Archive for the ‘刑事事件’ Category
暴走族が逮捕
暴走族が逮捕
宮城県富谷市に住む18歳のAさんは、バイク暴走族のメンバーです。
ある日の夜、仲間といつものように暴走行為をしていたところ、運転を誤り転倒。
歩道に突っ込み、歩いていた人に大けがを負わせてしまいました。
Aさんもケガをしていたことから病院に運ばれましたが、回復を待って取調べを受けることになりました。
(フィクションです)
~道路交通法・自動車運転処罰法違反~
まず、暴走行為をした時点で、Aさんらの行為は道路交通法の共同危険行為に当たる可能性があります。
道路交通法第68条(共同危険行為等の禁止)
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
第117条の3
第六十八条(共同危険行為等の禁止)の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
また、歩行者にケガをさせた点につき、自動車運転処罰法の危険運転致傷罪あるいは過失運転致傷罪が成立する可能性があります。
自動車運転処罰法第2条(危険運転致死傷)
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
第2号 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
第5条(過失運転致死傷)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
この法律の「自動車」には、バイクも含まれます。
2条2号の危険運転致傷罪は、進行を制御することが困難な高速度で走行して人を負傷させた場合に成立します。
過失運転致傷罪よりも刑罰が重いことからもわかるように、危険運転致傷罪の方がより悪質な走行を想定した規定です。
いかなる場合に「進行を制御することが困難な高速度」といえるかは、スピードの他、現場が直線かカーブか、何車線の道路か、周りの車の数などの道路状況等を考慮して総合的に判断されることになるでしょう。
~少年事件の手続~
逮捕されたAくんは、まずは最大3日間拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、さらに最大20日間、勾留と呼ばれる身体拘束期間が続く可能性があります。
勾留の代わりに、少年鑑別所での観護措置が採られ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査がなされることもあります。
その後、家庭裁判所に送られ、家庭裁判所調査官が中心となって、さらに少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査を行います。
なお、逮捕されていない少年や途中で釈放された少年についても、家庭裁判所に出向いて家庭裁判所調査官による面談を受けるなどの調査が行われます。
~少年審判とは?~
調査官等による調査の結果、比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。
そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
少年審判の内容としては以下のものが考えられます。
①不処分
非行事実が認められない、あるいは認められるとしても反省し、再犯の可能性が低いような場合になされます。
成人事件における無罪判決や不起訴(起訴猶予)に近いものといえます。
②保護観察
保護観察所の指導・監督の下、少年を社会の中で生活させながら、更生させていくというものです。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。
③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
比較的非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により②の保護観察が行えないなどの場合に、各種福祉施設で生活させるなどしつつ、社会の中で更生させるというものです。
ただし、比較的低年齢の少年が入る場合が多いので、18歳のAさんはこの処分にはならないかもしれません。
④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、特別の事情のない限り外出が許されない環境で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は前述の条文に書かれた懲役の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。
⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件などにおいて、成人の場合と同じ刑罰を受けさせるべきと判断された場合などになされるもので、改めて成人と同じ刑事裁判を受ける流れになります。
ただし、凶悪事件とはいえませんが、過失運転致傷罪などの場合、逆送された後に刑事裁判で罰金処分のみ受けるというパターンもあります。
~弁護士の活動~
弁護士は、少年の権利保護や更生に向けた環境作りのために活動します。
たとえば、家裁調査官や裁判官に対して、少年の非行内容が軽微であること、非行性が進んでいないこと、再犯の可能性が低いこと、被害者との示談が成立していることなどを事実に基づいて主張し、勾留や観護措置などによる身体拘束を防いだり、少年審判においてより軽い審判内容となるように活動していきます。
このうち、再犯の可能性に関しては、家庭環境など少年が今後生活していく環境が良好か否かといった点も重要視されます。
そこで弁護士は、少年と家族の関係に問題があるようなら、関係の修復に動くなどの環境調整活動も行ったりします。
少年の人生に大きくかかわってくることですので、一度弁護士にご相談されるのが良いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件や刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
