Archive for the ‘財産事件’ Category
警察官の身分証偽造で逮捕【有印公文書偽造】
警察官の身分証偽造で逮捕【有印公文書偽造】
有印公文書偽造罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県名取市に住むAさん。
知人数名と一緒に特殊詐欺をしており、Aさんは高齢者の家に行って金銭や通帳などを受け取ってくる受け子の役割を担っていました。
Aさんは、ターゲットとなった高齢者を安心させるため、警察官の身分証を偽造し、首から下げて住宅地を回っていました。
その時、ちょうどパトロール中だった岩沼警察署の警察官とすれ違う形になりましたが、警察官は自分の身分証と似ているものをAさんが首から下げていることに気が付きました。
警察官は不審に思い職務質問。
身分証は偽造されたものであることが判明し、Aさんは緊急逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~有印公文書偽造罪とは~
警察官の身分証を偽造したAさん。
有印公文書偽造罪という犯罪が成立してしまうでしょう。
刑法第155条1項
行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
今回のAさんは、赤で色付けした部分が問題となります。
つまり、
①行使の目的で
②公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して
③公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造
すると、有印公文書偽造罪が成立します。
Aさんは特殊詐欺(振り込め詐欺などの総称)を行う際に、相手を安心させるために見せる目的で身分証を作ったのでしょうから、①「行使の目的」があります。
また、Aさんが作成した身分証には、宮城県警などの文字や印影等を入れたでしょうから、②「公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して」といえます。
このような印章や署名(プリントも含む)が入っている場合のことを有印といいます。
有印の場合、無印よりも信頼性が高い文書とされ、これを偽造されてしまうと影響が大きいことから、無印の場合(155条3項・3年以下の懲役または20万円以下の罰金)よりも重い刑罰が定められています。
そして警察が作成すべき身分証という文書を、警察が発行したものと装って自ら作成しているので、③公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造したことになります。
以上により、有印公文書偽造罪が成立することになるでしょう。
~行使罪や詐欺罪などにも問われる可能性~
Aさんは、偽造した身分証を訪問した家の高齢者などに見せていたでしょうから、偽造公文書行使罪にも問われるでしょう。
第158条1項
第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
また、特殊詐欺をしていたわけですので、当然、詐欺罪あるいは詐欺未遂罪にも問われることになるでしょう。
第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条
この章の罪の未遂は、罰する。
~弁護士にご相談を~
逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/
刑事裁判が始まるまでの間だけでも、最大で23日間、警察署等に拘束される可能性があります。
さらに、Aさんは有印公文書偽造の容疑で緊急逮捕されたわけですが、さらに詐欺罪等で逮捕される可能性もあります。
そうなると、拘束期間が延びてしまうということになってしまいます。
他にも、どのくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、わからないことが多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
有印公文書偽造罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。
認知症の高齢者をだまして逮捕【準詐欺罪】
認知症の高齢者をだまして逮捕【準詐欺罪】
認知症の高齢者からお金をだまし取り、準詐欺罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県内に住むAさんは、訪問販売をする会社で働いていました。
ある日、多賀城市内の住宅を回っていたところ、偶然、認知症の高齢者Vさんが一人暮らしをしている家に訪問しました。
会社の商品の売り込みもしましたが、
「この人ならもっとおいしい思いができるんじゃないか」
と考えたAさんは、その後も何度かVさん宅を訪問し、世間話をして距離を縮めたところで、
「学生時代の奨学金を返すのが大変なんですよ」
などとウソを言って、お金に困っていることをアピールしました。
そうするとVさんは、
「あなたには頑張ってほしいから、私も応援するわ。また明日来てちょうだい」
と言いました。
翌日AさんがVさん宅を訪れると、Vさんは用意していた100万円をAさんに渡しました。
後日、100万円をあげたことをVさんの子供が知ることとなり、警察に被害届を提出。
Aさんは塩釜警察署の警察官に逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~準詐欺罪とは~
認知症の高齢者Vさんに対し、お金に困っていると嘘をついてお金をもらったAさん。
