交際相手への不同意堕胎事件
交際相手への不同意堕胎事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは,交際していたVさん宅(宮城県多賀城市)において,Vさんの承諾を得ずに中絶薬を投与し,堕胎させたとして,宮城県塩釜警察署に不同意堕胎罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは,Vさんとの結婚後の将来に不安があったため,堕胎をさせてしまったといいます。
Aさんのご家族は,Aさんが不同意堕胎罪の容疑で逮捕されたと連絡を受けました。
(2021年9月14日に朝日新聞デジタルに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【不同意堕胎罪とは】
刑法215条(不同意堕胎罪)
女子の嘱託を受けないで,又はその承諾を得ないで堕胎させた者は,6月以上7年以下の懲役に処する。
不同意堕胎罪は,その名の通り,妊娠中の女性の依頼(「嘱託」)も受けず,同意(「承諾」)も得ないで堕胎させることをいいます。
不同意堕胎罪の「堕胎」とは,自然の分娩期に先立って人為的に胎児を母体から分離,排出させることをいいます。
簡単に言い換えれば,不同意堕胎罪の「堕胎」とは,子をおろすことだといえます。
不同意堕胎罪の刑事罰は,刑法215条の「6月以上7年以下の懲役」です。
不同意堕胎罪の刑事罰は罰金刑がなく,起訴されてしまった場合には,無罪か懲役刑(執行猶予を含む)が宣告されることになるでしょう。
【不同意堕胎罪で逮捕されたら】
不同意堕胎罪で逮捕された場合,刑事手続きとしては,以下のような流れになります。
不同意堕胎罪で逮捕された後,48時間以内に,不同意堕胎事件の被疑者の方の身柄が検察庁に渡されます。
身柄を受け取った検察官は,不同意堕胎事件の被疑者の方を勾留(逮捕に引き続く身体拘束)するための裁判所への請求をするかどうかを判断します(1段階目)。
検察官からの勾留請求を受けた裁判官は,不同意堕胎事件の被疑者の方の勾留決定をするかどうかを判断します(2段階目)。
以上の2段階の手続きを経て,不同意堕胎事件の被疑者の方の勾留が決定した場合,不同意堕胎事件の被疑者の方は,最長で(勾留の延長がなされた場合)20日間の身体拘束を受けることになります。
【刑事弁護士を雇う】
不同意堕胎事件で逮捕されてしまった場合に刑事弁護士を雇った場合,以上の身体拘束からの解放が早まる可能性があります。
これは,刑事弁護士が,勾留手続きの1段階目において,検察官に対して,不同意堕胎事件の被疑者の方を勾留するための裁判所への請求をしないように説得したり,勾留手続きの3段階目において,裁判官に対して,不同意堕胎事件の被疑者の方の勾留決定をしないように働きかけたりすることができるからです。
また,刑事弁護士は,早期の身体拘束を求めるチャンスとしては3段階目となる,勾留決定に対する不服申立て(準抗告申立て)をすることができます。
以上のように,被疑者段階では,刑事弁護士が検察官や裁判官,裁判所に対して,不同意堕胎事件の被疑者の方の勾留を争うことで,身体拘束からの早期解放が期待できる可能性が高まります。
また,これらの身柄解放活動が上手くいかなかったとしても,引き続く被告人段階で,刑事弁護士が保釈の請求をすることで,身体拘束からの早期解放を目指すことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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