Archive for the ‘刑事事件’ Category

ベランダからごみを捨てて逮捕【廃棄物処理法違反】

2020-04-17

ベランダからごみを捨てて逮捕【廃棄物処理法違反】

マンションのベランダから土鍋などのゴミを捨てた人が逮捕される事件がありました。

“カリスマ美容師”6階から『土鍋投げ捨てた』疑いで逮捕…テレビなども投げたか
Yahoo!ニュース(MBSニュース)

この事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

~廃棄物処理法違反に~

この事件は美容師の男性が、自宅マンションの6階のベランダから土鍋を投げて捨てたとして、廃棄物処理法違反の容疑で逮捕されたというものです。
土鍋の他にもテレビやCDプレーヤーも投げ捨てた疑いが持たれています。

やや珍しい犯行内容で逮捕されたように思いますが、具体的にどういう規定に違反したのでしょうか。
条文を見てみましょう。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律
第16条
何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
第25条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第14号 第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者

16条の「廃棄物」には産業廃棄物のような事業活動によって生じるゴミだけでなく、一般家庭で出るゴミ・粗大ゴミなども含まれます。
これを正しくない方法で捨てると「みだりに廃棄物を捨て」たことになり、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらの両方を科される可能性があるわけです。

時々、空き地や高架の下などゴミが捨てられそうな場所に、「不法投棄は5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその両方を科されます」といった看板が立てられていることがあるのですが、この規定に従って作られたものと言えます。

罰金の金額は、せいぜい50万円や100万円が上限となっている犯罪が多い中、1000万円という高額になっています。
主に業者が不法投棄をして利益を得ることを防ぐために、高額に設定されています。

したがって今回の事件のように一般人がごみを捨てた事例で巨額の罰金となる可能性は低いでしょう。
ただ、逮捕されて懲役刑や罰金刑を受ける可能性がある以上、大きなリスクがある行為と言えます。

~重過失致死傷罪なども~

今回の事件では6階からごみを捨てています。
幸いケガ人は出ていないとのことですが、万が一ごみを捨てた時に人に当たって怪我をさせた場合には過失致傷罪重過失致傷罪に、死亡させた場合には過失致死罪重過失致死罪に問われる可能性があります。

刑法第209条1項(過失致傷)
過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
第210条(過失致死)
過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。
第211条(重過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

死傷者が出て、これらの犯罪も成立してしまった場合には、廃棄物処理法違反だけの場合よりも判決が重くなることが予想されます。

特に、重大な過失がある方が、すなわち不注意の程度が重い方が重く処罰されます。
不注意の程度の重さは、死傷者が出ることが予想できたかといった点から判断することになります。
たとえば人が立ち入る可能性があるような場所に投げた場合には、不注意の程度が重いと判断される可能性が上がるでしょう。

~犯罪に問われたら弁護士にご相談を~

犯罪になると思っていなかった行為で逮捕や取調べをされてしまい、どうしたらよいかわからないという場合があるかもしれません。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

宮城県大崎市の保護責任者遺棄致死事件

2020-04-15

宮城県大崎市の保護責任者遺棄致死事件

【参考ニュース】
体調不良の父親を放置し死亡 息子を逮捕
KHB東日本放送

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~保護責任者遺棄致死罪とは~

この事件は、62歳の男性が、同居する87歳の父親が体調不良だったことを知りながら外出し、翌日まで放置し死亡させた疑いが持たれているというものです。
容疑者の男性は、「面倒になって救急車を呼ばなかった」と述べ、容疑を認めているとのことです。

今回問題となっている保護責任者遺棄致死罪とはどんな犯罪でしょうか。
まずは関係する条文を見てみましょう。

刑法217条(遺棄)
老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の懲役に処する。
第218条(保護責任者遺棄等)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
第219条(遺棄等致死傷)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

まず、今回の容疑者の行為は217条の遺棄罪に該当するように思えます。
体調不良の87歳の男性は、「老年…又は疾病のために扶助を必要とする者」に当たり、容疑者はこの男性の扶助をしなかったからです。

しかし217条は、たとえば偶然家を訪ねるなどして体調不良の人を発見したアカの他人が、そのまま体調不良者を放置した場合などを想定した条文です。
今回の容疑者と87歳の男性は同居する親子ですから、息子である容疑者はむしろ218条の「老年者…又は病者を保護する責任のある者」に該当するでしょう。

