条例では、禁止区域において、相手方を特定して客引きをすることの他、相手方を特定してキャバクラ等のキャストになることの勧誘をする行為、これら客引きや勧誘の相手方を待つ行為を禁止しています(2条1号、6条)。
また、経営者が従業員に対し、これらの行為をさせたり、客引きが連れてきたお客を店舗に入れることも禁止しています(6条、7条)。

なお、禁止されるのは「相手方を特定して」客引き行為等をする場合ですので、不特定多数の者に対して呼びかける行為や、道路使用許可を取得して、ティッシュ・チラシ等を配布したり、看板を掲げて宣伝する行為は禁止されません。
一方、客引き等をする目的で相手方となる者を待つ(探す)だけでも禁止の対象ですので、注意が必要です。

これらの禁止事項の違反者には、違反行為をしてはならない旨の「勧告」がなされます(10条)。
それでも違反した者には、違反行為をしてはならない旨の「命令」がなされます(11条)。
この命令にもかかわらず、さらに違反した者には、5万円以下の過料の他、違反者の氏名や住所などが公表される可能性があります(13条1項、17条1号)。

また、市長(の指示を受けた職員等)は、違反者に対し、勧告・命令に必要な報告をさせたり、店舗への立ち入り調査を行うことができ、これに協力しなかった場合も5万円以下の過料となる可能性があります(12条1項2項、17条2号3号)。

なお、従業員が過料に処せられた場合、使用者には勧告や命令を経ずに過料が科される可能性があります(18条)。

なお、過料とは、刑罰である罰金や科料とは別物であり、前科もつきませんが、金銭を徴収されるという意味では同じです。

この条例の詳しい内容は、仙台市ホームページをご覧ください。
https://www.city.sendai.jp/shiminsekatsu/kurashi/anzen/anzen/mewaku/kyakuhikijourei.html

~ぼったくりをすると犯罪が成立しうる~

この条例に違反しただけであれば、氏名等の公表により影響は未知数ですが、過料の金額は5万円以下なので、弁護士に依頼するという展開にはなりにくいかもしれません。
しかし、客引きをしてぼったくりをするような店だと、様々な犯罪の成立が考えられます。

まず、客引き時や入店時に虚偽の説明をし、支払段階で高額な料金を請求して支払わせた場合、詐欺罪(刑法246条1項)が成立する可能性があります。

また、支払いを渋るお客に対して暴行・脅迫を用いて支払わせた場合、恐喝罪(249条1項)や傷害罪(204条)が成立する可能性もあります。

さらに、帰ろうとするお客を帰さずに支払いを要求した場合、監禁罪(220条)が成立する可能性もあります。

~不安があれば弁護士に相談を~

仙台市の条例違反で勧告を受け、今後が不安という方もいらっしゃるでしょう。
また、ぼったくりをしている、あるいはぼったくりに加担させられた場合には、逮捕されたり、懲役罰金の刑罰を受ける可能性があるので、不安が大きいかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。

条例違反詐欺罪恐喝罪傷害罪監禁罪などでご相談されたいことがある方は、ぜひご連絡ください。

ツイッターで悪口を書き込み取調べ

2019-05-30

ツイッターで悪口を書き込み取調べ

宮城県石巻市に住むAさんは、友人のVさんとツイッターを相互フォローしていました。
仲の良かったAさんとVさんでしたが、ちょっとしたすれ違いからケンカをし、険悪な関係になってしまいました。
やがてAさんはツイッターで、Vさんの悪口を書くようになりました。
その内容は、「あいつはバカだ」といったものから、10年以上前のVの前科・前歴の話や、Vが浮気していた話などに及びました。
ある日、石巻警察署からAさんに連絡が入り、ツイッターへの書き込みの件で話を聞きたいから、警察署に来るように言われました。
不安になったAさんは、弁護士の無料相談を受けることにしました。
(フィクションです)

