Archive for the ‘財産事件’ Category
万引き常習犯の量刑
万引き常習犯の量刑
宮城県栗原市に住むAさんは、万引きの常習犯です。
また万引きをしようと思い、近所にあるスーパーに入店しました。
万引きする商品を物色し、店員の目を気にしながら、自分のカバンに商品を入れました。
「よし、バレてないぞ」
そう思いながら店舗の出入り口から外に出たAさん。
しかし、犯行の様子を見ていた私服警官に声を掛けられ、店舗の事務所に連れていかれました。
(フィクションです)
~万引きで成立する犯罪~
万引きを繰り返す理由としては、本当に食べるものに困って、という場合もあります。
しかし、お金はあるのに万引きをすること自体をやめられないという依存状態に陥っている場合もあります。
これはクレプトマニア(他の名称として窃盗症など)と呼ばれる精神疾患の一つであり、医療的ケアが必要となることもあるでしょう。
万引きで成立が考えられる犯罪は、窃盗罪と建造物侵入罪です。
刑法第130条(住居侵入等)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃盗罪の他に、スーパーという「建造物」に「侵入」したとして、建造物侵入罪が成立する可能性があります。
誰でも入ることができるスーパーに入ったことに対して犯罪が成立するのは違和感があるかもしれません。
建造物侵入罪における「侵入」とは、管理権者の意思に反する立ち入りをいうとされています。
そして万引き目的でスーパーに入ることは、スーパー側からすれば許せないことです。
したがって、管理権者の意思に反する立ち入りに該当し、建造物侵入罪が成立するわけです。
~牽連犯(けんれんぱん)~
建造物侵入罪と窃盗罪は、窃盗をするために建造物に侵入するという関係、すなわち手段と目的の関係にあります。
このような関係にある場合、二つの罪は牽連犯と呼ばれ、両者のうち最も重い犯罪の規定に基づいて刑罰が決められます。
刑法第54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
前述の建造物侵入罪と窃盗罪の条文を見比べると、建造物侵入罪は3年以下の懲役または10万円以下の罰金とされ、窃盗罪は10年以下の懲役または50万円以下の罰金とされているので、窃盗罪の方が重いです。
したがって、窃盗罪の10年以下の懲役または50万円以下の罰金の範囲内で、裁判所が刑罰を決めることになります。
そうなると、建造物侵入罪の成立を認める意味がないと思われるかもしれませんが、建造物侵入罪も成立したことを考慮して刑罰を決めますので、窃盗罪のみの場合よりも重くなることが予想されます。
~併合罪~
さらに、Aさんは万引きの常習犯なので、より重く処罰される可能性があります。
今回の窃盗とは別の機会に行った窃盗についても証拠が揃い、同時に刑事裁判にかけられることになった場合は、複数の窃盗は併合罪(刑法45条以下)と呼ばれる処理がされます。
懲役刑を科す場合、窃盗罪が懲役10年以下ですので、刑法47条の規定により、1.5倍の15年以下の範囲内で懲役が科される可能性があるわけです。
罰金刑を科す場合は、窃盗罪は50万円以下ですので、刑法48条2項により「50万円×起訴された窃盗罪の数」の金額の範囲内で罰金が科される可能性があります。
~再犯加重~
Aさんに前科がある場合は、さらに重く罰せられる可能性があります。
刑法第56条第1項
懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。
第57条
再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。
つまり、前科で実刑判決を受け服役し、出所日から5年以内に再犯した場合、通常の窃盗罪の2倍にあたる20年以下の範囲で懲役を科される可能性があるわけです。
一方、前科の犯罪が執行猶予判決だったのであれば、執行猶予が取り消され、前科の刑罰と今回の窃盗の刑罰の両方が科される可能性があります。
~常習累犯窃盗~
さらに、窃盗で過去10年以内に懲役6か月以上の執行を3回以上受けた者が再び窃盗を行った場合、常習累犯窃盗として、3年以上20年以下の懲役となる可能性があります(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条参照)。
前述の再犯加重も20年以下の懲役ですが、「○年以上」といった下限の設定がないので、刑法12条1項により、下限は1か月となります。
これに対し常習累犯窃盗の場合、より悪質性が強いので、下限が3年となるわけです。
~弁護士に相談を~
このように、法律上は万引きでも重い処罰を受ける可能性はあります。
しかし、凶悪犯罪ともいえないので、常習性がどの程度進んでいるかといった事情にもよりますが、不起訴(起訴猶予)や罰金刑で終わる可能性もあります。
弁護士としては、被害店舗に弁償して示談を締結したり、被疑者が反省の態度を示していること、家族の監督が望めること、再犯のおそれが低いことなどを主張し、軽い処分を目指していく弁護活動をしていくことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事弁護を専門とする事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
窃盗罪や建造物侵入罪で捜査を受けたら、一度弊所の弁護士にご相談ください。
(築館警察署までの初回接見費用:43,200円)
複数の特殊詐欺事件で逮捕
複数の特殊詐欺事件で逮捕
無職のAさんは、高校時代の友人宅で飲み会をしていました。
Aさんは友人に、「仕事探さなきゃいけないんだけど、なんかいいのないかな」と聞いてみました。
すると友人は、「俺の先輩と一緒にやってる仕事があるんだけど、やってみるか?」と聞いてきました。
内容は、いわゆる特殊詐欺と言われるもの。
悪いことだと認識しつつも、お金がなかったAさんは誘いに乗ってしまい、目星をつけた人に還付金詐欺の電話をかけることを繰り返してしまいました。