アカの他人が遺棄するよりも、特別な関係にある者が遺棄した場合の方が悪質性が強いといった理由により、より重い刑罰が定められている218条の保護責任者遺棄罪が優先的に成立することになるのです。

しかも今回は息子が父親を遺棄した結果、父親が死亡していますから、219条の保護責任者遺棄致死罪が成立することになります。
罰則は「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」と書かれていますが、具体的には3か月以上15年以下の懲役となります。

余談ですが、218条には「遺棄」「その生存に必要な保護をしなかった」(=不保護)という2つの行為が規定されています。
どちらも必要な保護をしなかった点では同じですが、「遺棄」は場所的に離れてしまったパターン、不保護は場所的に離れずに必要な保護をしなかったパターンが該当します。

今回の事件の容疑者は父親を放置して外出したので、場所的に離れており、「遺棄」に該当します。
親が一緒に住んでいる幼児に食事を与えなかったような場合は不保護に該当するでしょう。

~殺人罪の可能性も~

今回のような事件では、殺人罪に問われる可能性もあります。

第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

理論上、殺人罪と保護責任者遺棄致死罪の区別は、このまま放置すれば死亡してしまうかもしれないとわかっており、それでもいいと思って放置したような場合には殺人罪に、そこまでの思ってなければ保護責任者遺棄致死罪に問われるということになります。

ただ、実際には両者の区別は非常に難しいです。
今回の事件では保護責任者遺棄致死罪の容疑で逮捕されていますが、最終的に殺人罪の容疑に切り替わって裁判を受けるという可能性も否定できません。

~弁護士にご相談を~

今回の事件について、犯行理由などの詳しい事情は分かりませんが、介護が必要な高齢者が増えていくわけですので、今後こういった事件が増えてしまうかもしれません。
あなたやご家族がこういった犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合には、お早めに弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

殺人事件の再審で無罪判決

2020-04-12

殺人事件の再審で無罪判決

殺人罪で服役後に再審で無罪判決が出た事件がありました。

滋賀「呼吸器外し殺人」再審で無罪判決、でっちあげ捜査の怖さ実感
Yahoo!ニュース(ダイヤモンド・オンライン)
冤罪の調査報道の始まりは仰天。「離れたくない」と刑事に抱きついた?|#供述弱者を知る
Yahoo!ニュース(Forbes JAPAN)

この事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

~看護助手が殺人罪で服役~

この事件は2003年、滋賀県の病院に勤務していた看護助手の女性が、患者の人工呼吸器を外して殺害したと疑われたことから始まりました。
看護助手の女性は、裁判で懲役12年の判決を受けて刑務所に服役し、満期出所しました。
その後に再審の裁判が開かれ、2020年3月31日に無罪判決が出されて確定しました。

どうやら実際は患者の不整脈による自然死だったようです。
しかし、女性が人工呼吸器を外したというウソの自白をさせられたことなどから、殺人罪で有罪となり、10年以上に渡り服役する結果となってしまいました。

~なぜ自白したか~

女性はなぜウソの自白をしたのでしょうか。

一般にウソの自白をさせられた冤罪事件では、連日、長時間に渡る厳しい取調べがなされたケースがよくあります。
いくら自分はしていないと主張しても全く取り合ってもらえなかったり、強い口調で責められたり、時には被疑者に寄り添うかのような発言や認めたら有利になる旨を伝えるなど、アメとムチを使い分ける取調べがなされます。

その結果、信じてもらえないことに絶望したり、自白すれば厳しい取調べから逃れられるという精神状態になってしまったり、自分の記憶が間違いで本当はやったんじゃないかとさえ思うケースもあります。

中には、いったんは自白して後で裁判で争うしかないと考えて自白するケースもあります。
実際には、一度自白してしまうと、裁判官もその自白を信用してしまい、覆せずに有罪判決を受けてしまうケースもあります。

やっていないことをやったと言ってしまうのは、外から見ると不利になることが分かるので信じられない事態かもしれません。
しかし、厳しい取調べを受けるという極限状態では、認めてしまった方がよいという判断に至ってしまうことは誰でもありうるのです。

