ネットへの投稿で脅迫罪

ネットへの投稿で脅迫罪

30代男性Aさんは、会社の元同僚Vさんに対して、SNSアプリ上で、Vさんの名を挙げて「殺すぞ」等と複数回にわたり脅す文句を投稿しました。
投稿を目にしたVさんは怖がらなかったものの不快に思って、宮城県鳴子警察署被害届を提出しました。
その結果、Aさんは脅迫罪の疑いで宮城県鳴子警察署逮捕されました。
Aさんの家族はネット上で起きた刑事事件に強い弁護士にAさんの刑事弁護を依頼したいと思い、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部の初回接見サービスを利用しました。
(フィクションです。)

~インターネット上の投稿でも脅迫罪になる~

インターネット上で、他人に対して脅すような言葉を書き込むと、「脅迫罪」が成立する可能性があります。
近年は、掲示板やメール、ツイッター、LINEなどのSNSが発達し、ネット上で脅迫行為が行いやすい環境になっています。

~脅迫罪~

脅迫罪とは、対象者本人やその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に害悪を加えることを告知して、脅した場合に成立する犯罪です(刑法222条)。

脅迫罪 刑法222条
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

条文からわかる通り、脅迫の対象が生命・身体・自由・名誉・財産の5つに限定されています。

害悪の告知方法については、その手段・方法には特に制限はもうけられていません。
口頭、文書、態度などいずれの場合でも成立します。
直接言葉で告げた場合や脅迫文などの手紙を送付した場合に限らず、ネットを使った方法でも成立しえます。
例えば、自分や相手のSNSやブログへの投稿、掲示板への投稿、LINEやメールでの送信なども、相手を畏怖させるに足りるものであれば、「告知」にあたります。

加えて、自分のSNSやブログ、ネット掲示板などのように、相手に直接送られたものではなくても、相手を畏怖させるような投稿をした場合は脅迫罪が成立する可能性があります。

今回の事例では、投稿を目にしたVさんは、怖がらなかったものの不快に思って被害届を提出しています。
相手を脅そうと思ってメッセージを送ったものの相手が怖がらなかった場合でも、脅迫罪は成立するのでしょうか。

結論から言うと、脅迫罪の成立には、実際に恐怖心が起きたかどうかは関係がないとされています。
脅迫にあたるかどうかは、告知の内容、相手方の性別、年齢、周囲の状況等を考慮して決定すべきとされており、一般的客観的に判断されるため、相手方が害悪の告知を受けて実際に畏怖しなくても構いません。
つまり、相手が「怖い」と思わなくても、普通なら恐怖心を感じると言えるような内容であれば、脅迫罪になってしまいます。
事例のように、「殺す」と言われたら恐怖心を感じることがほとんどでしょうから、脅迫罪が成立する可能性が高いです。

なお、ネット上では、「殺す」という発言が気軽に使われてしまいがちですが、気軽に使われやすいからといって脅迫罪にならないというわけではありません。
ネット上でのやりとりの場合、口頭で言われた場合と比べて、口調や文脈、状況などから発言した人の真意を窺い知ることは難しいです。
「殺す」と言われた人が文字通りの意味で捉える可能性があることは、「殺す」と発言した人も想定し得るでしょう。
そのため、ネット上での「殺す」という発言でも脅迫罪が成立しえます。

~ネット上の脅迫で刑事事件に発展する可能性~

文面によらない脅迫罪の場合は、証拠が残らないケースが多いため、刑事事件にまで発展することは多くありません。
しかし、ネット上での脅迫行為の場合、投稿や送信した文面が記録(証拠)として残りますので、被害届も受理されやすい傾向があります。

ネット上での脅迫事件の場合、文面を消去してしまう方もいらっしゃいますが、消去されていても捜査機関はある程度復元できるそうです。
むしろ、消去などの証拠隠滅行為は、捜査機関や裁判官の心証に悪い影響を及ぼし、逮捕の可能性を高めてしまいかねません。
証拠隠滅行為は行わずに、早めに刑事事件専門の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脅迫罪でトラブルになっている方の無料法律相談を常時受け付けています。
まずはフリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
初回法律相談:無料

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