Archive for the ‘暴力事件’ Category

殺人で逮捕

2019-07-30

殺人で逮捕

宮城県栗原市に住むAさん。
同居する息子からの暴力が頻繁にあり、どうしたものかと思い悩んでいました。
ある日、息子と口論になったAさんは、冷静な判断が難しくなったこともあり、包丁を持ち出して息子を刺してしまいました。
殺すつもりはなかったAさんですが、息子は病院で死亡が確認されました。
Aさんは殺人の容疑で築館警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)

~問われる罪~

Aさんは、息子を殺すつもりはありませんでしたが、刺し殺してしまいました。
問われる罪としては殺人罪傷害致死罪が考えられます。

刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

傷害致死罪であれば3年以上の有期懲役(最長20年)ですので、死刑や無期懲役もある殺人とは差があります。

両者の区別は、殺人の故意の有無です。
殺すつもりがあったり、死んでしまうかもしれないと認識しながら刺した場合には、殺人の故意があるとされ、殺人罪が成立します。
一方、殺人の故意がないとされれば傷害致死罪が成立するにとどまります。

ただし、故意の有無は犯行時の被疑者の内心の問題であるため、第三者が事後的に客観的に判断することは不可能です。
そこで、被疑者の供述のほか、使われた凶器、刺した部位、刺すに至る経緯など客観的な事情を基に、犯行時の被疑者の故意の有無を判断していくことになります。
たとえば、使われた凶器が殺傷能力の高いものであればあるほど、あるいは刺した場所が頭部や胸部など生命維持に重要部分に近いほど、殺人の故意が認められやすくなります。

Aさんの場合、客観的には殺すつもりはなかったとしても、状況次第では殺人罪で裁かれてしまう危険性もあります。

~刑事手続きの流れと弁護士の活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大23日間、警察署等で身体拘束されます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるという判断(起訴)をし、刑事裁判がスタートします。
裁判が始まれば、保釈が認められない限り、身体拘束が続くことになります。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

弁護士としては、Aさんの犯行が傷害致死罪にとどまるという主張をしていきます。
すなわち、検察官が起訴をする段階で、どちらの罪で裁判のかけるのかを判断します。
そこで、傷害致死にとどまるといえる事情を検察官に伝え、傷害致死で起訴するよう要請していきます。

また、殺人罪で起訴されたとしても、今度は裁判官に対し、傷害致死罪にとどまると主張していくことになります。

さらに、どちらの罪になるとしても、Aさんが犯行に至った理由(息子の暴力など)に同情すべき点があるといった主張をし、執行猶予あるいは懲役の長さの短縮を目指していきます。

~弁護士にご相談を~

弁護士を選ばれる場合、どの弁護士に頼めばいいのか判断が難しいと思います。
無料相談を実施している事務所も多いので、一度ご相談して比較した上で信頼できる弁護士にご依頼されるのが良いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の場合も、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
弊所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所ですので、刑事事件・少年事件の経験が豊富な弁護士が、様々な疑問にお答えいたします。

また、本人が逮捕されている事件では、すみやかに身体拘束されている警察署等に接見に伺い、その結果をご家族などにご報告するという初回接見・同行サービスも行っております。
逮捕直後は被疑者と家族が面会することは許されず、接見禁止決定がなされるとその後もしばらく面会できない場合がありますが、弁護士であれば面会できます。

また、正式な刑事弁護のご依頼前に初回接見だけ依頼することができます。
したがって、正式に依頼するか迷っているが、弁護士を通じて本人の話を聞きたい、本人に伝言したいことがある、といった場合にご利用いただき、ご家族への接見の結果報告を聞いた上で、正式なご依頼をするかご判断いただくことができます。

殺人罪傷害致死罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

傷害で逮捕

2019-07-26

傷害で逮捕

宮城県松島町に住むAさん。
行き付けのスナックで飲んでいたところ、居合わせた別のお客と口論になり、殴ってケガをさせてしまいました。
Aさんは駆け付けた塩釜警察署の警察官によって逮捕されました。
連絡を受けたAさんの家族は、まさかの事態に驚きましたが、すぐに弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

