Archive for the ‘財産事件’ Category
アルバイト先の盗難事件 自首すべきか…②
~前回の続き~
「自首」と「出頭」は違う
「出頭」とは、犯罪事実や容疑者がすでに発覚している状態で、犯人自ら警察に出向くことをいい、法律的な手続きが存在するわけではありませんし、自首のような減軽措置が定められているわけでもありません。
ただし、出頭することで反省があるとして情状面で考慮される結果、刑が軽くなる可能性があります。
自首が成立するには
自首が成立するには少なくとも以下の条件が必要とされています。
①捜査機関に発覚前の事件を申告すること
自首が成立するのは
- 犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合
- すでに犯罪事実が発覚していても犯人が割り出されていない場合
です。
②自己の犯罪事実を告げること
捜査機関の自己の処分に委ねることを意味します。
このことから、申告の内容が犯行の一部を殊更に隠すものであったり、自己の責任を否定するものであったりするときは、自首とはいえません。
③自発的に行われること
捜査機関の取調べを受けて自白することは自首にはなりません。
ただし、ある犯罪について取調べをされている際に、捜査機関に発覚していない他の犯罪事実を申告することは自首に当たります。
④捜査機関に対する申告であること
ここでの捜査機関というのは、検察官や司法警察員を意味します。
自主の方法は、口頭でも書面などによる場合でも構いませんし、直ちに捜査機関の支配下に入る状況にある時は、電話による自首も有効であると考えられています。
自首すべきですか
ここまでで解説したように、自首の大きなメリットは、その後の刑事罰が減刑されることです。
逆に、警察が捜査しても犯人を特定できない可能性がある場合は、自首することにって犯行を認めることになるので、減軽されるとはいえ何らかの刑事罰を受ける可能性があることがデメリットではないでしょうか。(ただし不起訴処分となった場合は刑事罰を免れることができる。)
ただ警察が捜査を開始した以上、「いつ警察に犯人であることが発覚するのか・・・」「警察に逮捕されるのでは・・・」等と不安な日々を過ごすことを考えれば自首することによって、そういった不安からは解消されるでしょう。
まずは弁護士に相談
自分の起こした事件で警察が捜査を開始したことから、自首を検討しておられる方は、刑事事件に強い弁護士に事前に相談することをお勧めします。
せっかく警察署に自ら出頭しても、状況によっては自首と認められない場合もあるので注意しなければなりませんし、絶対的に逮捕を免れるとも限りません。
宮城県登米警察署への自首を検討しておられる方は、警察署に出頭する前に刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部」にご相談ください。
アルバイト先の盗難事件 自首すべきか…①
アルバイト先の盗難事件が警察沙汰になった場合…自首すべきかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
Aさんは、登米市の居酒屋でアルバイトをしています。
Aさんは、1カ月ほど前から、他の従業員やアルバイトが更衣室として利用している事務室において、従業員、アルバイトの財布や、売り上げを保管している手提げ金庫から現金を抜き取る窃盗事件を起こしていました。
Aさんは発覚しないように、1回に盗み出すお金は少額を留めていたのですが、ある日、手提げ金庫の現金が盗まれていることに気付いた店長が、警察に通報したことから、宮城県登米警察署が盗難事件として捜査を開始したようです。
Aさんは、警察に自首するべきか悩んでいます。
(フィクションです)
Aさんの行為
刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
人の財布や、お店の手提げ金庫から現金を抜き取るAさんの行為は窃盗罪に該当するでしょう。
警察の捜査
このような事件の場合、犯行現場が従業員やアルバイト等のお店の関係者しか立ち入ることができない場所でしょうから、まず関係者以外の第三者が事務所に侵入している形跡を調べるでしょう。
おそらく事務所の鍵の管理や、店内の監視カメラの映像を捜査して、その結果、第三者の介入はないと判断すれば、その後は、内部犯行に絞って捜査が行われるでしょう。
犯行(被害)日時が特定できれば、その時間帯に事務所に出入りした人が事情聴取の対象となるでしょうが、日時の特定が困難な場合は、従業員やアルバイト全員が警察の捜査対象となり、順番に事情聴取が行われると思われます。
「自首」について
自らの犯罪行為を捜査機関に申告すれば「自首」となることは広く知られていますが、この様な行為の全てが自首として認められるわけではありません。
刑法第42条(自首)
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減刑することができる。
この条文のとおり、自首が成立すると、裁判官の裁量により刑が減刑されることがあります。これを、任意的減刑といいます。
この様な、任意減軽の規定を設けている主な理由は
- 犯人の悔い改めによる非難の減少
- 犯罪の捜査及び犯人の処罰を容易にして訴訟手続きの円滑な運用に寄与
です。
そもそも自首とは、犯罪事実が捜査機関に発覚する前に、捜査機関に対して自発的に自己の犯罪事実を申告して、訴追を求めた者を意味します。
犯罪事実が発覚していても、犯人が発覚していなければ自首は成立しますが、単に所在不明であった場合には自首は成立しません。
~次回に続く~
同僚から現金を恐喝 恐喝罪ってどんな罪?
