Archive for the ‘経済事件’ Category
詐欺被害者が監禁・恐喝で逮捕
詐欺被害者が監禁・恐喝で逮捕
宮城県名取市に住むAさん。
知人のVさん投資話を持ち掛けられました。
「必ず儲かるし、元本の返還は保証する」というVの説明を信じ、100万円を渡しました。
しかし投資は失敗。
AさんはVさんに100万円の返還を要求しましたが、拒否されました。
頭に来たAさんはVさんを自宅に連れ込み、殴る蹴るの暴行を加えて返還を要求。
Vさんはなおも拒否しましたが、Vに打撲等の怪我を負わせました。
後日、詐欺等による逮捕を免れないと判断したVは自首するとともに、Aの監禁や暴行について被害届を提出。
Aは岩沼警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)
~Aさんに成立する犯罪~
Aさんの行為には、監禁致傷罪や恐喝未遂罪が成立する可能性があります。
刑法
第220条(逮捕及び監禁)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
第221条(逮捕等致死傷)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第249条1項(恐喝)
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条(未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。
220条の「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能または著しく困難にして、行動の自由を奪うことをいいます。
AさんはVさんを自宅に連れ込んでいることから、Vが逃げられない状況になっていれば、監禁罪が成立することになるでしょう。
さらに、監禁の現場でVに傷害を負わせているので、221条の監禁致傷罪が成立する可能性もあります。
同条に「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」とあるのは、監禁罪と208条の傷害罪の法定刑を比較し、下限も上限も重い方を基準として、刑罰を決めるということです。
具体的には、懲役の下限は3カ月以上とされている監禁罪の方が重く、上限は15年以下とされている傷害罪の方が重いので、3カ月以上15年以下の懲役となります。
また、金銭の返還を要求した点については、恐喝未遂罪が成立する可能性があります。
仮に、AがVに対し金銭の返還を請求する権利があるとしても、監禁や暴行という社会的相当性を欠く手段により返還を迫ることは犯罪行為となりうるということです。
なお、相手方が反抗出来ないような強度の暴行を加えた場合には、より重い強盗致傷罪が成立する可能性もあるので注意が必要です。
第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~
逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして判決が確定すれば、刑罰を受けることになります。
これらの手続に関し弁護士は、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを具体的事実に基づいて主張して釈放を目指したり、Vさんと示談を行って被害が回復されていることを主張するなどし、判決が重くならないよう弁護活動を行います。
~弁護士に相談を~
逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、被害者との示談をどう進めたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、身体拘束されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
監禁致傷や恐喝などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。
賭けマージャンで逮捕
賭けマージャンで逮捕
仙台市宮城野区に住むAさん。
昔からギャンブル好きで、パチンコ、競馬、競輪、競艇など、様々な賭け事に興じてきました。
これら適法な賭け事にとどまればよかったものの、1年ほど前から賭けマージャンを始め、1回で数万円から10万円程度の金銭が動くこともありました。
賭けマージャン仲間が別の犯罪で逮捕されたことをきっかけとして、賭けマージャンにAさんもかかわっていることが警察に発覚。
Aさんは仙台東警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)
~賭け事に成立する犯罪~
賭けマージャンをしたAさんには、賭博罪、あるいは常習賭博罪が成立する可能性があります。
刑法第185条
賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。
第186条1項
常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
第2項
賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
賭けマージャンを1回しただけ、あるいはごくたまに、何度かやったことがある程度であれば、185条の賭博罪で済む可能性があります。
しかし、繰り返し行っているような状況だと、186条1項の常習賭博罪が成立し、懲役刑になる可能性も出てきます。