半年ほど経過したある日、Aさんの自宅に突然、宮城県若林警察署の警察官が乗り込んできて、Aさんは逮捕されました。
連絡を受けたAさんの両親は、弁護士に相談しました。
(フィクションです)
~特殊詐欺とは~
特殊詐欺とは、電話等で相手をだまして、現金を受け取ったり、不正に入手した銀行口座に送金させたりする詐欺をいいます。
いわゆるオレオレ詐欺の他、サイト利用料の名目で金銭をだまし取ろうとする架空請求詐欺、税金や保険料の還付を受けられるとだまして金銭を振り込ませる還付金詐欺など、様々な手法が使われています。
宮城県で2018年に発生した特殊詐欺被害は、警察が把握しているだけでも、237件、3億3728万円となっており、2017年よりも減少していますが、多くの被害が出ている状況です(引用・河北新報webサイト
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201901/20190128_13020.html)。
特殊詐欺を行うと、被害者から現金を受け取ったり送金させた時点で詐欺罪が成立します。
失敗に終わった場合は詐欺未遂罪が成立します。
刑法
第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条
この章の罪の未遂は、罰する。
詐欺罪は10年以下の懲役が科せられる可能性があるわけです。
また、特殊詐欺の場合は繰り返し犯行を行うことも多いと思います。
複数の被害者の事件をまとめて裁判にかけるときは「併合罪」と呼ばれる処理がされ、最大で1,5倍まで懲役の期間を延ばせます。
第45条
確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。
第47条
併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。
したがって、複数の詐欺罪の場合は15年以下の懲役ということになります。
~詐欺罪で逮捕されたら弁護士に相談を~
逮捕されると、まずは最大3日間の身柄拘束がされ、取調べなどの捜査を受けることになります。
さらに検察官が勾留を請求し、裁判官が許可すれば、最大20日間の身柄拘束がされます。
この期間の最後に、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるかどうか(起訴か不起訴か)の判断をします。
起訴の判断がされた場合、さらに長期間の身柄拘束を受ける可能性があります。
当然ながら、身柄拘束されている期間は仕事や学校には行けないので、解雇等の措置を受ける可能性も高まります。
身柄拘束期間が長引くほど、本人はもちろん、ご家族への影響も大きなものとなるでしょう。
弁護士は、検察官に対し勾留請求しないように説得したり、裁判官に対し勾留の許可をしないように説得したりできます。
また、起訴後も保釈申請をして、身柄解放に努めます。
当然、裁判においても量刑が軽くなるように、あるいは執行猶予が付くように弁護活動も行います。
そのほか、警察官や検察官による取調べを受ける場合に、適切に対応することは難しい場合があるので、一度弁護士からアドバイスを受けるのが良いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士が、アドバイスや弁護活動をさせていただきます。
ぜひ一度、0120-831-881までご連絡ください。
(宮城県若林警察署までの初回接見費用:36,300円)
少年の万引き
少年の万引き
仙台市泉区に住むAくんは17歳の高校2年生。
Aくんは1年ほど前から、本屋で漫画の万引きを繰り返していました。
ある日、いつものように店員の目を盗み漫画をカバンの中にいれ、店を出ようとしたところ、宮城県泉警察署の私服警官に呼び止められ、逃げようとしたところを現行犯逮捕されてしまいました。
連絡を受けたAくんの母親は、Aくんがどうなってしまうのか心配になり、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
~窃盗罪が成立~
Aくんの行為には窃盗罪が成立します。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
被疑者が20歳以上の成人の事件では、最悪の場合、逮捕により最大3日間、勾留により最大20日間、合計で最大23日間の身柄拘束がされ、その後刑事裁判にかけられ、刑事裁判の間も身柄拘束が続き、判決が確定すれば懲役や罰金刑を受けるという流れになります。
もちろん事件の内容等によっては、身柄拘束されずに在宅のまま手続が進んだり、あるいは途中で釈放されたり、執行猶予が付いたりする可能性もあります。
軽微な事件では不起訴(起訴猶予)処分となり、刑事裁判を受けなくて済む場合もあります。
一方で、被疑者が20歳未満の少年の場合には、手続の流れが大きく異なります。
~少年事件の手続~
逮捕されたAくんは、まずは最大3日間拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、さらに最大20日間、勾留と呼ばれる身体拘束期間が続く可能性があります。
勾留の代わりに、少年鑑別所での観護措置が採られ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査がなされることもあります。
その後、家庭裁判所に送られ、家庭裁判所調査官が中心となって、さらに少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査を行います。
なお、逮捕されていない少年や途中で釈放された少年についても、家庭裁判所に出向いて家庭裁判所調査官による面談を受けるなどの調査が行われます。
~少年審判とは?~
調査官等による調査の結果、比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。
そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
少年審判の内容には以下のものが考えられます。
