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身内が逮捕されたら

2020-01-04

身内が逮捕されたら

家族や親戚などの身内が逮捕された場合の対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県内に住むAさん。
ある日、宮城県警警察官が自宅を訪れ、
「息子さんに話を聞きたい」
と言われました。
自宅にいた息子が玄関に出てきたところ、逮捕状を示され、そのまま連れて行かれました。
また、数名の警察官が息子の部屋などを捜索していきました。
寝耳に水のAさんは、今後どうなってしまうのか心配でたまりません。
(事実をもとにしたフィクションです)

~家族にとっては突然やってくる~

弊所は刑事事件少年事件を専門としている弁護士事務所です。
弊所に依頼いただくのは、犯罪をしてしまったご本人の場合もあります。
しかし、本人が逮捕されていたり、本人が少年の場合などは、ご家族からご依頼いただくことも多いです。

本人は、犯罪をしてしまった認識を持っていることが多いですが、ご家族にとっては、警察が家に来て本人が逮捕されたり、家宅捜索をされたタイミングで初めて知ることも多いです。
全く予兆も感じずに逮捕されてしまうことも多いことから、
「まさか自分の家族が…」
と驚いたり、悲しみや不安が一気に襲ってくることになります。

~心配が尽きない~

ご家族としては、本人が悪いことをしてしまったのであれば、しっかり罪を償わなければならないことはわかりつつも、本当はやっていないんじゃないか、きつい取調べをされるんじゃないか、やったことに釣り合わない重い刑罰を受けるのではないかなど、不安は尽きない状態になってしまいます。

また、職場に解雇されるのか、学校は退学になるのか、今後の生活はどうなってしまうのか、といった心配も強いでしょう。

本人が国家資格を取ろうとしている、あるいは資格を使って仕事をしているという場合には、資格を取れなかったり、取り消される心配も出てきます。

薬物性犯罪万引きなど、一部の犯罪では依存症のような状態になってしまっており、再犯を防ぐことにも気を配る必要が出てきます。

被害者がいる犯罪では、どうやって謝罪したらいいのか、示談交渉はどうやって行えばいいのか、示談金はいくらにしたらよいのか、そもそも示談に応じてくれるのか、といった心配も出てきます。

~弁護士に相談を~

これらすべての心配事に対し、ご家族のみで対応するのは難しいでしょう。
ぜひ、専門家である弁護士にご相談いただければと思います。

本人が逮捕されている事件では、国の費用で弁護士を付けてもらえる国選弁護人の制度がありますので、こちらを利用するのも良いでしょう。

もし、万全を尽くしたい、セカンドオピニオンを聞きたいといった場合には、弊所の初回接見サービスをご活用ください。
拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない在宅事件の場合や、すでに釈放された場合には、裁判が始まるまでは国選弁護人の制度が使えませんので、弁護士の力を借りる場合には、自費で弁護士を雇う必要が出てきます。
しかし、いきなり依頼するのもご心配でしょうから、ぜひ初回無料の法律相談をご予約ください。

ご本人やご家族のその後の生活に大きく関わってくるところですので、ぜひ弁護士を最大限活用していただければと思います。

【関連リンク】
刑事手続の流れや、国選弁護人との違いなどについて、詳しくはこちらをご覧ください
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】
在宅事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】
少年事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人・付添人】

共犯者が逮捕されたら

2020-01-03

共犯者が逮捕されたら

共同で窃盗を行い、先に共犯者が逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県石巻市に住むAさん。
以前勤めていたお店に忍び込み、商品や現金を盗むことを計画しました。
Aさんは、どうせやるなら多くの物を盗みたいと思い、友人のBさんに手伝ってもらうことにしました。
Aさんが計画を打ち明けたところ、Bさんは賛同。
2人で店舗に忍び込み、商品や現金を大量に盗みました。
その後、防犯カメラ映像などの検証の結果、まずは元店員Aさんの関与が発覚。
石巻警察署の警察官に逮捕されました。
Bさんは、Aさんが逮捕されたことを聞き、自分も逮捕されるのではないかと心配になっています。
(事実をもとにしたフィクションです)

~建造物侵入罪と窃盗罪の共同正犯~

元従業員による窃盗事件は、時々起こる犯罪手法です。
店舗内部の配置や金品の保管場所を知っており、犯行がしやすいという面があるのでしょう。
一方、関係者でなければやりづらい犯行方法だと、犯人の特定につながりやすいということもあります。

ここでまずは、成立する犯罪を確認しておきます。
AさんとBさんには、建造物侵入罪窃盗罪共同正犯が成立することになるでしょう。

刑法
第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第60条
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