~名誉棄損罪~

はじめに、AさんがVさんの前科・前歴浮気のことを書き込んだ行為については、名誉棄損罪が問題となります。

刑法
第230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

「公然」とは、不特定または多数人が認識できる状態を言います。
ツイッターでつぶやくと、全世界の人が見ることができるので、不特定または多数人が認識できる状態と言えるでしょう。
仮に、鍵付きのアカウントでつぶやいたとしても、Aさんのツイートを見ることができるフォロワーが多ければ、多数人が認識できる状態といえます。
また、鍵付きアカウントでフォロワー数も少ないとしても、そのフォロワーから不特定又は多数人にツイート内容が伝わる可能性があるのであれば、「公然」にあたります。

次に、摘示される「事実」は、人の社会的評価を害するものである必要があります。
前科・前歴浮気の事実は、明らかに人の社会的評価を害するものと言えるでしょう。

また、条文上は「人の名誉を棄損した」という過去形が使われていますが、実際にこのツイートにより名誉が毀損されたかどうかは問いません。
実際に名誉が毀損されたか否か(社会的評価が害されたか否か)を裁判で証明することは難しいので、名誉を毀損するに足りる事実の摘示してさえいれば、名誉棄損罪が成立しうるのです。
したがって、Vさんの社会的評価が実際に害されたかどうか、Aさんのツイートを実際に多くの人が見たかどうか、といった点は関係なく、名誉棄損罪が成立する可能性があります。

さらに、条文には「その事実の有無にかかわらず」とあります。
本当のことであれば言っても問題ないと勘違いされている方もいらっしゃいますが、真実か否かには関係なく、名誉棄損罪は成立するので注意が必要です。

以上により、Aさんの行為には名誉棄損罪が成立する可能性があります。

なお、議員に関する事実など、公共の利害に関する事実を公益目的で摘示したのであれば、犯罪が成立しない可能性もあります(刑法230条の2参照)。

~侮辱罪~

Aさんの「あいつはバカだ」といった、具体的な事実の指摘のないツイートには、侮辱罪が成立する可能性があります。

第231条(侮辱)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

~弁護士に示談を依頼~

名誉棄損罪侮辱罪は、被害者の告訴がなければ刑事裁判を行えない犯罪(親告罪)です。

第232条1項(親告罪)
この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

Aさんの件は警察が動いているので、すでにVさんが警察に告訴していると思われます。
しかしVさんと示談することによって、告訴を取下げてもらえる可能性があります。
一度告訴されても、告訴の取下げがなされれば、刑事裁判は開かれません。

ただ、適切な示談交渉の方法がわからないという方も多いと思います。
また、被害者との関係がこじれて、加害者本人とは示談交渉してくれないと言った場合もあります。
そこで、示談交渉を弁護士に依頼してみるという方法も考えられます。

他にも、自分のツイートや発言が名誉棄損罪侮辱罪が成立するのか、成立するとしたらどのくらいの刑罰を受けそうなのか、逮捕される可能性はないのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、多くの不安があると思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
上記のような不安に対する弁護士の見通しなどをご説明させていただきます。

名誉棄損罪・侮辱罪などで捜査を受けたら、ぜひ一度ご連絡ください。

泥酔して傷害事件を起こし逮捕

2019-05-29

泥酔して傷害事件を起こし逮捕

宮城県岩沼市に住むAさんは、友人と居酒屋で酒を飲んだ帰り、見知らぬ通行人と肩がぶつかったことが原因でケンカになりました。
しかし、当時Aさんは泥酔しており、気が付いたら岩沼警察署留置所にいるという状況。
事件のことは全く覚えていません。
一緒にいた友人によると、Aさんは相手を殴り、骨折の重傷を負わせたとのことでした。
A自身も顔面にあざができていたことから、相手からも殴られていたようです。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は慌てて弁護士に相談しました。
(フィクションです)

~傷害罪と責任能力~

Aさんの行為には傷害罪が成立します。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

ただし、Aさんは事件の記憶がないほど酔っていたことから、犯行時に心神喪失または心神耗弱状態で、責任能力がなかったのではないかという問題は生じえます。

刑法第39条
第1項 心神喪失者の行為は、罰しない。
第2項 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

心神喪失(39条1項)とは、自分の行為の良し悪しを判断する能力と、その判断に従って自己の行動を制御する能力のどちらかを欠いた状態をいいます。
心神耗弱(39条2項)とは、これらの能力が著しく弱っている状態をいいます。
心神喪失と判断された場合は犯罪不成立、心神耗弱と判断された場合には刑罰が軽くなります。

