Archive for the ‘薬物事件’ Category

少年の大麻所持で保護観察

2019-03-29

少年の大麻所持で保護観察

宮城県色麻町内のあるコンビニエンスストアの店長は、店内に客が忘れていった財布を宮城県加美警察署に届け出ました。
警察官が財布内を調べたところ、乾燥大麻0.4グラム入りの袋を発見しました。
財布内の学生証から、町内に住む18歳専門学校生のAさんが財布の持ち主だとわかったため、宮城県加美警察署は、Aさんを大麻取締法違反(大麻所持)容疑で逮捕しました。
Aさんの母は、宮城県内で少年事件刑事事件を専門に取り扱う法律事務所へ問い合わせの電話をかけました。
(フィクションです。)

~大麻所持事件~

大麻取締法は、許可を受けた者以外の大麻の栽培・輸出入・所持・譲り受け・譲り渡しを禁止しています。
大麻の個人使用目的での所持の場合の法定刑は、5年以下の懲役です。
営利目的での大麻所持の場合には、7年以下の懲役、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金と重くなります。

~薬物事件で保護観察処分になるために~

少年事件では、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されることになります。
家庭裁判所に送致された後、調査官による調査が行われます。
調査官は、少年や保護者との面接や心理テスト等を通して、少年の非行の原因やどのようにして更生すべきかを判断し、少年に対してどのような措置をとるべきか家庭裁判所に意見を提出します。
家庭裁判所の少年審判では、裁判官は、調査官による調査結果等を参照し、少年の更生のためにはどのような手段が最適であるのかということを判断することになります。

少年審判の対象は「非行事実」と「要保護性」であるとされています。
「非行事実」は、刑事裁判でいう「公訴事実」に該当するもので、家裁送致にあたり検察官が送致書に記載した非行事実を犯したか否かが判断されます。
一方、「要保護性」とは、①少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること(再非行の危険性)、②保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険性を除去できる可能性(矯正可能性)、③保護処分による保護が最も有効でかつ適切な処遇であること(保護相当性)、の3つの要素によって構成されていると考えられています。
少年の「要保護性」が解消されて、少年を家庭に置いたままでの更生が見込めると裁判官に納得させることが出来れば、少年院送致を回避して保護観察処分となる可能性を高めることができます。

少年による大麻所持事件で非行事実に争いがない場合、「要保護性」の解消に向けた弁護士の活動としては、以下の活動が考えられます。

(1)少年が薬物について正しい知識を持ち、薬物の危険性をしっかりと理解する 

薬物に手を出してしまう少年の多くは、薬物に対して誤った認識を持っていることが多いです。
再非行防止のためには、薬物に対する正しい知識を持ち、危険性をしっかりと理解することが重要です。

(2)薬物の入手ルートを明らかにし、関係者と連絡がとれないようにする

薬物を完全に断つためには、薬物の入手先と連絡を取れないようにすることが不可欠です。
少年が友人から薬物を入手していた場合には、非行の原因となった交友関係を断つことも必要となります。

(3)専門家や家族のサポートを得て薬物への依存から立ち直らせる環境を整える

必要であれば、専門医・機関による治療を受けることも有効です。

付添人である弁護士は、上記のような再非行防止のための活動を行い、再び少年が非行を犯す可能性がなく、社会内での更生が可能であることを客観的な証拠に基づいて主張します。

事件内容や少年の性格・少年を取り巻く環境によって、どのような活動を行うかは異なりますので、少年の大麻所持事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
物事件の場合、少年が逮捕・勾留される可能性が高く、観護措置がとられる可能性も高いと言えます。
少年が身体拘束を受けている場合は、初回接見サービスをご利用ください。
(宮城県加美警察署への初回接見費用:フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。)

大麻所持の保釈対応

2019-03-22

大麻所持で迅速な保釈対応

宮城県蔵王町に住む大学生のAさんは,友人からの勧めで大麻を使用するようになりました。
Aさんは夏季休暇中に繁華街で飲み歩いていた際,警察官から職務質問を受けて,所持品検査によりセカンドバッグから乾燥大麻が見つかって、宮城県白石警察署の警察官に現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は,何とか早くAさんを釈放できないかと,刑事事件薬物事件を多数扱う弁護士事務所に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)。