同僚から現金を恐喝した事件を参考に、恐喝罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
佐沼市に住むAさんの息子(25歳)が恐喝罪で逮捕されました。
Aさんが警察官から聞いた事件の内容は、息子が会社の同僚にお金を貸していたが、全く返してもらえないので、返済を迫り、同僚の家に友人と押しかけて「一週間以内に全額返済しなければこの家に火をつけてやる。会社にもいれなくしてやる。」などと言って脅し、同僚から貸していたお金を恐喝した容疑のようです。
恐喝罪
恐喝罪は刑法249条に規定されている法律で、人から金品を脅し取ることで成立する犯罪です。
第249条(恐喝罪)
1 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
この条文によるとの恐喝罪の成立要件は
- 恐喝
- (相手方の)財物の交付
という要素から成り立っていることが分かります。
ここでいう「恐喝」とは、人に財物を交付させる手段として、人を畏怖させるような行為をすることをいいます。
恐喝罪の恐喝行為は、脅迫、すなわち人を畏怖させるような害悪を告げる行為(害悪の告知)の他、暴行を用いて相手を畏怖させる場合もありますが、暴行を用いた場合は、その程度によって強盗罪となることもあるので注意が必要です。
また恐喝罪でいうところの脅迫は、脅迫罪(刑法222条)の脅迫と異なり、生命・身体・自由・名誉・財産に対する害悪の告知に限りません。
また、脅迫それ自体で相手方を畏怖させるに足りるものでなくても、恐喝者の職業、相手方との関係性、脅迫に至るまでの経緯等に照らし、畏怖させることができる内容であればよいと解されています。
また、脅迫というためには、相手方を畏怖させたこと、すなわち、脅迫と畏怖との間に因果関係が存することも必要です。
恐喝罪の罰則
恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
罰金刑の規定がないのが特徴です。
事実を認めている恐喝事件の弁護活動は、まずは起訴されないように活動することとなり、起訴されてしまった場合は、執行猶予の獲得を目指すようになるでしょう。
不起訴や執行猶予を獲得するには、被害者との示談や、被害弁償が必至となるので、恐喝事件で逮捕された方の弁護活動は、示談交渉に強い弁護士に任せるとよいでしょう。
恐喝事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、恐喝罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
横領罪とは?横領罪の種類や窃盗・背任罪との違い~②~
~昨日からの続き~
横領罪と背任罪の違い
次に、背任罪と横領罪の違いは、委託者と受託者の間にある委託信頼関係を破って委託者に損害を与える行為の際に「どのような方法で損害を与えたか」です。
委託者の財物を勝手に処分(領得)する行為で損害を与えた場合は横領罪、委託された職務に背いた行為で損害を与えた場合は背任罪が成立します。
例えば、友人から借りた本を勝手に売却すれば、委託者の財物を勝手に処分して委託者に損害を与えているため、横領罪が成立します。
一方で、販売担当している勤務先の会社で、会社が決めている値段よりも安い金額で商品を友人に売れば、委託された職務に背いた行為で委託者(会社)に損害を与えているため、背任罪が成立します。
横領罪の種類
横領罪とは広義的な意味であり、具体的には、単純横領罪・業務上横領罪・遺失物等横領罪の3種類に分けられます。
①単純横領罪
単純横領罪は、刑法第252条で「自己の占有する他人の財物を横領した者」に対し、「5年以下の懲役に処する」と規定されています。
前述したような、友人から借りた本を勝手に売却するような行為が、単純横領罪に該当します。
②業務上横領罪
業務上横領罪は、刑法第253条で「業務上自己の占有する他人の財物を横領した者」に対し、「10年以下の懲役に処する」と規定されています。
前述したような、会社の経理担当が会社から預かっているお金を着服するような行為が、業務上横領罪に該当します。
③遺失物等横領罪
遺失物等横領罪は、刑法第254条で「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者」に対し、「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する」と規定されています。
「占有を離れた他人の物」とは、路上に落ちている財布といった落とし物などを指します。
例えば、道路に落ちていた財布を警察に届けずにネコババしようとする行為が、遺失物等横領罪に該当します。
今回の刑事事件では、Aさんは経理担当として勤務していた会社の預貯金口座から約57万円を着服しているので、横領罪の中でも業務上横領罪が成立するということになります。
横領罪の刑事弁護活動
今回の刑事事件では、Aさんは被害者である会社と示談を締結できたこともあり、結果として不起訴処分が下されて裁判にかけられないことになりました。
ただ、Aさんと会社が示談締結できたことは、Aさんが事前に刑事事件専門の弁護士に依頼して、弁護士が会社に対して示談交渉をしていたことが大きく影響しています。