また、逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
法律相談や接見では、今後の手続の流れや予想される処分、弁護士の活動などをご説明いたします。
道路交通法・自動車運転処罰法違反などの少年事件でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。
窃盗するつもりが強盗で逮捕
窃盗するつもりが強盗で逮捕
宮城県塩釜市に住むAさん。
万引きをしようと思い、コンビニに入店。
店員の目を盗んで商品をポケットに入れたつもりでしたが、店員の1人に気付かれていました。
店を出ようとしたとき、その店員に呼び止められ、慌てて走り出したAさん。
なおも追いかけてきた店員を突き飛ばし、ケガをさせてしまいました。
後日、防犯カメラの映像などからAが割り出され、塩釜警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)
~窃盗罪か強盗罪か~
Aさんは、追いかけてきた店員にケガをさせたことから、事後強盗致傷罪が成立する可能性があります。
第238条(事後強盗)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
第240条(強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
ただし、238条の「暴行」は、相手方の反抗出来なくなるほどの強い態様のものをいいます。
軽く払いのけただけのような場合には、事後強盗致傷罪は成立せず、窃盗罪と傷害罪が成立するでしょう。
第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~
逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。
まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことによる本人や家族などの不利益を具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。
また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
また、窃盗罪と傷害罪が成立するにとどまった場合、検察官が起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
そこで、被害者の方と示談を成立させたり、被害者の傷害が軽いこと、また暴行の態様も弱く事後強盗致傷罪は成立しないことなど、有利な事情があれば出来る限り主張して、不起訴処分や略式起訴にするよう検察官に要請していきます。
そして起訴された場合も、本人に有利な事情を主張し、罰金や執行猶予などの軽い判決で済むよう弁護していきます。
~弁護士に接見の依頼を~
逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
窃盗や強盗、傷害などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。
下着のぞき見で逮捕
下着のぞき見で逮捕
仙台市若林区に住むAさん。
以前、下着の盗撮で罰金刑となったことがあります。
悪いことだとはわかりつつも、どうしてもやめられないAさん。
盗撮して記録に残すのはさすがにマズいと思い、今度はエスカレーターで手鏡をかざして下着を盗み見しました。
しかし周囲の通行人に見つかり、Aさんは若林警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんは今後どうなるのでしょうか。
(フィクションです)
~迷惑行為防止条例違反~
Aさんの行為は、宮城県の迷惑行為防止条例に違反します。
第3条の2第1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
1号 省略
2号 人の下着又は身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
第17条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
1号 第三条の二第一項から第三項までの規定に違反した者(前条第一項第一号の規定に該当する者を除く。)
2号以下 省略
第2項
常習として前項第一号から第三号までの違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
Aさんの行為は3条の2第1項2号に該当するので、17条1項1号記載の6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となる可能性があります。
さらに、Aさんは常習者としてより重く、17条2項記載の1年以下の懲役または100万円以下の罰金になる可能性もあります。
~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~
逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。
まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことによる本人や家族などの不利益を具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。
それでも勾留されてしまった場合には、準抗告という不服申し立て続きを行って、釈放を目指すこともあります。
また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
また、起訴する場合も最大でも罰金で済む略式起訴で済む場合もあります。
そこで、被害者の方と示談を成立させたり、本人が反省していることや、病院で性犯罪防止のためのカウンセリングを受け始めたことなど有利な事情があれば出来る限り主張して、不起訴処分や略式起訴にするよう検察官にお願いしていきます。