~身体拘束が長期化しやすい薬物事件~

大麻の所持は大麻取締法違反によって規制されており,刑事罰の対象となっています。
設例のAさんのように,警察官から職務質問を受けて,鞄や車の中から大麻が見つかって逮捕されてしまうことも少なくありません。
逮捕されてしまった場合,翌日か翌々日には検察庁に事件が送致されます。
事件の送致を受けた検察官は,犯罪の嫌疑がかかっている人(被疑者と呼ばれます)を釈放して在宅の捜査に切り替えるか,留置所での拘束を継続して捜査を進めていくかを決めます。
検察官が身体拘束の継続を選ぶことを勾留請求と呼びます。
勾留とは,逮捕に引き続き留置所で身体拘束を行うことを指します。
検察官が勾留請求を行うと,今度は裁判所が勾留を行うか否かを判断します。
事件によっては,検察官が勾留請求を行わない場合や,裁判所が検察官の勾留請求を却下することもあり得ますが,大麻の所持を含む薬物事件では,勾留が決定される可能性が非常に高いという特徴があります。
なぜなら,薬物事件の場合,薬物を手に入れるにあたって,売人や知人といった第三者の介在が必然的になるため,勾留決定の要件の一つである「罪証(証拠)を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」が肯定されやすいためです。
ひとたび勾留が決定してしまうと,一律10日間,留置所における身体拘束の効果が生じます。
また,勾留は再度延長が可能なため,延長がされると最大で20日間,身体拘束の効果が継続します。
大麻の所持を含む薬物事件では,勾留は延長されて,最低でも20日間は身体拘束が行われることが多いといえます。

~保釈に向けた弁護活動の重要性~

大麻所持を含む薬物事件では,所持していた薬物が極めて微量であるとか,故意に所持したことが疑わしい場合を除き,初犯であっても起訴されるケースが大半です。
検察官によって起訴されると,裁判所で刑事裁判を受けることになります。
ここで重要なのは,勾留されたまま起訴がされた場合,裁判の期間中も留置所(起訴後は拘置所に移送されることもあります)での身体拘束が継続するという点です。
裁判期間中に釈放されるには,弁護士を通じた保釈請求を行い,裁判所による保釈許可決定を得る必要があります。
保釈の請求は検察官による起訴後にのみ行えます。
もっとも,保釈は単に請求するだけで認められるものではありません。
「罪証(証拠)を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」といった事情があれば保釈は認められません。
より早く,より確実に保釈が許可されるようにするには,弁護士が起訴前から保釈請求を見越した,充実した弁護活動を展開させる必要があります。
事実関係に争いのない薬物事件であったとしても,逮捕直後から刑事事件薬物事件の経験豊富な弁護士のサポートを受けることで,保釈が許可される可能性を高めていくことが重要です。
設例のAさんのように,休暇期間中に逮捕されてしまったような場合は,大学の講義が始まる前に保釈許可を得る必要性が高いため,逮捕の直後から刑事事件に精通した弁護士に弁護活動を依頼できるかが鍵となります。
大麻所持で家族が逮捕されてしまい,早期の保釈の途を模索されている方は,刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回接見サービスをご利用ください。
刑事事件を専門に扱う弁護士保釈の見通しを始めとして,詳細な接見報告を行います。
(宮城県白石警察署への初回接見費用:41,120円)

多量の覚せい剤所持で営利目的所持に?

2019-03-15

多量の覚せい剤所持で営利目的所持に?

宮城県大崎市在住のAさんは、ある朝やってきた宮城県鳴子警察署の警察官に家宅捜索令状を示された上で家宅捜索を受けました。
家宅捜索の結果、Aさんの自宅から約5gの覚せい剤が発見されたため、Aさんは覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕されました。
警察官の取調べを受けるうちに、Aさんは、Aさんが営利目的で覚せい剤を所持していたのではないかと疑われていることを知りました。
Aさんの両親の依頼で初回接見に来た弁護士に、なぜ自分が覚せい剤の営利目的を疑われているのか尋ねました。
(フィクションです。)

~覚せい剤の営利目的所持~

覚せい剤については,覚せい剤取締法で、所持,使用,譲渡,輸出入,製造などが禁止されています。
覚せい剤や大麻などの違法薬物を規制する法律では、違反に対する罰則のなかに、営利目的加重処罰規定とよばれるものがあります。
これは、営利の目的で罪を犯した者に対しては、その目的のなかった者より重い刑が科されるというものです。
営利目的によって刑が加重されるのは、財産上の利得を目当てとして犯罪を行うことが道義的に厳しく非難に値するというだけでなく、一般にその行為が反復され、覚せい剤の濫用を助長・増進させ国民の保健衛生上の危害を増大させる危険性が高いからであると言われています。
「営利の目的」とは、「犯人が自ら財産上の利益を得、又は第三者に得させることを動機・目的とする場合」とされています(覚せい剤取締法違反事件につき、最高裁決定 昭和57 年6 月28 日 )。

刑の加重については、例えば、覚せい剤の単純所持(=営利目的ではない自己使用目的等の所持)では、罰則は、10年以下の懲役です。
しかし、営利目的の所持となると、罰則は「1年以上の有期懲役、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金」と刑がかなり重くなっています。

~Aさんはなぜ営利目的を疑われているのか~

今回のAさんは、覚せい剤を所持していた容疑で逮捕され、警察から営利目的の所持を疑われています。
なぜ、Aさんが営利目的の所持を疑われているかというと、多量の覚せい剤を所持していた場合は、自己使用目的ではなく営利目的だと疑われやすいためだと考えられます。