~傷害罪~

酔って過ちを犯してしまう例はよくあります。
今回のような事件も、よく相談がある種類の事件の1つです。

Aさんの行為には傷害罪が成立します。

刑法204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

なお、相手がケガをしなかった場合は暴行罪が成立するにとどまることになります。

第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

~今後の刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。

これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。

まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留許可をしなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことにより本人や家族の社会生活に過度の不利益が生じることなどを具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。

また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
そこで、被害者と示談が成立していること、本人が反省していること、前科がないこと、家族の監督が期待できることなど、ご本人に有利な事情を出来る限り主張して、不起訴処分などの軽い処分にするよう検察官に要請していきます。

~示談の重要性~

示談が成立しているか否かは、不起訴処分にするかどうかという検察官の判断などに大きく影響する可能性があります。
前科があるか、今回の犯行態様、被害者の傷害の程度などにもよりますが、被害者と示談が成立すれば、不起訴処分になることも十分考えられます。

また、犯罪の被害者の方はいつまでも事件にかかわりたくないものですし、損害賠償が受け取れるなら、早く事件を終結させた方が良いと考える方もいらっしゃいます。

そこで、すみやかに被害者の方に賠償し、示談を締結することが重要です。

~弁護士にご相談を~

しかし示談交渉をしようにも、加害者に直接会うことを嫌がる被害者の方もいらっしゃいます。
また、示談金額や示談書の内容をどうしたらよいのか、なんと言ってお願いすればよいのかなど、わからないことが多いと思います。

他にも、逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

傷害罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

道路をふさぎ逮捕

2019-07-21

道路をふさぎ逮捕

宮城県角田市に住む17歳のAさん。
深夜、不良仲間と遊んでいるうちに、道路を塞いだらどうなるのかという話になりました。
「面白そうだからやってみるか」
Aさんは仲間と共に、道路の両端にある電柱にロープをくくり付けて道路を塞ぎました。
その後、遠くから現場を見ていたところ、1台のバイクが通過しようとしてロープに引っ掛かり転倒。
運転手は骨折等の重傷を負いました。
防犯カメラの映像などからAさんらの犯行が発覚。
Aさんらは角田警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~成立しうる罪~

Aさんらが行ったような、道路をふさぐ行為は、全国でたびたび起こっています。
ほんのいたずらのつもりであっても、被害者が死亡したり、重傷を負ったり、加害者が重罰に処せられる可能性もあります。
この行為には、

①往来妨害致傷罪
②往来妨害罪+傷害罪
③往来妨害罪+殺人未遂罪

のいずれかが成立するでしょう。

①往来妨害致傷罪

Aさんが通行者の邪魔をしようと思いロープを張ったが、そのままぶつかってケガをするようなことまでは予想していなかった場合に成立することになるでしょう。

刑法第124条
第1項(往来妨害罪)
陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
第2項(往来妨害致死傷罪)
前項の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

②往来妨害罪+傷害罪

Aさんが、通行者がケガをすることもありうると予想していた場合に成立することになるでしょう。

第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

③往来妨害罪+殺人未遂罪

Aさんが、通行人が死亡するかもしれないと思いつつロープを張っていた場合に成立することになるでしょう。

第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条(未遂罪)
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。

~少年事件の手続~

逮捕されたAくんは、まずは最大3日間拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、さらに最大20日間、勾留と呼ばれる身体拘束期間が続く可能性があります。
勾留の代わりに、少年鑑別所での観護措置が採られ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査がなされることもあります。

その後、家庭裁判所に送られ、家庭裁判所調査官が中心となって、さらに少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査を行います。

なお、逮捕されていない少年や途中で釈放された少年についても、家庭裁判所に出向いて家庭裁判所調査官による面談を受けるなどの調査が行われます。

~少年審判とは?~

調査官等による調査の結果、比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。

そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
少年審判の内容としては以下のものが考えられます。

①不処分
非行事実が認められない、あるいは認められるとしても反省し、再犯の可能性がないような場合になされます。
成人事件における無罪判決や不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。

②保護観察
保護観察所の指導・監督の下、少年を社会の中で生活させながら、更生させていくというものです。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。