Vさんは、自発的にお金をあげた面もありますが、それでもAさんには準詐欺罪という犯罪が成立する可能性があります。
まずは条文を見てみます。
刑法第248条
未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。
これが準詐欺罪の条文です。
未成年者や知的障がい者、認知症の方など、知識や判断能力が万全ではないことに乗じて、財物を交付させるなどの行為を罰する規定となります。
ただし、一般の方でも被害に遭いかねない方法を用いて財物を交付させた場合には、未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に「乗じて」財物を交付させたわけではありませんので、通常の詐欺罪が成立します。
また、だまされたとか、知識・判断能力に劣るからお金を渡したのではなく、完全に自発的に贈与した場合には、準詐欺罪も詐欺罪も成立せず無罪ということになるでしょう。
~今回は有罪か~
Aさんの場合は、いずれかの罪で有罪となるでしょうか。
たしかに一般の方であっても、奨学金で困っているということ自体は本当だと信じてしまう可能性はあるかもしれません。
とはいえ、正常な知識・判断能力がある人が、訪問販売でたまたま訪れた人に対し大金をあげるということはほとんどないでしょう。
そうすると、一般の方でも被害に遭いかねない方法を用いて財物を交付させたわけではないので、詐欺罪は成立しないでしょう。
逆に、判断能力は正常で、完全に自発的に贈与したから無罪とも言いづらいでしょう。
したがって、準詐欺罪が成立する可能性が高いといえます。
~一度弁護士にご相談を~
逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/
逮捕されると、いつ釈放されるのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、わからないことが多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。
準詐欺罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。
不正融資で逮捕【特別背任罪】
不正融資で逮捕【特別背任罪】
特別背任罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県内の某銀行支店で支店長を務めるAさん。
貸付先のB社の経営が傾きかけ、このままでは倒産してしまう危険性がありました。
B社社長から豪華な接待を受けるなどして追加融資を依頼された上、不良債権になり自らの業績に響くことも嫌ったAさんは、B社の経営が立ち直る見込みが低いにもかかわらず、追加で貸付けを行いました。
一時的にB社の資金繰りにプラスにはなりましたが、抜本的な経営改善には至らず、結局、B社は倒産してしまいました。
追加融資したことで銀行の損失が広がったことから、Aさんは銀行から告訴され、宮城県警により逮捕されてしまいました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~特別背任罪とは~
不正融資を行い、銀行に損失を与えてしまったAさん。
会社法に規定された特別背任罪という犯罪が成立する可能性があります。
条文を見てみましょう。
会社法第960条1項
次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3号 取締役、会計参与、監査役又は執行役
6号 支配人
一部省略しましたが、この条文は会社の取締役など重要な地位にある人が不正な行為を行うと、権限が大きい分、会社の損害も大きくなりかねないということで、刑法に規定された背任罪(5年以下の懲役または50万円以下の罰金)よりも重い刑罰を定めて、不正行為を防ごうとしているわけです。
この条文によれば、特別背任罪が成立するためには、
①各号に規定された立場の人が、
②自分や第三者の利益を図り、または株式会社に損害を加える目的で(図利加害目的)
③任務に背く行為をし
④会社に財産上の損害を加えた
という条件を満たす必要があります。
以下、Aさんの場合を検討してみます。
~①各号に規定された立場の人~
6号にある「支配人」というのは、支店や店舗などのトップのことを指します。
したがって、銀行支店長のAさんは「支配人」に該当しますので、①をみたします。
~②図利加害目的~
今回の追加の貸し付けが、これまでの貸付金の不良債権化を防ぎ、銀行にとってもプラスになるというのを主な目的でなされたのであれば、この要件を満たしません。
しかしAさんは、追加融資をしてもB社の経営が立ち直る見込みが低いにもかかわらず、自分の業績が下がることを防いだり、第三者であるB社が倒産することをとりあえず防ぐという目的で追加融資を行っています。
したがって、銀行への「加害」目的まではないかもしれませんが、自己や第三者への「図利」(とり)目的はあると言えるので、②を満たすということになります。
~③任務に背く行為~
今回は追加融資をしてもB社の経営が立ち直る見込みが低い状況でした。
そうすると、これ以上不良債権が増えないように、追加融資を行わないという判断をし、銀行の損失を最小限にすることが銀行支店長の任務として求められていたと言えます。
Aさんは、この任務に背く行為をしたわけですから、③も満たすことになります。
~④会社に財産上の損害を加えた~
追加融資により不良債権が増えてしまったわけですので、④も満たすことは明らかです。
以上により、Aさんの行為には特別背任罪が成立することになるでしょう。
~お早めに弁護士にご相談を~
逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/