特に今回の事件では、看護助手の女性が軽度の知的障害を持っていたというのもウソの自白の原因となってしまいました。
相手の発言に合わせるような発言をしてしまう可能性が上がる場合があるようです。

筆者は小学生時代、先生から悪いことをしたのではと強い口調で聞かれた時に、本当はやっていないのに、恐怖心から否定することができませんでした。
子供にはよくあることですが、大人の場合にも同じ状態になることがあるのです。

また、今回の事件では、アメとムチの取調べが上手くいってしまい、女性が警察官に恋心を抱いてしまったという原因もあるようです。
さらには、自分が犯行を認めないと、当時一緒に勤務していた同僚の看護師が、患者の異変に気付かなかったなどとして業務上過失致死罪に問われる可能性もあり、仲の良かった同僚看護師をかばうために自白したという事情もあったようです。

このような事情から、虚偽の自白をするに至ってしまったようです。

~厳しい取調べは必要?~

ここで、真犯人を逃さないためには、厳しい取調べもやむを得ないのではと思う方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに真犯人を逃すわけにもいきませんし、警察官検察官が取り調べる相手のほとんどは真犯人ですから、厳しい取調べになってしまうことも全く理解できないわけではありません。

しかし、心の片隅には、「犯人ではないのではないか」という気持ちを持って取調べに臨んでほしいところです。
真犯人であるとの先入観を持っていると、有罪とするのに都合の良い供述をするよう無理に誘導したり、取調べている相手が真犯人ではないことを示証拠を見落としたり、あるいは都合の悪い証拠は隠すといったことが起こりかねないからです。

今回の事件でも、「患者は痰詰まりで死亡した可能性」との医師の所見が記載された捜査報告書を、再審が開始されるまで警察が隠していました。

わざと犯人に仕立て上げるような行為は断じて許されません。

~お困りの方はご相談を~

このように身に覚えのない犯罪を疑われて困っている場合には、無罪判決に向けて弁護活動を致しますので、ぜひ弁護士にご相談ください。
また、本当に犯行をしているケースでも、罪を認めた上で早期釈放軽い判決に向けて活動を致しますので、ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事件を含む刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

自転車でひき逃げ

2020-04-11

自転車でひき逃げ

自転車事故でひき逃げをした場合に成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

【事例】
宮城県仙台市に住むAさん。
自転車で走行中に誤って歩行者をはねてしまい、ケガを負わせてしまいました。
気が動転してしまったAさんは、その場から逃げてしまいました。
事故現場周辺の防犯カメラ映像からAさんが犯人だと割り出され、Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~ひいてケガをさせた点について~

歩道を高速で走っている自転車をみかけることがよくあります。
また、雨の日の傘さし運転をしている人や、ちょっとブレーキを踏んだら雨でスリップして転倒するのではと心配になる運転をしている人もいます。
このような運転をしていると、人身事故を起こして犯罪が成立して処罰される可能性が上がってしまいます。

Aさんのように誤って自転車で人をはねてしまうと、過失傷害罪または重過失傷害罪が成立する可能性があります。

刑法209条1項
過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

209条1項の過失傷害罪は、わざとやったわけではなく、被害者も死亡していないということで、最高でも30万円の罰金となっており、懲役刑になる可能性はありません。

しかし、211条の重過失傷害罪は、わざとではないとはいえ、重大な過失があった場合(重い落ち度がある場合)に成立する犯罪です。
被害者死亡の場合も含めての刑罰ではありますが、条文上は最高で5年の懲役まで科される可能性があるわけです。

どういった場合に重い落ち度があるとして重過失傷害罪となるのかは具体的な状況により、ますが、たとえば、歩行者が多い中スピードを出しすぎていた、ながら運転をしていた、傘さし運転をしていた、無灯火だったなどの事情があればあるほど、重過失傷害罪に問われる可能性が高くなってしまいます。

~逃亡した点について~

自転車で歩行者に衝突し、ケガをさせたにも関わらず、その場から逃げてしまったAさん。
この点には別途、道路交通法に定められた救護義務違反や、警察官への報告義務違反に問われることになるでしょう。