一般的に、覚せい剤の使用量は1回0.01~0.03gとされています。
覚せい剤の依存が大きく進んだ人でも1回0.1g程度を使用すると言われています。
つまり、1gの覚せい剤で多くて100回近くの使用が可能と考えられるのです。
それほどの多数回使用できる覚せい剤を所持していたとなれば、単純に自分で使用する分だけではないだろうと推測されてしまうおそれがあるのです。

今回のAさんは、自宅から約5gの覚せい剤が発見されました。
約5gというのは、最大500回近く使用できてしまう非常に多い量と言えます。
そのため、警察官からAさんが売買のため、つまり営利目的で所持していたのではないかと疑われていると考えられます。

もちろん、警察等の捜査機関は、押収した覚せい剤の量だけで営利目的か考えるわけではありません。
覚せい剤は2~3回分の量を、「パケ」と呼ばれるチャック付きのポリ袋に入れて密売されるケースが多いため、小分けするためのパケを大量に所持していたり、小分けする量を計る電子計り等を所持していた場合も、営利目的の所持が疑われます。
捜査機関は、他にも、販売を裏付けるメモやメールのやり取り(密売履歴)や、実際に購入した者が捕まったりしているなどの証拠によって営利目的の所持であると立証します。

営利目的所持による覚せい剤取締法違反での起訴率は80%以上と極めて高く、起訴された場合には初犯であっても執行猶予が付かない実刑となる可能性が高いといえます。
営利目的かどうかは,実刑か執行猶予かを分ける大きな事情となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、薬物事件を含む刑事事件に詳しい弁護士が個々の事案に応じて様々な事情を考慮して弁護活動を行います。
ご家族、ご友人が覚せい剤の営利目的所持で警察に逮捕されてしまった方は、できるだけ早く弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスは、0120-631-881(通話料無料)にお電話ください

覚せい剤使用事件の任意採尿

2019-03-09

覚せい剤使用事件の任意採尿

7年前に覚せい剤を使用した前科がある自営業Aさんは、宮城県岩沼市内を歩いているときに警察官から職務質問されて、宮城県岩沼警察署で任意採尿した後、帰宅を許されました。
任意採尿の5日前に覚せい剤を使用していたAさんは、覚せい剤の陽性反応が出る可能性あるか、逮捕されるまでどれくらいの期間があるのか相談するため、刑事事件に強い弁護士に無料法律相談に訪れました。
(フィクションです)

~覚せい剤と覚せい剤取締法~

覚せい剤取締法は、覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するために、覚せい剤及びその原料の輸出入や所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取り締まりを行うことを目的としています(第1条)

覚せい剤取締法2条1項では、覚せい剤について以下の通り定義しています。

【覚せい剤取締法】
2条1項
この法律で「覚せい剤」とは、左に掲げる物をいう。
一  フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類
二  前号に掲げる物と同種の覚せい作用を有する物であって政令で指定するもの
三  前二号に掲げる物のいずれかを含有する物

覚せい剤取締法における禁止行為ごとの罰則は以下のとおりです。
   ① 輸入・輸出・製造          1年以上の有期懲役
   ② 営利目的での輸入・輸出・製造   無期又は3年以上の懲役、情状により1000万円以下の罰金が併科
   ③ 所持・譲渡し・譲受け       10年以下の懲役
   ④ 営利目的での所持・譲渡し・譲受け  1年以上の有期懲役
   ⑤ 使用               10年以下の懲役
   ⑥ 原料の輸入・輸出・製造      10年以下の懲役
   ⑦ 原料の所持・譲渡し・譲受け・使用  7年以下の懲役

覚せい剤は、主に白色の粉末や無色透明の結晶の状態で流通しており、無臭でやや苦みがあります。
代表的な使用方法は、注射器を用いて、水に溶かした覚せい剤を直接静脈に打ち込む「突き」と呼ばれる方法ですが、覚せい剤の結晶を熱して煙を吸引する「炙り」と呼ばれる方法や、覚せい剤を溶かした液体を飲む方法などもあります。

血管注射による覚せい剤の摂取の場合には、覚せい剤は、血液に含まれて血液の流れに従って体内を循環します。
体内を循環している間、一部はそのままの形で、一部は肝臓で代謝物を生成し、これが再度血液中に入って腎臓に運ばれて、尿中に排泄されます。
排泄しきれなかった覚せい剤は、再度血液中に入って同様に体内を循環することを繰り返しながら尿中に排泄されていきます。

覚せい剤を使用したことを立証する方法には、尿、血液、汗の鑑定などの方法があります。
そのうち、尿鑑定は、人体に摂取された覚せい剤の成分が必ず尿中に排泄されること、鑑定資料としての必要量を確保することが比較的容易であることから、警察の捜査では一般的に尿の鑑定が利用されています。