③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により②の保護観察が行えないなどの場合に、各種福祉施設で生活させつつ、社会の中で更生させるといったものです。

④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、基本的に外出が許されない少年院で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。

⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件などにおいて、成人の場合と同じ刑罰を受けさせるべきと判断された場合などになされるものです。
改めて成人と同じ刑事裁判を受ける流れになります。

~弁護士の活動~

弁護士は、少年の権利保護や更生に向けた環境作りのために活動します。

たとえば、非行性が進んでいないこと、被害者との示談が成立していること、家族・親戚・就業先等による監督が期待できることなど、本人に有利な事情をできる限り主張し、勾留や観護措置などによる身体拘束を防いだり、少年審判においてより軽い審判内容となるように活動していきます。

少年の人生に大きくかかわってくることですので、一度弁護士にご相談されるのが良いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件や刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、今後の手続の流れや予想される処分、弁護士の活動などをご説明いたします。

往来妨害などの少年事件でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。

傷害で取調べ

2019-07-20

傷害で取調べ

宮城県多賀城市に住むAさん。
友人と居酒屋で酒を飲み、店を出ました。
泥酔していたAさんは足取りがフラフラで、通行人のVさんにぶつかってしまいました。
Vさんから、
「気を付けろ!」
と強く言われたAさんは、カチンときて、
「なんだテメえ!やんのか?」
などと叫び返し、Vさんの顔面を殴り、打撲や切り傷などの傷害を負わせました。
Aさんは任意の形で塩釜警察署で取調べを受け、後日また呼び出す旨を告げられ自宅に帰されました。
翌朝、酔いが覚めて冷静になったAさん。
マズいことをしてしまったと不安になり、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

~傷害罪~

酔って暴行事件を起こしてしまうという例はよくあります。
暴行したことを覚えていないという例もあります。
飲みすぎには注意です。

Aさんの行為には、傷害罪が成立してしまいます。

刑法204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

~今後の刑事手続きの流れ~

Aさんは、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けることになるでしょう。
その結果、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。

もし検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、前科も付きません。
弁護士としては、後述のように被害者と示談を締結するなどして、不起訴処分を目指して弁護活動をしていきます。

なお、仮に逮捕されてしまった事件では、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そしてもし検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が起訴・不起訴の判断をします。
弁護士としては、まずは検察官の勾留請求や裁判官の勾留許可を防ぎ、早期釈放を目指した上で、不起訴処分を目指していくことになります。

~示談の重要性~

示談が成立しているか否かは、検察官が不起訴処分にするかといった判断に大きく影響する可能性があります。
そこで、すみやかに被害者の方に賠償し、示談を締結することが重要です。
さらにその示談書の内容として、被害者は加害者の処罰を求めない旨の文言を入れていただくことが考えられます。
この文言を、「宥恕条項」(ゆうじょじょうこう)といいます。

犯罪の被害者の方としてはいつまでも事件にかかわりたくないですし、損害賠償が受け取れるなら、しかも金額が少しプラスになるなら、宥恕条項を入れた示談書を取り交わし、事件を終結させた方が良いと考える方もいらっしゃいます。

検察官としても、被害者が加害者の処罰を求めていないのであれば、不起訴処分にする可能性が上がります。
逆に検察官の方から被疑者に対し、被害者のためにも示談締結した方が良いといったことを言ってくる場合もあるほどです。

しかし示談交渉をしようにも、示談金額や示談書の内容をどうしたらよいのか、なんと言ってお願いすればよいのか、わからないことが多いと思います。
そこで、示談交渉を含めた弁護活動を弁護士に依頼することも、選択肢の一つと言えます。

~弁護士にご相談を~

犯罪をして取調べを受けることになると、ご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、示談はどう進めたらよいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
仮に逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

傷害罪で取調べを受けた、逮捕されたといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

死体遺棄で逮捕

2019-07-19

死体遺棄で逮捕

宮城県川崎町に住むAさん。
知人のBさんから突然連絡があり、
「すまん。困ってるんだ。手伝ってくれないか。」
と言われました。
嫌な予感がしつつも指定されたアパートの一室に行ってみると、そこには死体が。
「俺がやってしまった。山奥に埋めたい。迷惑はかけない。」
Bさんに頼まれ、かかわりたくないと思いつつ、断り切れなかったAさん。
死体を一緒に運び、山奥に穴を掘って埋めました。
後日、Bさんが逮捕されたことをきっかけに、Aさんの関与も判明。
Aさんは大河原警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~死体遺棄罪~

Bさんに殺人罪死体遺棄罪が成立するのは当然として、殺人自体にはかかわっていないAさんにも、死体遺棄罪の共同正犯が成立することになります。

刑法第190条
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。
第60条
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

Bさんは、「死体」を「遺棄」したとして、3年以下の懲役に罰せられる可能性があるわけです。

共同正犯の場合と、1人で犯行を行った単独犯の場合とで、どちらが重い刑罰を受けることになるかは事件にもよります。
本件では、AさんはBさんにお願いされて断り切れずに犯行に及んでおり、どちらかといえば主犯格はBさんといえます。
AさんがBさんを助けるために1人で積極的に死体を遺棄した場合などに比べれば、罪が軽くなるかもしれません。

~今後の刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、仮に途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになるでしょう。

詳しくはこちらをご覧ください
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

~殺人への関与を疑われる?~

この事例では、Aさんは殺人自体にはかかわっていませんが、捜査機関からはAさんもかかわっているのではないかと疑われる可能性も否定できません。

アリバイや、Aさんに被害者を殺す動機がないことなどを的確に主張することが必要になってくるでしょう。
また、取調べで不用意な発言をしてしまうと、不利な証拠となってしまうかもしれないので、注意が必要です。

弁護士は、あらぬ疑いを晴らすために弁護活動を致しますし、取調べを受ける際のアドバイスなども致します。
また、Aさんは主犯格とは言えないことの他、前科がないこと、反省していることなど、Aさんに有利な事情を出来る限り主張して、早期に釈放されるよう、あるいは執行猶予が付くよう、弁護活動をしていきます。

~弁護士にご相談を~

他にも、逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

死体遺棄罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

犯罪をでっち上げ逮捕

2019-07-13

犯罪をでっち上げ逮捕

宮城県仙台市に住むAさん。
夜、仲間たちと繁華街を歩いていたところ、ホームレスであるVさんの姿を発見。
Aさんらはいたずらしてやろうと思い、Vさんを蹴り付けたり、Vさんが持っていたバッグの中身を路上にぶちまけるなどの行為をしてしまいました。
さらに、VさんがAさんらの暴行を払いのけようとしたところ、Aさんらは
「暴行だ!」
などと言って警察を呼び、ウソの被害の申し出を行いました。
その後、警察が防犯カメラに写っていた現場の様子を確認したところ、Aさんらの申し出た内容と全く違うことが判明。
Aさんらは仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~暴行・傷害・器物損壊~

まずAさんらの行為には、Vさんがケガをしていれば傷害罪、ケガをしていなければ暴行罪が成立します。
また、Vさんの持ち物が壊れていれば器物損壊罪も成立します。

刑法第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
第261条(器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

~虚偽告訴等~

さらに、軽犯罪法違反虚偽告訴等罪偽計業務妨害罪も成立する可能性があります。

軽犯罪法第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
16号 虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者

具体的な状況にもよりますが、VさんがAさんらの暴行を払いのけようとした行為は、少なくとも正当防衛が成立し、犯罪は成立しないと思われます。
そこで警察官に対し虚偽の暴行被害を申し出たAさんらは、「虚構の犯罪…の事実を公務員に申し出た者」に該当するおそれがあります。

なお、拘留とは1日以上30日未満の身体拘束がされる刑罰で、科料とは千円以上一万円未満を徴収される刑罰です。

刑法第172条(虚偽告訴等)
人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。

Aさんらは、「人に刑事…処分を受けさせる目的で…その他の申告をした者」に該当しする可能性があります。

第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

Vさんが犯罪をした事実がないのに、暴行したという「偽計を用いて」、警察に不要な捜査をさせ、他の業務にあてる時間を削らせたという意味で「業務を妨害した」として、偽計業務妨害罪も成立する可能性があります。

実際に裁判となる場合、これらのうちいずれか1つの罪で裁判が開かれることも考えられます。
より詳しい事件の内容等にもよるでしょうが、人に無実の罪を着せるという悪質さを考えると、一番重い虚偽告訴等の罪で裁かれる可能性もあるので、注意が必要です。

~刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんらは、まずは最大で3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大で20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官がAさんを刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続くという可能性もあります。
そして裁判で無罪執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

詳しくはこちらをご覧ください
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留許可しなければ釈放されます。
そこで弁護士としては、出来心から行ってしまった計画性のない犯罪であること、前科がないこと、被害者に賠償し示談が成立していること、本人が反省していることなど、有利な事情があればできる限り主張し、釈放するよう検察官や裁判官に要請していきます。

また、検察官が不起訴処分とすれば刑事手続きはそこで終了し、前科も付きません。
また、起訴するとしても、簡易な手続により罰金で終わらせる略式起訴にする場合もあります。
そこで弁護士は、不起訴処分や略式起訴による罰金にとどめることを目指して、弁護活動をしていきます。

~弁護士に接見依頼・相談を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

刑事事件の経験が豊富な弁護士が対応いたしますので、犯罪をして逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

強制執行を妨害し取調べ

2019-07-10

強制執行を妨害し取調べ

宮城県大崎市に住むAさん。
妻のBさんと離婚することになり、Bさんは家を出ていきました。
財産分与の結果、AさんはBさんに対し、2人が居住していた家に飾ってあった絵画を渡すことになりました。
しかし、AさんはBさんに恨みを抱いており、任意の引き渡しを拒否していました。
BさんはAさんに裁判で引き渡し請求をし、勝訴。
強制執行がなされることとなり、執行官がAさん宅に行きました。
しかしAさんは、Bさんの手に渡るくらいならと、絵画を床に叩きつけて壊し、価値のない状態にしてしまいました。
後日、Aさんは、古川警察署に呼び出され、取調べを受けることとなりました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)

~どんな罪が成立するか~

Aさんには、強制執行妨害目的財産損壊罪が成立する可能性があります。

刑法第96条の2
強制執行を妨害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第三号に規定する譲渡又は権利の設定の相手方となった者も、同様とする。
1号 強制執行を受け、若しくは受けるべき財産を隠匿し、損壊し、若しくはその譲渡を仮装し、又は債務の負担を仮装する行為

Aさんは絵画をBさんに渡したくないと思っており、「強制執行を妨害する目的」があるといえます。
また、絵画は「強制執行を受け、若しくは受けるべき財産」に当たりますし、これを床に叩きつけて壊した行為は「損壊」に当たります。

したがって、強制執行妨害目的財産損壊罪が成立するでしょう。

~刑事手続きの流れ~

制度上、Aさんは取調べ後にそのまま逮捕される可能性もあります。
逮捕されると、まずは最大で3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大で20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官がAさんを刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして裁判で無罪執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

逮捕された場合、弁護士としては勾留請求または勾留許可を防いで、早く釈放されるように弁護活動を行います。
勾留は証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合になされることになっているので、今回のケースでは、執行官が犯行を目撃しており既に証拠隠滅をする余地はないことや、いまさら逃亡のおそれもないことなどを検察官や裁判官に主張していくことなどが考えられます。

また、検察官が不起訴処分にすれば、刑事手続はそこで終わり、前科も付かないことになります。
仮に起訴するとしても、簡易な手続で罰金処分にする略式起訴をする場合もあります。
そこで、Bさんに対して絵画に代わる財産分与を行うなどして反省態度を示し、不起訴処分や略式起訴を狙っていくことが考えられます。

一方、逮捕されずに捜査が続けられる可能性もあります。
その場合、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて裁判を受けるという流れになりますが、不起訴処分や略式起訴を狙っていくという点は同じになります。

~ぜひ弁護士に相談を~

犯罪をして捜査を受けた場合、どんな罪が成立するのか、逮捕されてしまうのか、刑事手続はどうなっていくのか等々、わからない点が多いかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
すでに逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等へすみやかに接見に伺います。

刑事事件の経験が豊富な弁護士が上記疑問にお答え致しますので、ぜひ一度ご連絡ください。

放火で逮捕

2019-07-08

放火で逮捕

宮城県多賀城市に住むAさん。
人生への絶望感を感じて自暴自棄となり、うさ晴らしのために空き家を狙って放火することにしました。
ある日の深夜、Aさんは目ぼしい一軒家を見つけて放火し、その家を全焼させました。
しかしその一軒家は、手入れが行き届いていないものの、高齢者が一人暮らしをする家でした。
Aさんは塩釜警察署に警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~(非)現住建造物等放火罪~

Aさんの行為に成立しうる犯罪として、まずは現住建造物等放火罪と非現住建造物等放火罪が考えられます。

刑法第108条(現住建造物等放火罪)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第109条1項(非現住建造物等放火罪)
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。

木造建築が多い我が国では、放火により多くの人の命が失われる可能性があることから、重い刑罰が定められています。
特に108条の現住建造物等放火罪には、殺人罪と同じ重さの刑罰が定められています。

Aさんが放火した家は人が住んでいたわけですから、客観的には108条の現住建造物等放火罪に当たる行為をしたことになります。
しかしAさんの内心としては、人が住んでいると思っておらず、109条1項の非現住建造物等放火罪を犯したに過ぎないことになります。

この場合、刑法38条2項により故意がないとされ、重い現住建造物等放火罪に問うことが出来ないので、軽い非現住建造物等放火罪が成立するにとどまることになります。

第38条2項
重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。

ただし、「行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった」というのは、まったく思いもよらなかったような場合を指します。
したがって、「おそらく人は住んでいないだろうけど、もしかしたら住んでいるかも」などと思っていた場合は「知らなかった」とは言えず、重い現住建造物等放火罪が成立することになります(未必の故意があると言います)。

~住居侵入罪~

Aさんは放火のために敷地内に立ち入っているでしょうから、住居侵入罪も成立するでしょう。

第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

ただし今回、住居侵入罪という手段を用いて、(非)現住建造物等放火罪という目的を果たしたといえます。
このように2つの罪が手段と目的の関係にある場合、牽連犯(けんれんぱん)という処理がなされ、重い方の(非)現住建造物等放火罪の法定刑の範囲内で量刑(懲役の長さ)が決まります。

第54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

~殺人罪~

仮に放火犯が家の中にいる人を殺害しようと思って放火した場合、別途殺人罪が成立します。

第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

今回のAさんはそのつもりではなかったので殺人罪は成立せず、たとえ住んでいた高齢者が死亡しても成立する犯罪は変わりません。
ただし、死亡したか否かによって量刑(懲役の長さ)は変わってくるでしょう。

~刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大で20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官がAさんを刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

詳しくはこちらをご覧ください
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

弁護士としては、Aさんは人が住んでいることを知らず、あくまでも非現住建造物等放火罪が成立するにすぎないことを主張していくなどの弁護活動をしていくことになるでしょう。

~一度弁護士に相談を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

刑事事件の経験が豊富な弁護士が対応いたしますので、現住建造物等放火罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

示談強要で逮捕

2019-07-07

示談強要で逮捕

宮城県仙台市に住むAさん。
先日、傷害事件を起こし、逮捕こそされなかったものの、警察や検察の捜査を受けています。
取調べの際、被害者と示談を締結すれば不起訴処分もありうる旨を言われたことから、被害者のVさんに会うことにしました。
AさんはVさんに対し示談締結をお願いしましたが、いまいちAさんに反省態度が見えないことから、Vさんは拒否しました。
するとAさんは、
「被害者だからと言って大きな態度とるなよ。突っぱねたらまた痛い目にあうぞ。示談書にハンコを付け」
などと言いました。
怖くなったVさんは、示談書にハンコを押しましたが、Aさんが帰った後に警察に連絡し、Aさんは仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~示談の重要性~

犯罪を行ってしまった時に、すみやかに被害者に弁償をし、示談を締結することはとても重要です。

刑事事件では、検察官が被疑者を裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)を判断します。
比較的軽い事件では、被疑者の反省態度や示談締結の有無なども考慮した上で、不起訴処分としたり、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選択することもありえます。

起訴されても、示談が締結されていれば、罰金や執行猶予など、軽めの判決がなされる可能性が上がります。

しかし、被害者は加害者に恐怖心を持っていることも多く(特に性犯罪など)、会ってくれないことも多いです。
会ってくれたとしても、謝罪の意思を伝えた上で、適切な内容の示談書を作成し、適切な金額を賠償して示談することは難しいこともあります。
場合によっては、被害者をさらに脅してしまい、新たな犯罪が成立してしまうこともあります。

~成立する犯罪~

Aさんの行為には、強要罪強談威迫罪(ごうだんいはくざい)が成立する可能性があります。

まずは強要罪の条文から。

刑法第223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

本ケースでは、傷害罪を起こしたAさんが「突っぱねたらまた痛い目にあうぞ」などと言って、本来Vさんの自由意志で決められるはずの示談締結をさせています。
したがって、「身体…に対し害を加える旨を告知して脅迫し…人に義務のないことを行わせ」たとして、強要罪が成立するでしょう。

次に、強談威迫罪の条文を見てみましょう。

第105条の2
自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

Vさんは、Aさんの傷害事件の被害者なので、Aさんにとって「自己…の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者」に当たります。

そして「強談」とは、言葉を使って無理やり自己の要求に応ずるよう迫る行為をいいます。
また「威迫」とは、言語・動作・態度で気勢を示し、相手に不安・困惑を生じさせる行為をいいます。
Aさんが強い言葉で示談を迫った行為は、強談及び威迫に該当するでしょう。
したがって強談威迫罪も成立するでしょう。

なお、1つの行為に2つの犯罪が成立する場合、重い方の罪の法定刑の範囲内で刑罰が決められるので、今回は強要罪の法定刑(3年以下の懲役)の範囲内で刑罰が決まります。

第54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

~弁護士にご相談を~

逮捕されたAさんに対しては、下記ページ記載の刑事手続が進んでいきます。

刑事事件の流れ
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、既に釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

強要罪強談威迫罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合、あるいは犯罪をしてしまい被害者と示談したいといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

公務執行妨害罪で逮捕

2019-07-05

公務執行妨害罪で逮捕

宮城県亘理町に住むAさん。
町内の道路を走行中、スピード違反をしたとして、亘理警察署の警察官に停車させられました。
たしかに制限速度はオーバーしていましたが、わずかなオーバーにすぎず、多くの車がこの程度のスピードは出しているので、切符を切られることに不満を感じたAさん。
「点数稼ぎのためにやってんのか」
と文句を言いましたが、相手にされませんでした。
警察官の態度に腹を立てたAさんは、パトカーを蹴りつけてしまい、公務執行妨害罪現行犯逮捕されました。
(フィクションです)

~パトカーを蹴っても「暴行」~

Aさんがパトカーを蹴った行為には、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。

刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

「暴行」というと、人に対して行う場合をいうのではないかと思われるかもしれません。
しかし、公務執行妨害罪における「暴行」とは、公務員の体に直接なされたものの他、物に対してなされたものであっても、公務員に物理的・心理的に影響を与えるようなものも含まれます。

パトカーを蹴りつける行為は、公務員に対し恐怖心を与え、スムーズな公務の執行を妨害しうるものです。
したがって少なくとも公務員に対し心理的に影響を与えるものとして、公務執行妨害罪の「暴行」に該当しうるといえます。

また、パトカーが破損していれば、器物損壊罪も成立します。

第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

なお、両方の罪が成立する場合、重い方の公務執行妨害罪で定められている範囲内で、刑罰が決まることになるでしょう(刑法54条1項参照)。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになるでしょう。

これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。

まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことにより本人や家族の社会生活に過度の不利益が生じることなどを具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。

また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
また、検察官が起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
そこで、ケガ人もおらず悪質性の低い犯行であること、反省していること、前科がないことなど、ご本人に有利な事情を出来る限り主張して、不起訴処分や略式起訴にするよう検察官に要請していきます。

~弁護士にご相談を~

突然逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、既に釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

公務執行妨害罪器物損壊罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

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