①救護義務違反(道路交通法72条1項前段・117条の5第1号)
 →1年以下の懲役または10万円以下の罰金
②報告義務違反(道路交通法72条1項後段・119条1項10号)
 →3か月以下の懲役または5万円以下の罰金

①の救護義務違反は、自動車の場合には10年以下の懲役または100万円以下の罰金なので、10分の1に軽くなっています。
しかし、逃げなかった場合に比べると、判決が重くなることが予想されます。

~お早めに弁護士にご相談ください~

このように、自転車の場合も事故を起こすと様々な犯罪に問われるおそれがあります。

あなた自身やご家族が、交通事件を含め何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合には、どんな犯罪が成立するのか、いつ釈放される見込みなのか、処分・判決の内容はどうなりそうか、刑事手続きの流れはどうなるのかなど、不安な点が多いと思います。

事件・事故の内容をお聞き取りした上で、それに応じたご説明を致しますので、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

コロナ詐欺相次ぐ

2020-04-10

コロナ詐欺相次ぐ

新型コロナウイルスに関連した詐欺が相次いでいます。

ネット購入したマスク届かず…「コロナ詐欺」福岡で相次ぐ
Yahoo!ニュース(西日本新聞)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~マスクや治療薬開発をネタに~

新型コロナウイルスに絡めた詐欺が相次いでいるようです。
この記事によると、

・インターネットでマスクを注文して代金を支払ったが届かなかった
・実在の大手製薬会社や大手商社社員をかたる男から「新型コロナの治療薬開発のため社債を購入しませんか」という内容の電話や封書が届き、現金300万円の支払いを要求された
・「新型コロナで売り上げが落ちている会社に融資する」との不審な電話があった

といった事例があるようです。

一般の方々にとっては、こういった緊急事態に乗じた犯罪もあるということを認識しておく必要があります。

一方、こういった犯罪に関わってしまった、家族がこのような犯罪で逮捕されたといった方もいらっしゃると思います。
上記3つの事例のうち、代金を支払ったのにマスクが届かなかったケースでは詐欺罪が、残りの2つについてはお金をだまし取られずに済んだことから詐欺未遂罪が成立する可能性があります。

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条
この章の罪の未遂は、罰する。

未遂で終われば懲役の上限は半分の5年になる可能性がありますが、いずれにしろある程度長期間の懲役刑となる可能性があります。
特に詐欺に成功したケースでは、被害金額などにもよりますが、だまし取ったお金を使ってしまい返還できないことも多く、初犯でも執行猶予も付かずに刑務所に入れられる可能性も上がってしまいます。

~刑事事件の手続きの流れ~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。

勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

比較的軽い事件や示談が成立した事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
しかし前述のように詐欺事件では初犯でも実刑判決になるケースもありますので、不起訴処分を得るのは容易ではないでしょう。

~弁護士にご相談ください~

あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、今後の流れがわからずに不安だと思います。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

反則金を納付せず逮捕【スピード違反】

2020-04-09

反則金を納付せず逮捕【スピード違反】

スピード違反をしたのに反則金を納付をせず、逮捕されてしまったという事件がありました。

速度47キロで運転の男逮捕…速度超過の疑い 反則金未納、出頭せず「まさか逮捕されるとは」/県警
Yahoo!ニュース(埼玉新聞)

この事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

~スピード違反も犯罪~

この事件は、時速30キロ制限の道路を17キロオーバーの47キロで走行したとして、警察に検挙されたものです。

「17キロオーバー」や「47キロで走行」という文字をそれぞれ見ると、大きな違反ではない気がする方もいらっしゃるかもしれません。
しかし元々の制限が30キロですから、オーバーした割合で言うとなかなかのスピード違反だったことになります。

スピード違反は道路交通法に違反する犯罪ですから、刑罰を受けて前科が付くのが本来的な形ではあります。

道路交通法
第22条1項
車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
第118条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
1号 第二十二条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者

このように、法律上は6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科される可能性のある犯罪なわけです。

