SNSでの薬物売買で麻薬特例法違反

SNSでの薬物売買で麻薬特例法違反

宮城県岩沼市在住のAさんは、会員制交流サイト(SNS)を利用して覚せい剤などの薬物を取り引きし、不当な利益を得たとして、宮城県岩沼警察署逮捕されました。
同署によると、AさんはSNSやフリマアプリを使って覚せい剤コカイン、合わせておよそ1グラムを客に販売したり大麻およそ100グラムを仕入れたりしたとして、麻薬特例法違反大麻取締法違反の疑いが持たれています。
Aさんの口座には去年7月から10月までの間に、およそ800件の振込みがあったことが確認されていて、売り上げ額は数千万円に上るとみられています。
(事実を基にしたフィクションです。)

今回の事例は、今年1月17日にKHB東日本放送が配信した実際のニュースを参考に作成しています。
この容疑者とSNSで連絡し、代金を送金して郵送の依頼をした大麻の植物片約3グラムを自宅で譲り受けた疑いがかけられている人物は、麻薬特例法違反(譲り受け)の疑いで逮捕されています。

大麻取締法や覚せい剤取締法という法律名については聞いたことがあるかもしれませんが、麻薬特例法とはなんだろうと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
今回は麻薬特例法について解説します。

~麻薬特例法~

麻薬特例法は,正式名称「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」の通称です。
麻薬特例法では、薬物犯罪の取り締まり等に関わる特例や罰則が定められています。
この法律は、薬物犯罪による薬物犯罪収益等のはく奪,規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図ることなどを目的としています(法律1条)。
規制薬物とは,麻薬,向精神薬,大麻,あへん,けしがら,覚せい剤をいいます(法律2条1項)。

~麻薬特例法の取締り対象行為~

麻薬特例法では、以下の行為を取り締まり対象行為としています。
・業として行う不法輸入等
・薬物犯罪収益等隠匿
・薬物犯罪収益等収受
・規制薬物としての物品の輸入等
・あおり又は唆し

規制薬物としての物品の輸入や譲受け等の取り締まりに関しては、麻薬特例法第8条1項、同2項に規定されています。
第8条 薬物犯罪(規制薬物の輸入又は輸出に係るものに限る。)を犯す意思をもって、規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物その他の物品を輸入し、又は輸出した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 薬物犯罪(規制薬物の譲渡し、譲受け又は所持に係るものに限る。)を犯す意思をもって、薬物その他の物品を規制薬物として譲り渡し、若しくは譲り受け、又は規制薬物として交付を受け、若しくは取得した薬物その他の物品を所持した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

本罪は,規制薬物に係る不正行為を助長する行為を防止するための規定であるため、本罪の薬物とは,規制薬物の他,規制薬物でないことが明らかである薬物,規制薬物であるか否かの証明が十分でない薬物を含みます。
「その他の物品」とは,クリーン・コントロールド・デリバリーという捜査手法を捜査機関が実施した後に、捜査機関が規制薬物の代わりに入れておいた物や,規制薬物が入っていた容器,バック等の入れ物などが挙げられます。
「規制薬物として譲り受け」等と条文にあるように,本罪が成立するためには,行為者において,行為時に,当該物が規制薬物であるとの認識(故意)があったことが必要です。

今回のAさんは、Aさんの口座に去年7月から10月までの間におよそ800件の振込みがあったことが確認されていて、売り上げ額は数千万円に上るとみられています。
場合によっては、Aさんは、麻薬特例法第5条に規定されている規制薬物の譲渡しを業とした者として罪に問われるかもしれません。
麻薬特例法の第5条では、麻薬及び向精神薬取締法・大麻取締法・あへん法・覚せい剤取締法の特定の罪に当たる行為(規制薬物の栽培,輸入,輸出,製造,譲渡し等,並びにけし及び麻薬原料植物の栽培等)を業とした者に対し、無期又は5年以上の懲役及び1,000万円以下の罰金に処することとしています。
この刑罰は、従来から存する単一の薬物ごとの違反行為の営利犯の刑罰より加重されてより重い刑罰となっています。
この場合の「業として」とは、業態的、営業的活動と認められる形態で反復継続的に行っていた場合などに認められるとされています。

麻薬取締法5条(業として行う不法輸入等)では、無期懲役刑が定められていることから、裁判員裁判の対象になります。
裁判員裁判では、一般の市民が被告人を裁くことになります。
規制薬物に関する事件は、一般の市民にとってなかなかイメージのわきにくい事件です。
そのため、弁護士には、一般の市民にわかりやすく説明するために様々な工夫が必要とされます。
裁判員裁判では豊富な弁護経験が求められるため、刑事事件の豊富な知識と経験を持つ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご用命ください。
(宮城県岩沼警察署までの初回接見費用:38,400円)

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