①不処分
非行事実が認められない、あるいは認められるとしても反省し、再犯の可能性がないような場合になされます。
成人事件における無罪判決や不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。
②保護観察
保護観察所の指導・監督の下、少年を社会の中で生活させながら、更生させていくというものです。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。
③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
比較的非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により②の保護観察が行えないなどの場合に、各種福祉施設で生活させるなどしつつ、社会の中で更生させるというものです。
④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、特別の事情のない限り外出が許されない環境で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。
⑤検察官送致(逆送)
これはまれですが、凶悪事件において、成人の場合と同じ刑罰を受けさせるべきと判断された場合などになされるもので、改めて成人と同じ刑事裁判を受ける流れになります。
~弁護士の活動~
弁護士は、少年の権利保護や更生に向けた環境作りのために活動します。
たとえば、家裁調査官や裁判官に対して、少年の非行内容が軽微であること、非行性が進んでいないこと、再犯の可能性が低いこと、被害者との示談が成立していることなどを事実に基づいて主張し、勾留や観護措置などによる身体拘束を防いだり、少年審判においてより軽い審判内容となるように活動していきます。
このうち再犯の可能性に関しては、家庭環境など少年が今後生活していく環境が良好か否かといった点も重要視されます。
そこで弁護士は、少年と家族の関係に問題があるようなら、関係の修復に動くなどの環境調整活動も行ったりします。
少年の人生に大きくかかわってくることですので、一度弁護士にご相談されるのが良いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件や刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、今後の手続の流れや予想される処分、弁護士の活動などをご説明いたします。
窃盗の少年事件などで逮捕された、捜査を受けた際は、ぜひ一度ご相談ください。
うっかり無銭飲食して取調べ
うっかり無銭飲食して取調べ
仙台市宮城野区に住むAさんは、某牛丼チェーン店で昼食をとっていました。
その牛丼屋は料金後払いのお店でした。
しかし料金前払いの牛丼屋も多いことから、食事を終えたAさんは既に支払い済みと勘違いし、料金を支払わずに牛丼屋を出てしまいました。
その後、防犯カメラの映像等からAさんの犯行と発覚し、宮城県仙台東警察署から取調べのため任意で出頭するように連絡を受けました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)
~Aさんは本来は犯罪になりません~
Aさんが最初から無銭飲食をしようと思って入店していた場合には、店員をだまして食事の提供を受けたわけですから、詐欺罪が成立します。
刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
しかし犯罪が成立するのは、
①わざとやった場合(故意がある場合)、
②うっかりやった場合(過失犯)の処罰規定がある場合
のみです。
刑法第38条1項
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
したがって本件のAのように無銭飲食するつもりがない場合には①故意がなく、また、②詐欺罪には過失犯の処罰規定もないため、犯罪は成立せず、無罪となります。
~信じてもらえない~
とはいえ、最初から無銭飲食をするつもりで捕まった人が、うっかり払い忘れたという言い訳をするケースもあります。
したがって取調べの際にうっかりだったと言っても信じてもらえない可能性があります。
特に前科がある場合、中でも無銭飲食による詐欺罪の前科があるような場合には、信じてもらうことはかなり難しくなります。
もちろん最終的には、故意があったことを検察官が証明しなければ有罪とはなりません。
ただ、「一度無銭飲食で有罪とされている人は、支払いについて気を付けるはずであるから、うっかり払い忘れるということは考えづらく、今回も支払っていない認識があったはずだ。」といった推認をされて、有罪となる可能性も否定できません。
~弁護士の力を借りてみる~
Aさんのような状況に置かれた場合、警察官・検察官・裁判官に信じてもらえるか、取調べにどのように対応すればよいのか、といった不安が大きいと思います。
弁護士に依頼した場合、例えば、お金に困っていないから無銭飲食をする必要がないことや、普段はきちんと支払っているのだから今回だけわざと支払わない理由がない、といったことを主張して、不起訴処分にしてもらうよう検察官に働きかけたり、裁判官を説得して無罪判決を得るよう活動することが考えられます。
被疑者を刑事裁判にかけるか否かを判断するのは検察官です。
検察官が不起訴処分にしてくれればそこで手続が終了し、前科が付くことはありません。
刑事裁判で無罪になる確率が極めて低い現状をも考えると、裁判官だけでなく検察官への働きかけも重要な弁護活動になります。
刑事裁判が始まる前に、仮に逮捕・勾留されている場合には、被疑者国選という制度により、国の費用で弁護士を付けることができ、上記のような弁護活動を受けることもできます。
しかし軽微な事件ということで逮捕・勾留されず、在宅で捜査を受ける場合には被疑者国選の制度は使えません。
したがって私費で弁護士に依頼することを検討されてもよいかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする事務所です。