しかし、記憶をなくすくらい酔っぱらってしまえば、何をやっても刑が軽くなったり、罰しないとされるのは違和感があります。
実際に、単に記憶がなくなっている程度では、責任能力が著しく弱っているとまではいえないとして、刑の減免は認められない可能性も十分あるでしょう。

また、仮に暴行時に心神喪失・耗弱であったと認められても、普段から酔うと粗暴になることがわかっていたのに、それでも酒を飲んで暴力事件を起こしたという場合には、酒を飲んだこと自体が非難されるべきなので、刑は減免されない可能性があります(「原因において自由な行為」と呼ばれます)。

~正当防衛~

Aさんは相手にも殴られているようですから、正当防衛の成立も問題となりえます。

刑法第36条第1項
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
第2項
防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

Aさんはケンカのことを覚えていないので、友人や被害者の供述等によって事実を探ることになります。
被害者がいきなり殴ってきたのであれば、正当防衛(36条1項)が成立し、無罪となる可能性はあります。
ただし、結果としてAよりも被害者の方が重症なので、結果が全てではないものの、過剰防衛(同条2項)により刑が軽くなるにとどまることも考えられます。

一方、Aさんが先制攻撃した場合には正当防衛過剰防衛が成立する可能性は低いでしょう。
また、どちらからともなくケンカになった場合にも、喧嘩両成敗ということで両者とも正当防衛過剰防衛は成立する可能性は低いでしょう。

~刑事手続の流れ~

逮捕されたAさんは、まずは最大72時間の身体拘束を受ける可能性があります。
その後、検察官勾留請求し、それに対して裁判官が許可した場合、最大で20日間、勾留と呼ばれる身体拘束が続く可能性があります。

検察官が勾留請求するのか、勾留請求せずに釈放するのか、あるいは裁判官が勾留を許可するのか否かの判断の際は、事件の重大性や犯行を認めているか否か、反省態度、被害者と示談が成立しそうか、前科の有無、証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれの有無などが考慮事項となります。

勾留がされた場合はその最終日までに、勾留されていない場合は適宜の時期に、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか否かを判断します。
ここで起訴猶予処分(不起訴処分)となれば、刑事裁判にかけられず、前科も付かなくてすむますが、起訴となれば刑事裁判が始まります。

勾留中の被疑者が起訴となれば身体拘束が続くので、保釈請求をして身柄解放を目指すことが考えられます。

~弁護士に相談を~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事弁護を専門とする弁護士事務所です。
逮捕中あるいは勾留中の場合には、ご家族などからご依頼頂ければ、留置されている警察署等に、すみやかに接見に伺います。
また、逮捕・勾留されていない場合には、事務所で初回無料の法律相談を受けることもできます。

犯罪をして逮捕されたり捜査を受けた場合、今後どのような手続が進んでいくのか、取調べではどのように受け答えしたらよいのか、どの程度の刑罰を受けることになりそうか、どうやって示談したらよいか等々、わからないことが多く不安だと思います。

接見法律相談ではこれらの疑問にお答えしますので、ぜひ一度ご相談ください。
(岩沼警察署への初回接見費用38,400円)

脅迫文を送りつけ逮捕

2019-05-28

脅迫文を送りつけ逮捕

岩手県一関市に住むAさんは、交際相手のBさんに浮気され、別れることになりました。
しかしAさんは、浮気されたことはもちろん、まだBへの好意が消えないという感情の裏返しにより、Bさんへの怒りが日に日に増していきました。
Bさんに直接連絡を取ろうとしたところ、電話やラインなど全てが着信拒否。
さらにBさんが主任を務めるスーパーに直接会いに行きましたが、相手にされませんでした。
怒りが頂点に達したAさんは、
「連絡をよこせ。さもないとお前の身が危ないぞ。店の商品にも針を入れてやるぞ。」
と書いた脅迫文をスーパーに送りつけました。
その後、スーパーから被害届の提出を受けた山形警察署の警察官により、Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)