~反則金制度~

しかし、比較的悪質性が低く件数も多い交通違反を、他の犯罪と同じ手続きで処理しようとすると、警察・検察・裁判所がパンクしてしまいます。

そこで、皆さんご存知の反則金という制度が設けられているわけです。

すなわち、軽い交通違反に限り、簡易な手続で反則金を支払えば、これ以上刑罰を受けることなく、前科も付かずに終わるという制度になっているのです。

※ 別途、違反点数は引かれます。
※ 反則金のことを罰金と言う方も多いと思いますが、法律上は別物です。罰金は裁判を経て科される刑罰であり、前科も付きます。

しかし、あくまでも反則金は刑罰の代わりになるものです。
もし納付しなければ原則通り、他の犯罪と同じ手続きがスタートして刑罰が科されることになります。
つまり、逮捕される可能性もありますし、刑事裁判で懲役刑の判決を受けて刑務所に入れられたり、反則金より高い金額の罰金を支払うことになる上、前科も付くことになります。

~支払いや出頭を拒否していた~

今回のニュースの逮捕された男性は12,000円の反則金を支払わず、警察署からの再三の出頭要請にも応じなかった模様。
逮捕後には、「仕事が忙しくて時間がなかった。まさか逮捕されるとは思わなかった」と供述しているそうです。

素直に支払っておけば12,000円の出費のみで済んだのに、逮捕された上、より高額な罰金を支払うことになるでしょう。
前科があるなどの事情があれば懲役刑となる可能性もあります。
また、逮捕されたとなれば、職場を解雇されるといった社会的な影響も出てくる可能性があります。

反則金の支払いには、素直に応じるようにしましょう。

~交通違反も弁護士に相談を~

仮に交通違反はしていないはずで、反則金の納付するのは納得いかないという場合には、あえて反則金を納付しないで裁判で争うという方法などを採ることになります。

その場合でも、逮捕まではされないようにして、自宅から警察署や検察庁に行って取調べを受けたり、裁判所に出向いて裁判を受けるという在宅事件として扱ってもらうようにしなければなりません。
また、取調べや裁判において、違反していないといえる根拠を出来る限り示していくことも重要となってきます。

さらに今回のニュースの男性のように、単純に反則金を納付せずに、すでに通常の刑事手続きに移行してしまったケースでも、取調べや裁判への対応、釈放に向けた手続きなどを採る必要が出てきます。

ご本人やご家族だけでは対応が難しいと思いますので、ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事件を含む刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

殺人しても逮捕されない?

2020-04-08

殺人しても逮捕されない?

殺人罪に問われているのに逮捕されていないという事件がありました。

上野でホームレス女性を殺害容疑 60代の男を書類送検
Yahoo!ニュース(共同通信)

なぜ犯罪をしても逮捕されないケースがあるのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~逮捕の条件は?~

このニュースの事件は、60代の男性が、上野公園で生活していたホームレスの70代女性の頭部に暴行を加えて死亡させ、殺人の容疑で捜査を受けているというものです。

今回の事件で男は逮捕されず、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所いで向いて裁判を受ける在宅事件として捜査が進められています。
殺人罪という重い犯罪であれば逮捕されて捜査を受けるのが普通なので、珍しいパターンと言えます。

そもそも、犯罪をしたことが確実であっても、必ず逮捕されるわけではありません。
適法に逮捕するための条件は刑事訴訟法で、

①犯罪をした可能性が高いこと
②逃亡や証拠隠滅のおそれがあること

とされています(現行犯逮捕の場合は多少異なります)。

今回の事件で警察は、「逃走の恐れが低いなどの理由から身柄の拘束は必要ないと判断した」と説明しています。
つまり、②の条件を満たさない可能性があることから、逮捕せずに捜査を進めているということです。

~逃亡や証拠隠滅のおそれの判断方法は?~

そうなると、逃亡や証拠隠滅のおそれの有無が重要となりますが、これは諸事情を総合的に考慮して判断することになります。

たとえば一般的に、刑罰が重い犯罪ほど、刑罰から逃れるために逃亡や証拠隠滅をするおそれが高いと考えられています。
共犯者がいる事件では、相談して証拠隠滅するおそれがあると考えられる傾向があります。
被害者と家が近い、職場が同じなどの理由により被害者と会う可能性のある場合には、被害者を脅して、被害者の供述という証拠の内容を変えさせてしまう(証拠隠滅してしまう)おそれがあると判断される事情の1つとなります。