弁護士としては、まずは勾留を防いで早期釈放を目指すとともに、軽い処分や判決となるよう活動していくことになります。
逮捕されると、いつ釈放されるのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、わからないことが多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。
特別背任罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。
強盗の準備をして逮捕【強盗予備罪】
強盗の準備をして逮捕【強盗予備罪】
強盗をする準備をして強盗予備罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県仙台市太白区に住むAさん。
以前勤めていた会社の社長Vさん宅に、知人数名と一緒に窃盗に入ることにしました。
犯行日時や役割分担などを決め、Vさんに見つかった場合にはナイフで脅して金を奪うという計画まで立てました。
そしてナイフや金目の物を入れるためのバッグも用意しました。
ところが犯行直前になって、仲間の1人が怖くなって仙台南警察署に相談。
その情報をもとに、警察が犯行予定日時にVさん宅周辺に張り込みしていたところ、何も知らないAさんらが現れました。
すぐさま警官が取り囲み、Aさんらは強盗予備の容疑で逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~強盗予備罪とは~
仲間と共に窃盗の計画だけでなく、場合によってはナイフで脅すという強盗の計画まで立てて、ナイフやバッグを用意するなどの準備を行っていたAさんたち。
まだ窃盗や強盗自体を行ったわけではありませんが、このような準備をした時点で強盗予備罪という犯罪が成立してしまいます。
条文を見てみましょう。
刑法第237条
強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。
つまり、
①強盗目的で
②その準備をすると
強盗予備罪が成立するということになります。
以下、今回の事例が①と②を満たしているか検討していきましょう。
~①強盗目的~
この強盗目的とは、暴行・脅迫を用いて物を奪い取る強盗を最初からするつもりの場合はもちろん、とりあえず空き巣(窃盗)をするつもりだが家主に見つかったら強盗の手段も辞さないという居直り強盗の計画がある場合も含まれます。
Aさんたちの場合も、最初から強盗で行こうとはしていませんが、場合によってはナイフで脅して金を奪うという強盗をするつもりであったので、①強盗目的があると言えます。
~②強盗の準備~
強盗の準備としては、強盗に必要な凶器などを調達したり、下見に行ったり、凶器などを持ってどの家に入ろうかと物色・徘徊するような行為が該当します。
Aさんたちは凶器となるナイフや現金を入れるバッグを準備していますし、まさにこれら凶器などを持ってVさん宅の近くまで来たわけですから、②強盗の準備をしたといえます。
以上により①と②両方を満たすので、Aさんたちには強盗予備罪が成立するということになります。
~刑事事件はどう進んでいくのか~
逮捕をされたAさんたちは、最初に最大3日間、警察署の留置所等に入れられます。
そして、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
勾留がされるか否かは事件次第ですが、前科があったり、今回行った犯罪が重かったり、犯行を否認していると、刑罰から逃れたいとはずだと判断され、逃亡や証拠隠滅の可能性が高いとして勾留されやすくなる傾向にあります。
また、共犯がいる事例では口裏合わせをする可能性があるなどの理由により、証拠隠滅の可能性があると判断される可能性が高くなる傾向にあります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
勾留されたまま起訴された場合には、保釈請求をして認められない限り、身体拘束が続くことになります。
そして判決で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
~すぐに弁護士にご相談ください~
逮捕されると、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けそうか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
仮に逮捕されていなかったり、既に釈放された場合には、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
逮捕されると手続きも一気に進んでいきますので、ぜひお早めにご相談ください。
土地を無断使用して取調べ【不動産侵奪罪】
土地を無断使用して取調べ【不動産侵奪罪】
不動産侵奪罪で取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県大崎市に住むAさん。
自宅敷地に畑があります。
隣の家に住むVさんの敷地との境界線が曖昧なのをいいことに、徐々に耕作範囲を広げて、Vさんの敷地部分も畑として利用していました。
後日、Vさんが敷地の売却を検討し、測量をした結果、登記簿記載の面積よりも狭くなり、不審に思って詳しく調べたところ、Aさんの行為が判明。
VさんはAさんに畑として使うのをやめるよう言いましたが、Aさんは聞き入れようとしませんでした。
困ったVさんは警察に被害届を提出。
古川警察署からAさんに連絡が入り、事情を聞きたいから署まで来るように言われました。