AさんとBさんはこれらの条文に違反したことになります。

共同正犯が成立すると、犯行の一部しか担当していなくても、全員が行った犯行について責任を負うことになります(一部実行全部責任)。
たとえば、店舗内の事情に詳しいAさんが現金や商品を10万円分盗んでくる一方、Bさんは3万円分しか盗めなかったような場合でも、13万円分の窃盗を行った犯人として、AさんだけでなくBさんも処罰されるわけです。

もちろん、Aさんが店舗内部の事情というAさんしか持っていない知識を用いて犯行を主導した、といった事情を考慮し、AさんとBさんとで判決の重さが変わることはありえます。
しかし、被害金額はあくまでも13万円ですから、Bさんが3万円の窃盗を1人で行った場合に比べると、判決が重くなることがありえるわけです。

~次はBさんが逮捕される?~

今回はAさんが先に逮捕されました。
一般論としては、①警察において共犯者がいることが分かっていない場合や、②共犯者がいること自体はわかっていても、元店員ではないBさんの身元がわかっていないので、Aさんを取り調べたりAさんの携帯電話の通信履歴等を調べて、Bさんの身元を明らかにしようとしていることなどが考えられます。

いずれにしろ、Bさんの関与が発覚して逮捕されることは時間の問題と思った方がよいでしょう。

そこで、自首するというのも1つの手段といえます。
判決を軽くする事情の1つになりうるからです。

逆に、逃亡することはお勧めできません。
結局見つかってしまう可能性が高く、責任を逃れようとしたとして逆に重い判決を受ける可能性があるからです。

自首するにしても、まずは逮捕後を見据えて最低限の準備をしてからという判断もありえます。

~どのような準備をすべきか~

判決を軽くするためには、被害店舗への謝罪・賠償をして示談を締結することが重要となってきます。
しかし、逮捕されてしまうと自分で示談交渉することはできません。
そこで、場合によってはご家族にも協力いただきながら、示談をするための金銭を用意しておくといったことが考えられます。

また、保釈などで早期に釈放されることを狙うためには、ご家族がしっかり監督できる状態であることをアピールすることが重要です。
そこで、家族にもあらかじめ犯行を打ち明け、協力を得られる態勢を整えておくことが大切です。

さらに、逮捕後は警察官検察官取調べを受けることになりますが、どのように受け答えするべきか不安だと思いますので、あらかじめ対策を練っておくおことも有益といえます。

これらの点について、弁護士は事件内容に合わせてより具体的なアドバイスをすることができますので、お早めに法律相談を受けられることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部刑事事件・少年事件を専門とする事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。

また、すでに逮捕されている事件では、初回接見サービスをご利用ください。
弁護士が警察署に向かい、本人と面会(接見)をしてアドバイスをいたします。

共犯者が逮捕されたといった場合には、ぜひお早めにご相談ください。

仙台市内のスーパーで不審火【放火・器物損壊】

2020-01-02

仙台市内のスーパーで不審火【放火・器物損壊】

2020年1月1日深夜、仙台市宮城野区にあるイオン仙台幸町店で、屋外の荷台に積んでいた商品が燃えるという事件がありました。

YAHOOニュース(TBC東北放送提供)
仙台市内のスーパーマーケットで不審火

これが過失による火事(失火)ではなく、誰かが火をつけたものだった場合、いったいどんな罪が成立するのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~現住建造物等放火罪は成立するか~

まず成立が考えられる犯罪としては、現住建造物等放火罪や、その未遂罪があげられます。
条文を見てみましょう。

刑法第108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第112条
第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は、罰する。

当時、スーパーの店内には従業員がいたようですから、スーパーの建物は「現に人がいる建造物」にあたります。
しかし、今回は商品が燃えただけで、建物自体には燃え移っていないので、現住建造物等放火罪は成立しません。

ところが、現住建造物等放火未遂罪が成立する可能性はあります。
未遂罪は、建物まで燃え移る危険があったが、実際には燃えなかったような場合に成立します。
燃えた商品が建物から近い位置にあったのであれば、燃え移った危険性もあったと判断され、未遂罪が成立する可能性があります。

~建造物等以外放火罪は?~

仮に、建物に燃え移る危険性は低く、現住建造物等放火未遂罪も成立しないという場合でも、消火にあたった従業員などに危険が生じたなどの理由で、建造物等以外放火罪が成立する可能性もあります。

第110条1項
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

「前二条に規定する物以外の物を焼損し」とは、建物以外の物を燃やしたという意味です。
今回は燃えた商品は建物以外の物ですので、これに当てはまります。

次に、「よって公共の危険を生じさせた」とは、人の生命・身体・財産に対する危険を生じさせることを言います。
従業員の身体などに危険が生じていれば、「よって公共の危険を生じさせた」と言えます。

