ベランダからごみを捨てて逮捕【廃棄物処理法違反】

ベランダからごみを捨てて逮捕【廃棄物処理法違反】

マンションのベランダから土鍋などのゴミを捨てた人が逮捕される事件がありました。

“カリスマ美容師”6階から『土鍋投げ捨てた』疑いで逮捕…テレビなども投げたか
Yahoo!ニュース(MBSニュース)

この事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

~廃棄物処理法違反に~

この事件は美容師の男性が、自宅マンションの6階のベランダから土鍋を投げて捨てたとして、廃棄物処理法違反の容疑で逮捕されたというものです。
土鍋の他にもテレビやCDプレーヤーも投げ捨てた疑いが持たれています。

やや珍しい犯行内容で逮捕されたように思いますが、具体的にどういう規定に違反したのでしょうか。
条文を見てみましょう。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律
第16条
何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
第25条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第14号 第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者

16条の「廃棄物」には産業廃棄物のような事業活動によって生じるゴミだけでなく、一般家庭で出るゴミ・粗大ゴミなども含まれます。
これを正しくない方法で捨てると「みだりに廃棄物を捨て」たことになり、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらの両方を科される可能性があるわけです。

時々、空き地や高架の下などゴミが捨てられそうな場所に、「不法投棄は5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその両方を科されます」といった看板が立てられていることがあるのですが、この規定に従って作られたものと言えます。

罰金の金額は、せいぜい50万円や100万円が上限となっている犯罪が多い中、1000万円という高額になっています。
主に業者が不法投棄をして利益を得ることを防ぐために、高額に設定されています。

したがって今回の事件のように一般人がごみを捨てた事例で巨額の罰金となる可能性は低いでしょう。
ただ、逮捕されて懲役刑や罰金刑を受ける可能性がある以上、大きなリスクがある行為と言えます。

~重過失致死傷罪なども~

今回の事件では6階からごみを捨てています。
幸いケガ人は出ていないとのことですが、万が一ごみを捨てた時に人に当たって怪我をさせた場合には過失致傷罪重過失致傷罪に、死亡させた場合には過失致死罪重過失致死罪に問われる可能性があります。

刑法第209条1項(過失致傷)
過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
第210条(過失致死)
過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。
第211条(重過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

死傷者が出て、これらの犯罪も成立してしまった場合には、廃棄物処理法違反だけの場合よりも判決が重くなることが予想されます。

特に、重大な過失がある方が、すなわち不注意の程度が重い方が重く処罰されます。
不注意の程度の重さは、死傷者が出ることが予想できたかといった点から判断することになります。
たとえば人が立ち入る可能性があるような場所に投げた場合には、不注意の程度が重いと判断される可能性が上がるでしょう。

~犯罪に問われたら弁護士にご相談を~

犯罪になると思っていなかった行為で逮捕や取調べをされてしまい、どうしたらよいかわからないという場合があるかもしれません。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

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