なお、185条にあるように、「一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるとき」に犯罪は成立しません。
たとえば常識的な金額の範囲内のご飯代をかけるといった程度であれば、賭博罪や常習賭博罪は成立しないでしょう。
しかし、Aさんのように何万円も賭けると、賭博罪や常習賭博罪が成立する可能性が高いです。
~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~
逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして判決が確定すれば、刑罰を受けることになります。
これらの手続に関し弁護士は、以下のような弁護活動を行います。
まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことによる本人や家族などの不利益を具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。
それでも勾留されてしまった場合には、準抗告という不服申し立て続きを行って、釈放を目指すこともあります。
また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
そこで、本人が反省していること、会社を解雇され社会的制裁を受けていることや前科がないことなど有利な事情を出来る限り主張して、不起訴処分にするよう検察官にお願いしていきます。
起訴されてしまった場合には、釈放を目指して保釈申請を行います。
そして、裁判においても、本人に有利な事情を主張し、執行猶予などの軽い判決で済むよう弁護していきます。
~ぜひ弁護士に相談を~
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、身体拘束されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、今後の刑事手続の見通しや、取調べでの受け答えの仕方のアドバイスなどを致します。
賭博罪や常習賭博罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。
元本保証して出資金を集め逮捕
元本保証して出資金を集め逮捕
仙台市太白区に住むAさんは、IT関連のベンチャー企業の社長を名乗る30代男性。
ある目ぼしい投資案件を見つけたので投資したいと思いましたが、資金が足りません。
そこで、知人やその紹介者など多くの人に声をかけ、出資をお願いしました。
Aさんは、出資をお願いする際、元本保証、高配当をうたって言葉巧みに相手をその気にさせ、多くの資金を集めていきました。
集めた資金を使って投資をしていたAさん。
最初はうまくいき、約束した配当も支払えていましたが、そのうち大きな損失を出すようになりました。
新たな出資者を募って得た資金で、既存の出資者への配当を支払うなど、自転車操業に陥っていました。
結局、配当が支払えなくなったことから、出資者たちが警察に被害届を出し、Aさんは仙台南警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)
~出資法違反~
出資法では、出資を募る際、元本保証をすること自体を禁じています。
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律
第1条
何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日出資の払いもどしとして出資金の全額若しくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金の受入をしてはならない。
元本保証をうたって出資金を集めた時点で、その後約束通りの配当を支払っているか否かに関係なく、出資法1条違反になるわけです。
元本保証をしている時点で違法なわけですから、もしこのような勧誘をされた場合には、投資はしないという判断をすべきです。
元本保証して出資金を集めた場合の罰則は以下のようになっています。
第8条3項
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第1号
第一条、第二条第一項、第三条又は第四条第一項若しくは第二項の規定に違反した者
3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの両方が科される可能性があります。
なお、法人の代表者や従業員等が元本保証をして資金を集めた場合、法人等も300万円以下の罰金に処せられる可能性があります(9条1項3号)。
~詐欺罪も成立する可能性~
出資法違反の他、元本返金や配当を約束通りに出来ないとわかっていながら出資金を集めたような場合には、刑法の詐欺罪が成立する可能性もあります。
刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
~早い段階で弁護士に相談を~
犯罪をしてしまった場合、被害者に対し弁償をすることにより、必ずではありませんが、刑罰が軽くなったり、執行猶予となったり、起訴猶予となる可能性が上がります。
しかし、このような投資絡みのケースでは、約束通りの配当が支払われている段階では被害届が出されないため、事件が明るみになった段階では弁償する資金がない場合も多いようです。
そこで、心当たりのある方は、出来るだけ早く弁護士に相談されることをお勧めします。
また、すでに弁償できなくなり、事件化が避けられない状況となっていても、可能な範囲で処分・判決が軽くなるよう弁護活動をします。
さらに、取調べの受け答えの仕方、今後の刑事手続の流れ、成立する犯罪や刑罰の重さなど、不安点を解消するために弁護士による接見や法律相談を受けるだけでも意味はあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、留置されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、まだ逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
ぜひ一度ご連絡ください。
登米市の贈収賄事件
登米市の贈収賄事件
先月、宮城県登米市の児童館工事をめぐり、入札情報を漏らして賄賂を受け取ったなどとして市職員が、また贈賄側の建設会社社長なども逮捕されました。
贈収賄や入札妨害をした場合、どのような犯罪が成立するのでしょうか。
(なお、この事件の裁判はまだ始まっておらず、有罪になるかはわかりません)
~賄賂を受け取った側の罪~
ここでは全てを網羅できませんが、今回のような事件が起きた場合、一般的に、賄賂を受け取った公務員には以下のような犯罪が成立する可能性があります。
刑法第197条1項(収賄、受託収賄)
公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
第197条の3第1項(加重収賄)
公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期懲役に処する。
第96条の6第1項(公契約関係競売等妨害)
偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
197条1項の1文目が単純収賄罪を、2文目が受託収賄罪を規定しています。
1文目の単純収賄罪は、特定の行為をする依頼を受けずに、賄賂を収受・要求・約束をした場合です。
たとえば、監督官庁の職員に対し、将来的に優遇してもらうことを望んで金銭等を渡す場合です。
一方、2文目の受託収賄罪は、職務に関して特定の行為をする依頼を受けて、賄賂の収受・要求・約束をしたような場合です。
これらは、賄賂の収受・要求・約束をしただけの場合ですが、第197条の3第1項の加重収賄罪は、公務員が単純収賄や受託収賄をした上で、実際に不正行為をしたり、相当な行為をしなかった場合に成立します。
登米市の事件でも、逮捕された市職員は入札価格に関する情報を教えるという不正行為をして、賄賂を収受したとして、加重収賄罪などの疑いで逮捕されています。
なお、入札予定価格などを教えたが、賄賂の収受・要求・約束はしていない(あるいは証拠がなく立証できない)場合などには、第96条の6第1項の公契約関係競売等妨害罪で立件される可能性もあります。
~賄賂を渡した側の罪~
賄賂を渡した者には、贈賄罪が成立する可能性があります。
第198条
第百九十七条から第百九十七条の四までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。
また、直接公務員に対し賄賂の供与・申込み・約束をした者とは別に、事件に関与した者がいる場合、その関与の程度や方法によって、贈賄罪の共同正犯(刑法60条)や第96条の6第1項の公契約関係競売等妨害罪などが成立する可能性があります。
登米市の事件では、贈賄罪などの疑いで逮捕された者と、公契約関係競売等妨害罪の疑いで逮捕された者が1名ずついました。
~贈収賄にかかわったら弁護士に相談を~
贈収賄にかかわると逮捕され、最大23日間の身体拘束がされ、その後に刑事裁判を受けるという流れになる可能性があります。
刑事裁判になれば、保釈が認められない限り、さらに身体拘束が続く可能性があります。
そして判決が確定すれば、無罪や執行猶予とならない限り、上記条文にあるような刑罰を受ける可能性があります。
また、刑罰以外にも、懲戒免職処分を受けたり、実名で報道がなされたりなど、大きな影響が生じる可能性があります。
もし、贈収賄にかかわってしまったら、早めに弁護士に相談することをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
もしすでに逮捕されていれば、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
法律相談や接見では、今回どの罪が成立しそうか、今後どのような刑事手続が進んでいくのか、どの程度の刑罰を受ける可能性があるのか、といった疑問にお答えしたり、取調べでの受け答えの仕方などをアドバイス致します。
贈収賄にかかわった方は、ぜひ一度ご相談ください。
テレビ番組を違法アップロードして捜索差押え
テレビ番組を違法アップロードして捜索差押え
宮城県角田市に住むAさんは18歳の高校3年生。
遊ぶ金欲しさから、テレビ番組をYouTubeにアップロードして広告収入を稼いでいました。
何度かテレビ局から削除要請が出され、アップロードした動画が削除されたり、アカウントが凍結されたりしましたが、新たにアカウントを作り、アップロードする行為を繰り返していました。
ある日、Aさんと両親が住む家に宮城県警の警察官が訪れ、著作権法違反容疑での捜索差押令状を示されました。
両親は何のことかわからず、Aさん自身もこんなことになるとは予想していなかったので驚きを隠しきれない様子。
警察官たちは家の中を捜索し、Aさんのパソコン等を押収していきました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)
~違法アップロードは著作権法違反~
インターネットの動画サイトでは、多くの違法アップロード動画が公開されています。
そのすべてを取り締まるのは難しく、無法地帯ともいえる状況です。
しかし、警察も捜査を行っているので、Aさんのように事件化するケースもあります。
著作権法のうち、Aさんが該当しうる部分の一部を解説いたします。
テレビ番組は、テレビ局や制作会社、その他番組制作にかかわった者が著作権などの権利を有しており、テレビ放送やネット配信、DVD販売などをする権利を独占的に有しています。
著作権法
第23条第1項
著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
第2項
著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
第26条第1項
著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。
第2項
著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する。
したがって、第三者がその公開をするためには、これらの著作権者等に許可を得る必要があります。
許可なくアップロードした場合には、以下の罰則規定が適用される可能性があります。
第119条1項(一部省略)
著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者…は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
有罪となった場合にどの程度の量刑となるかは、被害の大きさや反省度合い、前科の有無等によりますが、条文上はかなり重い処罰もなされ得ることになっています。
~今後の手続の流れ~
警察は、押収したパソコンなどを分析するなどして証拠を集め、Aさんを逮捕せずに証拠一式や関係書類を検察官に送り(書類送検)、検察官はさらに取調べ等をした上で事件を家庭裁判所に送る(家裁送致する)ことが考えられます。
また、事件の内容等によってはAさんを逮捕し、最大23日間の身体拘束をして家裁送致することも、考えられなくはありません。
家庭裁判所に送致されると、今回の犯行についての調査の他、Aさんの性格や生い立ち、家庭環境などを調査し、どのような処分がAさんの今後にとって適切か判断します。
その結果、処分が必要ないとされれば少年審判(成人事件の刑事裁判に相当)が開始されずに事件終了となります(成人事件の不起訴に相当)。
一方、少年審判が開始されると、上記調査結果等を踏まえ、裁判官が少年の処分を決定します。
処分の内容としては一般に、不処分(無罪判決や不起訴に相当)、保護観察(執行猶予に相当)、児童自立支援施設等への送致、少年院送致などが考えられます。
~弁護士に相談を~
Aさんのような捜査を受けた場合、今後逮捕されるのか、少年審判が開始されるのか、開始されればどのような処分となるのか等々、多くの不安があると思います。
学校から退学や停学の処分を受けないか、進学や就職に影響しないかといったところも心配でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件や刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
万が一、すでに逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、留置されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
法律相談や接見では、上記のような不安点に対し、今後の見通しなどを説明させていただきます。
また、正式に弁護をご依頼いただいた際には、少しでも軽い処分になるよう、弁護活動を行ってまいります。
著作権法違反などで捜索差押えなどの捜査を受けた場合は、ぜひ一度ご相談ください。
客引きをして中止勧告を受ける
客引きをして中止勧告を受ける
宮城県仙台市に住むAさんは、同市中心部にある居酒屋の店員をしています。
この居酒屋近くにあるアーケードでは以前から、居酒屋店員による客引きが多く行われており、Aさんも数年前から客引きを行っていました。
しかし最近になって客引きを規制する条例が制定されたことから客引きの数は減っていました。
ある日、Aさんは店長に指示され、このアーケード内で客引きをしていたところ、警察官に声を掛けられました。
警察官からは、条例が制定されたことを説明され、氏名や店の名前等を聞かれた上で、客引きをしないよう勧告というものを受けました。
翌日、不安になったAさんは弁護士に相談してみることにしました。
~仙台市客引き行為等の禁止に関する条例の概要~
仙台市中心部のアーケードや歓楽街では、以前から居酒屋などの店員が客引きをしている人が数多くいました。
必ずしもぼったくりをするような店だけではなく、健全な営業をしている店による客引きも多くありました。
しかし、中には悪質な店があるほか、通行の妨げや不快な声掛けになる例もあることから、仙台市は「仙台市客引き行為等の禁止に関する条例」を制定し、今年4月に完全施行されました。
この条例では、禁止区域において、相手方を特定して客引きをすることの他、相手方を特定してキャバクラ等のキャストになることの勧誘をする行為、これら客引きや勧誘の相手方を待つ行為を禁止しています(2条1号、6条)。