上記のような弁護活動の他、初回無料の法律相談で取調べを受ける際のアドバイスをすることもできます。
ぜひ一度、0120-631-881までご相談ください。
痴漢の被害者が恐喝未遂
痴漢の被害者が恐喝未遂
仙台市太白区に住む女性Aさんは、通勤途中の電車内で服の上からお尻を触れる痴漢被害に遭いました。
犯人は確保され、罪も認めています。
数日後、Aさんはこれらの事実について、男友達のBさんに話しました。
それに対しBさんは、
「そんな奴からは大金をふんだくってやろうぜ」
と言いました。
Aさんもその気になり、犯人に金銭を要求するよう、Bさんに頼みました。
Bさんは、釈放されていた犯人に電話をかけ、
「100万円払わないと、お前の家族や会社にばらすぞ」
と言って脅しました。
後日、AさんとBさんは宮城県仙台南警察署から、「痴漢犯人への恐喝について聞きたいことがある」と言われ、警察署に来るよう言われてしまいました。
AさんとBさんはどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)
~痴漢について~
痴漢をした犯人については、各都道府県の迷惑防止条例違反として処罰される可能性があるでしょう。
本件とは違い、下着の中に手を入れて性器を触るといった悪質な態様であれば、より重い刑法の強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
~恐喝について~
痴漢の被害に遭われた方は、大変嫌な思いをされたでしょうし、犯人に対して損害賠償請求することができます。
とはいえ、請求の方法が不適切だと恐喝罪が成立するおそれがあります。
刑法
第60条(共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
第249条1項(恐喝)
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条(未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。
相手方を畏怖させるような(おそれさせるような)害悪を告げて金銭等を要求した場合には、恐喝罪あるいは恐喝未遂罪が成立する可能性があります。
痴漢をしたことを犯人の家族や勤務先に知られることは、配偶者から離婚を要求されたり、勤務先から解雇されたりする可能性があります。
自業自得とも言えますが、犯人にとっては怖いものであることは間違いないので、AとBの要求は相手方を畏怖させるような害悪の告知にあたりえます。
ここで、Aさんは痴漢の犯人に対して損害賠償請求権があるのだから、それでも犯罪が成立するのか疑問に思われるかもしれません。
たしかに、犯人が支払いを渋っている場合には、多少強い言葉を言ってしまうこともわかります。
しかし、権利を行使する際にも、社会通念上相当ではない方法で行うと、恐喝罪や恐喝未遂罪が成立するおそれがあります。
強制わいせつ罪が成立するような悪質な痴漢であれば別ですが、本件のような迷惑防止条例違反の痴漢の示談金額の相場は数十万円程度であり、今回のような100万円の要求はやや金額が高いともいえます。
それでも示談交渉の際に、被害者側の要求としてはこの金額であると伝えるだけであれば恐喝とはいえないでしょう。
しかしながら、家族や会社にばらす旨を言って支払い要求していることが大きく、社会通念上相当な方法ではないと判断される可能性があります。
したがって相談の上で恐喝行為をしたAさんとBさんは、痴漢の犯人から実際に金銭を受け取れば恐喝罪の共同正犯、受け取っていなければ恐喝未遂罪の共同正犯となりえます。
なお、実際に受け取った金額が痴漢の賠償金の相場の範囲内であったとしても、恐喝行為という不適切な方法に用いた以上は、恐喝罪が成立しうることに注意が必要です。
~弁護士法違反について~
さらに友人のBさんは、弁護士ではないにもかかわらず、他人間の法律関係に介入したことから、弁護士法にも違反する可能性があります。
弁護士法
第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
第77条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
第3号 第72条の規定に違反した者
~弁護士にアドバイスを受けましょう~
AさんとBさんは警察で注意されるだけで済む可能性もありますが、逮捕・勾留され、刑事裁判にかけられる可能性もあります。
警察での取調べで、必要以上に不利な供述をさせられないように適切な受け答えをするのは難しい場合もあります。
弁護士であれば取調べを受ける際のアドバイスをすることができます。
また、被害者と示談が成立すれば、執行猶予がつくなど、刑が軽くなる可能性や不起訴となる可能性が上がります。
示談交渉も弁護士が間に入ることでスムーズに行える可能性が高まります。
恐喝罪などの刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所で刑事事件を専門とする弁護士による法律相談が初回無料で受けられます。
ぜひ一度ご相談ください。
恐喝のつもりが強盗罪に
恐喝のつもりが強盗罪に
20代男性Aさんは、宮城県白石市内の路上において、Vさんに恐喝をしようと思い、Vさんに対して胸倉を掴んだり殴る蹴るなどの暴行を長時間加えつつ金銭を要求しました。
恐怖心を覚えたVさんは、Aさんの指示に従って財布の中に入っていた金銭約1万円を渡しました。
Vさんが宮城県白石警察署に被害届を出したことにより、事件の捜査が開始されて、後日Aさんは宮城県白石警察署に強盗罪の疑いで逮捕されました。
Aさんは、自分のした行為が強盗罪にあたるのか、Aさんの家族の依頼で初回接見に来た刑事事件専門の弁護士に尋ねました。
(フィクションです。)
~強盗罪と恐喝罪~
Aさんは、宮城県白石警察署から強盗罪の疑いで逮捕されています。
しかし、Vさんに恐喝をしようと思っておこなったAさんの行為は、単なる恐喝罪ではないのでしょうか?