当事者間では、加害者に対する怒りなどを理由に被害者は示談に応じてくれないことがほとんどです。
弁護士が介入することで示談交渉を円滑に進めることができるので、横領罪で示談交渉をする際は弁護士に依頼することをお勧めします。
宮城県の刑事事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、横領罪による刑事事件で被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得したり事件化を阻止した実績がある経験豊富な弁護士が在籍しています。
横領罪による刑事事件でお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が提供している初回無料の法律相談をご検討ください。
横領罪とは?横領罪の種類や窃盗・背任罪との違い~①~
業務上横領罪の疑いで任意の取り調べを受けたが、示談の締結によって不起訴処分になった事案をもとに、横領罪とはどのような罪か、横領罪の種類や窃盗・背任罪との違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
仙台市青葉区の男性Aさんはが、経理担当として勤務していた会社から現金を着服したとして、業務上横領罪の疑いで宮城県仙台中央警察署から任意の取り調べを受けました。
Aさんは、勤務先の会社の預貯金口座から約57万円を引き出し、着服した疑いです。
警察の取り調べに対し、Aさんは容疑を認めています。
横領罪とは
横領罪とは、自己の占有する他人の物を横領することで成立する犯罪です。
横領罪を規定している法律は、刑法第252条から第254条です。
●刑法第252条:自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
●刑法第253条:業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
●刑法第254条:遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
横領罪が成立するための要件として規定されている「自己の占有する他人の物」とは、自分が預かっているだけで本来は他人が所有している財物を指します。
例えば、友人から貸してもらっている本や、経理担当が会社から預かっているお金などが該当します。
また、横領罪は、財物を預かる人(受託者)と財物を預ける人(委託者)の間にある委託信頼関係に基づくことが必要です。
さらに、「横領」とは、「預かった財物を不法に自分の物にしよう」といった「不法領得の意思」による行為であることが必要になります。
横領罪と窃盗の違い
刑法第235条に規定されている窃盗罪や、刑法第247条に規定されている背任罪は、横領罪と似ている点があり混在しがちなので、ここで違いを解説します。
まず、窃盗罪と横領罪の違いは、他人の財物を領得する行為の際に「他人の占有を侵害するかしないか」です。
「他人の占有を侵害する」場合は窃盗罪、「他人の占有を侵害しない」場合は横領罪が成立します。
もう少しわかりやすく説明すると、領得しようとしている財物を「他人が持っている」か「自分が預かっている」かということです。
例えば、他人が持っているバッグなどを奪えば、他人が持っている(他人が占有している)財物を領得しているため、窃盗罪が成立します。
一方で、会社の経理担当が会社から預かっているお金などの財物を着服すれば、自分が預かっている(自分が占有している)財物を領得しているため、横領罪が成立します。
~明日に続く~
交通事故を偽装 保険金詐欺で逮捕
交通事故を偽装し、保険会社から保険金を騙し取ったとして、保険金詐欺事件で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県刈田郡に住んでいる会社員のAさんは、自分の所有する車にかけている車両保険を保険会社から騙し取ることを計画し、ある日、自分の車を運転して、運転操作を過ったかのように装い、車を土手から転落させました。
そして加入している保険会社に、車両保険を請求し、保険金として200万円を受け取ったのです。
保険金を騙し取ることに成功したAさんが、しばらくして、また同様の手口で保険金を騙し取ろうとしたことから、保険会社の調査が入り、偽装事故だったことが発覚してしまいました。
そしてAさんは保険金詐欺の疑いで警察に逮捕されました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)
保険金詐欺事件
上記の参考事件でAさんは保険金詐欺の容疑で逮捕されています。
保険金詐欺は、事故や災害にあったと虚偽の報告を保険会社に伝えることで、保険金を騙し取る手口を使った詐欺事件の通称で、刑法では詐欺罪にあたる犯罪です。
刑法246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
「人を欺いて」とは、財物を処分させる手段として、財物の処分権限を持つ者に対して財物の交付や財産上の利益を求める際に、判断の基準となる重要な事項に関して、思い違いや勘違い(錯誤)を生じさせる行為のことで、これを欺罔行為と言います。
詐欺罪の成立には、まず犯人による欺く行為(欺罔行為)が行われ、それによって被害者に錯誤が惹起され、その結果として被害者が財産的処分行為を行い、それが原因で行為者または第三者において財物の占有または財産上の利益を取得する、という一連の要件が因果的につながって存在する必要があります。
参考事件ではAさんが自分の手で自動車を傷付けているにも関わらず、事故によって自動車が破損したと保険会社に虚偽の報告をし、それによって保険会社は保険料として保険金を支払い、その保険金をAさんが受け取っているため、詐欺罪が成立します。
詐欺罪の法定刑には罰金刑が存在しないため、起訴されて有罪判決となれば、執行猶予を得ることができなければ、刑務所に服役しなければなりません。
そういった事態を回避するためには、早期に弁護士を選任し、少しでも早いタイミングで、減軽に向けた弁護活動を始めるべきでしょう。
詐欺事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、詐欺事件をはじめとする多種多様な刑事弁護活動の経験豊富な弁護士による速やかな対応が可能です。
弊所では逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスや、初回無料で実施している法律相談などをご利用いただけます。
お申し込み、お問い合わせはフリーダイヤル「0120-631-881」で24時間対応しております。
詐欺事件などの刑事事件でお困りの方は、是非、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にお問い合わせください。
盗品等処分あっせん容疑で逮捕 盗品等に関する罪について解説
盗品等処分あっせん容疑で逮捕された事件を参考に、盗品等に関する罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します
関東都心や、関西地区などで連続発生している強盗(致死傷)事件が世間を騒がせていますが、先日、一連の強盗事件で奪った金塊を盗品と知りながら買取店で処分したとして、盗品等処分あっせんの容疑で男が逮捕されました。
今回逮捕された男は、強盗事件の犯人から依頼を受けて、強盗事件の被害品である金塊を、買取店で処分した疑いがもたれています。
盗品等の罪
盗品等の罪は、強盗や窃盗などの財産犯罪が先行して存在することを前提として、その被害品に対する関与行為を処罰するための法律で、刑法第256条に規定されています。
刑法第256条
第1項
盗品その他の財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
第2項
前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
盗品等の罪の主体となるのは、先行して起こった財産犯事件の犯人以外の者です。
自分で起こした財産犯事件によって得た盗品等を処分する行為については、不可罰的事後行為となり、新たに盗品等の罪が成立しません。
盗品等の罪の客体となるのは「盗品等」です。
ここでいう盗品等とは、窃盗事件や強盗事件などの財産犯事件の被害品のことです。
ちなみに構成要件に該当する違法な行為によって領得された盗品等であれば、盗品等の罪の客体となり、必ずしも財産犯事件を起こした犯人が有責であることまでは必要とされていません。
盗品等有償処分あっせん罪
今回の逮捕容疑である「盗品等処分あっせん罪」は、前記した刑法第256条の第2項に当たります。
同じ条文で、盗品等の処分あっせんの他、盗品等の運搬や保管、有償での譲り受けが規定されており、1項で規定されている盗品等無償譲受罪よりも厳しい罰則が規定されています。
ここで規定されている法定刑は「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」となっており、有罪となった場合には、絶対的に懲役刑と罰金刑の両方が科せられる刑法の中でも非常に珍しい法定刑となっています。
宮城県内の刑事事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、宮城県内で刑事事件を起こしてしまった方からの 無料法律相談 や、宮城県内の警察署に逮捕されている方への 初回接見 を、年中無休で承っております。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約については
フリーダイヤル 0120-631-881
までお気軽にお電話ください。
財布をネコババ 遺失物等横領罪と窃盗罪
財布をネコババした事件を参考に、窃盗罪と遺失物等横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。
参考事件
宮城県多賀城市に住んでいる会社員のAさんは、同市内にあるスーパーに買い物に訪れていました。
買い物を終えたAさんが商品を袋に詰めていると、そこに財布が忘れられているのを見つけました。
Aさんは、その財布をカバンに隠してそのまま持ち帰ったのですが、財布の持ち主が警察に被害届を提出したらしく、それからしばらくしてAさんは、宮城県塩釜警察署に呼び出されて取調べを受けました。
Aさんは、自分の行為が「遺失物横領罪」と「窃盗罪」のどちらに抵触するのか分からず不安です。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)
遺失物横領罪
遺失物等横領罪は、占有離脱物横領罪等と共に刑法第254条に規定されています。
刑法254条では「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と、遺失物等横領罪等が定められています。
占有とは、財物に対する事実上の支配ないし管理のことであり、その財物を支配、管理している人は占有者と呼ばれます
遺失物とは、占有者の意思によらないでその占有が離れ、誰の占有にも属さなくなったもののことであり、いわゆる「落とし物」を意味します。
漂流物とは、その中でも特に水中、または水面に存在する物のことをいいます。
その他占有を離れた他人の物は、例えば手違いで届けられた他人の郵便物や、風で飛ばされた洗濯物等がこれに該当します。
窃盗罪
参考事件のような状況では、場合により窃盗罪に該当する可能性も考えられます。
窃盗罪については刑法235条に、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
窃取とは、他人が占有する財物の占有を、占有者の意思に反して侵害し、自己または第三者の占有に移すことです。
ネコババは窃盗罪?それとも遺失物横領罪?
ケース1~遺失物横領罪~
Aさんのネコババした財布が、すでに持ち主の占有を離れていると考えれば、その財布は遺失物横領罪でいうところの、占有者の意思によらないでその占有が離れた物、つまり遺失物(落とし物)となり、その遺失物(落とし物)を持ち去るAさんの行為は、遺失物横領罪に抵触するでしょう。
ケース2~窃盗罪~
Aさんのネコババした財布が、まだ持ち主の占有を離れていない場合、つまりまだ財布の持ち主が近くにいたり、その場に置き忘れて間もない場合は、財布の占有は持ち主にあると考えられるので、Aさんの行為は、他人の占有する財物を窃取することとなり、窃盗罪に抵触するでしょう。
ケース3~窃盗罪~
Aさんはスーパーの店内にある遺失物(落とし物)の財布をネコババしています。
その場合、遺失物(落とし物)の財布の占有が、財布の持ち主から、その場所を管理するスーパーに移っていると考えられる場合があります。
このように店側の排他的支配性が認められれば、Aさんの行為は、スーパーの占有物を窃取したとして、窃盗罪が成立することになるでしょう。
刑事事件を専門とする弁護士事務所
遺失物等横領罪と窃盗罪のどちらが成立するかは専門的な知識がなければ見極めが難しいため、早期の解決を図るためにも弁護士に相談することが最善です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は刑事事件を専門に扱う弁護士事務所です。
法律相談を初回無料で実施しており、ご予約はフリーダイヤル0120-631-881となっております。
遺失物横領罪や窃盗罪などの刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部まで、お気軽にご相談ください。
ホテルの朝食ビュッフェを無銭飲食 建造物侵入罪と窃盗罪で逮捕
ホテルの朝食ビュッフェを無銭飲食したとして、建造物侵入罪と窃盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
無職のAさんは、宮城県大崎市にあるホテルで実施している朝食ビュッフェの会場に紛れ込み、朝食ビュッフェを無銭飲食しました。
そのホテルでは宿泊客に、朝食ビュッフェを無料提供しており、宿泊客以外はお金を支払っても朝食ビュッフェを利用することはできません。
またビュッフェ会場には、接客担当の従業員は常駐しておらず、客はカウンターに陳列された食事を自由に取って、自分のテーブルで食事をするセルフサービスのシステムです。
そういったシステムを悪用して、Aさんはこれまでも何度か、ホテルの朝食会場に紛れ込んで、朝食ビュッフェを食べていたのですが、ある日、朝食ビュッフェ会場で食事していたところ、ホテルの従業員に声をかけられて、無銭飲食が発覚してしまったのです。
そしてホテルの従業員の通報で駆け付けた、宮城県古川警察署の警察官によって、建造物侵入罪と窃盗罪で逮捕されてしまいました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)
建造物侵入罪
刑法130条には、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し~(中略)~3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」と、建造物侵入罪等が規定されています。
そして同じ刑法第130条の後段には、不退去罪が規定されています。
刑法第130条(前段)に規定されている住居侵入罪、邸宅侵入罪、建造物侵入罪、艦船侵入罪は、人の住居、邸宅、建造物、艦船に、それらの住民や看守者の許可なく不法に侵入することによって成立する犯罪です。