一方、犯行内容が単純で、すでに警察が全て把握している事件では、これ以上証拠隠滅しようがないと判断されることもあります。
また、家族がいる場合には、家族を捨ててまで逃亡はしないだろうと判断されることがあります。
高齢で体力がない人には逃亡生活は厳しいので、逃亡のおそれは低いと判断される場合もあります。
他にも、すでに被害者に謝罪・賠償して示談を結んでいれば、逃亡や証拠隠滅のおそれは低いと判断される傾向にあります。

今回のニュースの事件で具体的にどういう理由から逃亡のおそれが低いといった判断をしたのかはわかりませんが、上記のような事情をふまえた上で結論を出したものと考えられます。

~逮捕を防ぐ・釈放を目指す~

逆に言うと、何らかの犯罪をしてしまったとしても、逃亡や証拠隠滅が低いと思わせるような事情をしっかり示すことができれば、逮捕の可能性を下げることができます

また、仮に逮捕されてしまった場合、逮捕の翌日や翌々日頃に、身体拘束を続けた方が良いか(勾留するか)の判断が、検察官や裁判官によってなされます。
逃亡や証拠隠滅のおそれがあることは、勾留の条件にもなっているので、ここで逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断してもらえれば、勾留されずに釈放されることになります。

殺人事件ではなかなか厳しいでしょうが、一般の方が思っている以上に逮捕されなかったり早期に釈放される事件は多いです。

~弁護士にご相談ください~

とはいえ、もしあなた自身やご家族が何らかの犯罪をしてしまった場合、慣れない取調べの場面で、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを適切に示していくことは簡単ではないと思います。
また、被害者との示談も何と言ってお願いすれば良いのか、示談金はいくらにしたらよいのか、示談書の文言はどうしたらよいのかなど、わからないことが多いと思います。

弁護士は逮捕を防いだり早期に釈放されることを目指して、最大限サポート致しますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

窃盗症で刑罰が軽くなる?

2020-04-06

窃盗症で刑罰が軽くなる?

万引きがやめられない窃盗症であることを理由として刑罰が軽くなったという事件がありました。

保釈中の万引き、異例の減刑 窃盗症による心神耗弱認定
Yahoo!ニュース(朝日新聞提供) 

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~窃盗症(クレプトマニア)とは~

覚せい剤や大麻などの薬物やアルコールなどは、依存症になると自分の意志ではやめることが難しくなり、病院での治療などが必要になってくるという話は聞いたことがある方も多いと思います。
これと同じように、窃盗についても依存症のような状態になってしまい、簡単にはやめられなくなってしまうケースがあります。

窃盗症クレプトマニアと呼ばれており、精神疾患の1つとされています。

窃盗症になると、経済的に困っているわけではなくても万引きを繰り返してしまうのです。
悪いことだとはわかっていても、成功した時に感じる達成感などが忘れられず、犯行を繰り返してしまいます。

窃盗症は薬物依存症と同じく、専門的な治療を行っている病院に通ったり、窃盗症で悩んでいる方々が集うグループミーティングに通うなどの対策が必要となってきます。

~刑罰が軽くなった判決~

通常、犯罪を繰り返すと、受ける刑罰は重くなっていきます。
万引きの場合も、最初は不起訴処分罰金刑、次は執行猶予付きの懲役刑、それでも再びしてしまった場合には実刑判決などというように、判決が重くなっていくのが通常です。

しかし今回のニュースの東京地裁判決は、重度の窃盗症による心神耗弱(シンシンコウジャク)状態にあったことを理由に刑を軽くしました。
求刑懲役1年6か月に対し、実刑判決ではあるものの、懲役4カ月という軽い判決を下したのです。

心神耗弱というのは、①物事の善悪を判断し、②その判断に従って行動する能力が弱まっている場合に、刑罰を軽くするというものです(刑法39条2項)。
単に①②の能力が弱まっているのではなく、どちらかが完全に欠いていれば、心神喪失により刑罰は免除されます(刑法39条1項)。

精神疾患などにより犯罪をしないという選択が難しい、あるいはできない場合には、後で責めてもしょうがないから、刑務所には入れずに病院で治療を受けさせた方がいいといった判断がされるということです。
よく重大犯罪のニュースで聞かれる、「裁判で責任能力が争われている」というのは、心神喪失心神耗弱の状態にあったのではないかと争われているということです。