任意採尿の場合、警察官が採尿した直後に尿を簡易鑑定して、陽性反応が出れば緊急逮捕されることもあります。
しかし、任意採尿に応じた事で、緊急性がないと判断された場合は、Aさんのように任意採尿後に帰宅を許されて、後日、逮捕されることになります。
採尿した尿は、科学捜査研究所において本鑑定されることになり、鑑定書が作成されます。
覚せい剤を使用してから成分が尿から検出される期間、つまり覚せい剤の体内残留期間については、大体1~2週間と言われていますが、期間は人によります。

覚せい剤の使用に心当たりのある方が任意採尿され帰宅を許された場合、逮捕まで何日かかるか気にされるかと思います。
任意採尿から逮捕までの期間は一定ではなく、任意採尿から3日後に逮捕されるケースや半年以上経過して逮捕されるケースなど様々です。
いずれにせよ、任意採尿から逮捕まで数日はかかります。

なお、覚せい剤所持の容疑で逮捕された場合も,覚せい剤を使っているのではないかという疑いを持たれて、ほぼ採尿して尿鑑定が実施されます。
もし尿から覚せい剤の成分が検出された場合は,覚せい剤使用事実で再逮捕され,追起訴されることになる可能性が高いでしょう。

覚せい剤を使用後に警察に任意採尿されて、いつ逮捕されるか不安のある方は、薬物事件刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見のお申し込みは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
初回法律相談:無料

覚せい剤所持再犯の執行猶予

2019-03-03

覚せい剤所持再犯の執行猶予

会社員Aさんは、自分で使用する目的で仙台市内の密売人から覚せい剤を購入しました。
その帰り道に、職務質問されたAさんは、所持品検査の結果、隠し持っていた覚せい剤が見つかってしまいました。
その場で警察官が、覚せい剤の簡易鑑定した後、Aは、覚せい剤所持で現行犯逮捕されてしまいました。
逮捕の連絡を受けたAの家族は、5年前の覚せい剤の使用事件で前科のあるAさんに再犯でも執行猶予を付けてくれる弁護士を選びたいと考えています。
(フィクションです。)

~覚せい剤取締法(覚せい剤所持)~

覚せい剤取締法第41条の2第1項では、覚せい剤を、みだりに所持することが禁止されています。
①「みだりに」とは
社会通念上正当な理由が認められないという意味です。
覚せい剤を正当な理由が認められて適法に所持できる法定の除外事由については、覚せい剤取締法第14条第1項及び第2項に列挙されています。
主に覚せい剤を取り扱う施設や機関に勤務する医師や研究者の他、法令に基いてする行為につき覚せい剤を所持する司法警察員や鑑定技師等が挙げられています。
②「所持」とは
人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為で、必ずしも物理的に把持する必要はありません。
覚せい剤の存在を認識してこれを管理しうる状態であれば足りるとされています。
例えば、第三者に保管を依頼している場合、トランクルームなどに覚せい剤を隠していて、その鍵を所持している場合等であっても、覚せい剤を間接的に所持していたとして、覚せい剤の所持違反が成立する可能性が高いです。
③所持の故意
覚せい剤の所持罪が成立するには、所持にかかる物が覚せい剤であるという認識と、覚せい剤を所持したという行為にあたる事実の認識と認容が必要です。

覚せい剤取締法において、単純に自己使用目的で、覚せい剤を所持した場合は、10年以下の懲役に処せられると定められています。
一方で、営利目的で覚せい剤を所持したり、使用した場合は、1年以上の懲役または1年以上の懲役及び500万円以下の罰金に処せられます。
覚せい剤所持事件における量刑は、営利目的で覚せい剤を所持した場合は、初犯であっても実刑判決となる場合があります。

Aさんのような、単純な自己使用目的での覚せい剤所持事件の場合、初犯であれば、執行猶予付きの有罪判決を受けることがほとんどです。
しかし、覚せい剤事件は非常に再犯率の高い犯罪と言われています。
単純な自己使用目的での覚せい剤所持事件であっても、2回目や3回目といった再犯の場合、執行猶予付きの判決を受けることができず、実刑判決を受けて刑務所に服役することになる可能性が高くなってしまいます。
ただし、再犯だからと言って絶対に実刑になるとも限りません。
前の事件の判決内容や、判決からの期間、また今回の刑事事件での情状や、本人の更生見込み等によって再犯でも執行猶予付の判決となることもあります。
例えば、前刑から10年近く経過しての再犯であった場合や、再犯であるものの常習性が極めて低い場合、家族等の監督能力が認められた場合、医療機関で診察を受ける等して本人の更生意欲が高い場合等は、再犯であっても執行猶予が付く可能性があります。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、覚せい剤取締法違反(所持)等のご相談を24時間いつでもお受付しています。
なお、逮捕勾留によって身柄拘束されている場合は、ご契約前に、弁護士が警察署などの留置施設に出張して、逮捕勾留されている加害者・容疑者の方と面会する初回接見サービスのご利用をご検討ください。
お急ぎの方につきましては、お電話を頂いてから24時間以内に無料法律相談・初回接見などの各種サービスをご提供しております。
(宮城県仙台南警察署への初回接見費用:34,800円)