よって、建造物等以外放火罪が成立しうるわけです。

~火の勢いが弱ければ器物損壊罪~

火の勢いが弱く、容易に消すことができ、建物や従業員の身体への危険もほぼなかったと言えるような場合は、器物損壊罪が成立するにとどまるでしょう。

第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

商品を叩き壊したような場合に器物損壊罪が成立するというのはわかりやすいと思います。
燃やしたという場合も、手段として火を使ったという違いこそあれ、物を使えない状態にしたという点は同じなので、器物損壊罪が成立する可能性があるのです。

~犯罪をしてしまったら弁護士に相談を~

犯罪をしてしまった場合、罰則を受けるなどの責任をしっかりとる必要があります。
しかし、やっていない犯罪について責任を取らされたり、長すぎる懲役刑となりかえって更生や社会復帰の足かせとなるようなことがないよう、弁護士の力を借りる必要があるでしょう。

また、ご家族の方にとっても、今後どうなってしまうのか不安な点が多いと思います。

ご自身やご家族が逮捕された、取調べを受けることになった、まだ発覚していないが犯罪をしてしまったといった場合には、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
 接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。

逮捕されると一気に手続きが進んでいきますので、お早めにご連絡ください。

【関連リンク】
刑事事件の手続きの流れや、国選弁護人と私選弁護人の違いなどについてはこちらをご覧ください
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

盗撮で取調べを受けたら

2020-01-01

盗撮で取調べを受けたら

スカート内を盗撮して取調べを受けた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県名取市に住むAさん。
ショッピングセンター内で女性のスカート内をスマートフォンで盗撮しました。
しかし被害者に気付かれたことから、もう逃げられないと諦めたAさん。
駆け付けた警察官によって岩沼警察署に連れて行かれました。
一通り取調べを受けた後に、その日は自宅に帰ることを許されました。
後悔や今後の心配から、Aさんは夜も眠れない状況です。
(事実をもとにしたフィクションです)

~やめられない盗撮~

盗撮は、悪いことだとわかっていたとしても、薬物犯罪などと同様に依存的症状、つまり、やめたくてもやめられないという状態になってしまう場合があります。
残念ながら成功してしまうことも多く、ついつい犯行を繰り返してしまうという面もあります。

絶対にやらないという意志を持つだけでやめられるものではなく、しっかりとした治療やカウンセリングなどの対策が必要となってきます。

さて、Aさんが行ったような盗撮行為は、各都道府県で制定されている条例違反となります。
宮城県の迷惑行為防止条例をみてみましょう。

第3条の2第1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
3号 人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。

撮影した場合はもちろん、下着等を撮影する目的でカメラを向けたり設置したりするだけで、この条文に該当することになります。

罰則は、常習者ではない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
常習者の場合はより重く、2年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

盗撮を繰り返していても、警察に発覚するのが初めてであれば一応初犯なので、非常習者として罰せられる可能性も十分考えられます。
しかし、盗撮の前科がある場合には、常習者として処罰される可能性が上がるでしょう。

~今後の刑事手続きの流れ~

Aさんは逮捕されずに帰宅が許されたので、今後は在宅事件として捜査が続けられます。
在宅事件では日程調整の上、自宅から警察署検察庁に出向いて取調べ等の捜査を受けることになります。

その結果、検察官が、今回は裁判にかけずに大目に見るという判断(不起訴処分)をすれば刑事手続はそこで終わり、前科も付きません。
また、裁判にかける(起訴)するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。

不起訴処分や略式起訴という比較的軽い結果にとどめるためには、前科がない(あるいは少ない)という事情も必要ですが、被害者に損害を賠償して示談を締結することや、治療やカウンセリングを受け始めること、家族による監督が望めることなどの事情が重要となってきます。

~弁護士にご相談を~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部刑事事件・少年事件を専門とする事務所です。
豊富な経験に基づき、示談交渉をしっかり進めるほか、病院を紹介するなど、再犯防止に向けたサポートも致します。

他にも、取調べにはどう対応したらよいか、職場に知られるのではないかなど、心配な点が多いと思いますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

事務所での法律相談は初回無料となっております。
また、仮に逮捕されている事件では、初回接見サービスをご利用ください。

ご本人、ご家族、被害者の方々のため、お早めにご連絡いただければと思います。

保釈中の逃亡【カルロス・ゴーン被告が国外へ】

2019-12-31

保釈中の逃亡【カルロス・ゴーン被告が国外へ】

犯罪をしたとして裁判にかけられている者が、保釈中に逃亡などをした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~カルロス・ゴーン被告が国外渡航~

2019年の年末、会社法違反(特別背任)などの罪に問われ、保釈中のカルロス・ゴーン被告がレバノンに渡ったというニュースが飛び込んできました。
保釈中の有名人が海外に行ってしまうというのは、まるで映画のような話ですが、実際に起こってしまいました。

