宮城県岩沼市の刑事事件 業務上横領罪と窃盗罪に詳しい弁護士
宮城県岩沼市で小売店で雇われ店長として勤務するAさんは、同店のオーナーに内緒で商品を度々自宅に持ち帰っていました。
商品の在庫管理に不審な点があることに気付いた同店のオーナーは、Aさんに問いただし、Aさんが商品を持ち帰っていることを認めたため、宮城県警察岩沼警察署に被害届を提出しました。
Aさんは、警察官から、業務上横領罪の疑いで取調べのために呼び出されています。
(フィクションです。)
~横領罪になる場合と窃盗罪になる場合~
昨日に引き続き、横領罪に関して解説します。
横領罪とは、他人から預かった他人の物、又は業務上自分が占有している物等を何の権限もなく勝手に売ったり、使ったりすることで成立します。
横領罪が成立するためには、被害物品を誰が占有(物に対する事実上の支配)していたかという点の判断が重要なポイントとなります。
物の占有が被害者にあれば、物を奪ったときに成立する犯罪は、横領罪ではなく窃盗罪になります。
一方、加害者が物の占有をしていたといえる場合、横領罪が成立します。
「窃盗罪」と「横領罪」は、どちらも人の財産を自分の物にしてしまうという点において共通していますが、窃盗罪は「他人が占有する」他人の物を盗るときに、横領罪は、他人の物ではあるけれど自分が預かっている=「自己が占有する」他人の物を委託信任関係に反して領得するときに、それぞれ成立する犯罪であるためです。
今回の事例で考えてみると、Aさんに雇われ店長としての地位に基づいて商品の占有があったかどうかが問題となります。
Aさんが、同店のオーナーから店の管理全てを任されているなど強い処分管理権限を持っていたと認められる場合には、店の商品について事実上の支配をしていたと言えるでしょう。
この場合、「自己が占有する」他人の物を領得したとして業務上横領罪が成立すると考えられます。
一方で、Aさんが名目上の店長であり、処分権限など認められていないような場合には、店内の商品を事実上支配しているとは言い難いです。
この場合、商品を自宅に持ち帰ったときには、業務上横領罪ではなく、「他人の占有」する他人の物を窃取したとして窃盗罪が成立すると考えられます。
占有の有無は、店長であるという立場だけで決まるわけではありません。
店長であっても占有が無いと評価される場合もありえますし、たとえば派遣社員やパート社員でも占有があると評価される場合もあります。
横領罪と窃盗罪のどちらになるのかは、事件毎の細かな事情により異なります。
業務上横領事件でお困りの場合は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで事情を伝えてご相談ください。
(宮城県警察岩沼警察署への初回接見費用:38,400円)