登米市の贈収賄事件

登米市の贈収賄事件

先月、宮城県登米市の児童館工事をめぐり、入札情報を漏らして賄賂を受け取ったなどとして市職員が、また贈賄側の建設会社社長なども逮捕されました。
贈収賄入札妨害をした場合、どのような犯罪が成立するのでしょうか。
(なお、この事件の裁判はまだ始まっておらず、有罪になるかはわかりません)

~賄賂を受け取った側の罪~

ここでは全てを網羅できませんが、今回のような事件が起きた場合、一般的に、賄賂を受け取った公務員には以下のような犯罪が成立する可能性があります。

刑法第197条1項(収賄、受託収賄)
公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
第197条の3第1項(加重収賄)
公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期懲役に処する。
第96条の6第1項(公契約関係競売等妨害)
偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

197条1項の1文目が単純収賄罪を、2文目が受託収賄罪を規定しています。

1文目の単純収賄罪は、特定の行為をする依頼を受けずに、賄賂を収受・要求・約束をした場合です。
たとえば、監督官庁の職員に対し、将来的に優遇してもらうことを望んで金銭等を渡す場合です。
一方、2文目の受託収賄罪は、職務に関して特定の行為をする依頼を受けて、賄賂の収受・要求・約束をしたような場合です。

これらは、賄賂の収受・要求・約束をしただけの場合ですが、第197条の3第1項の加重収賄罪は、公務員が単純収賄や受託収賄をした上で、実際に不正行為をしたり、相当な行為をしなかった場合に成立します。
登米市の事件でも、逮捕された市職員は入札価格に関する情報を教えるという不正行為をして、賄賂を収受したとして、加重収賄罪などの疑いで逮捕されています。

なお、入札予定価格などを教えたが、賄賂の収受・要求・約束はしていない(あるいは証拠がなく立証できない)場合などには、第96条の6第1項の公契約関係競売等妨害罪で立件される可能性もあります。

~賄賂を渡した側の罪~

賄賂を渡した者には、贈賄罪が成立する可能性があります。

第198条
第百九十七条から第百九十七条の四までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。

また、直接公務員に対し賄賂の供与・申込み・約束をした者とは別に、事件に関与した者がいる場合、その関与の程度や方法によって、贈賄罪の共同正犯(刑法60条)や第96条の6第1項の公契約関係競売等妨害罪などが成立する可能性があります。

登米市の事件では、贈賄罪などの疑いで逮捕された者と、公契約関係競売等妨害罪の疑いで逮捕された者が1名ずついました。

~贈収賄にかかわったら弁護士に相談を~

贈収賄にかかわると逮捕され、最大23日間の身体拘束がされ、その後に刑事裁判を受けるという流れになる可能性があります。
刑事裁判になれば、保釈が認められない限り、さらに身体拘束が続く可能性があります。

そして判決が確定すれば、無罪執行猶予とならない限り、上記条文にあるような刑罰を受ける可能性があります。
また、刑罰以外にも、懲戒免職処分を受けたり、実名で報道がなされたりなど、大きな影響が生じる可能性があります。

もし、贈収賄にかかわってしまったら、早めに弁護士に相談することをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
もしすでに逮捕されていれば、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。

法律相談や接見では、今回どの罪が成立しそうか、今後どのような刑事手続が進んでいくのか、どの程度の刑罰を受ける可能性があるのか、といった疑問にお答えしたり、取調べでの受け答えの仕方などをアドバイス致します。

贈収賄にかかわった方は、ぜひ一度ご相談ください。

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