ゴーン被告は日本の刑事司法制度に対する批判をしているようです。
実際に日本の刑事司法制度は、身体拘束が長期間に及ぶ、取調べ弁護士の立ち合いが認められていないなど、世界から見ると遅れているとされる点が多く、21世紀なのに中世レベルだと評されることもあります。

それはさておき、保釈中の被告人が逃亡などをした場合、被告人はどうなってしまうのでしょうか。
まずは保釈制度の内容から確認していきます。

~保釈とは?~

保釈とは、犯罪をして逮捕され、刑事裁判が進められている期間中に、保釈金を納めて、仮に釈放される制度のことをいいます。
被告人本人、あるいはその弁護人が裁判所に対し保釈請求をし、裁判所が許可すれば、保釈金を納めることにより釈放されるという流れになります。

なぜこのような制度があるのでしょうか。

刑事司法の世界では、冤罪を防止するため、逮捕された人であっても、有罪が確定するまでは、無罪であることを前提に出来る限り一般人と同じように扱うべきである、という建前があります(無罪推定の原則)。
そこで、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるような場合を除き、一時的にでも釈放するという制度が「保釈」ということになります。

保釈が認められると、家族と一緒に生活できる、就業できる、弁護士との打ち合わせがしやすくなるなどのメリットがあります。

ただし、保釈を許可する場合も、次回以降の裁判に必ず出廷すること、住居を勝手に変えないこと、海外渡航をしないこと、特定の事件関係者と連絡を取らないことなどが条件として付けられます。

保釈金は、上記の条件違反行為などを行わなければ、たとえ有罪になっても返還されます。
しかし、条件違反があった場合には保釈が取り消されて再び身柄が拘束され、保釈金も没収される可能性があるという制度になっています。
ペナルティを設けて条件違反の可能性を低くした上で釈放するというわけです。

保釈金の金額は、犯罪の内容や本人の資産を考慮して、裁判所が定めます。
重い犯罪ほど重い刑罰を受けることが予想され、逃亡等の条件違反をしたくなるだろうとの考え方により、金額が高くなりやすいです。
また、本人の資産が多ければ、少額では条件違反を防げないので、金額は高くなる場合があります。
没収されては困るから条件違反を思いとどまろうと考えるであろう金額を定めるわけです。

ゴーン被告の場合、報道によれば、保釈金は合計15億円とのことですので、資産などが考慮されてかなり高い金額が定められたようです。
しかし今回はペナルティとして機能しなかったということになります。

今後、ゴーン被告は拘置所に戻され、15億円は国に没収されることが考えられます。
また、条件違反をしたことにより反省をしていないなどと判断され、裁判の判決が重くなることも考えられます。
ただし、国外は国内よりも日本の警察が身柄拘束に向けて動きにくいですし、日本とレバノン等の諸外国との政治的な話も絡んでくるでしょうから、どういう展開を見せるかは不透明です。

~ぜひ弁護士にご相談を~

ゴーン被告のような大きな事件でなくても、保釈中に条件違反をしてしまった場合、本人はもちろん、ご家族の方々は今後の展開が不安なことでしょう。
すでに国選弁護人などが付いておられると思いますので、詳しいことはその弁護士に聞いてみるのが良いと思います。
また、セカンドオピニオンを聞きたいという場合には、弊所までご連絡いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、釈放中の場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

保釈中に保釈条件に違反してしまったといった場合には、ぜひご相談ください。

岩手県でのスピード違反で逮捕

2019-12-30

岩手県でのスピード違反で逮捕

スピード違反で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
岩手県北上市に住むAさん。
車が好きで、よくドライブに出かけていましたが、スピードを出すことが楽しいと感じていました。
この日もスピードを出しまくり、制限速度を30キロ以上オーバーしてしまいました。
その直後、ハンドル操作を誤り、対向車に衝突。
対向車に乗っていた人にケガを負わせてしまいました。
Aさんは北上警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~スピード違反のペナルティ~

スピード違反をして、人にケガを負わせてしまったAさん。
制限速度を大幅にオーバーすると、想定外のことが起こったときに対処が難しくなったりするので、事故が起こりやすくなります。

まずはスピード違反をしたこと自体についての刑事処分についてご説明いたします。

スピード違反等の交通違反をした場合、本来は裁判を受けて罰金刑懲役刑になり、前科が付いてしまうのが原則的な形です。
しかし、交通違反は数が多いので、この形では検察庁や裁判所がパンクしてしまいます。
そこで、軽微な違反については反則金を支払うことによって、前科も付かずに手続を終了させるという制度が採られています。

しかしながら、重い違反の場合には原則通り、裁判で罰金や懲役となります。
スピード違反の場合には、一般道30キロ以上、高速道路が40キロ以上のオーバーで、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金になってしまいます(道路交通法118条1項1号、22条1項参照)。
したがって30キロ以上オーバーしていたAさんには、前科が付くことになるでしょう。