そして起訴された場合も、本人に有利な事情を主張し、罰金や執行猶予などの軽い判決で済むよう弁護していきます。
~弁護士に相談を~
逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
のぞき見や盗撮で逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。
飲酒運転で逮捕
飲酒運転で逮捕
宮城県大崎市に住むAさんは、知人との飲み会に車で向かいました。
飲み会後、運転代行を呼ぼうとしていましたが、かなり酔いが回り眠くなっていたので、駐車場に停めた車の中で寝てしまいました。
3時間ほどして目が覚めたAさん。
「少し寝たから大丈夫だろう」と考え、自ら運転して家に向かいました。
しかしアルコールは抜けておらず、途中で歩道に乗り上げ、歩行者をはねて大けがをさせてしまいました。
Aさんは駆け付けた古川警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)
~飲酒運転で成立する罪~
昔に比べれば少なくなったと思いますが、未だに飲酒運転はなくなりません。
飲酒運転をすると、軽い順に、以下のような罪が成立する可能性があります。
①酒気帯び運転の罪(道路交通法第65条1項、第117条の2の2第3号)
→3年以下の懲役または50万円以下の罰金
②酒酔い運転の罪(道路交通法65条1項、第117条の2第1号)
→5年以下の懲役または100万円以下の罰金
③過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)+①
→10年以下の懲役または150万円以下の罰金(※併合罪、刑法45条・47条・48条2項)
④過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)+②
→10年半以下の懲役または200万円以下の罰金(※併合罪)
⑤自動車運転処罰法3条1項の危険運転致死傷罪
→被害者負傷12年以下の懲役、被害者死亡15年以下の懲役
⑥自動車運転処罰法2条1号の危険運転致死傷罪
→被害者負傷15年以下の懲役、被害者死亡1年以上20年以下の懲役
①と②は事故を起こしていなくても成立します。
②はろれつが回らなかったり、千鳥足になっているなど、正常な運転が出来ないおそれがある場合で、そこまでではないがアルコール濃度が基準値以上となっている場合が①です。
さらに人をケガさせたり、死亡させた場合には、③④⑤⑥が成立する可能性が出てきます。
③と④は、飲酒運転をしているが、事故の直接の原因がアルコールの影響以外にある場合(たとえばわき見運転やスピード違反)などに成立します。
①酒気帯び運転と②酒酔い運転のどちらの状態だったのかによって、罰金額の上限が少し変わります。
⑤と⑥は事故の直接の原因が飲酒運転にある場合です。
⑤は正常な運転に支障が生じるおそれがあるにとどまる状態で運転をはじめ、やがて正常な運転が困難な状態に陥って事故を起こした場合です。
⑥は最初から正常な運転が困難な状態で運転した場合です。
もちろんこの他に、免許停止や免許取消し処分も受けることになります。
~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~
逮捕された場合、まずは最大で3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大で20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。
まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことによる本人や家族などの不利益を具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。
次に、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
また、最高でも罰金にしかならない略式起訴という処分がなされることもあります。
そこで、被害者と示談が成立していること、本人が反省していること、会社を解雇され社会的制裁を受けていることや前科がないことなど、有利な事情があれば出来る限り主張して、不起訴処分や略式起訴にするよう検察官にお願いしていきます。
起訴されて未だ身体拘束が続いている場合には、釈放を目指して保釈申請を行います。
そして裁判においても、本人に有利な事情を主張し、執行猶予や罰金などの軽い判決で済むよう弁護していきます。
~弁護士に相談を~
逮捕された場合、どのような罪が成立するのか、今後の刑事手続きはどうなるのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などに対してお答えいたします。
飲酒運転で逮捕された場合には、ぜひご相談ください。
銀行への詐欺・私文書偽造
銀行への詐欺・私文書偽造
仙台市太白区に住むAさん。
2か月前にB社を退職して就職活動をしていましたが、なかなか決まりません。
貯金も少なくなってきたAさんは、銀行から借り入れすることを考えました。
身分や収入がしっかりしていれば借り入れが出来る可能性が上がり、金利も低くなることから、B社に在職中であることにして、借り入れすることにしました。
前年の所得証明書の他、所持し続けていたB社の社員証のコピーを提出し、申込書類にもB社に在職中である旨を記入して銀行に提出。
借り入れを受けてしまいました。
その後、返済が滞ったことから銀行がB社に問い合わせるなどして事実が発覚。
銀行から返済を迫られるとともに、刑事告訴も検討中である旨を言われて不安になったAさんは、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
~Aさんに成立しうる犯罪~
Aさんが身分を偽って借り入れした行為には、詐欺罪や私文書偽造・同行使罪が成立する可能性があります。
刑法
第246条1項(詐欺)
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第159条3項(私文書偽造等)