今回の判決は、窃盗症であることのみを理由として減刑されたという珍しい判決でした。

~社会の中で更生させる~

窃盗症の人は、万引きを繰り返すわけですから、今回の判決に対しては、犯罪を繰り返す人ほど刑罰が軽くなってしまうという反対意見もあるでしょう。
しかし、万引きを繰り返しているということは、それだけ適切な治療を受けなければ回復が難しいとも言えます。

もちろん刑務所の中でも治療が受けられないわけではありません。
しかし、依存症の治療には、社会の中に身を置き、犯行をやろうと思えばやれる環境の中で、いかに思いとどまるかという訓練をする必要があるとも言われています。

刑務所に長期間入れたとしても、単にその期間中に万引きできなくなるだけであり、必ずしもベストな治療が受けられるわけではないから、真に更生させるためには、刑罰以外の方法によるべき、という考え方を強く押し出したのが今回の判決ということになります。

このような考え方などに基づき、すでに刑の一部執行猶予という制度も出来ています(刑法27条の2以下)。
これは一度刑務所に入れるものの、その期間を短くして、残りの期間を執行猶予とし、社会の中で更生を目指していくというものです。
薬物犯罪などで利用されています。

今回の判決がこのまま確定するかわかりませんが、今後、心神耗弱や刑の一部執行猶予の判決が増えていくかもしれません。

~弁護士にご相談ください~

窃盗症からの更生および軽い判決を目指すためには、専門的な治療や被害店舗に謝罪・賠償して示談を結ぶといった対応が必要となってきます。

しかし、あなたやご家族が万引きをしてしまった場合、具体的にどのように対応して行けばよいのかわからないと思います。
事件に応じたアドバイス及びサポートをさせていただきますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

妻が夫を刺殺して逮捕

2020-04-05

妻が夫を刺殺して逮捕

妻が夫を刺したとして逮捕された事件がありました。

果物ナイフで刺され夫死亡、妻を殺人未遂容疑で逮捕
Yahoo!ニュース(TBS)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~殺人未遂罪での逮捕~

この事件は、夫婦で営んでいた製本業に関して口論となり、妻が夫の胸を果物ナイフで刺して死亡させたというものです。
取り調べに対し妻は、
「力や言葉では夫に勝てないので、刺すしかないと思った」
と供述しているとのことです。

被害者が死亡しているのに殺人罪ではなく殺人未遂罪で逮捕されているのは、現行犯逮捕した時点で夫が死亡していなかった、あるいは死亡が確認できていなかったからだと思われます。
今後の捜査は殺人の容疑で進められ、裁判でも殺人罪で審理がなされることが予想されます。
このように途中で容疑が変わるのはよくあることです。

~容疑を否認している~

逮捕された妻は、「殺そうとするつもりはありませんでした」と容疑を一部否認しているとのことです。

殺人罪は殺すつもりで犯行をしていないと成立しません。
殺意」や「殺人の故意」がない場合は成立しないという言い方もできます。
もし殺意がなかった場合には、傷害致死罪が成立するにとどまります。

殺人罪死刑、無期懲役、5年以上20年以下の懲役となります。
一方、傷害致死罪であれば3年以上20年以下の懲役となります。
死刑や無期懲役の可能性がなくなりますし、下限も2年短くなっています。

したがって殺意の有無は極めて重要な問題となります。

~殺意の有無の判断方法~

犯人自ら殺意があったと供述していれば、殺意があったと認められる可能性が高いでしょう。
ただ、殺意の有無は犯行時の内心のことですから、後から裁判で客観的に判断することは難しいところがあります。

そこで、外部から判断できる事情を総合的に考慮して、殺意があったかどうかが判断されます。

たとえば、犯行に使われた凶器が殺傷能力の高いもの(大きなナイフやピストルなど)であれば、命への危険性が高い行為をしていたわけですので、殺意が認められやすくなります。
今回の果物ナイフの大きさは報道からはわかりませんが、ある程度殺傷能力があるといえるでしょう。