これに合わせ、30キロ以上50キロ未満のスピードオーバーだと6点の違反点数が科されます。
違反歴がなくても30日間の免許停止となってしまいます。

反則金や違反点数について詳しくはこちらをご覧ください。
【交通違反点数制度と一覧表】

~ケガをさせたことへの罰則~

スピード違反を原因として人にケガをさせてしまったAさんには、危険運転致傷罪または過失運転致傷罪が成立する可能性があります。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第2条(危険運転致死傷)
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
2号 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
第5条(過失運転致死傷)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

30キロ以上のオーバーをしていたとなると、「その進行を制御することが困難な高速度」に当たり、危険運転致傷罪が成立すると思われるかもしれません。
ただ、危険運転致死傷罪は成立範囲が狭く解されている上、直線道路だったのかカーブだったのか、見通しが良いか、道幅が広いか、雨が降っていたかなどによっても変わりうるため難しいところです。
ただ、これからの季節だと道路が凍結しているので、少しのスピード違反でも危険性が高い運転だったと判断される可能性も否定できません。

なお怪我をさせたことについても別途、違反点数が科されます。
点数は怪我の程度によりますので、詳しくは上記リンクをご覧ください。

~お早めに弁護士にご相談を~

スピード違反などで逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料を行っております。

岩手県の事件の相談も受け付けておりますので、捜査を受けているといった場合には、ぜひお早めにご相談ください。

【関連リンク】
刑事手続きの流れや国選弁護人と私選弁護人の違いなどについてはこちらをご覧ください
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

少年事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人・付添人】

2019-12-29

少年事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人・付添人】

20歳未満の者が犯罪をした少年事件の場合には、成人よりも更生の可能性が高く保護の必要性があるなどの理由により、手続の流れや処分内容などに違いがあります。
今回は少年事件の手続の流れや、少年事件で弁護士を雇うメリット・デメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~少年事件の手続の流れ~

少年が犯罪を行い逮捕されると、まずは最大3日間、警察署等に拘束され、警察官や検察官から取調べ等の捜査を受けます。
その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、さらに最大20日間、勾留と呼ばれる警察署等での身体拘束期間が続く可能性があります。

ここまでの流れは、成人事件でも同じです。

ただし少年事件では、勾留の代わりに、少年鑑別所に入れられ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査(観護措置)がなされることもあります。

その後、事件の処理は家庭裁判所の担当に移ります。
最初に4週間程度、少年鑑別所に入れられて調査を受けることが想定されます。
その結果も踏まえ、家庭裁判所調査官が中心となって、少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査・判断が行われます。

なお、逮捕されていない少年や途中で釈放された少年については、日程調整の上で警察署・検察庁家庭裁判所に出向いて、取調べや調査官面談を受けるといった流れになります。

また、少年の中でも14歳未満の場合には、家庭裁判所ではなく児童相談所での手続きに移され、福祉的措置がとられることもあります。
さらに、犯罪そのものではなくても、家出をしたり交友関係に問題があるなどの場合にも、「虞犯少年」(グハンショウネン)として、児童相談所や家庭裁判所の手続に乗せられることもあります。

~少年審判とは?~

調査官等による調査の結果をふまえ、裁判官が少年の処遇を決めることになります。
比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。

そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
少年審判の結果としては以下のものが考えられます。

①不処分
少年審判が終わる頃には反省の態度が見られるようになり、再犯の可能性が低いような場合になされます。
審判不開始決定と同じく、成人事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものであり、ここで手続が終了となります。

②保護観察
保護観察所の指導・監督を受けつつ、少年を社会の中で生活させながら更生させていきます。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。

③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により帰る場所がなく②の保護観察が行えない等の場合に、福祉施設に住ませつつ、社会の中で生活させ更生を目指すというものです。

④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、原則として外出が許されない少年院で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。

⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件については、成人と同じ刑罰を受けさせるべきと判断されると、家庭裁判所から検察庁に事件が戻されます。
その後、追加の取調べなどの捜査がなされた上で、成人と同じ刑事裁判を受けるという流れになります。

以上のように、警察・検察の取調べや家庭裁判所調査官の調査を経て、少年の処分が決まっていくという流れになります。

~当番弁護・国選弁護人・国選付添人~

犯罪をして捜査を受けると、わからないことが多いので、弁護士に相談したい・弁護してもらいたいという方が多いと思います。
弁護士に依頼する費用がご心配な場合には、以下の制度を利用することができます。

まず、逮捕直後の3日間は、弁護士会が運営する当番弁護という制度を利用することができます。
1度の逮捕で1回しか利用できませんが、弁護士が本人のいる警察署等に面会に行き、無料で今後の刑事手続きや予想される処分の説明、取調べを受ける際のアドバイスなどをしてくれます。

その後、勾留が付いて身体拘束が続けば、国選弁護人の制度を利用することができます。
国の費用で弁護人を付けてもらうことができ、釈放や軽い処分・判決を目指して弁護活動をしてもらえます。

事件が家庭裁判所に移った後も、事件によっては引き続き国の費用で弁護士を付けてもらえます(事件が家庭裁判所に移った後は「国選付添人」という呼び方に変わります)。
審判不開始や不処分などの軽い処分・判決を目指して、弁護活動をしてもらえます。

また、国選付添人の対象外の事件では、日本弁護士連合会が運営する少年保護事件付添援助という制度を利用することができます。
国から弁護士費用を出してもらう代わりに、弁護士会が出してくれるというものですので、費用面が心配な方は積極的に利用されるとよいでしょう。

~当番・国選のデメリットは?~

当番弁護や国選弁護人・国選付添人の制度は、自己負担なしで弁護士を利用できるという大きなメリットがあります。

しかし、デメリットもあります。

【デメリット1】
当番弁護士は勾留を防ぐための弁護活動はしてもらえません

逮捕直後に利用できる当番弁護士は、アドバイスをしてくれますが、実際に弁護活動をしてくれるわけではありません。
ですので、逃亡や証拠隠滅のおそれがないという理由を裁判官や検察官に具体的に示すなどの弁護活動をしてもらえば、勾留されずに逮捕から3日以内に釈放されたのに、弁護活動を受けられなかったので勾留され、身体拘束が長引くということもあります。
弁護活動をしてもらいたい場合には、ご家族が自費で弁護士と契約する必要があります。

また、勾留が付いてしまった後に、勾留決定を取消すための不服申し立ての手続き(準抗告)を国選弁護士にしてもらい、釈放を目指すということもできます。
しかし勾留される前の弁護活動よりもワンテンポ遅れるため、当然ながら釈放も遅れてしまいます。
その間に、学校や勤務先などに事件のことが知れてしまい、処分を受けてしまうということもありえます。

【デメリット2】
国選弁護人や国選付添人は、どの弁護士に頼むかを選ぶことはできません

国選弁護人や国選付添人は、少年や家族が好きな弁護士を選ぶことはできません。
多くの弁護士はしっかり弁護活動をしてくれると思いますが、中には不満を感じる場合もあるでしょう。

また、土日祝日や長期連休中には動かないと決めている弁護士もいます。
働き方改革が叫ばれている現代において、そのことが悪いこととは言い切れませんが、休日に動かない分、弁護活動が遅れてしまい、釈放されるのも遅くなってしまうという可能性もあります。

【デメリット3】
当番・国選は、対象事件が限られています

家庭裁判所に送致される前の段階についての制度である当番弁護士や国選弁護人は、逮捕されている事件でしか利用できません。
比較的軽い事件で、逮捕されずに在宅捜査となった場合には、弁護士のアドバイスを受けられない状態で、取調べなどに対応していかなければならなくなります。

家庭裁判所に移った後の国選付添人は、逮捕されていない事件であっても利用できる場合がありますが、死刑や無期懲役、または上限が3年を超える懲役・禁錮が定められた犯罪をした場合で、かつ裁判所が必要と認めた時に付けてもらえるといった制限があります。
付添人を付けたい場合には、自費で弁護士と契約するか、少年保護事件付添援助制度を利用して弁護士に依頼する必要があります。

少年事件において家庭裁判所は、成人事件と比べて、本人の非行の進み具合や反省度合い、生育環境等を重視する傾向があり、犯した罪の重さと処分が必ずしも比例しません。
特に、今回犯したのが軽い罪であっても、何度も犯罪や非行を繰り返していれば、少年院送致などの重い処分となる可能性が上がります。
したがって、国選付添人が付かない軽い事件であっても、付添人が不要というわけではありません。

また、子供は大人の話に合わせてしまうことが多く、警察官などの取調べにおいて誘導に乗ってしまうような形になり、真実よりも不利な内容の調書を取られてしまう可能性もあります。

したがって、弁護士によるアドバイスがとても重要となってきます。

~私選弁護人・付添人のメリット・デメリット~

自費で自ら選んだ弁護士に依頼することのメリットは、上記の裏返しとなりますが、勾留前に動いてもらえる、少年事件に詳しい弁護士に頼める、土日祝日などにも動ける弁護士を選んで頼める、といったことがあげられます。

逆にデメリットとしてはやはり、弁護士費用を用意する必要があるという点になります。
特に家庭裁判所送致前は、少年保護事件付添援助制度も受けられませんので、負担が大きくなってしまいます。

~まずは一度ご相談ください~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
刑事事件・少年事件に特化した事務所ですので、経験豊富な弁護士が対応いたします。

ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にてご本人と面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、事件や接見の内容をご家族にお伝え致します。
合わせて、弁護士費用等についてもご説明いたしますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない事件では、事務所での法律相談を無料で行っております。

今後の少年の人生に大きく関わるかもしれませんので、まずは一度、0120-631-881までご連絡ください。

山形県の置引き・ネコババで逮捕【窃盗・遺失物横領】

2019-12-28

山形県の置引き・ネコババで逮捕【窃盗・遺失物横領】

窃盗罪や遺失物横領罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
山形県中山町に住むAさん。
ショッピングセンター内のトイレで、置き忘れられた財布を発見しました。
Aさんは
「ラッキー」
と思い、その財布を持ってトイレを出ました。
その直後、置き忘れに気付いた持ち主が戻ってきましたが、財布がなかったことから、慌ててAさんを追いかけ、財布を見なかったか聞きました。
Aさんは知らないと答えましたが、Aさん以外に考えられないと思った持ち主がさらに問いただしました。
マズいと思ったAさんは、突然走り出して逃走しました。
通報を受けた山形署の警察官により防犯カメラの映像の検証等の捜査が行われ、Aさんの身元が判明。
Aさんは逮捕されました。
(事実を基にしたフィクションです)

~窃盗罪または遺失物横領罪が成立~

Aさんはいわゆる置き引きネコババと呼ばれる行為をしたわけですが、状況により、窃盗罪または遺失物横領罪が成立することになるでしょう。

まずは条文を確認してみます。

刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第254条(遺失物等横領)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

どちらも他人の物を持ち去った場合に成立する犯罪ですが、定められた刑罰の重さが大きく違います。
両者の区別は、持ち去った物が他人の占有下にあった場合が窃盗罪、誰の占有下にもなかった場合が遺失物横領罪となります。

たとえば、他人の家に上がり込んで持ち去った場合には重い窃盗罪が成立します。
他人の家の中の物は、たとえ住人が外出中であったとしても、その住人の占有下にあると言えるからです。

一方、たとえば道に落ちていた物を持ち去った場合には比較的軽い遺失物横領罪が成立する可能性が高いです。
持ち主がすぐ近くにいる場合などを除き、その物は誰の占有下にもないといえるからです。

どちらも犯罪であり非難されるべき行為ではありますが、盗られてもしょうがないと言える状況か否かといった点が異なり、犯行の悪質性も異なることから、刑罰にも差があるわけです。

~Aさんは何罪?~

では、Aさんが持ち去った財布は他人の占有下にあったといえるでしょうか。

占有下にあったか否かの判断は、様々な事情をふまえて判断します。

たとえば、持ち主がすぐ近くにいた場合の方が、遠く離れてしまった場合よりも占有下にあったと判断されやすくなります。
今回の事例では持ち主がすぐに戻ってきているので、あまり遠くまで離れていなかったとして、持ち主の占有下にあったと判断される可能性が高くなります。

また、財布は現金やカードなど重要な物が入っており、落としてもいいやと考える人はまずいないことも考えると、比較的持ち主の占有が認められやすくなります。

一方、ショッピングセンターのトイレという多くの人が立ち入る場所に置いてしまったという点は、自宅内など持ち主の管理下にある場所や人の出入りが少ない場所に置いた場合に比べると、持ち主の占有は認められにくくなる要素と言えます。

より細かい状況次第ではありますが、今回のAさんの場合には、持ち主の占有下にあった財布を盗ったとして、重い窃盗罪に問われる可能性も十分考えられます。

~ご相談ください~

逮捕されたAさんに対する今後の刑事手続き流れや、弁護士をどうするかといった点については、詳しくはこちらをご覧ください。
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

逮捕されると、ご本人やご家族は、どのような罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、示談はどうやって行うのか等々、不安点が多いと思いますので、ぜひ一度ご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。

山形県での事件にも対応しておりますので、ぜひ一度ご連絡ください。

岩手県での器物損壊で逮捕

2019-12-27

岩手県での器物損壊で逮捕

酔って店内で暴れて逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
岩手県盛岡市に住むAさん。
友人と居酒屋で忘年会をしていました。
Aさんは店員の態度が気に入らないところがあり、文句を言いましたが、店員はあまり相手にしませんでした。
その態度にさらに腹を立てたAさんは、皿やコップを叩きつけて割るなどの行為に出ました。
間もなくAさんは、通報により駆け付けた盛岡東警察署の警察官により逮捕されました。
(事実を基にしたフィクションです)

~器物損壊罪が成立~

忘新年会の季節。
ついつい飲みすぎて、ハメを外してしまう人もいるでしょう。
しかし、場合によっては犯罪行為となってしまい、年末年始を留置所ですごすといったことにもなりかねないので注意が必要です。