前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第161条1項(偽造私文書等行使)
前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
Aは、B社に在職中であると「人を欺いて」、借入金という「財物を交付させた」ので、詐欺罪が成立するでしょう。
また、借り入れの申込書類は、金銭消費貸借契約という「権利、義務…に関する文書」、あるいは職業に関する「事実証明に関する文書」にあたり、これに虚偽の記載をしたことは「偽造」にあたるとして、私文書偽造罪が成立する可能性があります。
この文書を用いて融資を受けたので、偽造私文書行使罪も成立するでしょう。
~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~
仮に刑事告訴された場合、逮捕されない場合とされる場合が考えられます。
逮捕されない場合は、自宅から警察署や検察庁に行って取調べを受けたり、自宅から裁判所に行って刑事裁判を受けることになります。
一方、逮捕された場合、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。
まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことによる本人や家族などの不利益を具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。
それでも勾留されてしまった場合には、準抗告という不服申し立て続きを行って、釈放を目指すこともあります。
また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
そこで、銀行と示談が成立していること、本人が反省していること、会社を解雇され社会的制裁を受けていることや前科がないことなど、有利な事情があれば出来る限り主張して、不起訴処分にするよう検察官にお願いしていきます。
起訴されてしまった場合には、釈放を目指して保釈申請を行います。
そして裁判においても、本人に有利な事情を主張し、執行猶予などの軽い判決で済むよう弁護していきます。
~ぜひ弁護士に相談を~
犯罪をして逮捕された場合、あるいは在宅で捜査を受けた場合、どのような罪が成立するのか、今後の刑事手続きはどうなるのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料で行っております。
また、逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
接見や法律相談では、上記の不安点などに対してお答えいたします。
詐欺罪や私文書偽造・同行使罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。
アイロン消し忘れで失火罪
アイロン消し忘れで失火罪
仙台市若林区に住むAさん。
ある休日、出かける前に洋服にアイロンをかけました。
「よし、シワがなくなった」
Aさんはアイロンをかけた服を着て、友達とランチを食べに出かけました。
しかし、Aさんはアイロンをコンセントから抜くのを忘れており、火事が発生。
夕方帰宅すると、自宅から火の手が上がり、消防隊員が消火活動をしているという信じられない状況を目の当たりにしました。
消火後の調査で、Aさんがアイロンがけをしていた部屋の燃え方が激しく、出火原因がアイロンであると特定されました。
(フィクションです)
~失火罪~
放火が犯罪であることは当然ですが、誤って火事を生じさせた場合も失火罪が成立する可能性があります。
刑法第116条1項
失火により、第百八条に規定する物(※現住建造物等)又は他人の所有に係る第百九条に規定する物(※非現住建造物等)を焼損した者は、五十万円以下の罰金に処する。
第2項
失火により、第百九条に規定する物(※非現住建造物等)であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物(※建造物等以外)を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。
第117条の2
第百十六条…の行為が…重大な過失によるときは、三年以下の禁錮又は百五十万円以下の罰金に処する。
※ 現住建造物等とは、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物をいいます。
※ 「人」とは、犯人以外の人を言います。
Aさんの自宅に家族も済んでいる場合や、自宅がアパートで別の部屋には他人も住んでいる場合などには、建物は現住建造物ですので、少なくとも116条1項の現住建造物失火罪が成立することになるでしょう。
一方、自宅がA自ら所有し、一人暮らしをしている一軒家であれば、周りの家などに延焼する可能性が生じるなど、公共の危険が発生したときにのみ116条2項の失火罪が成立します。
これらの罪の法定刑は50万円以下の罰金となります。
ただし、Aさんが重過失により失火させたといえる場合には、117条の2の重過失失火罪となり、3年以下の禁錮または150万円以下の罰金となります。
アイロンのコンセントの抜き忘れが重過失といえるか否かは難しいところです。
~刑事手続きの流れ~
制度上は、Aさんが逮捕され、最大23日間の身体拘束がされた後、刑事裁判を受けるという流れになる可能性はあります。
手続の流れは、けが人や死亡者が出たかという被害の大きさにも影響されるでしょう。
ただ、わざとやった犯罪ではないことから、警察が事件として捜査せずに終わる可能性もあります。
捜査したとしても、被疑者を刑事裁判にかけるか否かを判断する検察官が、不起訴処分と判断し、刑事裁判を受けずに済む可能性もあります。
また、刑事裁判になっても、略式裁判という簡易な手続で、罰金刑で終わるという可能性も考えられるでしょう。
ただ、罰金であっても前科が付くことになるので、国家資格の取得の可否などに影響してくる可能性も完全に否定はできないので、注意が必要です。
~不安があれば弁護士に相談を~
火事を起こしてしまった場合、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどうなっていくのか等々、わからない点が多いかもしれません。
特に人的被害を出してしまった場合などは、影響が大きいことから不安が大きいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
刑事事件の経験が豊富な弁護士が見通しをお答え致しますので、ぜひ一度ご連絡ください。
詐欺被害者が監禁・恐喝で逮捕
詐欺被害者が監禁・恐喝で逮捕
宮城県名取市に住むAさん。
知人のVさん投資話を持ち掛けられました。
「必ず儲かるし、元本の返還は保証する」というVの説明を信じ、100万円を渡しました。
しかし投資は失敗。
AさんはVさんに100万円の返還を要求しましたが、拒否されました。
頭に来たAさんはVさんを自宅に連れ込み、殴る蹴るの暴行を加えて返還を要求。
Vさんはなおも拒否しましたが、Vに打撲等の怪我を負わせました。
後日、詐欺等による逮捕を免れないと判断したVは自首するとともに、Aの監禁や暴行について被害届を提出。
Aは岩沼警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)
~Aさんに成立する犯罪~
Aさんの行為には、監禁致傷罪や恐喝未遂罪が成立する可能性があります。
刑法
第220条(逮捕及び監禁)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
第221条(逮捕等致死傷)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第249条1項(恐喝)
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条(未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。
220条の「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能または著しく困難にして、行動の自由を奪うことをいいます。
AさんはVさんを自宅に連れ込んでいることから、Vが逃げられない状況になっていれば、監禁罪が成立することになるでしょう。
さらに、監禁の現場でVに傷害を負わせているので、221条の監禁致傷罪が成立する可能性もあります。
同条に「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」とあるのは、監禁罪と208条の傷害罪の法定刑を比較し、下限も上限も重い方を基準として、刑罰を決めるということです。
具体的には、懲役の下限は3カ月以上とされている監禁罪の方が重く、上限は15年以下とされている傷害罪の方が重いので、3カ月以上15年以下の懲役となります。
また、金銭の返還を要求した点については、恐喝未遂罪が成立する可能性があります。
仮に、AがVに対し金銭の返還を請求する権利があるとしても、監禁や暴行という社会的相当性を欠く手段により返還を迫ることは犯罪行為となりうるということです。
なお、相手方が反抗出来ないような強度の暴行を加えた場合には、より重い強盗致傷罪が成立する可能性もあるので注意が必要です。
第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~
逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして判決が確定すれば、刑罰を受けることになります。
これらの手続に関し弁護士は、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを具体的事実に基づいて主張して釈放を目指したり、Vさんと示談を行って被害が回復されていることを主張するなどし、判決が重くならないよう弁護活動を行います。
~弁護士に相談を~
逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、被害者との示談をどう進めたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、身体拘束されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
監禁致傷や恐喝などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。
子供への殺人未遂で逮捕
子供への殺人未遂で逮捕
仙台市青葉区に住むAさんは、2歳の子供とアパートに暮らすシングルマザー。
生活が苦しく、育児にも疲れ切っていました。
「もうこの子を育てていくことは出来ない。死んでしまっても仕方ない。」
冷静な判断が出来なくなったAさんは、子供を1人アパートに置いて出て行ってしまいました。
置き去りにされた子供は深夜に泣き叫び、不審に思った近隣住民が通報。
駆けつけた警察官によって保護されました。
知人の家に身を寄せていたAさんは、仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)
~成立しうる犯罪~
Aさんが子供置き去りにした行為には、殺人未遂罪、保護責任者遺棄罪、保護責任者遺棄致傷罪のいずれかが成立する可能性があります。
刑法第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条(未遂罪)
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
第218条(保護責任者遺棄等)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
第219条(遺棄等致死傷)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
Aさんは、子供が死んでもいいと思っており、殺人の故意も認められるので、もし子供が亡くなっていれば殺人罪が成立した可能性もあります。
しかし今回は子供が亡くなっていないので、殺人未遂罪が成立しうるにとどまります。
また、子供が早い段階で保護された場合には、子供の健康状態から見て死亡する危険が未だ発生していないとして、殺人未遂罪も成立しないということもありえます。
結果が発生する危険が生じて初めて犯罪が成立する、という考え方があるからです。
その場合には、保護責任者遺棄罪が成立する可能性があります。
あるいは、命に別条がない程度ではあるが、軽い脱水症状が生じていたような場合には、保護責任者遺棄致傷罪が成立することも考えられます。
なお、保護責任者遺棄致傷罪の法定刑は、保護責任者遺棄罪と傷害罪の法定刑を比較して、上限も下限も重い方となります。
具体的には、3カ月以上15年以下の懲役となります。
~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~
逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして判決が確定すれば、刑罰を受けることになります。
これらの手続に関し弁護士は、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを具体的事実に基づいて主張して釈放を目指したり、子供の父親や行政の支援を受けられなかった不運や本人が反省していることなどを主張して、判決が過度に重くならないよう弁護活動を行います。
~弁護士に相談を~
犯罪をして逮捕された場合、今回どのような罪が成立するのか、今後の刑事手続きはどうなるのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、身体拘束されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などに対してお答えいたします。
殺人未遂罪や保護責任者遺棄(致傷)罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。
殺人を思いとどまる
殺人を思いとどまる
宮城県大河原町に住むAさんは、認知症を抱えた母親を自宅で長年介護しています。
最近は認知症の症状も進み、コミュニケーションも難しく、汚物の処理なども含め、介護の負担は壮絶なものとなっていきました。
あるとき限界に達したAさん。
母親を殺してしまおうと思い、首を絞めてしまいました。
我に返ったAさんは、慌てて救急車を呼ぶなどの措置を取り、母親は一命をとりとめました。
母親の首に絞めたられた形跡が残っており、Aさんも犯行を認めたことから、Aさんは殺人未遂の容疑で大河原警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)
~成立する罪~
Aさんの行為には殺人未遂罪が成立します。
刑法
第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
~刑が軽くなる?~
ある罪を犯した人に対し、どれくらいの期間や金額などの範囲で刑罰を受けさせることができるのかが、刑法などの法律には書かれています。
これを法定刑といいます。
殺人罪の場合は上記199条にあるように、死刑または無期懲役、もしくは5年以上の懲役となります。
しかし、ある事情が存在するときは、一般的に刑罰を軽くすべき、あるいは重くすべきといえる場合があります。
この場合には、法定刑から軽くした、あるいは重くした範囲で刑罰が決められることがあります。
これは処断刑と呼ばれ、裁判官は処断刑の範囲で、被告人の刑罰の重さを決めることになります。
以下、Aさんに関係のある範囲で、具体例を説明いたします。
~未遂に終わったこと~
今回、Aさんの母親は一命をとりとめており、Aさんは殺人罪ではなく殺人未遂罪に問われることになります。
未遂で済むと、法定刑よりも処断刑を軽くすることができます。
刑法第43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
この条文の1文目をみると、刑を軽くすることが出来る旨が書かれています。
未遂に終われば被害が少なくなったり、あるいは未遂に終わるような弱い犯行方法であったから悪質性が低いという場合があることから、処断刑を軽くしうるというものです。
ただし、偶然にも未遂に終わっただけで、結果が生じていてもおかしくなかったという場合もあります。
たとえば殺人罪でいえば、被害者が死亡しなかったのは偶然にすぎず、犯行方法からすると死亡してもおかしくなかったといえるような場合です。
この場合に刑を軽くすべきでないといえる場合もあることから、未遂の場合には必ず処断刑が軽くなるわけではなく、裁判官の判断で軽くすることも出来るにとどまります。
~自ら犯行を止め、救命措置をしたこと~
Aさんは途中で我に返り、救急車を呼ぶなどしています。
この場合、前述の刑法43条ただし書きの「自己の意思により犯罪を中止した」ものとして、処断刑が軽くなる可能性があります。
中止犯、あるいは中止未遂と呼ばれます。
「自己の意思により犯罪を中止した」といえるか否かの判断は難しいですが、簡単に言うと、自発的に犯行を止めたのか人に見つかったなどの外部的理由により止めたのか、死亡などの結果発生を防ぐ努力をしたか否か、といった点を考慮して判断されます。
中止犯となれば、必ず処断刑が軽くなります。
たまたま最悪の結果を免れた場合よりは悪質性が低いですし、刑罰を軽くしておくことによって犯行を思いとどまらせようという狙いもあると言われています。
~酌量減軽~
事件の特殊性から、刑を軽くすべきという場合も、酌量減軽により処断刑が軽くなる可能性があります。
第66条 犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。
介護疲れからの殺人の場合、介護の壮絶さを考慮して、酌量減軽がされる可能性があります。
~どれくらい減刑される?~
未遂や中止犯、酌量減軽が認められると、どれくらい刑が軽くなるのかは刑法68条から72条に記載があります。
第68条
法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
一 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は十年以上の懲役若しくは禁錮とする。
