Archive for the ‘財産事件’ Category

横領罪とは?横領罪の種類や窃盗・背任罪との違い~①~

2023-02-21

業務上横領罪の疑いで任意の取り調べを受けたが、示談の締結によって不起訴処分になった事案をもとに、横領罪とはどのような罪か、横領罪の種類や窃盗・背任罪との違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

仙台市青葉区の男性Aさんはが、経理担当として勤務していた会社から現金を着服したとして、業務上横領罪の疑いで宮城県仙台中央警察署から任意の取り調べを受けました。
Aさんは、勤務先の会社の預貯金口座から約57万円を引き出し、着服した疑いです。
警察の取り調べに対し、Aさんは容疑を認めています。

横領罪とは

横領罪とは、自己の占有する他人の物を横領することで成立する犯罪です。
横領罪を規定している法律は、刑法第252条から第254条です。

●刑法第252条:自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
●刑法第253条:業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
●刑法第254条:遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

横領罪が成立するための要件として規定されている「自己の占有する他人の物」とは、自分が預かっているだけで本来は他人が所有している財物を指します。
例えば、友人から貸してもらっている本や、経理担当が会社から預かっているお金などが該当します。
また、横領罪は、財物を預かる人(受託者)と財物を預ける人(委託者)の間にある委託信頼関係に基づくことが必要です。
さらに、「横領」とは、「預かった財物を不法に自分の物にしよう」といった「不法領得の意思」による行為であることが必要になります。

横領罪と窃盗の違い

刑法第235条に規定されている窃盗罪や、刑法第247条に規定されている背任罪は、横領罪と似ている点があり混在しがちなので、ここで違いを解説します。

まず、窃盗罪と横領罪の違いは、他人の財物を領得する行為の際に「他人の占有を侵害するかしないか」です。
「他人の占有を侵害する」場合は窃盗罪、「他人の占有を侵害しない」場合は横領罪が成立します。
もう少しわかりやすく説明すると、領得しようとしている財物を「他人が持っている」か「自分が預かっている」かということです。

例えば、他人が持っているバッグなどを奪えば、他人が持っている(他人が占有している)財物を領得しているため、窃盗罪が成立します。
一方で、会社の経理担当が会社から預かっているお金などの財物を着服すれば、自分が預かっている(自分が占有している)財物を領得しているため、横領罪が成立します。

~明日に続く~

交通事故を偽装 保険金詐欺で逮捕

2023-02-06

交通事故を偽装し、保険会社から保険金を騙し取ったとして、保険金詐欺事件で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県刈田郡に住んでいる会社員のAさんは、自分の所有する車にかけている車両保険を保険会社から騙し取ることを計画し、ある日、自分の車を運転して、運転操作を過ったかのように装い、車を土手から転落させました。
そして加入している保険会社に、車両保険を請求し、保険金として200万円を受け取ったのです。
保険金を騙し取ることに成功したAさんが、しばらくして、また同様の手口で保険金を騙し取ろうとしたことから、保険会社の調査が入り、偽装事故だったことが発覚してしまいました。
そしてAさんは保険金詐欺の疑いで警察に逮捕されました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

保険金詐欺事件

上記の参考事件でAさんは保険金詐欺の容疑で逮捕されています。
保険金詐欺は、事故や災害にあったと虚偽の報告を保険会社に伝えることで、保険金を騙し取る手口を使った詐欺事件の通称で、刑法では詐欺罪にあたる犯罪です。

刑法246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

「人を欺いて」とは、財物を処分させる手段として、財物の処分権限を持つ者に対して財物の交付や財産上の利益を求める際に、判断の基準となる重要な事項に関して、思い違いや勘違い(錯誤)を生じさせる行為のことで、これを欺罔行為と言います。
詐欺罪の成立には、まず犯人による欺く行為(欺罔行為)が行われ、それによって被害者に錯誤が惹起され、その結果として被害者が財産的処分行為を行い、それが原因で行為者または第三者において財物の占有または財産上の利益を取得する、という一連の要件が因果的につながって存在する必要があります。

参考事件ではAさんが自分の手で自動車を傷付けているにも関わらず、事故によって自動車が破損したと保険会社に虚偽の報告をし、それによって保険会社は保険料として保険金を支払い、その保険金をAさんが受け取っているため、詐欺罪が成立します。

詐欺罪の法定刑には罰金刑が存在しないため、起訴されて有罪判決となれば、執行猶予を得ることができなければ、刑務所に服役しなければなりません。
そういった事態を回避するためには、早期に弁護士を選任し、少しでも早いタイミングで、減軽に向けた弁護活動を始めるべきでしょう。