大麻所持で自首して不起訴

2019-02-25

大麻所持で自首して不起訴

20代Aさんは、宮城県七ヶ宿町内の自宅で大麻を吸引していたところ、同居の両親に見つかってしまいました。
後日、Aさんと両親は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談に訪れました。
(フィクションです。)

~大麻~

大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいい、大麻の無免許・無許可での栽培、輸出入、所持、譲渡、譲受等について、「大麻取締法」で罰則が設けられています。。
規制される製品の例としては、乾燥大麻大麻樹脂といった物があります。

~大麻の使用と所持~

大麻は、覚せい剤などと異なり,吸引などの使用自体には罰則がないため処罰されません。
ただし、通常は大麻の使用の前に所持しているはずなので、大麻の所持や譲受の罪で処罰されることになります。
自己使用目的で大麻を所持していた場合には、最大で5年の懲役が科せられます。
大麻取締法違反(大麻所持)の罪で起訴された場合、前歴の有無や所持していた大麻の量など事情によって違いはありますが、初犯の場合、懲役6月・執行猶予2~3年の量刑となることが予想されます。
大麻事犯は覚せい剤事犯に比べ、比較的依存性が低いなどの事情から、所持の量が微量であれば不起訴となる場合も少なからずあります。
不起訴処分を得るためには、被疑者本人の反省、薬物を断つための環境調整やカウンセリングの受診などが必要となることが考えられます。

~大麻所持事件で自首~

大麻などの薬物事件では、証拠隠滅の容易さや関係する人間の多さなどから,逮捕される可能性が高いです。
事案にはよりますが、警察に犯人や犯罪事実が発覚する前である場合、自首をして逮捕を免れたり,逮捕の時期を遅らせたりすることも一つの選択肢となります。
自首が成立すると、不起訴獲得に向けての大きな事情となること、起訴された場合でも法律上刑が減軽されることがあることがメリットとしてあげられます。

しかし一方で、自己の犯罪を警察に申告することになるため、逮捕などの身体拘束のおそれが生じる点には注意が必要です。

法律上,「自首」は犯人が警察などの捜査機関に自発的に自己の犯罪事実を申告し,その訴追を含む処分を求めることを言います(刑法42条1項)。
事件自体,若しくは犯人が捜査機関に明らかになっていない場合が,自発的な申告となります。
そのため、取調べで犯行を認めても自首にはなりません。
取調べは既に犯罪の嫌疑がかけられている人が対象になるため,取調べを受けている時点で,捜査機関は犯罪の事実と犯人を把握しているためです。
加えて、自首が成立するには訴追を含む処分を求めることも必要であるため、罪を軽くするために虚偽の申告を行う、犯罪の成立を否定するといった場合は,自首が成立しません。

自首が成立した場合,裁判所が刑を減軽することができます。
しかし、自首による減軽をするかはあくまで裁判所が決めることなので,減軽が認められない場合もあります。

上記でわかる通り、法律上の自首は成立のために条件があり,単に警察署へ出頭するだけでは足りません。
また、自首が成立しても,必ず刑の減軽がされるというわけではありません。

自首の成立要件が満たされているか,不起訴や刑の減軽の見通しがあるかについては,刑事事件専門の弁護士に相談して確認されることがお勧めです。
罪の重さによっては自首が成立する場合でもその後逮捕される可能性があるため,弁護士に今後の方針についても相談するとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、自首を希望される方からご依頼をいただいた場合、自首する際に弁護士が付き添い、あらかじめ逮捕の必要性が低いことを捜査担当の警察官に申述するなどの手立てをとることも可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所無料法律相談では、相談者様が様々な選択肢からどのように行動するのが最善なのかアドバイスできます。
無料法律相談は、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受付をおこなっております。

電子タバコ吸引用覚せい剤リキッドで逮捕

2019-02-18

電子タバコ吸引用覚せい剤リキッドで逮捕

宮城県色麻町の22歳会社員Aさんは、電子たばこで吸引できるように加工した覚せい剤リキッドを所持、使用していたとして、宮城県加美警察署によって覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、逮捕勾留で身柄拘束が長期化するとAさんが仕事に行けずに解雇されるかもしれないと心配して、覚せい剤覚せい剤リキッドについて詳しい刑事事件専門の弁護士に刑事弁護活動を依頼しました。
(フィクションです。)

~電子たばこと覚せい剤リキッド・大麻リキッド~

嫌煙・禁煙ブームの高まりから、紙巻きたばこの代用品として電子たばこの利用者が増加しています。
電子たばこは、たばこや果実などさまざまな味や香りのリキッドが専用容器に注入されており、容器を吸入器に接続、液体(リキッド)を電気加熱して発生する蒸気を吸引する方法で愉しまれます。
一方で、電子たばこの普及とともに違法薬物を電子たばこに応用したリキッドも一部で広がりつつあり、インターネットなどを介して売買されているそうです。