恐喝罪は、暴行や脅迫によって相手方を怖がらせて、お金などの金品や利益を脅し取る犯罪です。
(恐喝)
第二百四十九条
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
恐喝罪の法定刑は、10年以下の懲役で、詐欺罪と同様の重さです。
恐喝罪における「恐喝」とは、相手方の反抗を抑圧するに至らないが畏怖させる程度の暴行または脅迫を指します。
一方、反抗抑圧するに足る暴行や脅迫により財物が奪われた場合には、恐喝罪ではなく強盗罪が成立します。
恐喝罪と強盗罪は、暴行や脅迫を用いて財物を入手する点で共通しており、強盗罪は恐喝行為の程度がすぎたものと考えるとわかりやすいでしょう。
(強盗)
第二百三十六条
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役
に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項
と同様とする。
強盗罪と恐喝罪の区別は、暴行や脅迫が相手方の反抗を抑圧する程度に至っているかが一つの基準となります。
反抗を抑圧する程度に至っていれば強盗罪、至っていなければ恐喝罪が成立するということになります。
この判断は、暴行または脅迫の内容、当事者の年齢や体格などの様々な事情を考慮し客観的になされます。
状況によりますが、長時間にわたって激しい暴行が加えられた、銃やナイフなどの凶器を用いて脅迫した等の事情があれば、反抗を抑圧するに至っているとして強盗罪の成立が肯定されやすいでしょう。
なお、犯行を抑圧された相手の財物を持ち去るだけでなく、財物の交付を受けた場合や財産上の利益を得た場合も強盗罪となります。
~強盗罪では執行猶予を付けられない~
法定刑が10年以下の懲役である恐喝罪は執行猶予を付けられますが、法定刑が5年以上の有期懲役である強盗罪では刑の減軽がされない限り執行猶予を付けることができません。
強盗罪になるか否かは、容疑をかけられている方にとって大きな関心事になります。
強盗罪では、暴行,脅迫の程度が軽い場合、犯行を抑圧させるものとまではいえないと主張して恐喝罪への認定落ちを狙う弁護活動をすることがあります。
恐喝罪にとどまることになれば起訴猶予となる可能性が高まりますし、起訴された場合でも執行猶予を狙いやすくなります。
他にも、強盗罪とはいえるものの、強盗の中では軽い事案で、かつ示談が成立している等、処罰を軽くするべき事情がある場合、あえて恐喝罪で処分する場合もあります。
弁護士を通じて、被害者と示談を成立させつつ、事案は重大ではなく強盗罪で処罰するべきではないと主張して、処分が重くならないようにすることも考えられます。
なお、強盗罪の暴行又は脅迫は財物の強取目的で行われたものである必要があります。
財物強取の目的の暴行脅迫であるとの確信を検察官や裁判官が持てない場合、強盗罪ではなく、窃盗罪と暴行罪の併合罪、または窃盗罪と脅迫罪の併合罪で済む場合があります。
(窃盗罪や暴行罪、脅迫罪は、不起訴や罰金刑で終了したり執行猶予が付けられたりする可能性が十分ある罪です。)
強盗罪になるにしても、暴行脅迫が軽微で被害金額も大きくはなく、被害者と示談が成立した場合などは、窃盗罪や暴行罪・恐喝罪などとの差が大きくないこと、強盗罪の法定刑が重く起訴して有罪判決が出れば実刑の懲役になってしまうことから、不起訴(起訴猶予)になることもありえます。
以上のように、強盗罪で捜査されている事件であっても、実際は軽い犯罪が成立すべき事案や、検察官や裁判官に悪質な強盗ではないことを訴えていけるような事件である場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件専門の弁護士が事案に応じた適切な弁護活動を提供いたします。
強盗罪や恐喝罪でお困りの場合は、まずは無料法律相談または初回接見サービスをご利用ください。
(宮城県白石警察署への初回接見費用:41,120円)
特殊詐欺で逮捕!家族が面会をするには?
特殊詐欺で逮捕!家族が面会をするには?
