身代金目的誘拐罪で逮捕

身代金目的誘拐罪で逮捕

身代金目的誘拐罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
岩手県盛岡市に住むAさん。
ショッピングセンターで近所に住む幼稚園児が1人で歩いているところを見つけました。
借金の返済で大変な状況にあったAさんは、とっさにその幼稚園児に対し、
「お父さんとお母さん待ってるから行こう」
などと声をかけ、車に乗せて連れ去りました。
その後、幼稚園児の自宅に公衆電話から電話をかけ、身代金を要求しました。
しかし、ショッピングセンターの防犯カメラなどの検証の結果、Aさんの犯行が発覚。
Aさんは岩手県警の警察官に逮捕され、幼稚園児は保護されました。
(フィクションです)

~身代金目的誘拐罪とは~

身代金を要求する目的で、幼稚園児を誘拐したAさん。
身代金目的誘拐罪が成立することになります。

刑法第225条の2第1項
近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

「憂慮」というのは心配という意味合いです。
また、暴行または脅迫などを用いて連れ去った場合が「略取」、欺く・誘惑するなどを用いて連れ去った場合が「誘拐」です。
暴行というのは殴る蹴るというだけでなく、人に対する有形力の行使全般を指しますので、幼稚園児をいきなり抱えて連れ去ったような場合は暴行を用いた連れ去りとして「略取」になるでしょう。
一方、本事例のように両親がいるとだまして連れ去ったような場合は欺く・誘惑するなどの手段を用いたものとして「誘拐」にあたるでしょう。

したがってAさんは、幼稚園児の家族という「近親者…の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を…誘拐した」として、無期懲役または3年以上の有期懲役ということになってしまいます(余罪がなければ上限は20年。12条1項参照)。

なお、誘拐した時点でこの犯罪は成立しますので、その後、身代金の受取りまでいかなかったとしても、犯罪が成立することに変わりありません。

~解放すれば刑が軽くなる~

今回の事例ではAさんが逮捕されて幼稚園児が保護されましたが、逮捕される前に幼稚園児を解放していれば、刑が軽くなるところでした。

第228条の2
第二百二十五条の二又は第二百二十七条第二項若しくは第四項の罪を犯した者が、公訴が提起される前に、略取され又は誘拐された者を安全な場所に解放したときは、その刑を減軽する。

解放すれば刑が軽くなると定めておくことで、解放することを促そうとする規定です(どれくらい効果があるかはわかりませんが)。
減軽されると、無期懲役の可能性はなくなり、下限も半分になるので、余罪がなければ1年半以上20年以下の懲役となります(刑法68条2号3号参照)。

~刑事手続きの進み方~

逮捕をされたAさんらは、最初に最大で3日間、警察署の留置所等に入れられます。
そして、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

弁護士としては、ご本人が反省していること、前科がない(少ない)こと、計画性に乏しい犯罪だったことなどを主張して、出来るだけ軽い結果となるよう活動していきます。

~すぐに弁護士にご相談を~

逮捕されると、どれくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

逮捕されると手続きも一気に進んでいきますので、ぜひお早めにご相談ください。

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