昨年には、電子たばこで蒸発させて吸引できるよう液体状に加工された「覚せい剤リキッド」が全国で初めて摘発されました。
この事件は、昨年3月、熊本県警が覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで男女数人を逮捕した事件で、関係先の家宅捜索などをした際、粉末の覚せい剤とともに液体状の覚せい剤覚せい剤リキッド)が発見されたそうです。
この覚せい剤リキッドは、市販リキッドに覚せい剤の粉末を混合して作られており、リキッドが入った容器を接続した電子たばこを吸引すると、覚せい剤の成分を摂取できるようになっていたそうです。

この事件以前の昨年1月には、電子たばこで成分を蒸発させて吸引する大麻リキッドなどを所持したとして、大麻取締法違反(所持)の疑いでヒップホップミュージシャンが現行犯逮捕されてのちに全国で初めて起訴されています。
この被告人に対しては、昨年5月に東京地方裁判所が懲役3年執行猶予5年(求刑懲役3年)の有罪判決を言い渡しています。

違法薬物のリキッドは、通常のリキッドと外観が同じで、電子たばこで摂取しても匂いなどから周囲に発覚するリスクが低いとされています。
また、従来の薬物の使用方法よりも簡素な方法で成分を吸引できるため、手軽さから人気を集めて拡大することも懸念されています。
例えば、従来の覚せい剤の使用方法は、注射や覚せい剤をライターなどで炙って気化させた成分を吸引する「炙り」と呼ばれる手法で摂取するのが一般的ですが、覚せい剤リキッドは電子たばこに装着して吸引するだけで使用できます。

覚せい剤大麻以外にも危険ドラッグを加工したリキッドも存在していると言われています。

警察も違法薬物のリキッドについて警戒を強めていることから、今後、刑事事件化する事案の増加が予想されます。
薬物事案は証拠隠滅が容易である性質から、逮捕後に勾留が決まるケースが多いです。
一度逮されると、逮捕から勾留請求までの時間を含めて、最大で23日間の身体拘束を受ける可能性があります。
警察関係者からは、違法薬物のリキッドが若者を中心に蔓延する恐れがあると指摘されており、社会人や学生である若者が逮捕勾留されてしまうと、必然的にこの最大23日間について通勤通学できなくなります。

逮捕勾留されている方の事件については、弁護士は、早期の釈放を求めて警察や検察官、裁判官と交渉する活動等をおこなうことができます。
覚せい剤など違法薬物のリキッドによって逮捕されてしまった場合は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問い合わせください。
(宮城県加美警察署までの初回接見費用:フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。)

危険ドラッグ使用で略式手続き

2019-02-11

危険ドラッグ使用で略式手続き

宮城県涌谷町在住の自営業Aさんは、顧客から紹介されたことをきっかけに日常的に危険ドラッグを使用しています。
Aさんが路上に停車した車の中で危険ドラッグを使用していたところ、近辺を警らしていた警察官に声を掛けられて、Aさんの受け答えから何らかの薬物を使用している疑いを持たれました。
検査の結果、Aさんに指定薬物を含む危険ドラッグを使用した疑いが持たれ、Aさんは薬機法違反の疑いで逮捕されました。
Aさんの様子を心配したAさんの妻は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に電話して弁護士に初回接見を依頼しました。
 (フィクションです。)

~危険ドラッグ~

危険ドラッグは、一般的に店頭やインターネット上で、「脱法ハーブ」「合法ドラッグ」等と称して販売されている薬物です
危険ドラッグは、麻薬や覚せい剤といった既存の薬物に対する法規制を潜り抜けるために、既存の薬物に似せて合成された化学物質を含んでいます。
覚醒剤などの著名な規制薬物は、心身に及ぼす悪影響などが分かってきていますが、危険ドラッグは製造過程が不確かで、どのような物質がどの程度含まれているのか、身体にどのような悪影響を及ぼすか分からないものも多くあります。
危険ドラッグは、既存の薬物と同等かそれ以上の危険性を持っており、使用すると、意識障害、嘔吐、けいれん、呼吸困難等を起こして、重体に陥ったり、最悪の場合死亡したりする可能性があります。

危険ドラッグに関する規制は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」(通称:薬機法など)により行われており、同法76条の4で危険ドラッグの使用を禁止しています。
医療品医療機器法は、危険ドラッグを使用した場合、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科するものと規定しています(86条26号)。
事例のAさんは、指定薬物を含む危険ドラッグを使用した疑いが持たれているため、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科される可能性があります。

~略式手続き~

危険ドラッグに関する罪は、覚せい剤や麻薬といった他の薬物と比べて法定刑が軽くなっています。
危険ドラッグ使用事件で前科のない初犯の場合、略式手続きにより罰金刑が科されて直ちに事件が終了することもあります。