詐欺事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、詐欺事件をはじめとする多種多様な刑事弁護活動の経験豊富な弁護士による速やかな対応が可能です。
弊所では逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスや、初回無料で実施している法律相談などをご利用いただけます。
お申し込み、お問い合わせはフリーダイヤル「0120-631-881」で24時間対応しております。
詐欺事件などの刑事事件でお困りの方は、是非、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にお問い合わせください。

盗品等処分あっせん容疑で逮捕 盗品等に関する罪について解説

2023-01-31

盗品等処分あっせん容疑で逮捕された事件を参考に、盗品等に関する罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します

参考事件(1月26日配信のkhb5記事を引用)

関東都心や、関西地区などで連続発生している強盗(致死傷)事件が世間を騒がせていますが、先日、一連の強盗事件で奪った金塊盗品と知りながら買取店で処分したとして、盗品等処分あっせんの容疑で男が逮捕されました。
今回逮捕された男は、強盗事件の犯人から依頼を受けて、強盗事件被害品である金塊を、買取店で処分した疑いがもたれています。

盗品等の罪

盗品等の罪は、強盗や窃盗などの財産犯罪が先行して存在することを前提として、その被害品に対する関与行為を処罰するための法律で、刑法第256条に規定されています。

刑法第256条
第1項
盗品その他の財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
第2項
前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

盗品等の罪の主体となるのは、先行して起こった財産犯事件の犯人以外の者です。
自分で起こした財産犯事件によって得た盗品等を処分する行為については、不可罰的事後行為となり、新たに盗品等の罪が成立しません。
盗品等の罪の客体となるのは「盗品等」です。
ここでいう盗品等とは、窃盗事件や強盗事件などの財産犯事件の被害品のことです。
ちなみに構成要件に該当する違法な行為によって領得された盗品等であれば、盗品等の罪の客体となり、必ずしも財産犯事件を起こした犯人が有責であることまでは必要とされていません。

盗品等有償処分あっせん罪

今回の逮捕容疑である「盗品等処分あっせん罪」は、前記した刑法第256条の第2項に当たります。
同じ条文で、盗品等の処分あっせんの他、盗品等の運搬保管有償での譲り受けが規定されており、1項で規定されている盗品等無償譲受罪よりも厳しい罰則が規定されています。
ここで規定されている法定刑は「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」となっており、有罪となった場合には、絶対的に懲役刑と罰金刑の両方が科せられる刑法の中でも非常に珍しい法定刑となっています。

宮城県内の刑事事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、宮城県内で刑事事件を起こしてしまった方からの 無料法律相談 や、宮城県内の警察署に逮捕されている方への 初回接見 を、年中無休で承っております。
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財布をネコババ 遺失物等横領罪と窃盗罪

2022-12-27

財布をネコババした事件を参考に、窃盗罪遺失物等横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

参考事件

宮城県多賀城市に住んでいる会社員のAさんは、同市内にあるスーパーに買い物に訪れていました。
買い物を終えたAさんが商品を袋に詰めていると、そこに財布が忘れられているのを見つけました。
Aさんは、その財布をカバンに隠してそのまま持ち帰ったのですが、財布の持ち主が警察に被害届を提出したらしく、それからしばらくしてAさんは、宮城県塩釜警察署に呼び出されて取調べを受けました。
Aさんは、自分の行為が「遺失物横領罪」「窃盗罪」のどちらに抵触するのか分からず不安です。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

遺失物横領罪

遺失物等横領罪は、占有離脱物横領罪等と共に刑法第254条に規定されています。

刑法254条では「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と、遺失物等横領罪等が定められています。

占有とは、財物に対する事実上の支配ないし管理のことであり、その財物を支配、管理している人は占有者と呼ばれます

遺失物とは、占有者の意思によらないでその占有が離れ誰の占有にも属さなくなったもののことであり、いわゆる「落とし物」を意味します。
漂流物とは、その中でも特に水中、または水面に存在する物のことをいいます。
その他占有を離れた他人の物は、例えば手違いで届けられた他人の郵便物や、風で飛ばされた洗濯物等がこれに該当します。

窃盗罪

参考事件のような状況では、場合により窃盗罪に該当する可能性も考えられます。
窃盗罪については刑法235条に、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。

窃取とは、他人が占有する財物の占有を、占有者の意思に反して侵害し、自己または第三者の占有に移すことです。

ネコババは窃盗罪?それとも遺失物横領罪?

ケース1~遺失物横領罪~

Aさんのネコババした財布が、すでに持ち主の占有を離れていると考えれば、その財布は遺失物横領罪でいうところの、占有者の意思によらないでその占有が離れた物、つまり遺失物(落とし物)となり、その遺失物(落とし物)を持ち去るAさんの行為は、遺失物横領罪に抵触するでしょう。

ケース2~窃盗罪~

Aさんのネコババした財布が、まだ持ち主の占有を離れていない場合、つまりまだ財布の持ち主が近くにいたり、その場に置き忘れて間もない場合は、財布の占有は持ち主にあると考えられるので、Aさんの行為は、他人の占有する財物を窃取することとなり、窃盗罪に抵触するでしょう。

ケース3~窃盗罪~

Aさんはスーパーの店内にある遺失物(落とし物)の財布をネコババしています。
その場合、遺失物(落とし物)の財布の占有が、財布の持ち主から、その場所を管理するスーパーに移っていると考えられる場合があります。
このように店側の排他的支配性が認められれば、Aさんの行為は、スーパーの占有物を窃取したとして、窃盗罪が成立することになるでしょう。

刑事事件を専門とする弁護士事務所

遺失物等横領罪窃盗罪のどちらが成立するかは専門的な知識がなければ見極めが難しいため、早期の解決を図るためにも弁護士に相談することが最善です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は刑事事件を専門に扱う弁護士事務所です。
法律相談を初回無料で実施しており、ご予約はフリーダイヤル0120-631-881となっております。
遺失物横領罪窃盗罪などの刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部まで、お気軽にご相談ください。

ホテルの朝食ビュッフェを無銭飲食 建造物侵入罪と窃盗罪で逮捕

2022-12-08

ホテルの朝食ビュッフェを無銭飲食したとして、建造物侵入罪と窃盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

無職のAさんは、宮城県大崎市にあるホテルで実施している朝食ビュッフェの会場に紛れ込み、朝食ビュッフェを無銭飲食しました。
そのホテルでは宿泊客に、朝食ビュッフェを無料提供しており、宿泊客以外はお金を支払っても朝食ビュッフェを利用することはできません。
またビュッフェ会場には、接客担当の従業員は常駐しておらず、客はカウンターに陳列された食事を自由に取って、自分のテーブルで食事をするセルフサービスのシステムです。
そういったシステムを悪用して、Aさんはこれまでも何度か、ホテルの朝食会場に紛れ込んで、朝食ビュッフェを食べていたのですが、ある日、朝食ビュッフェ会場で食事していたところ、ホテルの従業員に声をかけられて、無銭飲食が発覚してしまったのです。
そしてホテルの従業員の通報で駆け付けた、宮城県古川警察署の警察官によって、建造物侵入罪窃盗罪で逮捕されてしまいました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

建造物侵入罪

刑法130条には、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し~(中略)~3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」と、建造物侵入罪等が規定されています。
そして同じ刑法第130条の後段には、不退去罪が規定されています。

刑法第130条(前段)に規定されている住居侵入罪、邸宅侵入罪、建造物侵入罪、艦船侵入罪は、人の住居、邸宅、建造物、艦船に、それらの住民や看守者の許可なく不法に侵入することによって成立する犯罪です。
ここでいう「建造物」とは、住居・邸宅以外の建物を指し、建造物のある塀や堀で囲まれた敷地(これを「囲繞地」と呼ぶ)も含まれます。
また「看守」とは建造物などを事実上管理、支配するための人的な、もしくは物的な設備を施すことを意味します。

窃盗罪

そして刑法235条に規定されているのが窃盗罪です。
窃盗罪「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
ここでいう「窃取」とは、他人が占有する財物の占有を、占有者の意思に反して侵害し、自己または第三者の占有下に移すことを意味します。
「占有」とは財物に対する事実上の支配、管理のことを指しています。

朝食ビュッフェを無銭飲食すると(牽連犯について)

飲食店での無銭飲食詐欺罪が適用されるのが通常ですが、今回の事件は建造物侵入罪窃盗罪が適用されています。
おそらく詐欺罪の成立に必要不可欠とされる「欺罔行為(人を騙す行為)」が認められなかったのでしょう。
今回の事件ように、複数の犯罪が手段と目的の関係にある場合を、「牽連犯」と言います。
牽連犯は、その複数の罪のうち、最も重い法定刑によって処断が決定されます。
Aさんの場合、無銭飲食(窃盗罪)するのが目的で、ホテルのビュッフェ会場に不法侵入(建造物侵入罪)しています。
建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」となっていますが、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」なので、参考事件のAさんにはより重い窃盗罪の法定刑が適用されます。

まずは弁護士に相談を

警察に逮捕されたからといって、必ず刑事罰が科せられるわけではありません。
今後、Aさんがどういった刑事罰を受けるかは、これからどういった弁護活動をするかによって大きく変わってきます。
ですから、こういった刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、初回無料の法律相談や、逮捕された方のもとへ弁護士を派遣する 初回接見サービス のお申込みを、24時間体制で受け付けております。
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空き巣で逮捕 窃盗罪と住居侵入罪の関係(牽連犯)について

2022-11-14

空き巣で逮捕された事件を参考に、窃盗罪と住居侵入罪の関係(牽連犯)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県塩釜市に住む無職のAさんは、近所の民家の住民が、毎週末になると家を留守にすることを知り、ある週末の夜に、留守になったこの民家に忍び込み、室内を物色し、現金や貴金属類を盗み出しました。
そして犯行後Aさんは、盗んだ貴金属類を塩釜市内の買取店で売却するなどして現金化したのです。
その後は、普通の日常生活を送っていたのですが、事件を起こして半年近く経過したころに、Aさんは、宮城県塩釜警察署逮捕されてしまいました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

空き巣

事件例のAさんは、いわゆる空き巣事件を起こしているので、窃盗罪住居侵入罪の疑いで逮捕されたと思われます。

窃盗罪については刑法235条に、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
窃取とは、他人が占有(財物に対する事実上の支配)する財物の占有を、占有者の意思に反して侵害し、自己または第三者の占有に移すことです。

住居侵入罪については刑法130条の前段に、「正当な理由がないのに、人の住居に侵入した者は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」と定められています。
「侵入」とは、居住者及び管理者の意思に反して、人の住居等に立ち入ることです。

牽連犯

空き巣のように、他人の住居や建造物、邸宅等に不法侵入して、室内から金品を盗み出すと「侵入窃盗罪」となり、上記したように2つの罪を犯したことになります。
このように2個以上の犯罪を犯し、その複数の犯罪が、手段と目的の関係にある場合を、「牽連犯」と言います。
「手段と目的の関係にある」とは、侵入窃盗罪のように、犯罪の性質からして当然に手段と目的の関係にあると認められることを意味するのであって、目的を達成するための手段としてたまたま別の犯罪を行った場合は牽連犯とはなりません。
牽連犯は、刑を科する上では一罪として扱われ、その数個の罪のうち、最も重い法定刑によって処断されます。

空き巣事件の場合、住居侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」となっていますが、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」なので、事例のAさんにはが重い窃盗罪の法定刑が適用されます。

空き巣事件の弁護活動に強い弁護士

空き巣事件をはじめ、刑事事件でお困りの方は、刑事事件を専門としている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。
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万引きで逮捕 窃盗事件の弁護活動を解説

2022-10-18

万引きで逮捕された事件を参考に、窃盗事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県の南三陸町に住んでいる会社員のAさんは、近所にあるスーパーにおいて、弁当等の食料品(2000円相当)を万引きしました。
Aさんは、買い物かごに入れた弁当等の食料品を、持っていたエコバックに入れ替えて、そのままレジを通すことなく店の外へ出たところで、店員に声をかけられてしまって発覚したようです。
店員が警察に通報したことで、Aさんは宮城県南三陸警察署から駆け付けた警察官に窃盗の疑いで逮捕されました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

窃盗罪

万引きは窃盗罪です。
窃盗罪は刑法第235条に、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められている犯罪です。

窃盗罪でいうところの「窃取」とは、他人が占有する財物の占有を、占有者の意思に反して侵害し、自己または第三者の占有下に移すことを言います。
また「占有」とは財物に対する事実上の支配、管理のことを指しています。

窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
窃盗罪で起訴されて有罪が確定すればこの法定刑内で刑事罰が科せられることになるのですが、Aさんの起こしたような2000円相当の商品を万引きした窃盗事件の場合、初犯であれば罰金刑となる可能性が高いでしょうが、お店に対して被害弁償している場合は、不起訴の可能性も十分にあるでしょう。

窃盗事件の弁護活動

窃盗事件で逮捕された方の弁護活動は大きく以下の2種類に分けることができます。

①早期釈放を求める活動

万引き事件で警察に逮捕されると、逮捕から48時間以内に検察庁に送致され、その後裁判官が許可すると、10日~20日間勾留されることになります。
当然、証拠逃亡のおそれがなくなれば、勾留が決定することなく釈放されることもありますが、早期釈放の可能性を少しでも高めるには、弁護士の活動が不可欠となるでしょう。

②減軽を求めるための活動

窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑の刑事罰が科せられることになりますが、少しでも軽い刑事罰を希望するのであれば被害者(お店)に対する謝罪や、賠償、そして示談が必要不可欠となります。
被害者に謝罪賠償が受け入れられて、示談締結できれば不起訴となって前科が付かない事もあるので、少しでも早く弁護士を選任することをお勧めします。

万引き(窃盗事件)に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件を専門的に取り扱っている弁護士事務所です。
万引きなどの窃盗罪でお困りの方、家族が逮捕されてお困りの方は、弊所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスの他、法律相談を初回無料で受け付けております。

飲み会トラブルから恐喝事件の発生

2022-09-03

恐喝事件が起きた場合の刑事事件の手続と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

宮城県石巻市に住んでいる大学生のAさんは、友人と飲み会をしている際に友人の1人であるVさんと口論になり、VさんはAさんを殴ってしまいました。
後日、AさんはVさんに対して「被害届を出されたくなかったら慰謝料を払え」と脅し、AさんはVさんから現金10万円を受け取りました
Vさんは友人に相談し、その後警察に被害届を出したため、Vさんは河北警察署恐喝罪の容疑で逮捕されました。

(報道された事件の一部事実を改変した事例です)

【恐喝罪の成立要件と強盗罪との差異】

上記の刑事事件例で、Aさんは恐喝罪の疑いで逮捕されています。
恐喝罪については、刑法249条1項、2項で定められています。

(恐喝)
刑法 第249条

1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

恐喝とは相手方に対して暴行又は脅迫を手段として相手を畏怖させ、畏怖した心理状態で財物を交付させることを言います。

このうち脅迫とは、相手方を畏怖させるような害悪の告知することを指します。

恐喝における暴行又は脅迫は、被害者の反抗を抑圧する程度にいたらない、抵抗できないほどではないものを指します。
この暴行又は脅迫相手方の反抗を抑圧するに足りうる程度の強度のものになると、強盗罪(刑法236条)が適用されることになります。

(強盗)
刑法 第236条

1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

事件例でAさんは、被害届を提出する、すなわち場合によってはVさんが逮捕されたり刑事処罰を受けることを仄めかして脅迫を行っています。
なおAさんはVさんに暴力を振るわれているため、本来であれば暴行罪で被害届を出すことは可能です。
しかし告知した害悪の内容がそれ自体違法でなくても財物を交付させる不当な手段として用いる時は恐喝行為となります。

【恐喝事件の刑事弁護】

上記のように恐喝罪の法定刑には罰金刑の定めはありません
そのため起訴されてしまうと必ず刑事裁判を受けることになり、実刑判決が下されれば、執行猶予が付かない限り、刑務所に服役することになってしまいます。

そのような事態を避けるためには被害者との示談交渉が必要になってきます。
金銭的な被害がある場合は、被害額の弁償などを内容として、検察官が処分を決定する前に示談を速やかに締結することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝罪をはじめとして、様々な刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。

弊所では弁護士が被疑者のもとに直接赴く初回接見サービスを実施しております。

初回接見サービスの申し込みは24時間体制で受け付けておりますので、ご家族が逮捕されてしいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご連絡ください。

背任罪における刑事弁護

2022-08-31

背任事件が起きた場合の刑事事件の手続と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

宮城県本吉郡在住で信用組合の理事をしているAさんは、友人が経営する会社に対し、十分な担保を取らないまま、貸付限度額を超えた高額の融資を行いました。
その後、融資先の会社は経営状況が悪化してしまい、十分な担保が設定されていないこともあり、融資額の回収は困難になってしまいました。
不適切な融資が発覚して組合から被害届が出されたことで、Aさんは南三陸警察署に連行され、背任罪の容疑で逮捕されてしまいました。

(実際に報道された事例を基にしています)

【背任罪の法定刑と成立要件】

上記の刑事事件例で、Aさんは背任罪の容疑で逮捕されています。
背任罪については、刑法247条にて定められています。

刑法 第247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

他人のためにその事務を処理する者とは、一定の信任関係に基づき、他人の事務をその他人のために処理する者を指します。

背任罪の成立には、自己若しくは第三者の利益を図る目的または、本人に損害を加える目的(図利加害目的)も必要です。
もっぱら本人の利益を図る目的であった場合は、財産上の損害が生じても背任罪は成立しません。
本人の利益を図る目的と図利加害目的が併存する場合は、図利加害目的が主たる目的と判断された場合に、背任罪が成立します。

任務に背く行為について、判例は、代理権濫用の法律行為に限定されず、事実行為も含めて信任関係を害する行為を含むと解釈しています。

事件例のAさんは、信用組合の理事という他人のためにその事務を処理する者にあたります。
友人が経営する会社に対し、条件を満たさない融資を行っているため、もっぱら第三者の利益を図る目的も認められます。
適切な担保の設定や貸付限度額の遵守といった、組合の利益を図るために理事として求められる手続を踏んでいないため、任務に背く行為が認められ、融資額の回収困難という財産上の損害をもたらしています。

【背任罪と関連する犯罪】

取締役や執行役など、特に権限のある者が背任に及んだ場合、より法定刑が重い特別背任罪が適用されます。
特別背任罪は刑法ではなく、会社法の960条1項に規定があります。

(取締役等の特別背任罪)
会社法 960条1項
次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

次に掲げる者には取締役執行役支配人などが列挙されています。

なお、横領罪(刑法252条)も信任関係に背く財産犯であることなど、背任罪との共通点がありますが、財産上の利益に対しては背任罪しか成立しない、といった相違点もあります。

成立しうる犯罪が横領罪なのか背任罪なのかといった区分を正確に行うのは困難であるため、犯罪となってしまう疑いがある場合は、速やかに弁護士に相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門的に扱う法律事務所であり、背任事件をはじめとする刑事事件の経験が豊富な弁護士が対応いたします。

背任事件などの刑事事件でお困りの方、及び家族が逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部に、是非ご連絡ください。

キャッシュカードの不正利用【電子計算機使用詐欺罪】

2022-08-28

電子計算機使用詐欺事件を起こしてしまった場合の刑事事件の手続と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

【刑事事件例】

宮城県大崎市に住んでいる会社員のAさんは、自宅の周辺に落ちていた財布を拾いました。
財布にはキャッシュカードとそのパスワードのメモが入っていたため、Aさんは銀行のATMを使い、自身の口座に送金を行いました
後日、財布の持ち主であるVさんが口座の残高が減っていることに気付き、古川警察署に被害届を出しました。
古川警察署の捜査によって身元が割れたAさんは、電子計算機使用詐欺罪の疑いで逮捕されました。

(この刑事事件例はフィクションです。)

【電子計算機使用詐欺罪の成立】

刑事事件例のAさんは電子計算機使用詐欺罪の疑いで逮捕されています。
※刑事事件例の場合、Aさんは遺失物等横領罪(刑法254条)も適用されますが、ここでは割愛しています。

電子計算機使用詐欺罪刑法246条の2で定められています。

第246条の2(電子計算機使用詐欺)
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

前条とは刑法246条の詐欺罪を指しています。

第246条(詐欺)
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪を欺く場合に適用されるので人以外には適用されません
そのため計算や演算などを電気信号を用いて電子回路、記憶素子などで処理する機械である、コンピューターなどの電子機器を使った詐欺には電子計算機使用詐欺罪が適用されます。

電磁的記録とは記録の作出や変更が直接に財産権の得喪や変更を生じさせるようなものを指し、虚偽の情報とは真実に反する情報のことです。

刑事事件例のAさんは、拾った財布の中に入っていたキャッシュカードを警察に届け出ずにATMに使用し、自身をVさんと偽って送金を行っているので、Aさんは電子計算機使用詐欺罪が成立します。

【電子計算機使用詐欺罪の弁護活動】

電子計算機使用詐欺罪の法定刑は、懲役刑のみが定められています。
そのため、初犯であったとしても検察官に起訴されてしまうと、必ず刑事裁判を受けることになり、実刑判決が下されれば刑務所に服役することになります。
そういった事態を避けるためには不起訴処分を獲得する、起訴されてしまったとしても執行猶予を勝ち取って実刑を回避する必要があります。

上記の刑事事件例のような被害者がいる事件では、被害額の弁償をはじめとする示談交渉を進めることが重要です。
示談を速やかに締結するためには、刑事事件に精通した経験豊富な弁護士に依頼することが必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を専門的に扱う法律事務所です。

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