勾留中脱走で逃走罪

勾留中脱走で逃走罪

宮城県栗原市に住むAさんは、強制わいせつ罪の容疑で逮捕され、宮城県築館警察署の留置場に勾留されて、捜査を受けていました。
Aさんは、宮城県築館警察署の留置場からの脱走を企て、脱走に成功しました。
しかし、翌々日、Aさんの捜索のために動員されていた警察官によって発見され、Aさんは単純逃走罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)

前回のコラムでは、犯人隠避罪について解説しました。
犯人隠避罪は、犯人の発見や身柄の確保を妨げる罪であり、「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」と規定されている罪です。
今回は、犯人隠避罪との関連もある逃走罪について解説します。

~逃走罪~

昨年、大阪府の警察署に留置されていた被告人が、弁護士との接見終了後に接見室のアクリル板をこじ開けて脱走する逃走事件が発生し、連日報道されていました。
警察は顔写真等を公開して被告人を加重逃走罪で指名手配し、結局、被告人は山口県で食料品を万引きした窃盗容疑で山口県警察に現行犯逮捕され、1か月半にわたる逃亡劇に幕を閉じました。
また、昨年は、愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から受刑者が逃走して後に単純逃走罪逮捕された事件も起きています。

逃走罪は、刑法第六章の逃走の罪の章に規定された犯罪です。
刑法第六章 逃走の罪
(逃走)
刑法第九十七条 裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。
(加重逃走)
刑法第九十八条 前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

逃走の罪は、基本類型として逃走罪単純逃走罪とも呼ばれます。)があり、態様が悪質なものについては加重逃走罪という、より刑罰の重たい犯罪類型として取り扱われています。
両罪は、刑務所や警察署の留置場などのような拘束されている場所から逃走するという点は同じですが、主体となる者や逃走の方法によって区分され、法定刑にも違いがあります。
なお、単純逃走罪加重逃走罪の犯人を助けて犯人の発見や身柄の確保を妨げる人がいれば、その方は、犯人隠避罪若しくは犯人蔵匿罪に抵触する可能性があります。

~単純逃走罪~

単純逃走罪」は、「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」が逃走すると成立します。
「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」とは、具体的にいうと以下のようになります。
既決の者:懲役刑や禁錮刑といった実刑判決によって刑務所に拘禁されている受刑者、死刑判決の執行を待つ者、罰金や科料が払えず労役場に留置されている者
未決の者:勾留中の被疑者、勾留中の被告人、鑑定留置に付されている者

「未決の者」に該当する勾留中の者が勾留期間中に取調べを受けていて、取調室から逃げると逃走罪が成立します。
しかし、「未決の者」には、逮捕中の人は含まないとされているため、逮捕期間中に取調べを受けている際、取調室から逃げても逃走罪は成立しません。
また、逃走の罪は,「拘禁された者」が対象であるため,保釈中の者が逃げても逃走の罪にはなりません。
(ただし、保釈中の者が逃走して裁判に出席しなかった場合は、保釈金が没収されます。)
単純逃走罪で起訴されて有罪が確定すれば、1年以下の懲役が科せられます。

~加重逃走罪~

加重逃走罪の対象は、単純逃走罪の対象に加え、拘引状の執行を受けた者も含まれます。
拘引とは被告人等を指定の場所に強制的に連れていくことを指します。
加重逃走罪は、ただ逃亡するだけでなく、拘禁場・拘禁器具を破壊し、暴行・脅迫を行った場合、もしくは、2人以上で通謀して逃走した場合に罪に問われます。
加重逃走罪は、その手段、態様が単純逃走罪に比べて悪質で、国家の拘禁作用に対する侵害の度合いが強いため、その法定刑は「3月以上5年以下の懲役」と、単純逃走罪と比べて厳しいものになっています。

単純逃走罪加重逃走罪には、
1.単純逃走罪は拘禁されている者のみ⇔加重逃走罪逮捕状で逮捕された者等も含む
2.加重逃走罪には拘禁に関するものの破壊が必要(手錠を外すことは破壊ではないので含まれない)
3.加重逃走罪には暴行・脅迫が必要
などの違いがあります。

上記事例のAさんは、このうち裁判の執行により拘禁された「未決の者」にあたります。
Aさんは、強制わいせつ罪の容疑で宮城県築館警察署勾留中ですから、「未決の者」にあたるのです。
そのAさんが、宮城県築館警察署から脱走しているのですから、単純逃走罪に該当すると考えられます。
ただし、もしAさんが、刑務所から脱走する際に器具等を損壊していたり、暴行や脅迫を用いていたり、2人以上で共謀していた場合、刑法98条の加重逃走罪になる可能性があります。

また、逃走中に犯した犯罪は、別の事件として扱われるので、逃走中に逃走資金や車を盗んだり、空き家に侵入したりすれば、窃盗罪や建造物侵入罪等によっても刑事罰を受けることとなります。
逃走罪だけで考えるとそれほど重い罰則が規定されているわけではありませんが、逃走中に起こした事件も含めて刑事罰を受けることになれば、長期間の実刑など非常に重い刑事罰が言い渡される可能性があるため、刑事事件専門の弁護士に依頼することが望ましいでしょう。
逃走罪でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問い合わせください。
(宮城県築館警察署への初回接見費用:46,880円)

 

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