争いがなく、刑も罰金どまりの軽いものまで逐一正式裁判で時間をかけて審理していては、早く終わらせたい被告人にとって面倒であり、裁判所にも大きな負担となります。
このような事件に対応するために略式手続きが設けられています。
略式手続きの対象は、罰金以下の刑か選択刑に罰金が定められている罪で、100万円以下の罰金又は科料を科す場合です(刑事訴訟法461条)。
検察官が簡易裁判所へ略式命令を請求する際には、被疑者に対し、あらかじめ略式手続きを理解させるために必要な事項を説明し、通常の裁判を受けることができる旨を告げたうえで、略式手続きによることについて異議がないかどうかを確かめなければなりません(刑事訴訟法461条の2第1項)。
被疑者は、略式手続きによることについて異議がないときは、略式手続きに同意する書面に署名することになります(刑事訴訟法461条の2第2項)。

略式手続きには,刑事手続が早期に終了し,社会生活に与える影響が少なくなるというメリットがあります。
(ただし、どのタイミングで略式命令が下るかは裁判所の忙しさ次第なので、長い場合は3か月ほどかかることもあります。)

他方で、捜査機関の主張の通りの事実を認めることになるため,裁判で争う機会が無くなるというデメリットがあります。
メリットデメリット双方があるため、処分の見通しなどを踏まえた上で、略式手続きに応じるべきか判断をすることが大切です。

このような判断には,刑事事件専門の弁護士が持つ知識や経験則が活きてきます。
危険ドラッグ事件で略式手続きに同意すべきか迷ったら,刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
逮捕や勾留をされている方には,初回接見サービスがおすすめです。
(宮城県遠田警察署 初回接見費用 43,220円)

大麻所持事件を安心して相談

2019-02-03

大麻所持事件を安心して相談

 宮城県大衡村在住の会社員Aさんは、帰宅途中に宮城県大和警察署の警察官から職務質問と手荷物検査を受けた際、鞄の中から大麻を含有する乾燥植物片数グラムが発見されたため、大麻取締法違反(所持)の容疑で,宮城県大和警察署逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、Aさんの身柄が早く解放されることを望んでおり、誰かに相談したいと思っていますが、不用意に誰かに話すことで、Aさんの逮捕が周囲に広まってしまうのではないかと心配しています。
(フィクションです。)

~大麻所持~

大麻取締法は,無免許・無許可での大麻の栽培,輸出入,所持,譲渡,譲受等について罰則を設けています。
たとえば,営利目的のない単純所持の場合,その法定刑は5年以下の懲役です。

~逮捕後の流れと勾留、勾留阻止~

逮捕されると,逮捕時から48時間以内に身柄を釈放するか検察官に送致するかが決定され,送致された場合,検察官は24時間以内に被疑者を勾留請求するか釈放するか決めます。(勾留とは、逮捕に引き続いて行われる身柄拘束です。)
勾留する場合には、検察官から裁判所に対して勾留請求が行われます。
勾留請求について,裁判官が勾留決定して勾留を認めた場合,10日間の身体拘束がなされ、場合によってはさらに10日間の延長が認められます。
つまり、勾留が認められると、逮捕から数えて最大で23日間も身柄拘束されることになります。

薬物犯罪については,余罪が存在する可能性や共犯者が存在する可能性が高いので,証拠隠滅のおそれが高い犯罪であると一般的に言われます。
そのため、十分に証拠を集め終わるまで勾留して身体を拘束した状態で捜査が行われ,勾留期間のギリギリまで身柄拘束が続けられることが多いです。

勾留による長期の身柄拘束を避けるためには、勾留の理由や必要がないことを的確に主張して、勾留を阻止するという方法があります。
主張する内容は、例えば、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことです。
しかし、勾留阻止には時間的な制約が大きいです。
勾留決定が出される前に、検察官や裁判官に対して、被疑者から聞き取った事情や収集した証拠をもって勾留の理由や必要性がないことを主張し説得する必要があります。
そのためには、弁護士に早期に依頼して、弁護士がスピーディに必要な情報を集めて精査し、説得力のある主張を考えなければなりません。

~弁護士には守秘義務がある~

Aさんの家族は、Aさんの起こしてしまった大麻所持事件について相談したいと思っているようですが、Aさんの事件や逮捕が周囲に広まることを心配しています。
弊所にお問い合わせいただく方にもそのようにお考えの方が多く、なかには、弁護士に相談することで、事件や逮捕が周囲に知られてしまうのではないかとご心配なさっている方もいらっしゃいます。
結論から言いますと、弁護士が相談された内容について、むやみやたらと触れ回ることはありません。

弁護士は、相談者や依頼者について職務上知ることのできた秘密を守る義務(守秘義務)があります。
弁護士が守秘義務に違反した場合は弁護士会から懲戒処分が科せられる可能性があり、悪質な場合は除名(弁護士資格の剥奪)も考えられます。
刑法にも守秘義務に関する規定があり、弁護士が守秘義務に違反して「秘密を漏らした」場合は、罰則として「6か月以下の懲役または10万円以下の罰金」が科せられる可能性もあるのです。

弁護士が相談でお聞きした情報が外部に漏れることは一切ありません。
安心して事件や逮捕のことについてご相談いただけます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、大麻所持事件などをはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。
逮捕でお困りの場合などは、お気軽に無料法律相談または初回接見サービスをご利用ください。
(宮城県大和警察署への初回接見費用:フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。)