二 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、七年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
三 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。
(以下略)
殺人の場合に即して簡単に説明すると、まずは死刑の可能性がなくなります。
また、本来有期懲役は20年以下なので(12条1項参照)、殺人罪で有期懲役になると5年以上20年以下の懲役となりますが、未遂や中止犯となると半分の2年半以上10年以下となります。
これに酌量減軽が加われば、さらに半分の1年3カ月以上5年以下となります。
なお、執行猶予(25条以下参照)は3年以下の懲役の言渡しを受けた場合にのみ付けることが出来るます。
殺人罪のように法定刑が5年以上の罪の場合には、減刑がなされてはじめて執行猶予にしうるので、この意味でも大きなポイントになります。
~弁護士に相談を~
犯罪をして逮捕された場合、減刑がされるのか、されるとしてもどの程度されるのか、わからない点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、留置されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
接見や法律相談の際には上記疑問点の他、刑事手続の逃れ等も丁寧にご説明いたします。
殺人未遂罪や他の犯罪で逮捕された場合にはぜひご相談ください。
集団で強制性交をして逮捕されたが示談
集団で強制性交をして逮捕されたが示談
仙台市青葉区に住むAさん。
SNSで知り合った女性Vを誘い出し、友人数名でレイプしようと計画しました。
Vと待ち合わせし、車に乗せたAさん。
そのまま人気のない山奥に連れて行き、友人たちと合流。
Vを集団でレイプしました。
後日、Vさんは勇気を出して被害届を仙台中央警察署に提出。
AさんはVに対し偽名を使っていましたが、Vさんが車のナンバーを覚えていたことからAさんらの犯行が発覚。
Aさんらは逮捕されました。
(フィクションです)
~強制性交等罪~
Aさんらの行為には強制性交等罪、あるいはVにケガもさせていれば強制性交等致傷罪が成立します。
刑法第177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
第181条2項
第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。
第12条1項
懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。
有期懲役は最長で20年なので、強制性交等罪は5年以上20年以下の懲役、強制性交等致傷罪は無期懲役または6年以上20年以下の懲役ということになります。
~原則として執行猶予にはならない~
執行猶予は、3年以下の懲役の場合に付される可能性があります。
第25条1項
次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
(以下略)
しかし、上述のように強制性交等罪は最低でも5年以上の懲役、強制性交等致傷罪は最低でも6年以上の懲役となっていますので、刑事裁判になった場合は原則として執行猶予は付かず、実刑判決となります。
~被害者と示談すれば不起訴はありうる~
さきほど、「刑事裁判になった場合には」執行猶予は付かないといいました。
しかし、刑事裁判にならなければ、そもそも懲役を受ける可能性はなく、前科も付きません。
すなわち、犯罪をした人が逮捕された場合、最大で23日間の身体拘束がされ、取調べ等の捜査を受けた後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか否かを判断します。
比較的軽い犯罪であったり、被害者が処罰を望んでいないときには、本人が犯行を認めていれば刑事裁判にかけないという判断をすることもあります(不起訴処分)。
強制性交等罪や強制性交等致傷罪は決して軽い犯罪ではありませんが、刑事裁判となると被害者も法廷で証言したりなど、大きな負担を強いられる可能性があります。
そのような負担をするくらいなら、加害者と示談して損害賠償を受け取り、事件を終結させた方が良いと考える被害者の方もいらっしゃいます。
そこで、すみやかに被害者と示談締結し、その示談書の中に、被害者は加害者の処罰を求めない旨の文言(宥恕条項-ゆうじょじょうこう)を入れていただくことが考えられます。
このような示談書を検察官に提出すると、検察官としても被害者が裁判にしたくないのに無理に裁判にすることは出来ないと考え、不起訴処分とする可能性があります。。
したがって、刑事裁判になれば実刑を免れるのが難しい以上、被害者の方と示談をすることも有力な方法となります。
~示談を弁護士に依頼する~
しかしながら、本人が逮捕されていれば被害者の方と示談交渉できません。
仮に逮捕されていないとしても、性犯罪の被害者の方々は加害者本人と会うことに抵抗があるため、示談交渉が出来ないことも多いです。
ご家族が代わりに示談交渉を行うことも考えられますが、交渉の方法や金額の相場、示談書の文言など、わからない点が多いでしょう。
そこで、弁護士に示談締結などの弁護活動を依頼してみるのが一つの手段といえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
仮に逮捕されていなければ、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、今回どういった罪が成立するのか、今後の刑事手続きの流れなどの説明や、取調べにどう受け答えしたらよいかといったアドバイスをさせていただきます。
その後、正式にご依頼いただければ、示談交渉を含めた刑事弁護活動を行います。
強制性交等罪や強制性交等致傷罪などで逮捕された、捜査を受けたという方は、ぜひ一度ご相談ください。
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