Aさんは、警察沙汰になったことに驚き、これから逮捕されるのではないかと不安になりました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~不動産侵奪罪とは~
隣の家の敷地を勝手に畑として使っていたAさん。
民事上、Vさんから損害賠償請求を受ける可能性があるほか、不動産侵奪罪という犯罪が成立してしまう可能性があります。
刑法第235条の2
他人の不動産を侵奪した者は、十年以下の懲役に処する。
「侵奪」とは、不動産に対する他人の占有を排除し、自己または第三者の占有に移すことをいいます。
今回問題となっている土地はVさんが自宅敷地として占有していたわけです。
しかしAさんはこの土地を畑として利用することによって、Vさんの占有を排除し、自己の占有に移したということになるので、「侵奪」に該当します。
したがってAさんは「他人の不動産を侵奪した者」として、10年以下の懲役に処せられる可能性があるわけです。
~今後の流れは?~
このまま逮捕されずに在宅事件として捜査が進む場合、まずは警察においてAさんの取調べや現場検証等の必要な捜査を行い、その捜査結果が記載された書面を検察官に送ります(書類送検)。
そして検察官もAさんの取調べを行うなどの捜査をした上で、Aさんを正式な刑事裁判にかけるか(起訴)、または不起訴処分にするか、という判断をします。
起訴されると、不動産侵奪罪には罰金刑の定めがないですから、良くても執行猶予付きの有罪判決となり、前科が付いてしまいます。
逆に不起訴処分は、犯罪が成立しない、証拠が不十分、犯罪が成立しているけど軽微な事件なので今回は不問にする、といった場合になされます。
前科も付かない形で手続が終わることになります。
~逮捕の可能性はある?~
一般的には、犯罪の内容が悪質なほど、また証拠隠滅や逃亡のおそれが高いほど、逮捕されてしまう可能性も高くなります。
仮に逮捕された場合、最大23日間警察署等に拘束されて取調べ等の捜査を受けた後に、在宅事件と同様、起訴するか不起訴にするかの判断がなされます。
起訴となれば、保釈が認められない限り、身体拘束が続いてしまうことも制度上はあり得ます。
今回は比較的単純な事件であり、しかもいきなり逮捕されずに呼び出されただけということを考えると、Aさんが逮捕される可能性は低いかもしれません。
しかし、万が一にも逮捕されないように、さらには不起訴処分となるように、すみやかに土地を返還する、損害を賠償して示談をする、などの対応が必要となります。
~弁護士に相談を~
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
刑事事件の経験が豊富な弁護士による法律相談を初回無料でお受けいただけます。
万が一逮捕されている場合には、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にてご本人に面会(接見)し、事件内容をお聴き取りした後、疑問点にお答えしたり、今後の手続の流れのご説明やアドバイスなどを致します。
接見後には、その結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
不動産侵奪罪などで捜査を受けている場合には、ぜひご連絡ください。
スキミングで逮捕
スキミングで逮捕
クレジットカードのスキミングで逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
某家電量販店のアルバイト店員であるAさん。
レジに置いてあるクレジットカードの読み取り機に、社員の目を盗んでスキミング用の機械を取り付けました。
その後、お客さんがクレジットカードを利用するごとに、カード情報を取得することに成功しました。
しかし、そのカード情報を実際に悪用する前に、社員がカード読み取り機の異変に気が付き、スキミングがされていることが発覚。
すぐに警察に通報し、悪用は未然に防止されました。
店舗の防犯カメラ映像などからAさんの犯行が発覚し、Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)
~スキミングで成立する犯罪~
カード情報を不正に抜き取るスキミングの手口には様々ありますが、カードを読み取る機械に、一見してわからないようにスキミング用の機械を取り付ける例もあり、利用者としては怖いところです。
スキミングをした場合、「支払用カード電磁的記録不正作出準備罪」という長い名前の犯罪が成立します。
刑法第163条の4第1項
第百六十三条の二第一項の犯罪行為の用に供する目的で、同項の電磁的記録の情報を取得した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。情を知って、その情報を提供した者も、同様とする。
「第百六十三条の二第一項の犯罪行為」とは、カードの偽造です。
カードを偽造するために、カード情報を取得した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金ということになるわけです。
また、スキミング用の機械を取り付けたが、スキミングする前にバレたり、不具合によりうまく情報取得が出来なかった場合にも、未遂として処罰される可能性があります。
第163条の5 第百六十三条の二及び前条第一項の罪の未遂は、罰する。
~偽造に成功した場合は~
事例では、取得されたカード情報を悪用する前にAさんが逮捕されましたが、情報を使って偽造カードを作った場合には「支払用カード電磁的記録不正作出罪」が成立します。
第163条の2第1項
人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。