SNSでの薬物売買で麻薬特例法違反

2019-01-29

SNSでの薬物売買で麻薬特例法違反

宮城県岩沼市在住のAさんは、会員制交流サイト(SNS)を利用して覚せい剤などの薬物を取り引きし、不当な利益を得たとして、宮城県岩沼警察署逮捕されました。
同署によると、AさんはSNSやフリマアプリを使って覚せい剤コカイン、合わせておよそ1グラムを客に販売したり大麻およそ100グラムを仕入れたりしたとして、麻薬特例法違反大麻取締法違反の疑いが持たれています。
Aさんの口座には去年7月から10月までの間に、およそ800件の振込みがあったことが確認されていて、売り上げ額は数千万円に上るとみられています。
(事実を基にしたフィクションです。)

今回の事例は、今年1月17日にKHB東日本放送が配信した実際のニュースを参考に作成しています。
この容疑者とSNSで連絡し、代金を送金して郵送の依頼をした大麻の植物片約3グラムを自宅で譲り受けた疑いがかけられている人物は、麻薬特例法違反(譲り受け)の疑いで逮捕されています。

大麻取締法や覚せい剤取締法という法律名については聞いたことがあるかもしれませんが、麻薬特例法とはなんだろうと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
今回は麻薬特例法について解説します。

~麻薬特例法~

麻薬特例法は,正式名称「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」の通称です。
麻薬特例法では、薬物犯罪の取り締まり等に関わる特例や罰則が定められています。
この法律は、薬物犯罪による薬物犯罪収益等のはく奪,規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図ることなどを目的としています(法律1条)。
規制薬物とは,麻薬,向精神薬,大麻,あへん,けしがら,覚せい剤をいいます(法律2条1項)。

~麻薬特例法の取締り対象行為~

麻薬特例法では、以下の行為を取り締まり対象行為としています。
・業として行う不法輸入等
・薬物犯罪収益等隠匿
・薬物犯罪収益等収受
・規制薬物としての物品の輸入等
・あおり又は唆し

規制薬物としての物品の輸入や譲受け等の取り締まりに関しては、麻薬特例法第8条1項、同2項に規定されています。
第8条 薬物犯罪(規制薬物の輸入又は輸出に係るものに限る。)を犯す意思をもって、規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物その他の物品を輸入し、又は輸出した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 薬物犯罪(規制薬物の譲渡し、譲受け又は所持に係るものに限る。)を犯す意思をもって、薬物その他の物品を規制薬物として譲り渡し、若しくは譲り受け、又は規制薬物として交付を受け、若しくは取得した薬物その他の物品を所持した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

本罪は,規制薬物に係る不正行為を助長する行為を防止するための規定であるため、本罪の薬物とは,規制薬物の他,規制薬物でないことが明らかである薬物,規制薬物であるか否かの証明が十分でない薬物を含みます。
「その他の物品」とは,クリーン・コントロールド・デリバリーという捜査手法を捜査機関が実施した後に、捜査機関が規制薬物の代わりに入れておいた物や,規制薬物が入っていた容器,バック等の入れ物などが挙げられます。
「規制薬物として譲り受け」等と条文にあるように,本罪が成立するためには,行為者において,行為時に,当該物が規制薬物であるとの認識(故意)があったことが必要です。

今回のAさんは、Aさんの口座に去年7月から10月までの間におよそ800件の振込みがあったことが確認されていて、売り上げ額は数千万円に上るとみられています。
場合によっては、Aさんは、麻薬特例法第5条に規定されている規制薬物の譲渡しを業とした者として罪に問われるかもしれません。
麻薬特例法の第5条では、麻薬及び向精神薬取締法・大麻取締法・あへん法・覚せい剤取締法の特定の罪に当たる行為(規制薬物の栽培,輸入,輸出,製造,譲渡し等,並びにけし及び麻薬原料植物の栽培等)を業とした者に対し、無期又は5年以上の懲役及び1,000万円以下の罰金に処することとしています。
この刑罰は、従来から存する単一の薬物ごとの違反行為の営利犯の刑罰より加重されてより重い刑罰となっています。
この場合の「業として」とは、業態的、営業的活動と認められる形態で反復継続的に行っていた場合などに認められるとされています。

麻薬取締法5条(業として行う不法輸入等)では、無期懲役刑が定められていることから、裁判員裁判の対象になります。
裁判員裁判では、一般の市民が被告人を裁くことになります。
規制薬物に関する事件は、一般の市民にとってなかなかイメージのわきにくい事件です。
そのため、弁護士には、一般の市民にわかりやすく説明するために様々な工夫が必要とされます。
裁判員裁判では豊富な弁護経験が求められるため、刑事事件の豊富な知識と経験を持つ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご用命ください。
(宮城県岩沼警察署までの初回接見費用:38,400円)

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら