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公然わいせつ罪の取調べ対応(少年事件)
公然わいせつ罪の取調べ対応(少年事件)
宮城県内の高校に通学する17歳Aさんは、衣類を何も身に着けない状態で雨合羽を羽織り、路上で女性が通るたびに雨合羽の前部分を開けて全裸を見せつけるという行動を繰り返していました。
ある日、Aさんは、目撃者からの通報を受けて駆け付けた宮城県大和警察署の警察官に現行犯逮捕されました。
息子の身を案じたAさんの両親は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所の弁護士に相談し、弁護士に初回接見に行ってもらうことになりました。
初回接見を依頼された弁護士がAさんに面会に行くと、逮捕されたことでAさんは投げやりになっていました。
弁護士はAさんに辛抱強く向き合い、取調べや今後の手続きについての説明とアドバイスをしました。
(フィクションです。)
~公然わいせつ罪~
公然わいせつ罪は、公然とわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
「公然」とは,不特定又は多数の者が認識することができる状態をいいます。
「不特定又は多数の者」であればよいので、不特定であれば少数でも良く、多数であれば特定人の集まりでも構いません。
今回のAさんの行為は、路上を通りがかる女性という不特定の者を対象にしているため「公然と」行っているといえます。
「わいせつな行為」とは,判例では、「行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって,普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの」を指すとされています。
性器の露出や全裸を見せつける行為は、「わいせつな行為」の典型的なものです。
~公然わいせつ罪の取調べ~
公然わいせつ罪の場合、犯人が本件に限らず,これまでにも繰り返し同様のことを行ってきたか,つまり犯行の常習性が認められるかどうかが重要視されます。
よって,取調べでも,捜査官から執拗に「これまでも同じことをやってきたのだろう」などと常習性に関して聴取されることが予想されます。
しかし,取調べで捜査官の話に適当に乗せられてしまうと,その常習性に関し,自分の意に反する供述調書が作成され,その証拠を基に重い刑事処分・Aさんのような少年の場合は重い保護処分を科せられる恐れがあります。
特に、取調べを受けているのが少年である場合は、注意が必要です。
少年は一般に成人に比して未熟であり、表現力や理解力が成人よりも乏しいことから、取調べにおいて捜査官の暗示や暴言等をもって圧迫された場合には、自分の主張をはっきり示して貫くことが難しく、捜査官に迎合してしまう可能性が高いと言われています。
その結果、少年の意に反した供述調書が作成されてしまうと、その供述調書がそのまま裁判官等の事実認定の基礎となってしまう恐れがあり、ひいては冤罪を招くことにもなりかねません。
少年が逮捕・勾留されて取調べで厳しい追及を受けている場合、少年の助けとなれるのが弁護士です。
弁護士は少年に対して、捜査機関の取調べの実態や、供述調書の証拠としての意味や重要性を丁寧に説明し、取調べに対する具体的な対応策のアドバイスを行います。
その際は、逮捕・勾留されている少年に認められた以下の権利について丁寧に説明します。
・黙秘権:取調べの際に答えたくない質問には答えなくてよいこと
・署名押印拒否権:供述調書が自分の意に反する場合には署名に応じなくてもよいこと
・訂正申立権:自分の意に反する供述調書には訂正を求めることができること
弁護士のアドバイスを受けることで、取調べの際に意に反した調書が作成されることを防ぐことができ、ひいては、少年に対する適正な処遇、少年の真の更生につながることになります。
また、弁護士であれば、孤独で過酷な状況下にある少年に寄り添い、少年を安心させて味方になってあげることもできます。
今回の事例のAさんは、逮捕されたことで投げやりになっています。
少年が投げやりになっている場合でも、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、少年に辛抱強く真摯に向き合います。
ご依頼いただいた場合は、少年のご家族の理解と協力の下、少年の環境を整えて更生できるよう全力でサポートを行っていきます。
お子様が公然わいせつ罪などで逮捕されてお困りの場合は、まずは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。
(初回接見費用はフリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。)
児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚⑤
児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚⑤
~前回からの流れ~
Aさんは、出会い系アプリで女子高校生Vさん(16歳)と知り合いました。
Vさんが「今年の春に高校2年生になった」と話していたため、Aさんは,Vさんの年齢を16歳か17歳だろうと思いましたが、Vさんと援助交際をしたいと考えて、Vさんに3万円を渡す代わりに性交することを約束しました。
当日、Vさんと会ったAさんは、渡すお金を1万円増額する代わりにVさんとの性交時の場面を動画撮影させてほしいとVさんに持ち掛けました。
Vさんの了承を得たAさんは、Vさんと性交に及ぶ様子をスマートフォンで動画撮影しました。