宮城県大崎市に住むAさんは,SNSを通じて知り合った相手から,「割のいいバイトがあるから,やってみないか。電話の指示に従ってキャッシュカードを受け取るだけの簡単な仕事だ」と誘われました。
Aさんは軽い気持ちで仕事を引き受けましたが,指定された場所に行ってみると,張り込んでいた宮城県古川警察署の警察官に詐欺未遂罪の現行犯で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は宮城県古川警察署で面会をしようとしましたが認められず,弁護士に初回接見を依頼しました(フィクションです)。
~逮捕された人とはいつ面会ができる?~
逮捕された人は,事件を管轄する警察署の留置所で身体が拘束されます(一部,警察署以外の警察施設で拘束されることもあります)。
逮捕状によって逮捕された場合も,設例のAさんのように現行犯逮捕された場合も同様です。
逮捕された方のご家族はすぐにでも面会がしたいと思いますが,逮捕直後は家族であっても,法律上,面会(正式には接見)を行う権利はありません。
それでは,いつになったら面会ができるのかというと,通常は勾留の決定がされてから面会が可能となります。
勾留とは,逮捕に引き続いて身体拘束を継続することを指します。
勾留の判断に携わるのは検察官と裁判官です。
まずは,逮捕されてから48時間以内に,事件は検察官のもとに送られます(刑事訴訟法203条1項。Aさんのように現行犯逮捕された場合も同様です。刑事訴訟法216条)。
事件の送致を受けた検察官は,24時間以内に裁判所へ勾留を請求するか判断します(刑事訴訟法205条1項)。
検察官が勾留の請求を行い,裁判官が勾留の決定を行うと,一律10日間,最大で20日間の身体拘束の効果が生じます。
勾留の決定がされてしまうと,釈放されずに留置所へ戻されますが,以降は平日の日中に限り,面会ができるようになります。
なお,弁護士は弁護人(及び弁護人となろうとする者)として,逮捕後,勾留の決定がつく前のタイミングでも自由に接見が可能です(刑事訴訟法39条1項)。
~必ずしも面会ができるわけではない~
しかし,すべての刑事事件で勾留決定後に面会が認められるわけではありません。
法刑事訴訟法81条が「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」に「接見を禁じ」ることを認めているためです。
裁判官が勾留決定と同時に接見も禁止することを,接見禁止決定と呼びます。
接見禁止の決定がされてしまうと,たとえ事件と無関係な家族であっても,面会をすることができなくなります。
設例のAさんのように,共犯者が多数存在することが考えられる特殊詐欺を理由に逮捕された場合は,勾留決定に加えて接見禁止決定も付せられることが通常です。
接見禁止が付いたままでいると,逮捕された方が釈放されるまで,家族との面会はできないことになってしまいます。
設例のAさんのように特殊詐欺に関わって逮捕された場合は,釈放されるにしても,検察官による起訴がされた後に保釈が認められた場合がほとんどであるため,何もしない場合,長期間にわたって家族との面会ができないままになってしまいます。
もっとも,弁護士がついている場合,接見禁止の解除を裁判所に求めていくことができます。
設例のAさんのように,面会を求める家族の方が事件と無関係な場合は,接見禁止の対象から家族のみを外すことが考えられます
これを接見禁止の一部解除の申し立てと言います。
逮捕直後に弁護士の依頼ができている場合,ご家族による面会を早いタイミングで実現させることも可能になってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士事務所として,速やかな接見禁止解除に動きます。
逮捕されてしまったご家族との面会ができずにお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
弊所が実施しております初回接見サービスによって,迅速に接見を行い,その後の速やかな接見禁止解除へとつなげていきます。
(宮城県古川警察署への初回接見費用:フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問合せください。)
知人のギターを横領
知人のギターを横領
宮城県石巻市内に住むAさんは趣味でバンド活動を行う大学生です。
Aさんは使っていたギターを床に落として壊してしまいました。
Aさんは修理費用が出せない貧乏学生だったので、知人のVさんから、使っていないギターを少しの期間借りることにしました。
しばらくそのギターを使っていましたが、Vさんからそろそろ返してくれないかと言われました。
「自分のギターの修理費用もないし、返したらバンド活動できなくなるな…このまま借りパクできないかな」
そう考えたAさんは、「近いうちに返すよ」などと言ってはぐらかし、そのままギターを使い続けていました。
その後Vさんから何度も返還請求を受けたにもかかわらずギターを使い続けていたAさん。
ある日Vさんから、宮城県石巻警察署に横領罪でAさんを告訴したと伝えられました。
「これはヤバいことになった…」
Aさんはこの後どうなってしまうのでしょうか。
(事実を基にしたフィクションです)
~横領罪~
本件のような、いわゆる「借りパク」のケースでは、横領罪が成立するか問題となります。
刑法には「自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。」(252条1項)と規定されています。
AさんにとってVさんのギターは「自己の占有する他人の物」にあたることは間違いありません。
では「横領した」とはどのような場合を指すのでしょうか。
専門的には「横領」とは、
①他人の物の占有者が委託の任務に背いて、
②その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思
を実現するすべての行為を指すといわれています(なお、①と②を合わせて不法領得の意思といいます)。
①については、「借りパク」のケースで「委託の任務」と言われてもピンと来ないかもしれませんが、今回のケースでは一時的にギターを借りて使うが、ある程度の期間が過ぎ、Vから返還請求されたら返すというのがAのなすべき行動、すなわち「委託の任務」といえるでしょう。
②については、Aはギターをまるで自分の物のように使い続けているわけですから、所有者のように使い続ける権限がないにもかかわらず、所有者でなければできないような処分をしているといえます。
以上により、Aさんの行為には横領罪が成立しそうです。
~逮捕されてしまう?~
宮城県石巻警察署が告訴状を受理したのであれば、Aさんは横領罪の被疑者として捜査対象となります。
ただ、いきなり逮捕されるとは限りません。
たとえばギターの時価が低いものであったり、Aさんに前科がなかったり、ギターを慌てて返したりといった事情があれば、警察としても軽微な事件と判断するかもしれません。
そうなれば警察の呼び出しに応じて自ら警察署に行き、取調べを受けることはあるかもしれませんが、強制的に身柄を拘束される逮捕まではされないことになるでしょう。
一方で、上記とは逆の事情が多い場合には、逮捕される可能性が上がってくるでしょう。
~裁判にかけられてしまう?~
逮捕という身体拘束を受けていなくても、刑事裁判にかけられてしまう可能性は別途生じます。
逃亡や証拠隠滅のおそれはないから身柄拘束までする必要はないが、悪いことをしたことに変わりはないのだから裁判は受けてもらう、という在宅起訴というものです。
裁判にかけられるかどうかについても、 ~逮捕されてしまう?~ という段落に書いた事情等を考慮し判断されます。
裁判にかけられて有罪判決が確定すれば前科がついてしまいますし、執行猶予がつかなければ刑務所に入ることになります。
~不安の解消のためにも無料法律相談を~
あなたがAさんの立場であれば、横領罪で逮捕されるのか、裁判にかけられるのか、ギターを返せば済むのかなどなど、非常に不安な気持ちになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談では、今後の見通しや逮捕・起訴を免れる可能性を上げるための方法についてアドバイスさせていただきます。
初回相談無料ですので、ぜひお気軽にご連絡ください。
宮城県石巻警察署への初回接見費用:43,200円
少年事件と家庭裁判所調査官
少年事件と家庭裁判所調査官
仙台市太白区在住17歳高校生Aさんは、同区内の書店においてDVD4本と漫画本3冊を万引きしたとして、宮城県仙台南警察署に窃盗罪の容疑で取調べ等を受けることになりました。
Aさんの両親は、仙台市内の少年事件・刑事事件専門の法律事務所の弁護士に、示談成立と審判不開始を目指した活動を依頼しました。
(フィクションです。)
~窃盗罪~
他人の財物を窃取すると刑法235条の窃盗罪になります。
時々、ポスターなどの標語として見かける通り、万引きは窃盗罪です。
少年による一般刑法犯の罪名別の検挙人員で最も多いのが窃盗罪です。
~家庭裁判所調査官への対応~
少年事件とは,20歳未満の者(=少年)が犯した犯罪に関する事件をいいます。
少年事件では、少年法が適用され、成人が受ける裁判とは違う特別な手続きが定められています。
14歳以上の少年が窃盗事件を起こした場合、警察の捜査を受けた後に、事件が検察庁に送致されます。
ここまでは成人の刑事事件と同じ手続きですが、以降は、少年事件特有の手続きとなります。その後、検察庁から家庭裁判所に事件が送致されます。
そして家庭裁判所に事件が送致されると、家庭裁判所の調査官が、少年を調査する事となります。
調査官は、様々な学問領域に精通しており、少年の家庭環境や生い立ち・生活環境等を調査します。
調査官による調査は、単なる事情聴取だけでなく、事件の背景にある問題に踏み込んで解決の方向性を探ったり、少年に内省を促したりする内容に及ぶこともあります。
調査官は、少年に対する調査を行い、資料を収集するとともに、少年の処遇についても意見を述べることができます(少年法8条、少年審判規則13条)。
調査官の調査結果と処遇意見を踏まえて、家庭裁判所の裁判官が少年の処遇を決定します。
裁判官は、調査官の調査結果と処遇意見を重視して少年に対する処遇を検討する傾向が強いです。
したがって、調査官の役割は非常に重要で、少年審判に大きな影響を与えると言えるでしょう。
少年事件に詳しい弁護士は、調査官対応の重要性を十分に心得ているため、積極的に調査官と面会するなどして、少年の問題点や処遇方針について協議します。
事例のAさんの事件は、在宅で捜査が行われているため、比較的軽微な事案として、処分が重くならないことが見込まれます。
そこで、少年事件に精通した弁護士であれば、Aさんの事件が審判不開始になるように、仮に審判が開始された場合でも不処分となるよう、積極的に調査官と面会や協議を繰り返し、被害者との間で示談の締結を目指すなどの活動を行います。
また、少年が調査官に対して心を開き、少年が言いたいことをしっかりと伝えられるように、調査官の調査の目的を丁寧に説明し、少年が調査官と信頼関係を築きやすくなるようにアドバイスすることもあります。
少年事件では、成人の刑事事件とは異なる特有の手続きが行われます。
少年事件で弁護士をお探しの場合は、やはり少年事件専門の弁護士に依頼することがお勧めです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件だけでなく少年事件も専門とする法律事務所です。
所属する弁護士は皆、少年事件の知識と経験を豊富に有し、少年の将来を見据えた活動をおこないます。
少年事件でお困りの場合は、24時間受付中の無料法律相談・初回接見サービスをご利用ください。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881までお電話またはお問い合わせフォームまで。
(宮城県仙台南警察署 初回接見費用:34,800円)
昏睡強盗罪で執行猶予
昏睡強盗罪で執行猶予
30代男性Aさんは、居酒屋に行った際、店内で知り合った男性Vさんと仲良くなって一緒にお酒を飲み始めました。
借金を抱えて生活に困っていたAさんは、Vさんに睡眠薬を飲ませて眠らせることでVさんの財布からお金を抜き取ろうと企てました。
Aさんは、Vさんがトイレに行った隙に、Vさんが飲んでいるビールの中に睡眠薬を入れ、トイレから戻ってこのビールを飲んだVさんは、しばらくしてそのまま深い眠りにつきました。
Aさんは、Vさんが完全に眠り込んだことを確認して、Vさんの財布から現金2万円を抜き取りました。
犯行後、Aさんは、眠っているVさんを残して居酒屋を去りましたが、後日、Aさんは昏睡強盗罪の容疑で宮城県大和警察署に逮捕・勾留されてしまいました。
困ったAさんの妻は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に連絡しました。
(フィクションです。)
~昏睡強盗罪~
「人を昏睡させてその財物を盗取」した場合、「昏睡強盗罪」が成立します(刑法第239条)。
刑法239条は「人を昏睡させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。」と規定しています。
「強盗として論ずる」とは、すなわち、「強盗罪(刑法236条1項)」と同一の法定刑(5年以上の懲役)で処罰されるということです。
刑法236条1項に規定されている「強盗罪」とは、暴行や脅迫といった手段により、相手側の犯行を抑圧した状態で人の財物を強取する場合に成立します。
一方、「昏睡強盗罪」とは、薬物などにより意識作用に障害を生じさせて(=昏睡させて)、人の財物を盗んだ場合に成立します。
相手方を昏睡させてその犯行を抑圧して財物を窃取する行為(昏睡強盗)も、実質的な違法性の程度は通常の強盗罪と同じであることから、強盗罪と同じ扱いを受けることになっているのです。
「昏睡させる」とは、人の意識作用に一時的または継続的な障害を生じさせて財物に対する支配をなしえない状態に陥れることをいい、その方法には制限はありません。
睡眠薬を飲ませたり、麻酔薬を投与したり、大量のお酒を呑ませたりして眠らせる行為がその典型です。
昏睡強盗罪が成立するには
①財物を盗取する意思を持つ
②この意思に基づいて、財物を窃取することを目的に相手を昏睡状態に陥らせる
③財物を盗取する
という構図が成り立つ必要があります。
上記の事例では、①Aさんが、Vさんに睡眠薬を飲ませて眠らせることでVさんの財布からお金を抜き取ろうと企て、②Vさんの飲んでいるビールに睡眠薬を入れてVさんがそのビールを飲んで深い眠りに陥る、③Vさんの財布から現金を抜き取る、という構図になっています。
このようなAさんの行為には、昏睡強盗罪が成立することになる可能性が高いです。
なお、すでに被害者が昏睡状態に陥っているのを見て、その時点で被害者から財物を盗むことを思いついて財物を盗取するのは、昏睡強盗罪ではなく、窃盗罪となります。
昏睡強盗罪の条文の「昏睡させて」という文言から、犯人自らが昏睡状態を作り出す必要があるためです。
窃盗罪の法定刑が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」であるのに対して、昏睡強盗罪の法定刑は、強盗罪と同じく「5年以上の有期懲役」と非常に厳しいです。
~昏睡強盗罪で起訴された場合~
昏睡強盗罪で起訴されて刑事裁判になった場合、前科がなく初犯であったとしても、実刑判決を受ける可能性が生じます。
しかし、昏睡強盗罪は被害者のいる犯罪であるため、被害者に対して被害弁償をして示談を成立させることで執行猶予が付く可能性が高まります。
法律知識に基づいて安全かつ確実に示談を成立させることを目指す場合、示談交渉に優れた弁護士に依頼することがお勧めです。
被害者との間で弁護士が介入し、適切に示談交渉を行うことで、加害者・被害者が互いに納得できる示談を成立させることができます。
また、執行猶予を目指す場合、弁護士が、公判において、被告人にとって有利な事情を主張立証することも考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、昏睡強盗罪を始めとする刑事事件を専門とする弁護士が多数所属しています。
昏睡強盗罪で示談したい、執行猶予を獲得したいという方は、まずは無料法律相談または初回接見サービスをご利用ください。
(宮城県大和警察署への初回接見費用は、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。)