Aさんは皿やコップを壊していることから、器物損壊罪が成立するでしょう。
条文を見てみましょう。

刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

Aさんは「他人の物を損壊し」たとして、3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があるわけです。

~威力業務妨害罪も~

さらにAさんの行為には、威力業務妨害罪が成立する可能性も否定はできません。

第234条(威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による
→前条の第233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する

Aさんは、赤く塗った部分に該当する可能性があります。
234条の「威力」とは、人の意思を制圧するに足りる勢力、などと定義されています。
要するに、乱暴な言葉や行動により、相手の自由意思を制約し、業務を妨害したような場合に、威力業務妨害罪が成立することになります。

Aさんのように居酒屋の店内で皿やコップを叩きつけて割るという行為をすれば、店員は身の危険を感じ、Aさんを止める、警察に通報する、片付けるなどの対応をせざるを得なくなり、通常業務に支障が出てしまいます。
したがって、234条の「威力を用いて人の業務を妨害した」として、前条である233条と同じく、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となってしまう可能性があります。

~弁護士にご相談を~

今後、刑事手続がどのように進んでいくのか、わからないことが多いと思います。
弁護士を自費で頼むか、国選弁護人にするかといった点も悩みどころかもしれません。
これらの点に関して、詳しくはこちらをご覧ください。
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

器物損壊罪も威力業務妨害罪も、条文上は懲役刑の可能性があります。
しかしAさんのような犯行は、犯罪の中では比較的軽い方なので、店舗に弁償して示談を締結するなどの対応をしっかり行えば、前科が付かずに手続きが終了する不起訴処分などの軽い結果に終わることも考えられます。

逮捕されると一気に手続きが進んでいきますので、お早めに弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。

岩手県での事件にも対応しておりますので、ぜひ一度ご連絡ください。

キャッシュカードは切り刻んでも使える【特殊詐欺】

2019-12-26

キャッシュカードは切り刻んでも使える【特殊詐欺】

特殊詐欺を行って逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
Aさんは、宮城県仙台市内の高齢者が一人暮らしをする家に電話をかけ、口座が不正利用されているから、口座を凍結する手続きをするために自宅に伺う旨を伝えました。
その後実際に訪問し、その高齢者の前でキャッシュカードにハサミを入れました。
こうやってキャッシュカードがもう使えなくなったと安心させた上で、Aさんは暗証番号を聞き出しました。
Aさんはその高齢者の自宅を離れた後、Aさんはキャッシュカードをつなぎ合わせてATMに挿入し、聞き出した暗証番号を入力してお金を引き出しました。
その後、被害に気が付いた高齢者が、警察に被害届を提出。
Aさんは仙台北警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~特殊詐欺の新たな手段~

振込め詐欺などの特殊詐欺と言われる犯罪にも色々な手段がありますが、キャッシュカードにハサミを入れてしまうという手段もあり、実際に被害が出ています。
ハサミを入れてしまうと使えなくなってしまう印象がありますが、うまくつなぎ合わせればATMで使えてしまう場合があるようです。

被害者の方々は、目の前でハサミを入れられるともう使えないと安心してしまい、暗証番号を教えてしまったり、被害に気が付いて警察に通報するのが遅れてしまうという効果が生じてしまうわけです。

他にも、キャッシュカード預かってその場で封筒に入れ、中身を入れ替えた上で封筒ごとその場で返却するという手段もあります。
返却してもらったのだから安心だと思わせて、通報を遅らせるという効果があるようです。

一般の方々はこういった被害に遭わないよう、気を付けなければなりませんが、このような犯行をしてしまった場合には、詐欺罪窃盗罪などが成立することになるでしょう。

条文を見てみます。

刑法第246条(詐欺)
第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

まず、キャッシュカードやその口座の預金をだまし取ったなどとして詐欺罪が成立することになるでしょう。
さらに、被害者本人になりすまし、ATMからお金を引き出す行為は、銀行が物理的に占有している現金を盗んだと言えるので、銀行を被害者とする窃盗罪も成立する可能性があるのです。

~ぜひ弁護士に相談を~

逮捕された後の刑事手続きの流れや、弁護士を雇うメリット・デメリットなどについてはこちらをご覧ください。
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

特殊詐欺は往々にして被害金額が多くなり、だまし取ったお金を使ってしまい弁償もできない状況になることから、初犯であってもある程度重い判決が予想されるケースが多いのが特徴です。
ご本人やご家族にとっては不安な点が多いと思いますので、国選にしろ、私選にしろ、弁護士としっかり相談して対応していくのが良いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

特殊詐欺などで逮捕された、取調べを受けるといった場合は、ぜひ一度ご連絡ください。

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