宮城県での業務上過失致死で取調べ

宮城県での業務上過失致死で取調べ

業務上過失致死罪で取調べを受けた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県丸森町で工場を経営するAさん。
従業員がプレス機に挟まれて死亡するという事故が起こってしまいました。
角田警察署などの警察官により現場検証が行われ、社長のAさんも業務上過失致死の疑いで取調べを受けました。
逮捕はされていませんが、今後どうなってしまうのか心配になったAさんは、弁護士に相談することにしました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~業務上過失致死罪~

死亡事故が起きてしまったAさんの工場。
安全対策に不備があり、死亡事故が起きたのではないかということで、Aさんに業務上過失致死の容疑がかけられていることになります。

条文を見てみます。

刑法第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。(以下省略)

条文からすると、業務上過失致死罪が成立するためには、

①業務上必要な注意を怠り
②人を死傷させた
③上記①と②の間に因果関係があること(条文の「よって」に対応)

が必要となります。
より詳しく解説します。

①「業務上必要な注意を怠り」に該当するか否かは、Aさんの工場の業務内容や設備、業界の標準的な安全対策の内容などから考えて、

・具体的にどのような安全対策をすべきだったのか
・その安全対策を採っていたのか

が問題となるでしょう。

②は負傷または死亡という事態になったかどうかということですから、ここが争いになることは少ないでしょう。

③の因果関係が認められるか否かについては、必要な安全対策を採っていても事故が防げなかったといえないかが問題となるでしょう。
たとえば、業界の常識から考えて予想しにくい機械トラブル等が発生した場合や、従業員のとても予想できない不適切な行為があったような場合には、安全対策が不十分だったことを原因として死傷結果が生じたとはいえず、因果関係が認められないことになります。

~今後の刑事手続きの流れ~

このまま逮捕されずに在宅事件として捜査が進む場合、まずは警察においてAさんの取調べや現場検証等の必要な捜査を行い、その捜査結果が記載された書面を検察官に送ります(書類送検)。
そして検察官がAさんの取調べを行ったり、場合によっては補充捜査を警察官に指示するなどしてさらに捜査を進めます。

その後検察官は、(ア)Aさんを正式な刑事裁判にかける(通常起訴)、(イ)不起訴処分にする、(ウ)簡単な手続で罰金刑にする(略式起訴)のいずれかの判断をすることになります。

(ア)は、悪質性が強いので、Aさんを懲役刑あるいは少なくとも執行猶予付きの懲役刑判決を受けさせたいと考えた時になされます。

(イ)は、犯罪が成立しない、または成立するけどもかなり悪質性が低い場合などになされます。
不起訴処分になれば、前科も付かない形で手続が終わります。

(ウ)は、(ア)と(イ)の中間です。
前科は付いてしまいますが、罰金だけ納めてすぐに手続が終わることになります。

~逮捕の可能性はある?~

一般的には、犯罪の内容が悪質なほど、また証拠隠滅や逃亡のおそれが高いほど、逮捕されてしまう可能性も高くなります。
たとえば、他の従業員と口裏合わせをして、安全対策の不備を隠ぺいするような動きがあれば、証拠隠滅の可能性が高いとして、逮捕されるリスクが上がります。

仮に逮捕された場合、最大23日間警察署等に拘束されて取調べ等の捜査を受けた後、上記(ア)(イ)(ウ)のいずれかの流れになります。
(ア)正式起訴となれば、保釈が認められない限り、身体拘束が続いてしまいます。

このような事態を避けるためにも、むやみに証拠隠滅を疑われるような行動をとることはやめた方がいいでしょう。

~弁護士に相談を~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
刑事事件の経験が豊富な弁護士による法律相談を初回無料でお受けいただけます。

法律相談では、今回の事故で業務上過失致死罪が成立するのかを検討し、犯罪の成立を認めない方向で行く方がいいのか、認めて被害者や遺族に賠償して示談を締結し、軽い処分や判決を目指していく方がいいのか、また取調べではどう受け答えしたらいいのか、などのアドバイスさせていただきます。

業務上過失致死罪などで捜査を受けている場合には、ぜひご連絡ください。

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