~強要未遂罪~

今回問題となる犯罪としては、強要(未遂)罪威力業務妨害罪が考えられます。

刑法223条(強要)
第1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
第2項
親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
第3項
前二項の罪の未遂は、罰する。

Aさんが送った脅迫文のうち、「さもないとお前の身が危ないぞ。」の部分は、223条1項の「生命、身体、自由…に対し害を加える旨を告知して脅迫し」たといいうるでしょう。
そして、「連絡をよこせ。」の部分は、「人に義務のないことを行わせ」ようとしたといえます。
その結果、BさんがやむなくAさんに連絡したのであれば強要罪、連絡しなかったのであれば第3項の強要未遂罪が成立する可能性があります。

~威力業務妨害罪~

脅迫文には、「店の商品にも針を入れてやるぞ。」と書かれていました。
この部分には威力業務妨害罪が成立する可能性があります。

刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第234条(威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

234条の「威力を用いて」とは、人の意思を制圧するような勢力を示すことを言います。

スーパーは、針の入った商品を売るわけにいきません。
したがって、商品に針を入れるなどと言われると、商品に異常がないかチェックしたり、警備体制を強化するなどの対応をせざるを得なくなる可能性があります。
このような対応は時間や費用がかかるのでやりたくはないけども、せざるを得なくなるという意味において、Aさんは人の意思を制圧するような勢力を示しているといえるわけです。

なお、誰も真に受けないような脅迫文、すなわち、わざわざ対応しないような現実味のない内容の脅迫文であれば、本罪は成立しません。
しかし、判例によれば、実際にスーパー側が上記のような対応をしなかったとしても、対応していてもおかしくなかったといえるような、現実味のある内容の脅迫文だったのであれば、本罪は成立することになります。

~強要・威力業務妨害で逮捕されたら弁護士に相談を~

逮捕されたAさんは、その後の勾留と呼ばれる期間も含め、最大で23日間の身体拘束がされ、取調べ等の捜査を受ける可能性があります。
その後、検察官がAさんを裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り身体拘束が続く可能性があります。

逮捕されると、どのような罪が成立するのか、どれくらい身体拘束が続くのか、どれくらい重い刑罰を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、などの心配が大きいと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼頂ければ、すみやかに留置されている警察署等に接見に伺い、その後ご家族に接見のご報告を行います。
その際に、上記のような不安・疑問に対する見通しもお答えいたします。

また、仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。

強要強要未遂罪威力業務妨害罪などでご家族が逮捕されたり、ご自身が捜査を受けた場合には、ぜひ一度ご相談ください。
(一関警察署への初回接見費用44,680円)

障害者割引での不正乗車が発覚

2019-05-23

障害者割引の不正利用が発覚

1年前に他県から宮城県仙台市に引っ越してきた健常者のAさんは、通勤や私用で頻繁に地下鉄を利用していました。
Aさんは引越し前の居住地でも地下鉄をよく利用していました。
その地下鉄は、障害者割引で切符を購入するには障害者手帳を提示しなければなりませんでしたが、仙台市地下鉄の場合には提示しなくても自動券売機で購入できることに気が付きました。
そこでAさんは、健常者であるにもかかわらず障害者割引の切符を購入するようになりました。
ある日、いつものように障害者割引の切符を購入して自動改札を通り抜けたところ、駅員に呼び止められ、「大変お手数ですが、障害者手帳を確認させてもらえませんでしょうか」と言われました。
「すいません、今日は忘れてしまいました」と答えたAさん。
その日は通常料金との差額を払って乗車しました。
しかし、これまでの不正乗車が発覚するのではと不安になったAさんは、弁護士の無料相談を利用してみることにしました。
(フィクションです)

~不正乗車は詐欺罪~

障害者割引の不正利用や、その他のキセル乗車を行うと、246条2項の詐欺罪や246条の2の電子計算機使用詐欺罪が成立する可能性があります。

刑法
第246条
第1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
第246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条
この章の罪の未遂は、罰する。

自動改札か否か、自動券売機で障害者割引の切符を買う行為とそれを改札に通す行為のどの部分を実行行為と考えるか、といった点により、Aさんの行為が条文のどの部分に該当するのかが変わってくる可能性はあります。
ただ、いずれにしろ10年以下の懲役となる犯罪が成立してしまうでしょう。
また、車両に乗車する前であっても、未遂犯として犯罪が成立する可能性があります。