帰宅後、Aさんは、その動画をインターネット掲示板に公開しました。
Vさんが宮城県遠田警察署に補導されたことをきっかけに事件が発覚し、Aさんは児童買春の疑いで宮城県遠田警察署に逮捕され、スマートフォンを押収されました。
捜査の結果、Aさんは、20日間の勾留後、児童ポルノ製造の罪と児童ポルノ公然陳列の罪で再逮捕されました。
(フィクションです。)
今回のコラムでは、児童買春、児童ポルノ事件と再逮捕について解説します。
~再逮捕~
ニュースで、「~容疑者が再逮捕されました。」などと報道されているのを耳にすることがあります。
実は、法律上の「再逮捕」と一般的に使用されている「再逮捕」という言葉は意味が異なります。
法律上の「再逮捕」とは,「同一の被疑事実につき,時を異にして再び逮捕する」ことをいいます。
この法律上の再逮捕は、原則的には認められていません。
一方、一般的に使用されている「再逮捕」という言葉は、「異なる被疑事実につき,時を異にして逮捕する」ことを指していることが多いです。
異なる被疑事実かどうかは,罪名はもちろん,犯行時期・場所,被害者,犯行態様,保護法益等を比べて判断されます。
今回の事例のAさんは、児童買春と、児童ポルノ製造・児童ポルノ公然陳列の被害者は同じですが,罪名が異なりますし,犯行態様も異なります。
そのため、Aさんが二度目の逮捕をされたのは、法律上の再逮捕ではなく、一般的に使用されている言葉としての「再逮捕」であり、許容されることになるでしょう。
~再逮捕後の身柄拘束~
Aさんは、児童買春の罪で逮捕されて20日間の勾留を受けた後、児童ポルノ製造の罪と児童ポルノ公然陳列の罪で再逮捕されています。
再逮捕されると,再び最大で3日間の逮捕と20日間の勾留期間が続くことになります。
児童買春の罪で逮捕された場合、余罪捜査の一環としてスマートフォンやパソコンなどが押収されることが多いです。
警察は、児童ポルノ等の犯罪に繋がる証拠がスマートフォンやパソコンなどに残っていないかどうか調べるために押収します。
児童ポルノ等の犯罪につながる証拠が見つかれば、Aさんのように再逮捕されて身柄拘束期間が延びることがありえます。
長期間の身体拘束を受けることを避けるためには、弁護士に依頼して早期に対応することが重要です。
余罪があって再逮捕される可能性がある場合、かなりの長期間の身体拘束が続く可能性があるため、弁護士に依頼して、取調べに対するアドバイスを受けたり、身柄解放のための活動をしてもらう必要性が高いと言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件専門の法律事務所です。
余罪多数の事件の刑事弁護活動も積極的におこなっており、児童買春事件、児童ポルノ事件で余罪がある方のご依頼もこれまでにいただいております。
ご家族が児童買春や児童ポルノ事件で逮捕された、または再逮捕されてお困りの方は、初回接見サービスをご利用ください。
初回接見サービスのお申し込みは、フリーダイヤル0120-631-881にて、土日・祝日を問わず24時間受付中です。
(宮城県遠田警察署 初回接見費用:43,220円)
児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚④
児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚④
~前回からの流れ~
Aさんは、出会い系アプリで女子高校生Vさん(16歳)と知り合いました。
Vさんが「今年の春に高校2年生になった」と話していたため、Aさんは,Vさんの年齢を16歳か17歳だろうと思いましたが、Vさんと援助交際をしたいと考えて、Vさんに3万円を渡す代わりに性交することを約束しました。
当日、Vさんと会ったAさんは、渡すお金を1万円増額する代わりにVさんとの性交時の場面を動画撮影させてほしいとVさんに持ち掛けました。
Vさんの了承を得たAさんは、Vさんと性交に及ぶ様子をスマートフォンで動画撮影しました。
帰宅後、Aさんは、その動画をインターネット掲示板に公開しました。
Vさんが宮城県遠田警察署に補導されたことをきっかけに事件が発覚し、Aさんは児童買春の疑いで宮城県遠田警察署に逮捕され、スマートフォンを押収されました。
捜査の結果、Aさんは、20日間の勾留後、児童ポルノ製造の罪と児童ポルノ公然陳列の罪で再逮捕されました。
(フィクションです。)
~児童ポルノ公然陳列の罪~
児童ポルノ公然陳列の罪は,児童ポルノを公然と陳列した場合に成立する罪です。
法律7条6項
児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
児童ポルノ公然陳列の罪を犯すと、①5年以下の懲役、②500万円以下の罰金、③①②の両方のいずれかが科されるおそれがあります。
懲役刑と併せて罰金が科せられるような罰則になっているのは,児童ポルノを利用して不当に得た収益を吐き出させる意味合いもあると言われています。
児童ポルノ公然陳列の罪は、懲役刑と罰金刑の上限が単純所持や製造,提供より重いだけでなく,場合によっては懲役刑と罰金刑がまとめて言い渡される可能性があるため,児童ポルノに関する規制,処罰の中ではかなり重い部類に属します。
その理由は、不特定多数の者に写真や画像,動画が見られてしまうため,対象となった児童にもたらされる弊害が大きいためです。
児童ポルノ公然陳列の罪を犯してしまった場合,逮捕や刑事裁判となるリスクが高いです。
また、児童ポルノ公然陳列の罪の場合、実刑の可能性も否定できません。
起訴されて執行猶予獲得を目指す場合には、被告人が反省を深めていること、被害者へ被害弁償や示談をしていること,犯行に使用したパソコンを処分する等再犯防止に向けた具体的取組みをしていることなどを的確に立証していく必要があるでしょう。
なお、平成30年上半期の態様別の検挙件数では、製造事犯、提供・公然陳列事犯、所持等事犯のうち、提供・公然陳列事犯が最も少ない344件で、全体の約24%を占めています。
次回のコラムでは、児童買春、児童ポルノ事件と再逮捕について解説します。
ご家族等が刑事事件で逮捕されお困りの方は, 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。
児童買春・児童ポルノ事件では、本人が忘れた頃に,突然警察に逮捕されるということがあります。
初回接見とは,ご契約前に,弁護士が警察署等の留置施設に出張して,逮捕・勾留されている方と面会するサービスです。
身体拘束されて外界との接触を遮断されている被疑者の方に,契約前の時点で,弁護士から取調べについての対応や事件の見通しについて法的なアドバイスを提供します。
初回接見のお申し込みは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
(宮城県遠田警察署への初回接見費用:43,220円)
児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚③
児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚③
~前回からの流れ~
Aさんは、出会い系アプリで女子高校生Vさん(16歳)と知り合いました。
Vさんが「今年の春に高校2年生になった」と話していたため、Aさんは,Vさんの年齢を16歳か17歳だろうと思いましたが、Vさんと援助交際をしたいと考えて、Vさんに3万円を渡す代わりに性交することを約束しました。
当日、Vさんと会ったAさんは、渡すお金を1万円増額する代わりにVさんとの性交時の場面を動画撮影させてほしいとVさんに持ち掛けました。
Vさんの了承を得たAさんは、Vさんと性交に及ぶ様子をスマートフォンで動画撮影しました。
帰宅後、Aさんは、その動画をインターネット掲示板に公開しました。
Vさんが宮城県遠田警察署に補導されたことをきっかけに事件が発覚し、Aさんは児童買春の疑いで宮城県遠田警察署に逮捕され、スマートフォンを押収されました。
捜査の結果、Aさんは、20日間の勾留後、児童ポルノ製造の罪と児童ポルノ公然陳列の罪で再逮捕されました。
(フィクションです。)
前回のコラムの通り、児童ポルノの製造の罪については,法律では,その目的や態様によって適用される条文や罰則が異なります。
今回のコラムでは、児童ポルノ製造の罪の種類の解説と、児童ポルノ公然陳列の罪の解説をします。
~児童ポルノ製造の罪の種類~
②単純な製造(法律7条4項)
①や④のようにはっきりとした目的がなく、自分のために児童ポルノを製造する場合です。
児童の同意の有無は関係ありません。
例えば、児童本人に児童ポルノに該当する写真を自撮りさせて、そのデータを譲り受けた場合でも、製造罪が成立する場合があります。
警察庁の統計データによると、平成30年上半期の児童ポルノ製造被害にあった児童の被害態様別割合では、児童が自らを撮影した自撮り画像に伴う被害が約4割を占めています。
③盗撮による製造(法律7条5項)
ひそかに児童ポルノに係る児童の姿態を写真等で撮影して児童ポルノを製造する行為です。
具体例としては、児童が利用する更衣室に隠しカメラを設置して盗撮する行為が挙げられます。
児童ポルノの盗撮であることから、各都道府県の迷惑防止条例で禁止されている盗撮の罰則規定よりも重い罰則規定となっています。
①提供する目的での製造(法律7条3項)
「提供」とは,児童ポルノであるDVD等を相手方において利用すべき状態におく法律上・事実上の一切の行為をいい,有償・無償は問いません。
児童ポルノに該当するDVDを販売する行為や,画像データを送信する行為が「提供」に該当します。
提供することを目的として児童ポルノを製造すると「提供する目的での製造」にあたります。
④不特定若しくは多数へ提供や公然陳列する目的での製造(法律7条7項)
不特定多数もしくは多数への提供や公然陳列する目的での製造が該当します。
「公然」とは,不特定又は多数の人が認識することのできる状態のことをいい,現実に認識される必要はなく,認識される可能性があれば足ります。
「陳列」とは,人がその内容を認識できる状態に置くことをいいます。
つまり、児童ポルノの公然陳列とは,児童ポルノを不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいいます。
公然陳列となる場合の例としては,SNSやインターネット掲示板、ファイル共有ソフトなどに児童ポルノをアップロードして、インターネットを介して不特定多数の者が閲覧できるような状態にすることなどがあります。
インターネットの掲示板やSNSは、一般的に、不特定多数の人が閲覧可能であるため、利用する不特定多数の人がその児童ポルノを見ることができる状態となってしまいます。
そのような状態に児童ポルノを置くことは、児童ポルノを「公然と陳列」したと判断される可能性が高いです。
今回の事例のAさんは、Vさんとの性交時の場面を撮影した動画をインターネット掲示板に公開しています。
Aさんが、インターネットの掲示板に公開する目的で動画を撮影した場合は、不特定若しくは多数への児童ポルノの公然陳列目的の製造の罪が成立する可能性が高いです。
次回のコラムでは、児童ポルノ公然陳列の罪について解説します。
宮城県内で、児童買春、児童ポルノ事件に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にお問い合わせください。