さらに、偽造したカードを使うところまでいってしまえば、「不正作出支払用カード電磁的記録供用罪」の他、事案によっては電子計算機使用詐欺罪などが成立する可能性があります。
同条2項
不正に作られた前項の電磁的記録を、同項の目的で、人の財産上の事務処理の用に供した者も、同項と同様とする。
第246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。
このようにカード偽造に関わると、多くの犯罪が成立してしまう可能性があるのです。
~刑事手続きの流れ~
逮捕をされたAさんは、最初に最大で3日間、警察署の留置所等に入れられます。
そして、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が、被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタート。
無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。
~弁護士にご相談を~
逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。
スキミングなどで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。
レジでの追加注文詐欺で逮捕
レジでの追加注文詐欺で逮捕
店員を慌てさせてお釣りを多くもらい、詐欺罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県仙台市青葉区に住むAさん。
コンビニで普通に買い物をするように装い、レジで1万円札を出し、お釣りのお札を受け取ったところで、
「あ、このチキン追加で。あとこれもかな。やっぱりこれはやめてこっちに代えます」
などと矢継ぎ早に追加注文をして、店員を慌てさせました。
そして何とか店員が商品を用意し終えて会計の段階になり、
「さっき渡した1万円でお願いします」
と言いました。
てんやわんやになっていた店員は、お釣りとしてお札をすでに渡したことを忘れてしまい、改めてお札と小銭のお釣りをAさんに渡しました。
Aさんは最初からお札部分のお釣りの二重取りを狙っていたのです。
その日の夜、レジ締めで金額が合わないことが判明した店長は、対応した店員や防犯カメラを確認し、Aさんが二重取りしたことが判明。
店長は、Aさんが二重取りを狙って行ったものだろうと考えたことから、仙台中央警察署に相談。
するとAさんについては他のコンビニからも相談が寄せられていたことから、警察もAさんが狙って行った犯行と判断。
Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~店員を慌てさせて詐欺~
今回のAさんのような手段を用いた犯行は昔からあるようですが、最近でもチラホラ耳にします。
お釣りが自動で出てくるレジを採用している店舗を除き、今後もありうる犯行といえます。
Aさんは、「上手くいけばラッキー」という軽い気持ちでしてしまったのかもしれませんが、立派に詐欺罪が成立してしまうでしょう。
刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
お札をもらった段階で大量の追加注文をして店員を慌てさせ、まだお釣りをもらっていないと勘違いさせたことは、「人を欺いて」に当たるでしょう。
これにより、改めてお釣りを受け取ったわけですから、「財物を交付させた」といえます。
したがって、10年以下の懲役となってしまう可能性があります。
なお、Aさんの場合は余罪があるようですので、一度に他の犯行も裁判にかけられた場合には、15年以下の懲役ということになってしまいます。
第45条
確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。(以下省略)
第47条
併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。(以下省略)
~本当に間違って受け取った場合は?~
Aさんが、詐欺をするつもりではなく、本当にAさん自身もまだお釣りをもらっていないと勘違いして二重取りしてしまった場合には、詐欺罪の故意がなく、犯罪は成立しないのが原則です。
第38条1項
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。(以下省略)
ただし、最初から詐欺をするつもりがなかったとしても、二重にお釣りをもらった段階でおかしいと気づいたのに、店員に申し出ないまま店舗から立ち去った場合にも、詐欺罪が成立するでしょう。
また、すでに店舗を離れてから気づいたが、そのまま自分のお金にしてしまった場合にも、少し罪は軽くなりますが占有離脱物横領罪が成立する可能性があります。
第254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
いずれにしろ犯罪となってしまうかもしれませんので、気づいた時点で素直に申し出るべきだったということになります。
~弁護士に聞いてみる~
逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/
逮捕されると、ご本人はもちろん、ご家族も不安な点が多いと思いますので、ぜひお早めにご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。
詐欺罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。
強制執行逃れの財産譲渡で逮捕
強制執行逃れの財産譲渡で逮捕
強制執行妨害目的損壊等罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県仙台市泉区で会社経営をするAさん。
経営が傾いて銀行からの借金を返せなくなり、このままでは会社で所有している土地建物への強制執行が免れない状況となっていました。
銀行に取られるくらいなら、親戚に土地建物を譲ってしまおうと考えたAさん。
親戚のBさんに相場より安い価格で土地建物を売却してしまいました。
その後、銀行がこの事実を把握して警察に相談。
Aさんは、泉警察署の警察官に逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~強制執行妨害目的損壊等罪とは~
強制執行を逃れようとして、土地建物を親戚に安く売却したAさん。
民事上は、詐害行為取消権(民法424条1項)の行使により、売買は取り消されてしまう可能性があります。
しかしそれだけではなく、犯罪まで成立してしまいます。
長い罪名ですが、強制執行妨害目的損壊等罪に問われる可能性があります。
刑法第96条の2
強制執行を妨害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第三号に規定する譲渡又は権利の設定の相手方となった者も、同様とする。
第3号 金銭執行を受けるべき財産について、無償その他の不利益な条件で、譲渡をし、又は権利の設定をする行為
この条文をもとにすると、
①強制執行を妨害する目的で
②金銭執行を受けるべき財産について
③無償その他の不利益な条件で譲渡等
を行えば、犯罪が成立することになります。
Aさんには、土地建物を銀行に取られまいとしていたので、①「強制執行を妨害する目的」があります。
②の「金銭執行」とは、金銭債権についての強制執行のことです。
銀行は、Aさんに対する金銭債権について、土地建物を売却するなどして埋め合わせしようとしていたわけですから、土地建物は②金銭執行を受けるべき財産にあたるといえます。
③については、親戚のBさんに相場通りの価格で売却していれば該当しませんが、今回は相場より安い価格で売却しているので、Aさんは③不利益な条件で譲渡したと言えます。
以上により①②③を満たすので、強制執行妨害目的損壊等罪が成立することになるでしょう。
~Bさんも同罪~
第96条の2には、「情を知って、第三号に規定する譲渡又は権利の設定の相手方となった者も、同様とする。」とあります。
つまり、強制執行を妨害する目的があると知って、無償または安く財産を譲り受けた人も、共犯として処罰されるということになります。
したがって、土地建物を安く譲り受けた親戚のBさんも、強制執行を妨害する目的があることを知っていたのであれば、処罰される可能性があるということになります。
~刑事手続きについて~
逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/
逮捕されると、どのような罪が成立するのか、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのか等々、不安点が多いと思います。
手続きは一気に進んでいきますので、お早めに弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。
強制執行妨害目的損壊等罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。
宮城県での業務上横領で逮捕
宮城県での業務上横領で逮捕
業務上横領罪などで逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県仙台市太白区にある会社で経理を担当するAさん。
社長が経理のチェックを細かく行わないことに乗じて、勝手に会社名義の小切手を振り出して換金し、自分の遊興費や借金の返済に使っていました。
しかし1年ほどして会社口座から、使途不明の出金があることに社長が気が付き、Aさんの着服が発覚。
Aさんは着服分を返金できるだけの資金がなかったので、会社は警察に被害届を提出。
Aさんは仙台南警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~業務上横領罪~
Aさんが会社の経理担当として、会社にとって必要な小切手の振出業務を担当していたのであれば、今回のAさんの行為には業務上横領罪が成立する可能性があります。
条文を見てみましょう。
刑法253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
この条文をもとに業務上横領罪の成立要件を簡単に整理すると、
①業務上、他人の物を占有していること
②その物を横領したこと
が必要となります。
以下、順番に検討します。
①業務上、他人の物を占有していること
ここでいう占有とは、物理的に持っているという意味だけではなく、処分権限があるなど法的に支配している場合も含まれます。
会社の小切手の振出業務を担当しているAさんが小切手を発行すれば、会社の口座から小切手記載の金額が引き落とされます。
したがって、Aさんは会社口座の預金の処分権限があるということになり、預金を法的に支配していると言えるのです。
以上により、Aさんは経理担当としての「業務上」、会社の預金という「他人の物」を「占有」していることになり、①をみたします。
②その物を横領したこと
「横領」とは、簡単に言うと、本人でなければ出来ないようなことを勝手にする、という意味合いです。
自己の遊興費や借金返済に充てるために小切手を振り出す行為は、預金の名義人でなければできない行為です。
このような行為を勝手に行ったAさんは、「横領した」と言えるわけです。
