宮城県大崎市の保護責任者遺棄致死事件

宮城県大崎市の保護責任者遺棄致死事件

【参考ニュース】
体調不良の父親を放置し死亡 息子を逮捕
KHB東日本放送

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~保護責任者遺棄致死罪とは~

この事件は、62歳の男性が、同居する87歳の父親が体調不良だったことを知りながら外出し、翌日まで放置し死亡させた疑いが持たれているというものです。
容疑者の男性は、「面倒になって救急車を呼ばなかった」と述べ、容疑を認めているとのことです。

今回問題となっている保護責任者遺棄致死罪とはどんな犯罪でしょうか。
まずは関係する条文を見てみましょう。

刑法217条(遺棄)
老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の懲役に処する。
第218条(保護責任者遺棄等)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
第219条(遺棄等致死傷)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

まず、今回の容疑者の行為は217条の遺棄罪に該当するように思えます。
体調不良の87歳の男性は、「老年…又は疾病のために扶助を必要とする者」に当たり、容疑者はこの男性の扶助をしなかったからです。

しかし217条は、たとえば偶然家を訪ねるなどして体調不良の人を発見したアカの他人が、そのまま体調不良者を放置した場合などを想定した条文です。
今回の容疑者と87歳の男性は同居する親子ですから、息子である容疑者はむしろ218条の「老年者…又は病者を保護する責任のある者」に該当するでしょう。

アカの他人が遺棄するよりも、特別な関係にある者が遺棄した場合の方が悪質性が強いといった理由により、より重い刑罰が定められている218条の保護責任者遺棄罪が優先的に成立することになるのです。

しかも今回は息子が父親を遺棄した結果、父親が死亡していますから、219条の保護責任者遺棄致死罪が成立することになります。
罰則は「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」と書かれていますが、具体的には3か月以上15年以下の懲役となります。

余談ですが、218条には「遺棄」「その生存に必要な保護をしなかった」(=不保護)という2つの行為が規定されています。
どちらも必要な保護をしなかった点では同じですが、「遺棄」は場所的に離れてしまったパターン、不保護は場所的に離れずに必要な保護をしなかったパターンが該当します。

今回の事件の容疑者は父親を放置して外出したので、場所的に離れており、「遺棄」に該当します。
親が一緒に住んでいる幼児に食事を与えなかったような場合は不保護に該当するでしょう。

~殺人罪の可能性も~

今回のような事件では、殺人罪に問われる可能性もあります。

第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

理論上、殺人罪と保護責任者遺棄致死罪の区別は、このまま放置すれば死亡してしまうかもしれないとわかっており、それでもいいと思って放置したような場合には殺人罪に、そこまでの思ってなければ保護責任者遺棄致死罪に問われるということになります。

ただ、実際には両者の区別は非常に難しいです。
今回の事件では保護責任者遺棄致死罪の容疑で逮捕されていますが、最終的に殺人罪の容疑に切り替わって裁判を受けるという可能性も否定できません。

~弁護士にご相談を~

今回の事件について、犯行理由などの詳しい事情は分かりませんが、介護が必要な高齢者が増えていくわけですので、今後こういった事件が増えてしまうかもしれません。
あなたやご家族がこういった犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合には、お早めに弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

 

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