(宮城県遠田警察署への初回接見費用:43,220円)
児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚②
児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚②
~前回からの流れ~
Aさんは、出会い系アプリで女子高校生Vさん(16歳)と知り合いました。
Vさんが「今年の春に高校2年生になった」と話していたため、Aさんは,Vさんの年齢を16歳か17歳だろうと思いましたが、Vさんと援助交際をしたいと考えて、Vさんに3万円を渡す代わりに性交することを約束しました。
当日、Vさんと会ったAさんは、渡すお金を1万円増額する代わりにVさんとの性交時の場面を動画撮影させてほしいとVさんに持ち掛けました。
Vさんの了承を得たAさんは、Vさんと性交に及ぶ様子をスマートフォンで動画撮影しました。
帰宅後、Aさんは、その動画をインターネット掲示板に公開しました。
Vさんが宮城県遠田警察署に補導されたことをきっかけに事件が発覚し、Aさんは児童買春の疑いで宮城県遠田警察署に逮捕され、スマートフォンを押収されました。
捜査の結果、Aさんは、20日間の勾留後、児童ポルノ製造の罪と児童ポルノ公然陳列の罪で再逮捕されました。
(フィクションです。)
前回のコラムでは、児童買春の罪について解説しました。
今回からは、児童ポルノに関する罪のうち、主に児童ポルノ製造の罪と児童ポルノ公然陳列の罪について解説します。
~児童ポルノに関する罪~
児童ポルノに関する規制と処罰については、「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下,法律)」で定められています。
「児童ポルノ」とは、法律2条3項で定義されており、
写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって
①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿勢(1号)
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器を触る行為に係る児童の姿勢であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(2号)
③衣服の全部または一部を着けない児童の姿勢であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの(3号)
を視覚により認識できる方法により描写したものを言います。
児童ポルノにかかる行為で禁止されているのは
(1)児童ポルノの単純な所持(7条1項)
(2)児童ポルノの提供(7条2項)
(3)児童ポルノを提供する目的での製造、所持、運搬、日本国内への輸入又は国外への輸出(7条3項)
(4)児童ポルノの単純な製造(7条4項)
(5)盗撮による児童ポルノの製造(7条5項)
(6)不特定若しくは多数への児童ポルノの提供や公然陳列(7条6項)
(7)児童ポルノを不特定若しくは多数へ提供や公然陳列する目的での、製造、所持、運搬、日本国内への輸入又は国外への輸出(7条7項及び8項)
があります。
~児童ポルノ製造の罪とは~
児童ポルノの製造とは、その名前の通り、児童ポルノを作り出すことを言います。
児童の心身に与える有害な影響や、流通の危険性を創出する点から、児童ポルノの製造が禁止されています。
今回の事例のAさんは、16歳のVさんとの性交時の場面を動画撮影しています。
性交時の児童(Vさん)の姿態は法律2条3項1号に当たり、スマートフォンのメモリが電磁的記録に係る記録媒体に当たります。
したがって、スマートフォンのメモリに、Vさんとの性交時の動画を記録・蔵置することは、児童ポルノの製造にあたるといえそうです。
ところで、児童ポルノ製造の罪といっても,法律では,その目的や態様によって適用される条文や罰則が異なります。
児童ポルノの製造については、以下の4種類があります。
①提供する目的での製造(法律7条3項)
②単純な製造(法律7条4項)
③盗撮による製造(法律7条5項)
④不特定若しくは多数へ提供や公然陳列する目的での製造(法律7条7項)
罰則規定は
①~③が3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
④が5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科
と規定されています。
なお、警察庁の統計データによると、平成30年上半期の児童ポルノの態様別の検挙件数では、製造事犯が686件と全体の約5割を占めているようです。
次回のコラムでは、上記の4種類の児童ポルノ製造の解説と、児童ポルノ公然陳列の罪の解説をします。
宮城県内で、児童買春、児童ポルノ事件に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にお問い合わせください。
(宮城県遠田警察署への初回接見費用:43,220円)
児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚①
児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚①
Aさんは、出会い系アプリで女子高校生Vさん(16歳)と知り合いました。
Vさんが「今年の春に高校2年生になった」と話していたため、Aさんは,Vさんの年齢を16歳か17歳だろうと思いましたが、Vさんと援助交際をしたいと考えて、Vさんに3万円を渡す代わりに性交することを約束しました。
当日、Vさんと会ったAさんは、渡すお金を1万円増額する代わりにVさんとの性交時の場面を動画撮影させてほしいとVさんに持ち掛けました。
Vさんの了承を得たAさんは、Vさんと性交に及ぶ様子をスマートフォンで動画撮影しました。
帰宅後、Aさんは、その動画をインターネット掲示板に公開しました。
Vさんが宮城県遠田警察署に補導されたことをきっかけに事件が発覚し、Aさんは児童買春の罪の疑いで宮城県遠田警察署に逮捕され、スマートフォンを押収されました。
捜査の結果、Aさんは、20日間の勾留後、児童ポルノ製造の罪と児童ポルノ公然陳列の罪で再逮捕されました。
(フィクションです。)
上記の事例を基に、今日から数回にわたって、宮城県内で刑事事件を専門に扱っている弁護士が、児童買春・児童ポルノに関する罪を解説いたします。
~児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律~
金銭等を対価に18歳未満の児童と性行為等に及ぶ、いわゆる援助交際と呼ばれる行為は、児童買春の罪に該当します。
児童買春に関する規制と処罰は、「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下,法律)」が定めています。
名称から明らかなとおり、この法律では、児童ポルノに関する罪の規制と処罰についても定めています。
この法律でいう「児童」とは18歳に満たない者をいいます。
この法律は、児童に対する性的搾取や性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み、児童買春,児童ポルノに係る行為を規制し処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることによって、児童の権利を擁護することを目的とするものです。
児童買春に係る行為の罪としては,児童買春の罪、児童買春周旋の罪、児童買春勧誘の罪等があります。
児童ポルノに係る行為の罪としては、所持罪、保管罪、提供罪、公然陳列罪、製造罪、運搬罪、輸出入罪等があります。
~児童買春の罪~
法律2条2項
(略)児童買春とは,法律2条2項各号に掲げる者(児童等)に対し,対償を供与し,又はその供与の約束をして,当該児童に対し,性交等(性交若しくは性交類似行為をし,又は自己の性的欲求好奇心を満たす目的で,児童の性器等(性器,肛門又は乳首をいう。以下同じ)を触り,若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう)をすることをいう
法律4条(児童買春)
児童買春をした者は,5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
先述の通り、児童買春の対象となる「児童」とは,18歳未満の者を指します。
「対償」とは,児童が性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいい、現金のみならず,物品や債務(借金)の免除なども含まれます。
「供与」とは与えることです。
ただし,与える相手は児童に限られず、児童買春の周旋者や児童の親,監督者などに与えることによっても児童買春は成立しえます。
「性交等」とは、条文の括弧書きに書かれている通り、性交だけに限られません。
性交若しくは性交類似行為をし,又は自己の性的欲求好奇心を満たす目的で,児童の性器等(性器,肛門又は乳首)を触り,若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます。
なお、児童買春の罪が成立するためには、行為者が相手方を児童(18歳未満の者)と認識している必要があります。
ただし,認識の程度は「18歳未満である」というような確定的なものである必要はなく,「18歳未満かもしれない」という未必的なもので足りるとされています。
今回の事例のAさんの場合、Vさんに年齢をはっきり聞いたわけではありませんが、認識ありとされる可能性が高いでしょう。
今回の事例のAさんは、16歳のVさんに4万円を渡す代わりに性交をしており、また、Vさんの年齢について18歳未満であるとの認識ありとされる可能性が高いです。
以上から考えると、今回の事例のAさんの行為は、児童買春の罪に当たる可能性が高いと思われます。
なお、警察庁の統計データによると
児童買春事件等(児童買春、淫行させる行為(児童福祉法違反)、みだらな性行為等(青少年保護育成条例違反))の検挙件数・検挙人員は、近年増加傾向にあります。
ただし、平成30年上半期の検挙件数は1,277件、検挙人員は991人と前年同期比で減少しているそうです。
次回以降のコラムでは、児童ポルノに係る行為の罪について解説します。
宮城県内で、児童買春、児童ポルノ事件に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にお問い合わせください。
(宮城県遠田警察署への初回接見費用:43,220円)
レイプドラッグで準強制性交等未遂罪
レイプドラッグで準強制性交等未遂罪
30代男性のAさんは、知人の20代女性Vさんと食事をしている際、Vさんがトイレに立った隙を見計らってVさんの飲み物の中にレイプドラッグとして睡眠導入剤を混入させました。
しかし、AさんがVさんの飲み物に睡眠導入剤を入れるところを別のテーブルの客が目撃しており、意識が朦朧として足元がおぼつかない様子のVさんを連れ出そうとしたAさんを制止しました。
この客の通報によって駆けつけた宮城県加美警察署の警察官により、Aさんは、準強制性交等未遂罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、警察での取調べにおいて、「Vさんの同意を得ずに性交するために睡眠導入剤を混入した」と供述しているそうです。
(フィクションです。)
~レイプドラッグ~
レイプドラッグとは、服用した相手の意識や抵抗力を奪い性的暴行に及ぶ目的で使用される薬を言います。
手口としては、こっそり相手の飲料に混ぜてレイプドラッグを服用させる手口が典型的です。
レイプドラッグとして使用される薬としては、睡眠導入剤や抗不安剤の他に、GHBと呼ばれる危険ドラッグの一種などがあります。
~準強制性交等罪とレイプドラッグ~
今回の事例のAさんは、準強制性交等未遂罪の容疑で逮捕されています。
準強制性交等罪とは、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」性交等を行った場合に成立する犯罪です(刑法178条2項)。
心神喪失は精神の障害等によって正常な判断能力を失った状態をいい、「抗拒不能」とは心神喪失以外で心理的・物理的に抵抗することが不可能または極めて困難な状態をいいます。
被害者を準強制性交等罪の「心神喪失」や「抗拒不能」の状態にさせる際に用いられることのある薬物が、レイプドラッグです。
今回の上記事例のAさんのように、飲み物に睡眠導入剤などのレイプドラッグを入れて相手の自由を奪うような行為は、抵抗することを著しく困難な状態にさせているといえます。
つまり、レイプドラッグによって相手が意識を失っている時や、著しく抵抗のできない時に性交等を行えば、準強制性交等罪となるのです。
性交等を目的として相手を抵抗不能な状態にさせた場合、その時点で準強制性交等罪という犯罪行為に取り掛かっていると評価され、性交等に及んでいなくとも準強制性交等未遂罪に問われる可能性は高いです。
なお、今回の事例のAさんは、レイプドラッグとして睡眠導入剤を使用していますが、危険ドラッグを使用する場合には薬機法違反にもなりえます。
準強制性交等罪の法定刑は、「5年以上の有期懲役」となっています。
過去の準強姦罪または準強制性交等罪の量刑では、実刑判決となる場合が多いようです。
準強制性交等罪は、法定刑の下限が懲役5年なので、そのままでは執行猶予が付けられません。
つまり、起訴されて有罪となり刑の減軽がなければ、執行猶予がつけられないので刑務所に行かなくてはならないことになります。
しかし、犯行が未遂にとどまっている、示談成立等酌むべき事情があると判断されれば、酌量減軽(法定刑が半分になる制度)が適用され、法定刑の下限が懲役2年6月となり、執行猶予の可能性が出てくることになります。
今回の事例のAさんの場合は、Aさんが睡眠導入剤を混入しているところを目撃した客から制止された結果、未遂に終わっています(障害未遂)。
Aさんが執行猶予付き判決を獲得するためには、早い段階で弁護士に依頼をして、犯行が未遂にとどまっていることや反省の意思を捜査機関や裁判所に主張するとともに、被害者との示談交渉を行うことが大切です。
刑事事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、準強制性交等罪についての相談・依頼も承っております。
レイプドラッグによる準強制性交等未遂罪等などで実刑判決を回避したいとお考えの方は、ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
(宮城県加美警察署への初回接見費用:フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。)
中学校トイレに盗撮用カメラを設置
中学校トイレに盗撮用カメラを設置
宮城県山元町に住むAさんは、Aさんの息子が通う同町内の中学校の授業参観に訪れた際、女子トイレに、盗撮用カメラを設置しました。
カメラ設置の数時間後授業参観が終わって帰宅する前に、Aさんは、カメラを回収しようとしましたが、既にカメラは無くなっていました。
逮捕されるのではないかと不安になったAさんは、刑事事件に強い法律事務所の弁護士に無料法律相談しました。
(フィクションです)
~盗撮により成立する罪~
盗撮行為については、主に各都道府県で制定されているいわゆる迷惑行為防止条例違反となります。
都道府県ごとに名称や細かな規定が異なっており、宮城県では「迷惑行為防止条例」が適用されます。
この条例で禁止されている盗撮行為には以下の通り、様々な形態があります。
宮城県 迷惑行為防止条例
(卑わいな行為の禁止)
第三条の二 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
二 人の下着又は身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
三 人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。
2 何人も、正当な理由がないのに、人の衣服等を透かして見ることのできる写真機等を用いて、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人の下着等を見、又は撮影してはならない。
3 何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
4 何人も、正当な理由がないのに、集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所において、人の下着等を撮影してはならない。
罰則は、それぞれ以下の通りとなっています。(常習の場合については記載していませんが、以下の罰則よりも重い罰則となります。)
(罰則)
第十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処 する。
一 第三条の二第一項(第三号に係る部分に限る。)、第二項又は第三項の規定に違反して撮影した者
第十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第三条の二第一項から第三項までの規定に違反した者(前条第一項第一号の規定に該当する者を除く。)
Aさんの事件で検討してみると、中学校のトイレは、第三条の二第三項の「便所」に分類されます。
まず、中学校の女子トイレにカメラを設置する行為が、宮城県の迷惑行為防止条例の第三条の二第三項に抵触します。
その場合の罰則は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金でしょう。
カメラを回収されているため、Aさんは撮影されているか否かの確認ができていませんが、設置したカメラに生徒等人の姿が写っていれば、罰則は、「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」となります。
生徒等人の姿が写っていない場合は、罰則は「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金」となります。
~迷惑防止条例以外で抵触する可能性のある法律~
Aさんの行為は、盗撮した画像の内容にもよりますが、盗撮による児童ポルノ製造罪にも抵触する可能性があります。
他にも、建造物侵入罪にも抵触する可能性があります。
児童ポルノ法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)
設置したカメラに中学生の排泄等の状況が撮影されていた場合は、児童ポルノ法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)に抵触する可能性があります。
児童ポルノ法では、衣類の全部または一部を着けない18歳未満の者の姿態であって、殊更に性的な部位が露出又は強調され、かつ性欲を興奮させ又は刺激するものを「児童ポルノ」と定義しています。
児童ポルノ法では、児童ポルノをひそかに製造することを禁止しています。
ここでいう「ひそかに」とは、児童が利用する脱衣場に隠しカメラを設置して盗撮するような、描写の対象となる児童に知られることのないような態様を意味します。
中学生の排泄等の状況を盗撮する行為は、これに該当する可能性が高いです。
児童ポルノ製造罪が適用された場合の罰則規定は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」であり、宮城県の迷惑行為防止条例違反よりも重いものとなっています。
建造物侵入罪(刑法第130条)
盗撮目的でカメラを設置するために、中学校の女子トイレに入れば、建造物侵入罪に当たる可能性があります。
建造物侵入罪とは、刑法第130条に定めらた法律で、正当な理由なく、人の看守する建造物に、看守者の許可なく立ち入ることです。
建造物侵入罪には「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」の罰則が規定されています。
Aさんのような事件で警察が捜査をする場合、まず考えられるのはトイレに残されていたカメラの捜査です。
指紋の採取やDNAの採取、カメラの製造番号等から販売元を割り出し購入者の特定、録画されているデータ等をもとに犯人を割り出す可能性があります。
警察の捜査が及ぶ可能性があるか、おこなってしまった盗撮行為がどのような法律に抵触するかお困りの場合は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談をご利用ください。
児童買春の再犯防止
児童買春の再犯防止
Aさんは、宮城県気仙沼市の17歳Vさんに現金2万円を渡して同市内で性交したとして宮城県気仙沼警察署の取調べを受けています。
Aさんに事件を依頼された児童買春事件に強い弁護士は、Aさんに児童買春の前科があることを考慮し、再犯防止について検討しています。
(フィクションです。)
~児童買春~
児童買春を規制するのは「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」という法律で,この法律は一般に児童買春・児童ポルノ法と呼ばれています。
児童買春とは,対価を支払う又は支払いの約束をしたうえで,児童(18歳未満の者)と性行為や性交類似行為に及ぶことを指します(同法2条2項)。
対価の支払いの相手方は、児童本人だけでなく,児童の親や売春を斡旋した者も含まれます。
児童買春に該当する行為は性行為だけに限られません。
性器を身体に擦り付ける,手淫するなどといった性交類似行為や、児童の性器に触れる、児童に自身の性器を触らせる行為も児童買春として規制の対象となります。
つまり、性行為を伴わなくても児童買春の罪が成立してしまう可能性があるのです。
児童買春の罪は、「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する」(同法4条)と規定されており、各自治体が定める青少年健全育成条例に規定される淫行の罪と比較して重い刑が定められています。
~児童買春事件の再犯防止~
今回のAさんのように、同一あるいは類似の罪の前科があると、規範意識が薄れているとして刑罰は重くなりがちです。
被告人に同一あるいは類似の罪の前科がある場合、量刑を決める裁判官は、厳しい刑を科さなければ再犯に及ぶのではないかと懸念します。
ところで、刑事事件で刑罰を科す目的には以下のような考え方があります。
・犯罪に対して報復をする目的
・犯罪に対して刑罰が言い渡されることを広く社会に知らせて,犯罪を予防する目的
・犯人が再び罪を犯すことのないように教育する目的
1つ目は、被害者(社会)の犯人に対する報復として犯人に制裁を与えることが主眼とされます。
2つ目は、一般予防の考え方で、刑罰によって一般人に注意を促すことにより犯罪を予防するのが主眼です。
3つ目は、特別予防の考え方で、犯人が再び罪を犯すことのないように教育(矯正)して社会に戻すことで犯罪を予防することが主眼です。
刑罰の目的に再犯防止の目的もあると考えられていることから、再犯防止策がしっかり講じられていることをアピールできれば、刑の減軽につながる可能性があります。
再犯に及んでしまう理由は様々ですが、再犯に及んでしまう原因として、十分な反省,更生がされないまま刑事手続が終了してしまったという場合が挙げられます。
被害者への謝罪の機会がない場合は自身の罪に向き合う機会が少なくなりがちであるため、罪の意識が弱いまま刑事手続きが終了してしまいのちに再犯に及んでしまうというものです。
特に児童買春事件では,相手方である青少年,児童が性交や性交類似行為そのものには承諾しており,「被害者」として実感しにくいため、十分な反省,更生がされないおそれが高いと言われています。
自身の行為の違法性を今一つ認識できないまま犯罪を繰り返してしまわないようにするためには、再犯防止に詳しい弁護士に相談することがお勧めです。
弁護士に相談することで、自身の置かれている状況を把握し、弁護士を介して被害者へ然るべき謝罪と被害弁償を行います。
その過程で罪に向き合って反省,更生を深めていくのです。
児童買春事件などで同種前科が複数あって刑罰が不安という方、再犯防止について知りたいという方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問い合わせください。
初回法律相談:無料
弁護士の接見で虚偽自白阻止(痴漢事件)
弁護士の接見で虚偽自白阻止(痴漢事件)
Aさんは、仙台市宮城野区を走行する通勤ラッシュ時のバス車内で、鞄を持って立っていたところ、突然近くの乗客に腕を掴まれて「痴漢をしただろう。」と言われました。
Aさんは身に覚えがありませんでしたが、次の停留所で降ろされて、駆け付けた宮城県仙台東警察署の警察官により宮城県迷惑行為防止条例違反(痴漢)の疑いで逮捕されました。
Aさんの妻の依頼で初回接見に来た弁護士は、Aさんから「痴漢はしていない。無実だ。」と聞いて、取調べで虚偽自白を採られないよう取調べ対応をアドバイスしました。
Aさんは、警察官から「自白すれば早く家に帰れる」「認めれば罰金で済む」等言われましたが、警察官の誘導には乗らずに虚偽自白を回避できました。
(フィクションです。)
~痴漢に対する罰則~
痴漢は、その態様により、都道府県の迷惑行為防止条例違反となるか、強制わいせつ罪となるか異なります。
人に羞恥心や不安感を抱かせるような態様で、衣類の上から人の身体を触った場合、各都道府県の迷惑行為防止条例違反となる可能性があります。
宮城県の条例では「迷惑行為防止条例第3条の2」に痴漢についての規定があります。
法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金、常習として行為をした者は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
~痴漢事件で虚偽自白を阻止~
痴漢事件は冤罪が多いと言われており、痴漢冤罪のニュースがたびたび世間の関心を集めています。
痴漢事件の特徴として、被害者の供述以外の証拠が乏しいことが挙げられます。
そのため、もっぱら被害者の供述を基に警察による取調べが進められる可能性が高いです。
捜査官は、捜査の過程で被害者から聞いた被害状況等の詳細な話を基に、無実の被疑者から、被害者の供述に基づくストーリーに沿った事件内容の供述を獲得しようとしますが、無実の被疑者を取調べても、当然、被疑者は事件をしていないため思うような供述を獲得できません。
取調べは,プライバシー保護の観点からも第三者の目の届きにくい「密室」の状態で行われるため、思うような供述を獲得できない場合に警察官による怒号,威圧,人格を否定するかのような暴言,罵倒を浴びせるなどの行為が行われやすく,問題となることもあります。
「自白すれば早く家に帰れる」「認めれば罰金で済む。」などと言葉巧みに誘導して虚偽自白や不利な供述を誘導することもあります。
長時間の取調べや繰り返される取調べによって精神的にまいってしまい,虚偽自白をしてしまったり自分の意図したこととは違うことを話したりして供述調書に書かれてサインをしてしまうケースが往々にしてありますが、一度,供述調書にサインをしてしまうと,書かれた内容を後で覆すことは大変な労力を必要とします。
虚偽自白を阻止するためには、弁護士がいちはやく接見することが有効です。
精神的に弱くなっている被疑者と弁護士が面会することで、被疑者が正しい知識と対処法を得て、取調べで虚偽自白を採られないよう適切に振る舞うことができます。
痴漢冤罪事件では、被疑者一人の力で状況を打破しようとせず、痴漢事件など刑事事件の専門の弁護士に依頼して、弁護士の介入で虚偽自白や不利な供述をすることを阻止することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、痴漢の疑いを晴らしたいとお考えのあなたと共に闘います。
弁護士が被疑者と接見(面会)することで、無実を証明する糸口がつかめるかもしれませんので、まずは初回接見サービスをご利用ください。
初回接見のお申込みはフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
宮城県仙台東警察署の初回接見費用:36,900円