したがって、Aさんの行為には業務上横領罪が成立してしまうということになるでしょう。
~振出権限がなければ窃盗罪~
仮にAさんが小切手の振出担当者ではない場合、あるいは振出には社長や上司の決裁が必要な場合、会社の預金の処分権限があるとはいえず、①他人の物を占有しているとはいえません。
したがって業務上横領罪は成立しないことになります。
しかし代わりに、窃盗罪が成立することになるでしょう。
第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
「窃取」とは簡単に言うと、他人が占有する財物を勝手に自分の占有に移すことなどを言います。
会社や小切手振出の担当者という「他人が占有する」、会社の預金という「財物」を、小切手を使って引き下ろすという方法で「勝手に自分の占有に移す」、という行為に出たわけですから、「窃取」したということになります。
したがって窃盗罪が成立してしまうということになるでしょう。
~逮捕された後の流れは?~
逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/
逮捕されると、どのような罪が成立するのか、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。
業務上横領罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。
岩手県での万引きで逮捕
岩手県での万引きで逮捕
万引きをして窃盗罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
岩手県盛岡市に住むAさん。
たびたび、書店やドラッグストアなどで万引きをしていました。
この日も某書店で本を一冊カバンに入れ、会計をせずに店を出ようとしたAさん。
しかし店員に呼び止められたことから、走って逃げ出そうとしました。
しかし転倒してすぐに店員に取り押さえられる結果に。
そして駆け付けた盛岡東警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~窃盗罪が成立~
書店で万引きをしようとしたAさん。
失敗に終わって逮捕されてしまいましたが、窃盗未遂罪ではなく窃盗罪が成立してしまうでしょう。
条文を確認してみます。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
「窃取」という聞き慣れない言葉が使われていますが、簡単に言うと、他人の物を自分の占有下に移すことをいいます。
どの時点で自分の占有下に移ったと言えるかは難しい問題ですが、本はカバンに入れてしまえば、外から未会計の本があることは通常わかりませんし、そのまま持って帰ることも容易です。
したがってカバンに入れた時点で自分の占有下に移ったとして、窃盗罪が成立してしまうでしょう。
最終的に取り押さえられて万引きに失敗したことは、窃盗罪が成立した後の事情にすぎません。
なお、理論的には、万引きしようとして本を手に取った時点で、窃盗未遂罪が成立するでしょう。
第243条
第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。
未遂にとどまれば、その分、検察官の処分や裁判所の判決が軽くなるでしょう。
しかし、万引きの場合、後で会計するつもりだったという言い逃れを許さないため、店を出たあたりで店員や万引きGメンが声をかけることが多いので、捕まった時点では窃盗罪が成立していることが多いです。
~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~
逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そして、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。
これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。
まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留決定しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そして、本人が反省している、前科がない、家族の監督が見込める、弁護士を通しての示談が見込めるといった事情があれば、勾留されない可能性も上がってきます。
そこで弁護士としては、検察官や裁判官に対し、これらの事情を主張するなどして、勾留を防ぎます。
また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
特に初犯であれば、お店に弁償して示談が成立したといった事情があれば、不起訴処分となることも十分考えられます。
また、起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
そこで、被害者に賠償をして示談を締結するなどの活動をし、不起訴処分や略式起訴で済むことを目指していきます。
~弁護士にご相談を~
万引きで逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、示談はどう進めたらよいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。
万引きで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。
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