~不安があれば弁護士に相談を~

交通機関や警察が、Aさんのこれまでの不正乗車を把握できるかどうかはわかりません。
ただ、過去にはキセル乗車逮捕され、有罪となった例はあります。

被害金額等にもよるでしょうが、最悪の場合、逮捕勾留で最大23日間、留置所や拘置所に拘束され、その後も拘束をされながら刑事裁判にかけられ、有罪判決を受けるという可能性も否定はできません。
身体拘束されると仕事や学校に行けなくなり解雇・退学となる可能性もあります。
また、有罪判決を受けると前科が付き、各種資格の欠格事由となったり、就職活動等で不利益が出てくる可能性もあります。

もし心当たりがあり、不安に感じている方がいらっしゃれば、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
今後の見通しの説明や、取調べを受ける際のアドバイス等を受けることができます。
その後、契約となった場合には、身体拘束の阻止・解放、不起訴(起訴猶予)処分獲得、刑の軽減、執行猶予獲得等の弁護活動を行います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
刑事事件の経験が豊富な弁護士が揃っています。
事務所での法律相談は初回無料となっております。

障害者割引の不正利用やキセル乗車等で、詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪により処罰されないか不安な方は、ぜひ一度ご連絡ください。
(仙台中央警察署までの初回接見費用:34,100円)

雑貨店の商品落下で業務上過失傷害罪

2019-05-13

雑貨店の商品落下で業務上過失傷害罪

宮城県角田市に住むAさんは、個人で雑貨店を営んでいます。
お店の棚には、重量のある置物などが陳列されていました。
ある日、小さな子供を含む家族連れが店を訪れていました。
子供が店内を歩いているときに、軽く棚にぶつかってしまいました。
すると、不安定な置き方をされていた重い置物が落下し、子供の頭に直撃。
子供は頭から出血し、救急車で運ばれる事態となりました。
Aさんは損害賠償をしなければならないことは認識していましたが、宮城県角田警察署の警察官からさらに業務上過失傷害罪として刑事処分を受ける可能性もあることを聞いたことから、弁護士に相談しました。
(フィクションです)

~業務上過失傷害罪~

子供が店内で走り回るなどして棚に強くぶつかり、適切に陳列していた物が落ちてケガをしたといった場合は別ですが、本件のように不安定な置き方をしていた場合には、Aさんに業務上過失傷害罪が成立する可能性があります。

刑法第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

業務上過失傷害罪の成立には、
①業務上、
②必要な注意を怠り(過失)、
③人に傷害が発生し、
④(②と③の間に)因果関係があること、
が必要です。

さらに、①「業務上」とは、(ア)人が社会的地位に基づいて(イ)反復継続して行う行為であって、(ウ)他人の生命身体等に危害を加えるおそれのあるものをいいます。
「業務上」といえなければ、単なる過失傷害罪(刑法209条1項)の成立が問題となります。

本件のAは、(ア)雑貨店経営者という社会的地位に基づいて、(イ)反復継続して商品の陳列という行為をしています。
また、一般に商品の陳列方法が不適切な場合、お客さんなどにケガさせてしまう可能性があることから、(ウ)も認められるでしょう。

次に、②必要な注意を怠っていたか否かの判断は、具体的な状況によるので判断が難しいところです。

重い置物であれば、低い位置に置くとか、安定した広めの台の上に置くといったことが望ましいでしょう。
また、小さな子供が訪れることが想定しにくいような店ならともかく、家族連れで訪れるような店であれば、商品が落下してケガしないようにしておくことがより求められるといえます。

したがって、軽くぶつかっただけで落下するような形で、重い置物を陳列していたAさんは、②必要な注意を怠ったと判断される可能性があります。

続いて、子供がケガをしているので、当然、③人に傷害が発生しているといえます。
また、重い置物を不安定な形で置いていたのであれば、小さな子供の上に落下してケガすることも十分あり得ることなので、④因果関係の存在も認められます。

以上により、②の要件の判断次第ですが、業務上過失傷害罪が成立することも十分考えられるでしょう。

~弁護士に頼んで示談~

業務上過失傷害罪が成立すると懲役・禁固・罰金いずれかの刑罰を受け、前科が付く可能性があります。

一方で、過失が軽微なものだったり、被害者のケガが軽いものであれば、執行猶予がついたり、罰金刑にとどまったりする可能性が上がるほか、不起訴(起訴猶予)となり前科が付かない可能性もあります。
また、被害者に損害賠償して示談が成立すれば、これらの軽い処分で済む可能性が上がります。
さらに、示談が成立すれば、被害者にとっても賠償金が受け取れるので悪いことではありません。

そこで、弁護士に頼んで被害者とスムーズに示談を締結し、被害が弁償されたことや反省の態度を検察官や裁判官に示していくのが、1つの良い方法と考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門とする弁護士の法律相談が初回無料で受けられます。
取調べを受ける際のアドバイスなどもできますので、ぜひ一度ご相談ください。
弊所にご来所いただいての初回法律相談:無料

エスカレーターで過失傷害

2019-05-12

エスカレーターで過失傷害

仙台市に住むAさんは、通勤で毎日地下鉄を使っています。
ある日、寝坊したAさん。
慌てて駅に向かい、右側半分が空いているエスカレーターをかなりのスピードで駆け下りようとしました。
しかしその時、エスカレーターの左側半分に乗っていた人にぶつかって転倒させた上、ドミノ倒しのようになって数人の人を転倒させてしまいました。
倒れた方々は骨折や捻挫等の怪我を負ってしまいました。
やがて警察官が到着し、現場検証が開始され、Aさんも事情を聞かれました。
Aさんはこの後どうなってしまうのでしょうか。

~エレベーターは歩かないで~

東日本大震災で電車が止まり、足止めされた乗客たちが駅の階段に座っているとき、片側を空けて人が通れるようにし、おとなしく座っている写真が海外の人から称賛されたという話がありました。
また、通常時でもエスカレーターの片側を空けて、急いでいる人に配慮するという習慣が定着しています。

しかし、エスカレーターでの歩行は思わぬ事故につながりうることから、最近では駅内のアナウンスにおいて、歩行しないように、あるいは片側を空けないようにという注意が流れている場合もあります。

Aさんはエスカレーターを駆け下りようとして怪我をさせてしまいましたが、過失傷害罪、あるいは重過失傷害罪が成立するおそれがあります。

刑法209条
第1項 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
第2項 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
刑法211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

上記の209条1項が過失傷害罪を規定しています。
また、同条2項により、被害者の方が警察に告訴した場合にだけ処罰される可能性が出てきます。
これは親告罪と呼ばれるものです。
比較的軽い犯罪などで、被害者の方が処罰を望む場合にのみ、処罰を受けさせるという形になっているわけです。

逆に言えば、加害者が被害者に賠償金を支払うなどして示談をすることができれば、被害者としては加害者に刑罰まで受けさせる必要はないと考え、告訴の見合わせ、もしくは取下げをしてくれるかもしれません。
そうすれば処罰を免れることができます。

続いて211条の2文目が重過失傷害罪です。
単なる過失ではなく重い過失がある場合なので、より重い刑罰が定められています。
こちらは209条2項のような規定はないので、被害者の告訴がなくても刑事裁判にかけられ、処罰を受ける可能性があります。
かなりのスピードでエスカレーターを駆け下りた、などという特殊な事情があれば、重過失傷害罪が成立する場合もあるかもしれません。

~示談交渉は弁護士に相談を~

過失傷害罪の場合、示談を行うことにより告訴および処罰を免れうると申し上げました。
しかし、犯罪の種類や被害の程度等にもよりますが、加害者と会いたくないという被害者もいらっしゃいます。
また、会ってくれたとしても、被害者の方と交渉し、適切な内容で示談を締結することは難しいところがあるでしょう。
特に被害者が複数いらっしゃる場合は大変です。

そこで示談交渉を弁護士に依頼するという方法も有力な選択肢となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
示談交渉の経験も豊富な弁護士による法律相談は、初回無料となっております。
ぜひ0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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