また、刺した部位が命にかかわりやすい場所であれば、殺すつもりだったのだろうと判断されやすくなります。
今回は夫の胸を刺したとのことですので、殺意を認める根拠となる大きな事情と言えます。

また今回、妻は夫を何回刺したかはわかりませんが、仮に何回も刺していたのであれば、やはり殺すつもりだったのだろうと判断されやすくなります。

今後、殺人罪に問われるのか、はたまた傷害致死罪にとどまるのかは注目かもしれません。

~弁護士にご相談を~

殺人や傷害致死に問われる場合はもちろんですが、もっと軽い犯罪を含めて、あなたやご家族が逮捕されたり取調べを受けたという場合には、どんな犯罪が成立し、どれくらいの刑罰を受けるのかなど、不安な点が多いと思います。

事件の内容をお聴き取りし、今後の見通しをご説明致しますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

中学校教師が児童買春で逮捕

2020-04-04

中学校教師が児童買春で逮捕

中学校の教師が児童買春で逮捕されたという事件がありました。

女子高生とみだらな行為 買春容疑で教諭逮捕 神奈川県警
Yahoo!ニュース(産経新聞提供)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~児童売春防止法違反に~

この事件は、中学校教諭がSNSで知り合った高校1年生に対し、2万円を渡してみだらな行為をしたというものです。

売春や買春は売春防止法で禁止された行為ですが、同法では売春や買春それ自体について罰則が定められていません。
しかし、18歳未満の者を相手にした買春は、児童買春・ポルノ禁止法という別の法律でも禁止されており、罰則も定められています。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第4条
児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

児童の同意があるとはいえ、売春が児童の今後の人生に及ぼす影響を考え、重い刑罰が定められています。

~容疑を一部否認~

逮捕された教師は、「年齢をちゃんと確認したかどうかは覚えていません」と供述し、容疑を一部否認しているとのことです。
これはどういう意味でしょうか、

児童買春の罪は、相手が18歳未満であると知らなかった場合には成立しません
ただし、「18歳未満だと知らなかった」というのは、18歳未満ではないと確信しているような状態を言います。
したがって18歳未満であることをはっきりとわかっていた場合はもちろん、18歳未満かもしれないと半信半疑だった場合にも犯罪が成立することになります。

今回の事件では、仮に年齢確認していれば、女子高生側が偽の身分証明書を持っていたといった事情のない限り、18歳未満であることは完全に認識できたはずです。
したがって年齢確認をしたと言い切ると、18歳未満であることを認識していたということになり、有罪になってしまうから、言葉を濁しているのかもしれません。

もちろん、容疑を一部否認しているといった情報は警察が発表したものですから、最終的に裁判で有罪となるまでは何とも言えないところです。

~補導がきっかけで発覚~

今回の事件は、女子高生が補導されて事情を聞かれ、SNSのやり取りなどから教師の関与が発覚したとのことです。

女子高生がどのような理由で補導されたかはわかりませんが、よくあるのは、売春相手の募集している旨のSNSへの書き込みが警察に見つかったり、他の人との売春行為が警察に発覚して芋づる式に発覚したり、あるいは深夜徘徊など児童買春とは直接の関係はない理由であったりします。

児童買春はどんなルートから発覚するかわからず、非常にリスクが高いと言えます。

~警察に発覚したら~

警察に児童買春が発覚すると、逮捕されるのか任意で事情聴取されるのかは事件にもよります。
いずれの場合であっても処罰を軽くするためには、警察官・検察官・裁判官に対し、なぜ児童買春がいけない行為なのかを認識できていることや、深く反省していることを示す必要があります。
また、相手の児童側に対し謝罪し、示談を締結することが重要です。

しかし、取調べでどのように受け答えしたらよいのか、何と言って示談をお願いしたらよいのか、示談金はいくらにしたらよいのか、示談書の文言はどうしたらよいのかなど、わからないことが多いと思います。

また、性犯罪では被害者が加害者に直接連絡先を教えることは心理的に行いづらく、直接会って交渉することも拒否されるのが通常です。
弁護士が間に入って初めて示談交渉が出来る可能性が出てくるパターンが多いということになります。

弁護士は、取調べへの対応方法や、示談締結に向けた動きなどについてアドバイス致します。
正式に依頼するかどうかはともかく、まずは一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら