ゴーン被告夫人に偽証罪で逮捕状

ゴーン被告夫人に偽証罪で逮捕状

2020年1月7日、レバノンに逃亡したカルロス・ゴーン被告の夫人に対し、偽証罪での逮捕状が出されたとのニュースが出ました。
偽証罪とは何なのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~偽証罪とは~

偽証罪という犯罪は、あまりニュースなどで見かけない犯罪だと思います。
まずは偽証罪の条文を見てみましょう。

刑法第169条
法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。

証人として刑事裁判に出廷した者は、証言をする前に、「良心に従って真実を述べ,何事も隠さず,偽りを述べないことを誓います。」という内容の宣誓を必ず行うことになります。
昨年4月に証人として出廷し、この宣誓をしたゴーン夫人は、「法律により宣誓した証人」ということになります。

しかしその法廷でゴーン夫人は「虚偽の陳述をした」として、偽証罪の容疑をかけられているわけです。

ゴーン夫人とゴーン被告が国外にいるため、本当に「虚偽の陳述をした」のかどうかは今後明らかになっていくかもわかりません。
日本とレバノンの間では、犯罪者を引き渡すよう求めることが出来る犯罪人引き渡し条約が結ばれておらず、日本はゴーン夫妻の身柄の引き渡しを要求し、国内で取り調べをしたり裁判にかけたりできない状況だからです。

したがって、そもそもゴーン夫人の逮捕状をとったところで、ゴーン夫人を逮捕できる可能性も低いでしょう。
しかし、ゴーン被告が保釈の条件として夫人と会うことを禁止されていたことが国際人権規約に反するなどと主張していました。
そこで東京地検特捜部は、夫人による証拠隠滅の疑いがあったから面会を禁止されていたのだというアピールをするという意味もあり、逮捕状を求めたのではないかと言われています。

~裁判前なのに法廷で偽証?~

ゴーン被告の裁判は今年4月から始まる予定でした。
そこで、昨年4月に夫人が法廷で偽証したというのはどういうことなのかと思われる方もいるかもしれません。

しかし、裁判が始まる前でも、裁判所で証人尋問をするケースがあります。
刑事訴訟法の条文を見てみましょう。

刑事訴訟法第223条1項
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。
第226条
犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。

検察官らは、223条1項により、参考人の取調べを任意で行うことができます。
これはあくまでも任意ですから、その参考人が取調べを拒否することもできます。
しかし拒否した場合であっても、その参考人が犯罪捜査に必要不可欠な情報を知っていることが明らかと認められるという場合には、226条に基づいて、裁判官が許可をすれば、裁判前にも裁判所で証人尋問を例外的に行うことができるのです。

ゴーン被告の逮捕後、ゴーン夫人が出国したといった事情もあり、226条に基づいて証人尋問が行われました。
その際、ゴーン夫人は宣誓をした上で陳述をしましたが、その際に記憶と反する陳述をしたとして、偽証罪の容疑がかけられているということになります。

~弁護士に相談を~

一般の方々の場合であっても、ご家族が犯罪に問われているときに、家族を守るためにウソの陳述をしてしまう、あるいはしたくなるケースがあるかもしれません。
しかし、偽証罪に問われる可能性もあるわけですので、事前に証人尋問の内容については、弁護士としっかり打合せをしておく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。

ご家族との打ち合わせもしっかり行って参りますので、ぜひ一度ご相談ください。

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