また、経営者が従業員に対し、これらの行為をさせたり、客引きが連れてきたお客を店舗に入れることも禁止しています(6条、7条)。
なお、禁止されるのは「相手方を特定して」客引き行為等をする場合ですので、不特定多数の者に対して呼びかける行為や、道路使用許可を取得して、ティッシュ・チラシ等を配布したり、看板を掲げて宣伝する行為は禁止されません。
一方、客引き等をする目的で相手方となる者を待つ(探す)だけでも禁止の対象ですので、注意が必要です。
これらの禁止事項の違反者には、違反行為をしてはならない旨の「勧告」がなされます(10条)。
それでも違反した者には、違反行為をしてはならない旨の「命令」がなされます(11条)。
この命令にもかかわらず、さらに違反した者には、5万円以下の過料の他、違反者の氏名や住所などが公表される可能性があります(13条1項、17条1号)。
また、市長(の指示を受けた職員等)は、違反者に対し、勧告・命令に必要な報告をさせたり、店舗への立ち入り調査を行うことができ、これに協力しなかった場合も5万円以下の過料となる可能性があります(12条1項2項、17条2号3号)。
なお、従業員が過料に処せられた場合、使用者には勧告や命令を経ずに過料が科される可能性があります(18条)。
なお、過料とは、刑罰である罰金や科料とは別物であり、前科もつきませんが、金銭を徴収されるという意味では同じです。
この条例の詳しい内容は、仙台市ホームページをご覧ください。
https://www.city.sendai.jp/shiminsekatsu/kurashi/anzen/anzen/mewaku/kyakuhikijourei.html
~ぼったくりをすると犯罪が成立しうる~
この条例に違反しただけであれば、氏名等の公表により影響は未知数ですが、過料の金額は5万円以下なので、弁護士に依頼するという展開にはなりにくいかもしれません。
しかし、客引きをしてぼったくりをするような店だと、様々な犯罪の成立が考えられます。
まず、客引き時や入店時に虚偽の説明をし、支払段階で高額な料金を請求して支払わせた場合、詐欺罪(刑法246条1項)が成立する可能性があります。
また、支払いを渋るお客に対して暴行・脅迫を用いて支払わせた場合、恐喝罪(249条1項)や傷害罪(204条)が成立する可能性もあります。
さらに、帰ろうとするお客を帰さずに支払いを要求した場合、監禁罪(220条)が成立する可能性もあります。
~不安があれば弁護士に相談を~
仙台市の条例違反で勧告を受け、今後が不安という方もいらっしゃるでしょう。
また、ぼったくりをしている、あるいはぼったくりに加担させられた場合には、逮捕されたり、懲役や罰金の刑罰を受ける可能性があるので、不安が大きいかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
条例違反や詐欺罪、恐喝罪、傷害罪、監禁罪などでご相談されたいことがある方は、ぜひご連絡ください。
超高金利の貸付けで出資法違反
超高金利の貸付けで出資法違反
2019年1月16日仙台放送配信のニュースによると、今年1月15日に、仙台市泉区の貸金業の社長など3人が出資法違反などの容疑で逮捕されたそうです。
警察によると、2013年から去年にかけて、資金繰りに悩む全国30都道府県の約150業者にあわせて17億7000万円を融資し、法律で定められた金利を超えて利息を要求することで、2億円以上の違法な利息を受け取っていたとみられているそうです。
それぞれの利息は法定の9倍から10倍にあたり、「超高金利」で貸し付けていたとみられています。
~出資法~
出資法とは,略称であり,正式名称は「出資の受入れ,預り金及び金利等の取り締まりに関する法律」と言います。
出資法は、昭和初期に大掛かりな出資・投資詐欺が流行し、社会が大混乱に陥った反省から制定された法律であり、その名称の通り、出資金の受入れや預り金、金利、仲介手数料等に関して規制しています。
主に以下の行為を禁止して、罰則を設けています。
①不特定多数の者に対する、元本を保証した出資の受入れ
②特定金融機関以外の者が業としての預り金をすること
③金融機関の役職員等が、その地位を利用して金銭の貸付・賃借の媒介・債務保証をすること(浮貸し)
④金銭の貸借の媒介を行なう者が、その金銭額の5%超の手数料を受けること
⑤金融業者は年20%超、金融業者以外は年109.5%(うるう年は109.5%とし、1日あたり0.3%)超の金利の契約をすること
①から④の行為について、罰則は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれを併科されます。
⑤の行為については、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれを併科されます。
ここまでで、「金利」や「利息」といった、似たような意味の言葉が出てきました。
「金利」とは、お金を借りる側が、借りたお金(元金)に追加して支払う金額の割合のことをさします。
つまり、元金に対する割合を表すものとされています。
「利息」とは、お金を貸した側が、借りたお金(元金)に追加して受け取るお金のことをさします。
逆に言えば、借りた側が元金に追加して支払うもの、要するに金利分のお金のことです。
出資法で定められた金利を超えた高金利で貸付ける行為は、上記の⑤の行為となります。
なお、貸金業者に対する法規制は出資法だけでなく、貸金業法、利息制限法などにもあります。
違法な高金利で貸付けをおこなった出資法違反事件の場合、出資法の上限の金利をどの程度超えているか、違法な金利で得た利益の額、違法な金利で貸付けていた期間・人数等の事情が検察官の処分や裁判での量刑にとって重要になってきます。
初犯であっても、被害額が一千万円を超える高額な事件である場合などはれば、実刑判決を受ける場合もありえます。
また、法定刑を見ていただくとわかる通り、高金利での出資法違反の場合には、懲役刑と併せて罰金刑が科される場合があります。
出資法違反はなかなか聞き慣れない犯罪ですし、専門的で一般の方には難しい部分が多いと思われます。
加えて、出資法違反の場合の法定刑は重く、厳しい処罰が予想されます。
そのため、出資法違反の容疑をかけられてしまったら、できるだけ事件の初期段階から刑事事件に強い弁護士に相談・依頼されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が多数在籍する法律事務所です。
刑事事件の豊富な知識と経験に基づき、事件ごとに最適なオーダーメイドの弁護活動をおこないます。
まずは、無料法律相談や初回接見サービスのご利用をご検討ください。
(事務所にご来所いただいての法律相談:初回無料)
南三陸町で恐喝未遂罪
南三陸町で恐喝未遂罪
宮城県南三陸町在住の20代男性Aさんは、通りがかりのVさんを脅迫して現金3万円を脅し取ろうとしました。
Aさんから脅迫されたVさんは怖がらなかったものの、Aさんを憐れんで現金3万円を渡しました。
当初Vさんは警察に被害を届け出ることは考えていませんでしたが、家族に被害にあったことを話したところ、家族から被害届を出すように勧められて、宮城県南三陸警察署に被害届を提出しました。
恐喝未遂罪の容疑で逮捕されたAさんは、なぜ恐喝罪ではなく恐喝未遂罪なのか気になって、家族の依頼で初回接見に来た弁護士に尋ねました。
(フィクションです。)
~恐喝罪と恐喝未遂罪~
恐喝罪 刑法第二百四十九条
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
恐喝罪は、恐喝、すなわち暴行や脅迫を手段として、人から金銭などの財産を脅し取った場合に成立する可能性のある罪です。
恐喝罪が成立するためには、①恐喝行為、②相手方の畏怖、③畏怖に基づく財産の移転という流れがあり、なおかつそれぞれが因果関係を持たなければなりません。
つまりは、①被害者を暴行・脅迫して金員を要求する → ②被害者が畏怖する(=怖がる)→ ③畏怖の念に基づいて被害者が金員を交付し犯人が金員を受け取る、という構図が成り立つ必要があります。
この内一つでも欠ける場合やそれぞれの行為に因果関係が存在しない場合は、恐喝罪は成立せず、恐喝未遂罪若しく暴行罪、脅迫罪にとどまる可能性が高いです。
上記事例では、AさんがVさんに対し、脅迫して現金3万円を脅し取ろうとしたものの、Vさんは怖がらずAさんを憐れんで現金3万円を渡しています。
Aさんは、①恐喝行為はおこなっているものの、②Vさんは畏怖していません。
Vさんが憐みから③Aさんに現金3万円を交付して結果的にAさんが金員を受け取っているものの、被害者であるVさんが畏怖して金員を交付したわけではないので、恐喝行為から財産の移転までに因果関係が欠けています。
そのため、恐喝罪の既遂に至らず、恐喝未遂罪が成立するにとどまると考えられます。
恐喝罪が成立しない他のケースとして、脅迫した後に被害者が自らお金を差し出した場合や暴行した後に被害者が自らお金を差し出した場合などがあります。
前者は脅迫罪、後者は暴行罪となり、恐喝罪とはなりません。
恐喝罪における「恐喝」とは、財産の交付に向けられた暴行または脅迫であって、一般人を畏怖させる、つまり恐怖心を覚えさせるものの、反抗を抑圧するには至らない程度のものを指します。
暴行または脅迫が相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものだった場合は、恐喝罪ではなく強盗罪が成立することになります。
強盗罪の方が、恐喝罪よりも重い罰となり、法定刑は5年以上の懲役と定められています。
暴行,脅迫の程度は用いた凶器の種類,被害者と加害者の体格差,犯行の時刻,場所等が考慮されます。
たとえば、激しい暴行を加えた、凶器を用いて脅迫したなどの事情があれば、反抗を抑圧するに至っているとして強盗罪と認定されやすくなります。
なお、強盗罪とはいえますが、強盗罪の中でも軽い案件で、示談が成立しているなど、被疑者被告人への処罰を軽くするべき事情がある場合、あえて恐喝罪で処分する場合もあります。
~恐喝未遂罪で処分を軽くするには~
恐喝未遂罪で起訴された場合も、恐喝罪と同じく10年以下の懲役が科せられる可能性があることには注意が必要です。
実際に恐喝未遂事件を起こしていた場合、処分が重くならないようにするためには、被害者への被害弁償及び示談交渉を行うことが急務になります。
弁護士を通じて被害弁償及び示談を成立させることで、警察未介入や不起訴処分によって前科をつけずに事件を解決する、逮捕・勾留による身柄拘束を回避して職場復帰や社会復帰する可能性を高めることができます。
恐喝未遂罪でお困りの場合は、刑事事件専門で示談交渉経験豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご用命ください。
初回法律相談:無料
宮城県南三陸警察署への初回接見費用:フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお尋ねください。