クレーン車が転倒する死亡事故【業務上過失致死傷罪】
宮城県塩釜市でクレーン車が転倒し、下敷きとなった方々が死亡や負傷する事故がありました。
NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191218/k10012218961000.html
このような事故を起こしてしまった場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~業務上過失致死傷罪~
工事現場などで安全対策が不十分だったことにより事故が発生し、死傷者が出た場合、事故を起こしてしまった作業員やその所属する会社の責任者などは業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。
まずは条文を見てみましょう。
刑法第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
工事現場などでは、事故が起こらないよう、十分な対策を取る必要があります。
しかし安全対策に不十分な点があり、このままでは事故が起こるかもしれないと予想できたのに対策を怠った結果、事故が起きて死傷者が出てしまった場合、「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」に該当してしまうことになります。
もちろん、事故が予想不可能な不可抗力によるような場合には、「業務上必要な注意を怠り」とは言えませんので、業務上過失致死傷罪は成立しません。
裁判になれば、「業務上必要な注意を怠り」に当たるかどうか(別の言い方をすれば過失があったかどうか)が、争いになることもあります。
罰則としては5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が定められています。
事故の原因となった不注意の程度、被害の程度、被害者となった方に謝罪・賠償して示談が締結できたか、前科の有無などにより、どのくらいの刑罰が言い渡されるか、執行猶予が付くか、などの結果が変わってくるでしょう。
なお「禁錮」とは、刑務作業をするかどうかを自由に選べること以外は懲役と同じなので、刑務所に入れられてしまいます。
~労働安全衛生法違反に問われることも~
業務上過失致死傷罪の他、労働災害を防止するために作られた労働安全衛生法に違反するとして、責任を問われる可能性もあります。
事故の内容等により適用される条文が異なりますが、たとえば、次の条文に違反したとされる可能性があります。
第20条
事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)による危険
第24条
事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
第119条
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 …第二十条から第二十五条まで…の規定に違反した者(一部省略)
20条や24条は「事業者は」という主語ではじまっています。
これには法人も含まれるので、事故を起こした法人に対し、罰金刑が言い渡されることも考えられます。
~弁護士に相談を~
今後の刑事事件の手続や、弁護士を頼むことのメリット・デメリットなどについてはこちらをご覧ください。
在宅事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】
警察が動くような事故を起こしてしまった場合、ご本人やご家族は、どのような刑罰を受けることになるのか、示談交渉はどのように行ったらよいのか、取調べにはどう対応したらよいのか等々、不安・疑問な点が多いと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
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接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
業務上過失致死傷罪や労働安全衛生法違反などで捜査を受けている、逮捕されたといった場合には、ぜひご連絡ください。

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