Archive for the ‘暴力事件’ Category

彼女に暴行した少年

2019-07-01

彼女に暴行した少年

宮城県利府町に住む18歳のAさん。
交際相手に暴力をふるい、別れるということを何度か繰り返していました。
現在の交際相手のVさんに対しても暴力をふるいケガをさせたAさん。
Vさんが両親に相談し、塩釜警察署に被害届を提出したことから、少年は警察署に呼び出されて取調べを受けることになりました。
取調べに先立ち、Aさんは両親に連れられ、弁護士の法律相談を受けにきました。
(フィクションです)

~傷害罪が成立~

成人や少年にかかわらず、交際相手や配偶者へのDVを繰り返してしまう人がいます。
早期に心療内科等での治療やカウンセリングが必要となる場合も多いでしょう。

しかし、治療やカウンセリングを受けずに暴力を繰り返してしまい、刑事事件・少年事件へと発展してしまうケースもあります。
Aさんの行為には傷害罪が成立してしまいます。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

~少年事件の手続は?~

逮捕されたAくんは、まずは最大3日間拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、さらに最大20日間、勾留と呼ばれる身体拘束期間が続く可能性があります。
勾留の代わりに、少年鑑別所での観護措置が採られ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査がなされることもあります。

その後、家庭裁判所に送られ、家庭裁判所調査官が中心となって、さらに少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査を行います。

なお、逮捕されていない少年や途中で釈放された少年についても、家庭裁判所に出向いて家庭裁判所調査官による面談を受けるなどの調査が行われます。

~少年審判とは?~

調査官等による調査の結果、比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。

そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
少年審判の内容としては以下のものが考えられます。

①不処分
非行事実が認められない、あるいは認められるとしても反省し、再犯の可能性がないような場合になされます。
成人事件における無罪判決や不起訴(起訴猶予)に近いものといえます。

②保護観察
保護観察所の指導・監督の下、少年を社会の中で生活させながら、更生させていくというものです。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。

③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
比較的非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により②の保護観察が行えないなどの場合に、各種福祉施設で生活させるなどしつつ、社会の中で更生させるというものです。

④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、特別の事情のない限り外出が許されない環境で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。

⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件などにおいて、成人の場合と同じ刑罰を受けさせるべきと判断された場合などになされるもので、改めて成人と同じ刑事裁判を受ける流れになります。

~弁護士の活動~

弁護士は、少年の権利保護や更生に向けた環境作りのために活動します。

たとえば、家裁調査官や裁判官に対して、少年の非行内容が軽微であること、非行性が進んでいないこと、治療やカウンセリングに通い始めたこと、再犯の可能性が低いこと、被害者との示談が成立していること、家族の監督が期待できることなど、本人に有利な事情があればできる限り主張し、勾留や観護措置などによる身体拘束を防いだり、少年審判においてより軽い審判内容となるように活動していきます。

少年の人生に大きくかかわってくることですので、一度弁護士にご相談されるのが良いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件や刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料で行っております。
仮に逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
接見や法律相談では、今後の手続の流れや予想される処分、弁護士の活動などをご説明いたします。

DV・傷害などの少年事件でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。

誘拐・監禁で逮捕

2019-06-29

誘拐・監禁で逮捕

仙台市青葉区に住むAさん。
ある日の夜、知人女性Vさんに対し、家まで送り届けると言い、自分の車に乗せました。
しかしAさんは、Vさんと無理矢理にでも性交するつもりで車に乗せたのでした。
Vさんの家ではなくAさんの家に向けて車を走らせるAさん。
途中で異変に気が付いたVさんは、Vさんの家に向かうようお願いしましたが、Aさんは無視。
その後、Aさんの家に近付いたところで、Vさんは隙を見て車から逃げ出すことができました。
しかしその際、転倒して打撲や擦り傷の軽傷を負いました。
その後Aさんは、仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~わいせつ目的誘拐罪~

Aさんの行為には、225条のわいせつ目的誘拐罪が成立する可能性があります。

第225条(営利目的等略取及び誘拐)
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

「誘拐」とは嘘や誘惑を用いて、「略取」とは暴行・脅迫を用いて、人を生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的支配下に置く行為をいいます。
Aさんは性交目的を隠し、家まで送ると嘘をついて連れ去っているので、わいせつ目的誘拐罪が成立しうるわけです。

~監禁致傷罪~

さらにAさんには、監禁致傷罪も成立する可能性があります。

刑法第220条(逮捕及び監禁)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
第221条(逮捕監禁致死傷)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

220条の「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能または著しく困難にして行動の自由を奪うことをいいます。
自動車に乗せられると、走行中に飛び降りるのは危険ですし、停車あるいは減速した時になんとか逃げ出せる可能性が出てくる程度です。
したがって、車内という一定の区域から出ることを著しく困難にしたとして、まずは監禁罪が成立する可能性があります。

また、Vさんが逃げるときにケガをしているので、より重い監禁致傷罪(221条)が成立することになるでしょう。
監禁致傷罪の法定刑は、監禁罪の法定刑と、傷害罪(204条)の法定刑(15年以下の懲役または50万円以下の罰金)とを比較して、下限も上限も「良いとこ取り」ならぬ「重いとこ取り」をして、3カ月以上15年以下の懲役となります。

なお、監禁致傷罪とわいせつ目的誘拐罪の両方が成立した場合、重い方の監禁致傷罪の法定刑の範囲内で刑罰が決まることになります(54条1項参照)。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。

まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことによる本人や家族などの不利益を具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。

また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
そこで、被害者の方と示談を成立させたり、被害者の傷害が軽いこと、家族の監督が見込めることなど、有利な事情があれば出来る限り主張して、不起訴処分にするよう検察官に要請していきます。

そして起訴された場合も、本人に有利な事情を主張し、執行猶予などの軽い判決で済むよう弁護していきます。

~弁護士に接見の依頼を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

わいせつ目的誘拐罪監禁致傷罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。

水をかけて暴行罪

2019-06-28

水をかけて暴行罪

宮城県栗原市に住むAさん。
行きつけの居酒屋で酒を飲んでいました。
Aさんは偶然居合わせた知らない客のVさんと話していましたが、ささいなことで言い争いに。
Vさんの態度に激高したAさんは、コップの水を相手の頭に浴びせてしまいました。
築館警察署の警察官が到着し、その場はいったん収まりましたが、後日Vさんが被害届を提出したこともあり、Aさんは取調べのために再度警察署に行くことになりました。
Aさんは今後どうなるのでしょうか。
(フィクションです)

~暴行罪~

Aさんの行為には暴行罪が成立します。

刑法第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪における「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
通常、人に対しコップの水をかけることは許されることではないので、人の身体に対する不法な有形力の行使として「暴行」にあたります。

~今後の刑事手続きの流れ~

今回のようなケースでは、相手方にケガもなく比較的軽微な事件なので、逮捕されずに捜査が続くことが考えられます(在宅事件)。

一般的な在宅事件の場合、まずは警察が捜査をし、その後、捜査資料を検察官に送り(書類送検)、検察官が追加の捜査をした上で、被疑者を刑事裁判にかけると判断(起訴)すれば、刑事裁判がスタートします。
被疑者は自宅から警察署や検察庁、裁判所に出向いて、取調べや裁判を受けることになります。

~軽い処分にするには~

警察としては必要な捜査を終えた後に書類送検するのが原則ですが、軽微な事件では書類送検せずに事件を終わらせることもあります。
これを微罪処分(びざいしょぶん)といいます。
全ての事件を書類送検していると検察がパンクしてしまいますし、警察のお世話になった時点で被疑者が反省しており、さらに刑罰を科す必要はないという場合もあるからです。

微罪処分にするか否かは、犯行内容や被害額、被疑者の反省態度や被害者の処罰感情などを考慮して判断されます。
Aさんのケースでは、Vさんがケガをする危険があるような行為はしておらず、物損被害もない可能性があり、酔いが覚めたAさんが反省し、相手が処罰感情がなければ微罪処分となる可能性も考えられます。

ただし現状はVさんから被害届が出ており、処罰感情があるといえる状況ですので、Vさんと示談して損害賠償をし、被害届を取り下げてもらう必要があります。

また、書類送検されても、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、前科も付きません。
また、検察官が起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
そして起訴にするか不起訴にするか、起訴するにしても通常の起訴か略式起訴かの判断においても、被害者の処罰感情の有無や強さは重要なポイントとなります。

そこでやはり、被害者と示談をして被害届を取り下げてもらうことが重要となります。

~弁護士に相談を~

とはいえ、示談交渉をどのように進めたらいいのか、自分の起こしてしまった事件では示談金額がいくらにすべきかなど、わからないことが多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料で行っております。
また、逮捕されている事件では、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
法律相談や接見では、示談に関する説明のほか、成立する犯罪や刑事手続の流れなどの説明や、取調べでの受ける際のアドバイスなどをさせていただきます。

暴行罪などで捜査を受けた、逮捕されたといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

窃盗するつもりが強盗で逮捕

2019-06-25

窃盗するつもりが強盗で逮捕

宮城県塩釜市に住むAさん。
万引きをしようと思い、コンビニに入店。
店員の目を盗んで商品をポケットに入れたつもりでしたが、店員の1人に気付かれていました。
店を出ようとしたとき、その店員に呼び止められ、慌てて走り出したAさん。
なおも追いかけてきた店員を突き飛ばし、ケガをさせてしまいました。
後日、防犯カメラの映像などからAが割り出され、塩釜警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~窃盗罪か強盗罪か~

Aさんは、追いかけてきた店員にケガをさせたことから、事後強盗致傷罪が成立する可能性があります。

第238条(事後強盗)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
第240条(強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

ただし、238条の「暴行」は、相手方の反抗出来なくなるほどの強い態様のものをいいます。
軽く払いのけただけのような場合には、事後強盗致傷罪は成立せず、窃盗罪傷害罪が成立するでしょう。

第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。
そして裁判で無罪執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。

まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことによる本人や家族などの不利益を具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。

また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
また、窃盗罪と傷害罪が成立するにとどまった場合、検察官が起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
そこで、被害者の方と示談を成立させたり、被害者の傷害が軽いこと、また暴行の態様も弱く事後強盗致傷罪は成立しないことなど、有利な事情があれば出来る限り主張して、不起訴処分略式起訴にするよう検察官に要請していきます。

そして起訴された場合も、本人に有利な事情を主張し、罰金執行猶予などの軽い判決で済むよう弁護していきます。

~弁護士に接見の依頼を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

窃盗強盗傷害などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。

詐欺被害者が監禁・恐喝で逮捕

2019-06-21

詐欺被害者が監禁・恐喝で逮捕

宮城県名取市に住むAさん。
知人のVさん投資話を持ち掛けられました。
「必ず儲かるし、元本の返還は保証する」というVの説明を信じ、100万円を渡しました。
しかし投資は失敗。
AさんはVさんに100万円の返還を要求しましたが、拒否されました。
頭に来たAさんはVさんを自宅に連れ込み、殴る蹴るの暴行を加えて返還を要求。
Vさんはなおも拒否しましたが、Vに打撲等の怪我を負わせました。
後日、詐欺等による逮捕を免れないと判断したVは自首するとともに、Aの監禁暴行について被害届を提出。
Aは岩沼警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)

~Aさんに成立する犯罪~

Aさんの行為には、監禁致傷罪恐喝未遂罪が成立する可能性があります。

刑法
第220条(逮捕及び監禁)

不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
第221条(逮捕等致死傷)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第249条1項(恐喝)
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条(未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。

220条の「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能または著しく困難にして、行動の自由を奪うことをいいます。
AさんはVさんを自宅に連れ込んでいることから、Vが逃げられない状況になっていれば、監禁罪が成立することになるでしょう。

さらに、監禁の現場でVに傷害を負わせているので、221条の監禁致傷罪が成立する可能性もあります。
同条に「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」とあるのは、監禁罪と208条の傷害罪の法定刑を比較し、下限も上限も重い方を基準として、刑罰を決めるということです。
具体的には、懲役の下限は3カ月以上とされている監禁罪の方が重く、上限は15年以下とされている傷害罪の方が重いので、3カ月以上15年以下の懲役となります。

また、金銭の返還を要求した点については、恐喝未遂罪が成立する可能性があります。
仮に、AがVに対し金銭の返還を請求する権利があるとしても、監禁や暴行という社会的相当性を欠く手段により返還を迫ることは犯罪行為となりうるということです。
なお、相手方が反抗出来ないような強度の暴行を加えた場合には、より重い強盗致傷罪が成立する可能性もあるので注意が必要です。

第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして判決が確定すれば、刑罰を受けることになります。

これらの手続に関し弁護士は、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを具体的事実に基づいて主張して釈放を目指したり、Vさんと示談を行って被害が回復されていることを主張するなどし、判決が重くならないよう弁護活動を行います。

~弁護士に相談を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、被害者との示談をどう進めたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、身体拘束されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

監禁致傷恐喝などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。

子供への殺人未遂で逮捕

2019-06-20

子供への殺人未遂で逮捕

仙台市青葉区に住むAさんは、2歳の子供とアパートに暮らすシングルマザー。
生活が苦しく、育児にも疲れ切っていました。
「もうこの子を育てていくことは出来ない。死んでしまっても仕方ない。」
冷静な判断が出来なくなったAさんは、子供を1人アパートに置いて出て行ってしまいました。
置き去りにされた子供は深夜に泣き叫び、不審に思った近隣住民が通報。
駆けつけた警察官によって保護されました。
知人の家に身を寄せていたAさんは、仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~成立しうる犯罪~

Aさんが子供置き去りにした行為には、殺人未遂罪保護責任者遺棄罪、保護責任者遺棄致傷罪のいずれかが成立する可能性があります。

刑法第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条(未遂罪)
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
第218条(保護責任者遺棄等)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
第219条(遺棄等致死傷)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

Aさんは、子供が死んでもいいと思っており、殺人の故意も認められるので、もし子供が亡くなっていれば殺人罪が成立した可能性もあります。
しかし今回は子供が亡くなっていないので、殺人未遂罪が成立しうるにとどまります。

また、子供が早い段階で保護された場合には、子供の健康状態から見て死亡する危険が未だ発生していないとして、殺人未遂罪も成立しないということもありえます。
結果が発生する危険が生じて初めて犯罪が成立する、という考え方があるからです。
その場合には、保護責任者遺棄罪が成立する可能性があります。
あるいは、命に別条がない程度ではあるが、軽い脱水症状が生じていたような場合には、保護責任者遺棄致傷罪が成立することも考えられます。

なお、保護責任者遺棄致傷罪の法定刑は、保護責任者遺棄罪と傷害罪の法定刑を比較して、上限も下限も重い方となります。
具体的には、3カ月以上15年以下の懲役となります。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして判決が確定すれば、刑罰を受けることになります。

これらの手続に関し弁護士は、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを具体的事実に基づいて主張して釈放を目指したり、子供の父親や行政の支援を受けられなかった不運や本人が反省していることなどを主張して、判決が過度に重くならないよう弁護活動を行います。

~弁護士に相談を~

犯罪をして逮捕された場合、今回どのような罪が成立するのか、今後の刑事手続きはどうなるのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、身体拘束されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などに対してお答えいたします。

殺人未遂罪や保護責任者遺棄(致傷)罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。

殺人を思いとどまる

2019-06-18

殺人を思いとどまる

宮城県大河原町に住むAさんは、認知症を抱えた母親を自宅で長年介護しています。
最近は認知症の症状も進み、コミュニケーションも難しく、汚物の処理なども含め、介護の負担は壮絶なものとなっていきました。
あるとき限界に達したAさん。
母親を殺してしまおうと思い、首を絞めてしまいました。
我に返ったAさんは、慌てて救急車を呼ぶなどの措置を取り、母親は一命をとりとめました。
母親の首に絞めたられた形跡が残っており、Aさんも犯行を認めたことから、Aさんは殺人未遂の容疑で大河原警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)

~成立する罪~

Aさんの行為には殺人未遂罪が成立します。

刑法
第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。

~刑が軽くなる?~

ある罪を犯した人に対し、どれくらいの期間や金額などの範囲で刑罰を受けさせることができるのかが、刑法などの法律には書かれています。
これを法定刑といいます。
殺人罪の場合は上記199条にあるように、死刑または無期懲役、もしくは5年以上の懲役となります。

しかし、ある事情が存在するときは、一般的に刑罰を軽くすべき、あるいは重くすべきといえる場合があります。
この場合には、法定刑から軽くした、あるいは重くした範囲で刑罰が決められることがあります。
これは処断刑と呼ばれ、裁判官は処断刑の範囲で、被告人の刑罰の重さを決めることになります。

以下、Aさんに関係のある範囲で、具体例を説明いたします。

~未遂に終わったこと~

今回、Aさんの母親は一命をとりとめており、Aさんは殺人罪ではなく殺人未遂罪に問われることになります。
未遂で済むと、法定刑よりも処断刑を軽くすることができます。

刑法第43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

この条文の1文目をみると、刑を軽くすることが出来る旨が書かれています。
未遂に終われば被害が少なくなったり、あるいは未遂に終わるような弱い犯行方法であったから悪質性が低いという場合があることから、処断刑を軽くしうるというものです。

ただし、偶然にも未遂に終わっただけで、結果が生じていてもおかしくなかったという場合もあります。
たとえば殺人罪でいえば、被害者が死亡しなかったのは偶然にすぎず、犯行方法からすると死亡してもおかしくなかったといえるような場合です。
この場合に刑を軽くすべきでないといえる場合もあることから、未遂の場合には必ず処断刑が軽くなるわけではなく、裁判官の判断で軽くすることも出来るにとどまります。

~自ら犯行を止め、救命措置をしたこと~

Aさんは途中で我に返り、救急車を呼ぶなどしています。
この場合、前述の刑法43条ただし書きの「自己の意思により犯罪を中止した」ものとして、処断刑が軽くなる可能性があります。
中止犯、あるいは中止未遂と呼ばれます。

「自己の意思により犯罪を中止した」といえるか否かの判断は難しいですが、簡単に言うと、自発的に犯行を止めたのか人に見つかったなどの外部的理由により止めたのか、死亡などの結果発生を防ぐ努力をしたか否か、といった点を考慮して判断されます。

中止犯となれば、必ず処断刑が軽くなります。
たまたま最悪の結果を免れた場合よりは悪質性が低いですし、刑罰を軽くしておくことによって犯行を思いとどまらせようという狙いもあると言われています。

~酌量減軽~

事件の特殊性から、刑を軽くすべきという場合も、酌量減軽により処断刑が軽くなる可能性があります。

第66条 犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。

介護疲れからの殺人の場合、介護の壮絶さを考慮して、酌量減軽がされる可能性があります。

~どれくらい減刑される?~

未遂中止犯酌量減軽が認められると、どれくらい刑が軽くなるのかは刑法68条から72条に記載があります。

第68条
法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
一 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は十年以上の懲役若しくは禁錮とする。
二 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、七年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
三 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。
(以下略)

殺人の場合に即して簡単に説明すると、まずは死刑の可能性がなくなります。

また、本来有期懲役は20年以下なので(12条1項参照)、殺人罪有期懲役になると5年以上20年以下の懲役となりますが、未遂や中止犯となると半分の2年半以上10年以下となります。
これに酌量減軽が加われば、さらに半分の1年3カ月以上5年以下となります。

なお、執行猶予(25条以下参照)は3年以下の懲役の言渡しを受けた場合にのみ付けることが出来るます。
殺人罪のように法定刑が5年以上の罪の場合には、減刑がなされてはじめて執行猶予にしうるので、この意味でも大きなポイントになります。

~弁護士に相談を~

犯罪をして逮捕された場合、減刑がされるのか、されるとしてもどの程度されるのか、わからない点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、留置されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
接見や法律相談の際には上記疑問点の他、刑事手続の逃れ等も丁寧にご説明いたします。

殺人未遂罪や他の犯罪で逮捕された場合にはぜひご相談ください。

花火で過失傷害

2019-06-16

花火で過失傷害

仙台市青葉区に住む19歳大学生のAさんとBさん。
サークル棟の部室で酒を飲み、酔った状態で部室のベランダで花火を始めました。
地面に置いて火花を散らせるタイプの花火を、ベランダの柵のヘリ部分に置いて火を付けるなど、危ない使い方をしていたAさんとBさん。
途中で火のついた状態の花火がベランダから落下してしまい、下を歩いていたVさんの頭部にやけどを負わせてしまいました。
救急車やパトカーが駆け付ける騒ぎとなり、AさんとBさんは仙台中央警察署の警察官に取調べを受けました。
彼らはどうなってしまうのでしょうか。

~成立する犯罪~

Aさん・Bさんの行為には過失傷害罪または重過失傷害罪共同正犯が成立する可能性があります。

刑法第209条(過失傷害)
第1項
過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
第2項
前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第211条(業務上過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
第60条(共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

209条が過失傷害罪で、211条の2文目に重過失傷害罪が規定されています。
今回どちらが成立するかは微妙ですが、不安定なところに花火を置いていることから、落下して人にケガを負わせてしまうことも容易に予見できたとして、重過失傷害罪が成立する可能性もあるでしょう。

また、60条の共同正犯が成立すると、他の共犯者が行った行為についても責任を負う可能性が出てきます(一部実行全部責任の原則)。
たとえば、ベランダの柵のヘリに花火を置くという危険な行為をしたのがAさんであっても、BさんもVさんの傷害結果について責任を負う可能性があるということです。

なお、未成年なのに飲酒をしていた点について犯罪は成立しませんが、(重)過失傷害罪を犯してしまった経緯として、裁判官らが悪い方向に考慮する可能性は否定できません。

~少年事件の手続~

AさんとBさんは20歳未満ですので、少年事件の手続がとられることになります。

一般論としては、少年事件の場合も成人事件と同様に逮捕され、まずは最大3日間拘束され、取調べ等の捜査を受ける可能性があります。
その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、さらに最大20日間、勾留と呼ばれる身体拘束期間が続く可能性があります。
勾留の代わりに、少年鑑別所での観護措置が採られ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査がなされることもあります。

その後、家庭裁判所に送られ、家庭裁判所調査官が中心となって、さらに少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査を行います。

なお、逮捕されていない少年や途中で釈放された少年についても、家庭裁判所に出向いて家庭裁判所調査官による面談を受けるなどの調査が行われます。

~少年審判とは?~

調査官等による調査の結果、比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。

そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
審判内容としては、不処分・保護観察・児童自立支援施設送致・少年院送致などが考えられます。

~不安点解消のため弁護士に相談を~

とはいえ、似たような行為をしてしまった場合に、どのような犯罪が成立するのか、どのような手続が進んでいくのか等々、わからない点が多く不安だと思います。

また、被害者の方に損害賠償をして示談締結をすることは、審判不開始になるかといった点に影響する可能性がありますが、実際にいくら賠償すればよいのか、示談交渉をどう行えばよいのかはわかりにくいところかと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっており、上記のような不安点や疑問点に対し、弁護士の見通しをお伝えいたします。

また、正式にご依頼いただければ、被害者の方と示談交渉を行ったり、審判不開始決定や軽い処分がなされるよう家庭裁判所の裁判官に働きかけたりといった活動を行います。

過失傷害、重過失傷害、少年事件などでお困りの方は、ぜひ一度ご相談下さい。

酔って公務執行妨害と傷害

2019-06-14

酔って公務執行妨害と傷害

宮城県女川町に住むAさんは、居酒屋で友人と酒を飲んだ後、徒歩で自宅に向かっていました。
しかし泥酔していたAさんの足取りはおぼつかなく、交番の近くを通りかかったところで転倒してしまいました。
その様子に気付いた警察官はAさんに、「大丈夫ですか」と声をかけました。
Aさんは、「大丈夫だ」と言っていますが、立ち上がろうとしてもふらふらでうまく立ち上がれず、とても大丈夫には見えません。
警察官は、「危ないので家まで送りますよ」と言いましたが、Aさんは拒否。
とはいえ放っておくわけにもいかない警察官は、家まで送り届けるのでパトカーに乗るよう説得しました。
しかしAさんは、「警察の世話にはならん!」などと大声で叫びだし、手に負えない状況に。
その後、警察官はAさんを抱きかかえて立ち上がらせようとしました。
するとAさんは、「触るな!」と大声で叫び、警察官の顔面をこぶしで殴打。
現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~公務執行妨害罪・傷害罪~

Aさんが警察官を殴った行為には、公務執行妨害罪傷害罪が成立する可能性があります。

刑法95条1項(公務執行妨害)
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

Aさんに殴られた警察官がケガをしなかった場合は、公務執行妨害罪のみが成立します。
一方、警察官がケガをした場合には、公務執行妨害罪傷害罪の両方が成立します。
ただし、1つの行為で2つの犯罪が成立する場合、最も重い罪で処罰されるので、今回はより重い懲役刑罰金刑が定められている傷害罪で処罰されることになります。

第54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

~今後の刑事手続~

逮捕されると、最大3日間身体拘束されます。
逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとされれば、さらに勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束が最大20日間続き、その後に刑事裁判がスタートするという流れになる可能性があります。
勾留検察官が請求し、裁判官が許可すれば行われます。

ただ、酔って過ちを犯すことは、犯罪の中では軽い部類に入ることが多いです。
したがって、罪を認めて反省の態度を示せば、警察官の傷害の程度によっては、検察官勾留請求せず、逮捕翌日に釈放されることも考えられます。

しかし、釈放されたとしても、自宅から検察庁に出向いて取調べを受けるなどした後、被疑者刑事裁判にかけるか否かの決定権限を持っている検察官が刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判を受けることになります。
裁判も自宅から裁判所に出向いて受けることになります。

~弁護士に相談を~

逮捕された場合、自分の行為にどんな罪が成立するのか、刑事裁判を受けることになるのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、身体拘束がいつまで続くのか、会社は解雇されるのか等々、不安が大きいと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事弁護を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、留置されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、すでに釈放されている場合には、当事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では上記の不安点に対する見通しなどをご説明いたします。

その後、正式に弁護をご依頼いただいた場合には、検察官勾留請求起訴をしないように、あるいは軽い判決で済むように弁護活動をしてまいります。

公務執行妨害罪傷害罪で逮捕されたら、ぜひ一度ご相談ください。

傷害事件での正当防衛

2019-06-11

傷害事件での正当防衛

Aさんは宮城県気仙沼市内で車を運転中、後方から来たVさんにあおり運転をされました。
「何だアイツ…」
頭にきたAさんは車を止め、後ろに停車したVさんに文句を言いに行きました。
すると車を降りてきたVさんと口論になり、カッとなったVさんから殴られました。
この時点でAさんが負った傷は打撲程度でしたが、Vさんはなおも追撃しようとしています。
「このままではやられてしまう。」
そう考えたAさんはVさんが動けなくなるまで反撃し、Vさんに骨折の重傷を負わせました。
Aさんは駆け付けた気仙沼警察署の警察官により傷害罪逮捕されました。
(フィクションです)

~傷害罪~

AさんがVさんを骨折させた行為は、それを単独で見ると、「人の身体を傷害した」 (刑法204条)ものとして、傷害罪が成立しそうです。
傷害罪が成立すると「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」(同条)に処せられてしまう可能性があります。
しかしAさんの行為はVさんの殴り掛かってきた行為に触発されたものです。そこで正当防衛は成立しないのでしょうか。

~正当防衛~

正当防衛が成立するためには、

①急迫不正の侵害に対して
②自己又は他人の権利を防衛するため
③やむを得ずにした行為

に当たる必要があります(刑法36条1項)。

①急迫不正の侵害については、Vさんが殴り掛かってきているので認められると思われます。
ただしAさんが、自分の身を守る目的ではなく、この機会に乗じてVさんを痛めつける目的のみで反撃したといった場合には、急迫不正の侵害が認められません。

②自己又は他人の権利を防衛するためについては、Aさんが「このままではやられてしまう。」と考えて反撃していることから、自己の権利を守るために反撃したものと認められる可能性が高いです。

③やむを得ずにした行為については、(1)防衛行為に出る必要性(2)防衛行為の相当性が認められるかがポイントになります。

(1)防衛行為に出る必要性については、例えば容易に助けを呼べる状況にあったり、逃げ出すことが出来る状況にあれば認められる可能性が低くなります。Aさんもケースでもそのような事情があれば防衛行為の必要性が認められる可能性が低くなります。
「けんかで逃げ出すなんてプライドが許さない」と思っても、むやみに反撃に及ばない方が良いでしょう。

(2)防衛行為の相当性については、反撃の方法や量が問題となります。
反撃の方法については、例えば相手が素手で攻撃してきたのに対しナイフなどの武器を用いて反撃した場合に相当性が否定されやすくなります。
自分が負った傷害よりも重い傷害を相手に与えたとしても、ただちに相当性が否定されるわけではありません。
Aさんの場合も相手により重い傷害を与えていますが、反撃方法は素手なので、ナイフで反撃した場合などに比べると有利だと考えられます。
ただし、AさんがVさんよりも体力面で大きく勝る場合などには、素手での反撃でも相当性が否定される可能性はあります。

反撃の量については、Aさんの反撃によってVさんが攻撃不可能になっているにもかかわらず、さらに反撃を続けていた場合には、反撃の量が多すぎるとして相当性が認められない可能性があります。

以上のような検討をした結果、正当防衛の成立が認められればAさんは無罪となります。
一方、正当防衛が認められなかった場合は傷害罪が成立します。
しかし緊迫した場面ではついついやりすぎてしまうということも理解できるため、過剰防衛(刑法36条2項)として、懲役や罰金が軽くなったり、免除される可能性があります。
また、今回のケースはVのあおり運転が根本的な原因なので、この点もAに課せられる刑罰の重さを判断するうえで有利に働くかもしれません。

~弁護士に相談を~

このように傷害罪正当防衛を主張して無罪を勝ち取る、または過剰防衛として刑罰を軽くするためには様々な点を考慮する必要があります。
起訴を免れたり、起訴されたとしても有利な判決が得られる可能性が上げるためにも、刑事事件に強い弁護士に相談することをおすすめ致します。
刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は初回相談無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。

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