ここでいう「建造物」とは、住居・邸宅以外の建物を指し、建造物のある塀や堀で囲まれた敷地(これを「囲繞地」と呼ぶ)も含まれます。
また「看守」とは建造物などを事実上管理、支配するための人的な、もしくは物的な設備を施すことを意味します。
窃盗罪
そして刑法235条に規定されているのが窃盗罪です。
窃盗罪は「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
ここでいう「窃取」とは、他人が占有する財物の占有を、占有者の意思に反して侵害し、自己または第三者の占有下に移すことを意味します。
「占有」とは財物に対する事実上の支配、管理のことを指しています。
朝食ビュッフェを無銭飲食すると(牽連犯について)
飲食店での無銭飲食は詐欺罪が適用されるのが通常ですが、今回の事件は建造物侵入罪と窃盗罪が適用されています。
おそらく詐欺罪の成立に必要不可欠とされる「欺罔行為(人を騙す行為)」が認められなかったのでしょう。
今回の事件ように、複数の犯罪が手段と目的の関係にある場合を、「牽連犯」と言います。
牽連犯は、その複数の罪のうち、最も重い法定刑によって処断が決定されます。
Aさんの場合、無銭飲食(窃盗罪)するのが目的で、ホテルのビュッフェ会場に不法侵入(建造物侵入罪)しています。
建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」となっていますが、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」なので、参考事件のAさんにはより重い窃盗罪の法定刑が適用されます。
まずは弁護士に相談を
警察に逮捕されたからといって、必ず刑事罰が科せられるわけではありません。
今後、Aさんがどういった刑事罰を受けるかは、これからどういった弁護活動をするかによって大きく変わってきます。
ですから、こういった刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、初回無料の法律相談や、逮捕された方のもとへ弁護士を派遣する 初回接見サービス のお申込みを、24時間体制で受け付けております。
まずは
フリーダイヤル 0120-631-881
までお気軽にお電話ください。
空き巣で逮捕 窃盗罪と住居侵入罪の関係(牽連犯)について
空き巣で逮捕された事件を参考に、窃盗罪と住居侵入罪の関係(牽連犯)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県塩釜市に住む無職のAさんは、近所の民家の住民が、毎週末になると家を留守にすることを知り、ある週末の夜に、留守になったこの民家に忍び込み、室内を物色し、現金や貴金属類を盗み出しました。
そして犯行後Aさんは、盗んだ貴金属類を塩釜市内の買取店で売却するなどして現金化したのです。
その後は、普通の日常生活を送っていたのですが、事件を起こして半年近く経過したころに、Aさんは、宮城県塩釜警察署に逮捕されてしまいました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)
空き巣
事件例のAさんは、いわゆる空き巣事件を起こしているので、窃盗罪と住居侵入罪の疑いで逮捕されたと思われます。
窃盗罪については刑法235条に、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
窃取とは、他人が占有(財物に対する事実上の支配)する財物の占有を、占有者の意思に反して侵害し、自己または第三者の占有に移すことです。
住居侵入罪については刑法130条の前段に、「正当な理由がないのに、人の住居に侵入した者は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」と定められています。
「侵入」とは、居住者及び管理者の意思に反して、人の住居等に立ち入ることです。
牽連犯
空き巣のように、他人の住居や建造物、邸宅等に不法侵入して、室内から金品を盗み出すと「侵入窃盗罪」となり、上記したように2つの罪を犯したことになります。
このように2個以上の犯罪を犯し、その複数の犯罪が、手段と目的の関係にある場合を、「牽連犯」と言います。
「手段と目的の関係にある」とは、侵入窃盗罪のように、犯罪の性質からして当然に手段と目的の関係にあると認められることを意味するのであって、目的を達成するための手段としてたまたま別の犯罪を行った場合は牽連犯とはなりません。
牽連犯は、刑を科する上では一罪として扱われ、その数個の罪のうち、最も重い法定刑によって処断されます。
空き巣事件の場合、住居侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」となっていますが、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」なので、事例のAさんにはが重い窃盗罪の法定刑が適用されます。
空き巣事件の弁護活動に強い弁護士
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