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捜査書類を廃棄して有罪判決【公用文書毀棄罪・証拠隠滅罪】

2019-12-14

捜査書類を廃棄して有罪判決【公用文書毀棄罪・証拠隠滅罪】

警察官が捜査書類を破棄し証拠隠滅を図ったとして、懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決が出されました。

YAHOOニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191212-00000003-utyv-l19

この件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~公用文書毀棄罪~

この事件で被告の元警察官は、捜査をしたくなかったとして、窃盗事件の捜査書類を廃棄したとのことです。
この行為に対しては、公用文書毀棄罪という犯罪が成立することになります。

条文を見てみましょう。

刑法第258条
公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

「公務所」とは官公庁などを指し、警察署や検察庁、裁判所も含まれます。
犯罪の捜査書類はこれらの機関で使用されるものなので、「公務所の用に供する文書」に該当することになります。

また「毀棄」とは、文書の効用を害すること、と定義されていますが、要は文書としての機能・役割を果たせなくすることをいいます。
廃棄すれば文書を用いることは出来ず、文書としての機能・役割を果たすことができないので、「毀棄」に該当します。

したがって公用文書毀棄罪が成立することになるわけです。

~証拠隠滅罪も~

今回の事件の元警察官は、証拠隠滅罪にも問われました。
こちらも条文を確認してみましょう。

第104条
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

捜査に当たっていた窃盗事件は、元警察官から見て、「他人の刑事事件」です。
そして捜査書類は、窃盗犯人の有罪を基礎づけるための「証拠」となります。
この書類を廃棄したということは、証拠を「隠滅」したことになります。

したがって証拠隠滅罪も成立することになります。

なお、捜査資料の廃棄という1つの行為により、公用文書毀棄罪と証拠隠滅罪の2つの犯罪が成立したことになりますが、この場合は一番重い罪を基準として刑罰が決まります。

第54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

今回の2つの罪の中では公用文書毀棄罪の3か月以上7年以下の懲役の方が重いので、この範囲内で刑罰が決められることになります。
ただし、執行猶予が付く可能性はあり、今回の事件でも懲役1年6か月、執行猶予3年が言い渡されています。

~ぜひ弁護士に相談を~

刑事事件の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

もし同じような犯罪をしてしまったとすれば、ご本人はもちろん、ご家族も、刑事手続はどう進んでいくのか、報道されるのか、どのくらいの刑罰を受けるのかなど、不安なことが多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料で受けていただけます。

仮に逮捕されているケースでは、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

公用文書毀棄罪証拠隠滅罪などで捜査を受けている、逮捕されたといった場合には、ぜひご連絡ください。

商品券を偽造して逮捕【有価証券偽造罪】

2019-12-13

商品券を偽造して逮捕【有価証券偽造罪】

地元商店街で使える商品券を偽造して逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県内に住むAさん。
地元商店街が独自に発行している商品券を手にし、
「これくらいのやつなら自分で作れるんじゃないか」
と思い、カラーコピー機を使うなどして商品券を偽造しました。
「いい出来だ」
そう感じたAさんは、その偽造商品券を使って商店街で買い物を繰り返しました。
一見、本物に見えることから買い物した時にはバレませんでしたが、よく見るとインクがややにじんでいたり、紙質がわずかに違うという点があり、偽造されたものであることが発覚しました。
商店街の店主たちが警察に被害届を出し、捜査が進められたところ、Aさんの犯行が発覚。
Aさんは宮城県警の警察官により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~有価証券偽造・同行使罪~

商品券を偽造して使ったAさん。
まずは有価証券偽造罪と、偽造有価証券行使罪に問われる可能性があります。

条文を見てみましょう。

刑法第162条1項
行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造、又は変造した者は、三月以上十年以下の懲役に処する
第2項
行使の目的で、有価証券に虚偽の記入をした者も、前項と同様とする。
第163条1項
偽造若しくは変造有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する
第2項
前項の罪の未遂は、罰する。

Aさんの場合、赤く色付けした部分に該当します。

条文中の「有価証券」とは、簡単に言うと、財産上の権利が表示されており、その権利を行使するためにその券が必要となるものをいいます。
今回のような商品券の他、手形や小切手、クオカード、切符、宝くじ、馬券など多くの物がが該当します。

近年では、アイドルグループの握手券を偽造し、有価証券偽造で逮捕された例もありました。
握手券も、握手できるという財産的価値のある権利が紙に表示されており、握手するためにはその券を持って会場に行く必要があるので、有価証券に該当するわけです。

~詐欺罪も成立~

Aさんは、本物の商品券であると店員をあざむいて商品を受け取ったことになりますので、詐欺罪も成立してしまいます。

第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

結局、Aさんには有価証券偽造罪・同行使罪・詐欺罪の3つの犯罪が成立することになるでしょう。
これらの罪は、簡単に言うと、商品券の偽造やその行使という手段を用いて、詐欺という結果につなげたという関係にあります。
この場合、3つをまとめて裁判にかけられ、もっとも重い刑罰が定められている有価証券偽造罪と同行使罪の刑罰(3か月以上10年以下の懲役)の範囲内で罰せられることになるでしょう(単純に3つを足して30年以下の懲役となったりするわけではありません)。

第54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

~お早めのご相談を~

逮捕されると、ご本人はもちろん、ご家族も、刑事手続はどう進んでいくのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、執行猶予は付かないのかなど、不安なことが多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。

有価証券偽造罪や同行使罪、詐欺罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご連絡ください。

【関連リンク】
↓逮捕後の手続や、国選弁護人と私選弁護人との違いなどについてはこちらをご覧ください
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

強盗をして逃走中に死亡事故【強盗致死?】

2019-12-12

強盗をして逃走中に死亡事故【強盗致死?】

強盗後に車で逃走中、死亡事故を起こして逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県富谷市の民家に窃盗目的で忍び込んだAさん。
住人に見つかったことから、首元にナイフを突きつけ、
「金を出せ」
と言って、現金や貴金属類を奪い取りました。
その後、自動車で逃走中、早く遠くに逃げたいとの思いから制限速度を大幅にオーバーするスピードで走行していたところ、誤って歩行者をはねて死亡させてしまいました。
駆け付けた大和警察署の警察官から事故について取調べを受けていたAさんですが、実況見分をしていた別の警察官が、Aさんの車にあった紙袋の中に現金や貴金属が入っていることを偶然発見しました。
警察には強盗事件の情報も入っていたため、警察官がAさんに事情を聞いたところ、強盗についても自白。
Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~住居侵入・強盗・自動車運転過失致死罪~

強盗をして逃走中に人をひき殺してしまったAさん。
少なくとも住居侵入罪・強盗罪・自動車運転過失致死罪の3つの犯罪が成立することになるでしょう。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

ただし、かなりのスピードで走行していたAさんですから、自動車運転過失致死罪ではなく、より重い刑罰が定められた危険運転致死罪が成立する可能性も否定できません。

第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
2号 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

~強盗致死罪は成立しない?~

Aさんは強盗をして、逃走中に人を死亡させてしまったのですから、強盗致死罪は成立しないのかと思う方もいらっしゃるかもしれません。

刑法第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する

たしかに今回のAさんは、形式的には、赤く色付けした部分に該当するようにも思えます。
しかし、強盗致死罪までは成立しない可能性が高いでしょう。

理論的な説明は難しい部分ですが、そもそも強盗致死罪に極めて重い刑罰が定められている理由は、強盗の際に、被害者や犯人を捕まえようとした人を死傷させることが多く、このような死傷者が出ることを防ごうとする点にあります。
また、同条の刑罰が極めて重いので、あまり成立範囲を広げすぎない方がバランスが良いという考え方もあります。
したがって、物を奪う際の被害者への暴行や、追いかけてきた被害者・警察官等に対する暴行については強盗致死罪が成立しますが、それ以外の者を誤って死亡させてしまったような場合には、強盗致死罪は成立しないことになるでしょう。

今回も、ひき殺されてしまった方は、強盗自体の被害者ではなく、Aさんを捕まえようとしたわけでもないですし、Aさんが誤って死亡させた形ですので、強盗致死罪までは成立しないと思われます。

~弁護士に相談を~

逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

逮捕されると、ご本人はもちろん、ご家族も、刑事手続はどう進んでいくのか、釈放の見込みはあるのか、どのくらいの刑罰を受けるのかなど、わからないことも多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。

強盗罪自動車運転過失致死罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご連絡ください。

玉沢元農水相に発砲して逮捕【銃刀法違反・殺人未遂罪】

2019-12-11

玉沢元農水相に発砲して逮捕【銃刀法違反・殺人未遂罪】

2019年12月10日、岩手県盛岡市内において、玉沢徳一郎元農水相に発砲した男が、盛岡東警察署の警察官によって逮捕されました。
どのような罪が成立することになるのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~銃刀法に違反~

はじめに、銃刀法違反について説明致します。
犯人は拳銃を所持していたわけですが、銃刀法の以下の条文に違反することになります。

銃砲刀剣類所持等取締法
第3条1項
何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。
一号 法令に基づき職務のため所持する場合
二号以下 省略

警察官が職務で所持するなどの例外を除き、銃砲(拳銃など)を所持することが禁止されているわけです。

続いて、罰則が定められた条文を見てみましょう。

第31条の3第1項
第三条第一項の規定に違反してけん銃等を所持した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。この場合において、当該けん銃等の数が二以上であるときは、一年以上十五年以下の懲役に処する。
第2項
前項の違反行為をした者で、当該違反行為に係るけん銃等を、当該けん銃等に適合する実包又は当該けん銃等に適合する金属性弾丸及び火薬と共に携帯し、運搬し、又は保管したものは、三年以上の有期懲役に処する。

これらの条文をまとめると、

①拳銃1丁のみを所持した場合には、1年以上10年以下の懲役
②拳銃2丁以上を所持した場合には、1年以上15年以下の懲役
③拳銃の数に関わらず、実弾も一緒に所持していた場合には、3年以上の有期懲役(余罪がなければ上限は20年)

ということになります。

今回の事件の犯人は実際に発砲したわけですから、③に該当するでしょう。
なお、暴力団などによる組織的な犯行として行われた場合には、より重く罰せられる可能性があります(第31条の3第3項参照)。

~殺人未遂罪も~

今回、玉沢元大臣は一命をとりとめました。
仮に犯人が玉沢さんを殺すつもりはなく、至近距離から、手や足などを狙った場合には、死亡する可能性が低かったとして、銃刀法違反の他には傷害罪が成立するにとどまる可能性もゼロではありません。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

しかし通常、拳銃を人に向けて発砲すれば、人が死ぬ可能性があるわけですから、殺人未遂罪が成立する可能性が高いでしょう。

第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。

~犯罪をしたら弁護士に相談を~

銃刀法違反や殺人未遂をはじめ、何らかの犯罪をして逮捕されると、本人はもちろん、家族の方は、釈放の見込みはあるのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、どのくらいの刑罰を受けそうか等々、わからないことも多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

宮城県の他、近隣の県からの相談も受け付けておりますので、ぜひご連絡ください。

【関連リンク】
↓逮捕後の手続や、国選弁護人と私選弁護人との違いなどについてはこちらをご覧ください
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

デートレイプドラッグで逮捕【準強制性交等罪】

2019-12-10

デートレイプドラッグで逮捕【準強制性交等罪】

女性に睡眠薬を飲ませて性交し、逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市に住む男性Aさん。
取引先の会社の女性Vさんと食事に出かけることになりました。
食事を終え、Aさんは半ば強引にバーに誘いました。
バーに行き2人でお酒を飲んでいましたが、Vさんがトイレに行った隙に、AさんはVさんのグラスに睡眠薬を入れました。
トイレから戻ってきたAさんがそのグラスのお酒を飲んだところ、強い眠気に襲われました。
Aさんは、Vさんを抱えて店を出て、そのままホテルに連れて行き、意識がなくなっているVさんを相手に性交をしました。
後日、Aさんの自宅に仙台中央警察署の警察官が訪れ、逮捕状を示され、Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~準強制性交等罪とは~

睡眠薬を飲ませて意識を失わせ、性交をしたAさん。
このように用いられる睡眠薬などの薬は、最近ではデートレイプドラッグ、あるいはレイプドラッグなどと呼ばれています。

Aさんには、準強制性交等罪という犯罪が成立することになるでしょう。
条文を見てみます。

刑法第177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
第178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

177条が、主に暴行・脅迫を用いて性交(レイプ)をした場合に成立する、強制性交等罪(旧強姦罪)の条文です。
そして178条2項が、暴行・脅迫ではなく、被害者の意識がないのに乗じて、あるいは意識をなくさせて性交をするなどの場合に成立する、準強制性交等罪の条文です。
「準」という文字を付けて区別しているわけです。

とはいえ準強制性交等罪の場合も、178条2項に「前条の例による」とありますので、177条の強制性交等罪と同じく、5年以上の有期懲役になるという点では変わりません。
なお、有期懲役とは、余罪がなければ上限は20年です。

(準)強制性交等罪は、死刑や無期懲役にはなりませんが、下限は殺人罪などと同じ5年以上の懲役ですので、非常に重い罪であることがわかります。

~示談が重要~

(準)強制性交等罪は、たとえ初犯であっても、実刑判決が下ることも珍しくありません。
初犯であることなどが考慮されて酌量減刑され、懲役の下限が2年6か月まで下がることがありますが、それでも数年間、刑務所に入れられる可能性は十分あります。

執行猶予を狙うとすれば、被害者の方に謝罪・賠償し、示談を締結することが極めて重要です。
被害者の処罰感情が強く、示談に応じてもらえない場合も多いですが、早く事件を終わらせたいという思いから、示談に応じていただけるケースもあります。

しかし、逮捕されていれば示談交渉はできません。
仮にご家族が代わりに交渉するとしても、何と言ってお願いすれば良いのか、示談金はいくらにすべきか、示談書の文言はどうするべきかなど、わからない点が多いと思います。
また、被害者の方は加害者側と直接やり取りすることに抵抗がある場合が多いので、弁護士を通さなければ、示談が望めないケースも多いです。

そこで一度、弁護士にご相談されるのが良いと思います。

~お早めにご連絡ください~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
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また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。

逮捕されると手続きが一気に進んでいきますので、準強制性交等罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひお早めにご連絡ください。

〈関連リンク〉
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

ハードディスクを転売して逮捕【窃盗罪・個人情報保護条例違反】

2019-12-09

ハードディスクを転売して逮捕【窃盗罪・個人情報保護条例違反】

先日、神奈川県が使用していたハードディスクが、下請けの廃棄業者の社員により転売され、情報が漏洩したというニュースが流れました。この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~事件の概要~

神奈川県が使用していたハードディスク。
その中には、個人の納税記録などの個人情報が大量に入っていました。
ハードディスクは耐用年数が過ぎると、破損してデータの消失などが起きるかもしれないので、神奈川県でも新しいハードディスクと交換し、古くなったハードディスクのデータ削除を業者に依頼したようです。
ところが、その業者の社員がハードディスクを勝手に持ち出し、ネットオークションで転売していました。
社員は逮捕されましたが、中身が完全に削除されないままネットオークションで転売されていたのか、大量の個人情報が漏洩してしまったようです。

~問われる罪~

この事件の犯人として逮捕された被疑者は、窃盗罪の容疑がかけられています。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

条文にある「他人の財物」とは、他人が占有する(支配下にある)財物という意味です。
そして「窃取」とは、その財物を自分の占有に移すことを言います。

詳しい事情にもよりますが、データの削除を依頼されたハードディスクは、その業者自体の占有下にあるということになるでしょう。
そのハードディスクを勝手に持ち帰っているわけですので、自分の占有に移した、すなわち「窃取」したことになります。

したがって、10年以下の懲役または50万円以下の罰金になる可能性があることになります。

~個人情報保護条例違反のおそれも~

今回の事件の犯人は、ハードディスクの中身が何なのか知らなかったと述べているとの報道もあります。
しかし仮に、個人情報が入っていることを分かった上で売却していた場合などには、個人情報保護に関連する法律・条例にも違反する可能性もあります。

今回のように都道府県が保有していた個人情報の場合には、各都道府県が制定している個人情報保護条例に違反する可能性があります。
ここでは、宮城県の条例を見てみましょう。

宮城県・個人情報保護条例
第 15 条1項
実施機関から個人情報を取り扱う事務の委託を受けたもの又は公の施設の管理を行う指定管理者は,当該委託又は管理の事務を行うに当たって取り扱う個人情報の保護に関し必要な措置を講じなければならない。
2項
前項の委託又は管理の事務に従事している者又は従事していた者は,当該事務に関して知り得た個人情報をみだりに他人に知らせ,又は不当な目的に使用してはならない。
第 65 条
実施機関の職員若しくは職員であった者又は第 15 条第1項の委託若しくは管理の事務に従事している者若しくは従事していた者が,正当な理由がないのに,個人の秘密に属する事項が記録された行政文書であって,個人の氏名,生年月日その他の記述等により当該個人を容易に検索することができるように体系的に構成されたもの(その全部又は一部を複製し,又は加工したものを含む。)を提供したときは,2年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金に処する
第 66 条
前条に規定する者が,正当な理由がないのに,個人の秘密に属する事項が記録された行政文書(前条に規定するものを除き,その全部又は一部を複製し,又は加工したものを含む。)を提供したときは,1年以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処する

非常に長い条文を引用してしまいましたが、今回のケースのような場合、赤く色付けした部分が特に関係してきます。
実施機関とは知事などを指しますので、知事の名前で委託されたハードディスク廃棄業務を請け負っている会社の従業員が情報を漏洩させれば、上記条文に違反してしまうわけです。

そして、データベース化されて個人情報の検索が容易な状態のものなど漏洩による被害が大きいものについては65条に、データベース化されておらず個人情報の検索がそこまで容易でない状態のものなどの漏洩については66条に違反するイメージです。
被害の内容に応じて、罰則が異なってくることになります。

~弁護士に相談を~

逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

逮捕されると、釈放の見込みはあるのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、わからないことも多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

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ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。

窃盗罪個人情報保護条例違反などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご連絡ください。

〈関連リンク〉
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

岩手県での暴力事件で逮捕【傷害罪】

2019-12-08

岩手県での暴力事件で逮捕【傷害罪】

岩手県北上市に住むAさん。
ある日の夜、某観覧車のある駐車場で仲間と騒いでいたところ、Vさんという知らない人が、
「うるせー奴らだな」
などと言って難癖を付けてきました。
Aさんも、
「あ?何だお前?」
などと言いながらVさんに近づき、口論に。
そしてついにAさんはVさんを殴り飛ばしてしまい、ケガをさせてしまいました。
Aさんは駆け付けた北上警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~傷害罪が成立~

AさんはケンカでカッとなってVさんを殴り、ケガをさせてしまいました。
Vさんの方から挑発したとも言えるので、Vさんにも悪い部分があったかもしれません。
しかし挑発に乗って殴ってしまっては、結局Aさんだけが犯罪者として責任を負うことになってしまいます。

Aさんの行為には傷害罪が成立するので、条文を確認しておきましょう。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

なお、殴ったけども相手がケガをしなかった場合は、より軽い暴行罪が成立するにとどまることになります。

第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

なお、Vさんが先に殴りかかり、それに対抗するためにAさんも殴ったのであれば、Aさんには正当防衛が成立する余地があります。

第36条1項
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

しかし、口論をしていた状態で先制攻撃をしてしまったのであれば、いまだVさんからの「急迫不正の侵害」があったとは言えず、正当防衛とはならないでしょう。

~今後の刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

逮捕されたとしても、比較的軽い事件では、事実を認めて反省態度を示し、家族がしっかり監督する旨申し出たり、被害者に謝罪・賠償するつもりであることを示せば、勾留まではされずに、数日で釈放されることもあります。
途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになるでしょう。

また、前科の有無や被害者のケガの程度などにもよりますが、実際に被害者に謝罪賠償して示談を締結するといったプラスの事情があれば、前科が付かない不起訴処分で終わることも十分ありえます。

しかし、検察官や裁判官、そして被害者の方を相手にしっかり対応するのは難しいと感じる部分も多いはずです。
そこでぜひ弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。

岩手県での事件にも対応しておりますので、ぜひ一度ご連絡ください。

【関連リンク】
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

山形県での万引きで逮捕【窃盗罪】

2019-12-07

山形県での万引きで逮捕【窃盗罪】

万引きをして窃盗罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
山形市に住むAさん。
スーパーや書店などで何度も万引きをしていました。
悪いことだと思いつつ、どうしてもやめられないという状況になっていました。
この日も某スーパーで食品をカバンに入れ、会計をせずに店を出ようとしたAさん。
しかし店員に呼び止められ、
「お客さん、レジ通してないのがあるよね?」
と言われてしまいました。
すぐに逃げようとしましたが、つまずいて転倒。
諦めてその場にとどまり、駆け付けた山形警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~窃盗罪に問われることに~

スーパーで万引きをしようとしたAさん。
失敗に終わって逮捕されてしまいました。
失敗に終わってはいますが、窃盗未遂罪ではなく窃盗罪が成立してしまうでしょう。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃取」(セッシュ)という聞き慣れない言葉が使われていますが、簡単に言うと、他人の物を自分の占有下に移すことをいいます。

どの時点で自分の占有下に移ったと言えるかは難しい問題ですが、商品によっては、カバンに入れてしまえば外から未会計の商品があることは通常わかりませんし、そのまま持って帰ることも容易です。
したがってカバンに入れた時点で自分の占有下に移ったとして、窃盗罪が成立してしまうでしょう。
最終的に取り押さえられて万引きに失敗したことは、窃盗罪が成立した後の事情にすぎません。

なお、理論的には、万引きしようとして商品を手に取った時点で、窃盗未遂罪が成立するでしょう。

第243条
第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。

未遂にとどまれば、その分、検察官の処分や裁判所の判決が軽くなる可能性があります。
しかし、万引きの場合、後で会計するつもりだったという言い逃れを許さないため、店を出たあたりで店員や万引きGメンが声をかけることが多いので、捕まった時点では窃盗罪が成立していることが多いです。

~弁護士にご相談ください~

逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

逮捕されると、釈放の見込みはあるのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、わからないことも多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

山形県からのご相談もお受けしておりますので、万引きで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。

【関連リンク】
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

岩手県での盗撮で逮捕

2019-12-06

岩手県での盗撮で逮捕

盗撮で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
岩手県盛岡市に住むAさん。
仕事でのストレスなどが原因となったのか、1年ほど前から、ショッピングセンターなどで女性のスカートの中を盗撮をはじめました。
悪いことだと思いつつも、ずっとバレなかったことから、だんだんと罪悪感も薄れてきていました。
そんな中、いつものようにカバンに仕掛けた小型カメラで盗撮していたところ、女性に気付かれてしまい、警察に通報されました。
そしてAさんは、駆け付けた盛岡東警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~盗撮は条例違反~

盗撮は、薬物犯罪などと同様に依存的症状が出て、やめたくてもやめられないという状態になってしまうことがあります。
しっかりとした治療やカウンセリングなどの対策が必要となってきます。

さて、Aさんが行ったような盗撮行為は、各都道府県で制定されている条例に違反することになります。
岩手県の条例をみてみましょう。

公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例
第8条
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安を生じさせ、若しくは嫌悪の情を催させる方法で、卑わいな行為であって次に掲げるものをしてはならない。
(1) みだりに他人の胸部、臀(でん)部、下腹部等(以下「胸部等」という。)の身体の一部に触れること(着衣の上からこれらの身体の一部に触れることを含む。)。
(2) みだりに着衣で覆われている他人の下着等(胸部等の身体の一部を含む。以下同
じ。)をのぞき見すること。
(3) みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影し 、若しくは撮影する目的で当該下着等を撮影することができる位置に写真機等を差し出し 、又は写真機等を使用して着衣で覆われている他人の身体を透視する方法により、裸体(その一部を含む。)の映像を見、若しくは撮影すること。

この条文には、痴漢・のぞき見・盗撮が禁止行為として定められています。
今回のAさんの行為は赤く色付けした部分に違反したことになるでしょう。

なお、撮影に至らなくても、下着等を撮影する目的でカメラを向けたり、下着をのぞき見しただけでもこの条文に違反する可能性があります。

では、この条文に違反すると、どのくらいの罰則が科されるのでしょうか。

第12 条1項
第8条又は第9条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処する。
第2項
常習として第8条又は第9条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金に処する。

常習者ではない場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
常習者の場合はより重く、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
盗撮の前科がある場合には、常習者として処罰される可能性が上がるでしょう。

~弁護士にご相談を~

逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

弁護士としては、被害者の方に謝罪・賠償して示談を締結することを目指し、不起訴処分など少しでも軽い処分・判決になるよう弁護活動をしていくことになります。

逮捕されると、いつ釈放されるのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、わからないことも多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。

岩手県での事件にも対応しておりますので、ぜひ一度ご連絡ください。

【関連リンク】
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

ガスボンベを爆発させ取調べ【激発物破裂罪】

2019-12-05

ガスボンベを爆発させ取調べ【激発物破裂罪】

業務上激発物破裂罪などで取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市宮城野区で飲食店を営むAさん。
お客さんから鍋を注文された場合、カセットコンロをお客さんのテーブルに置き、お客さんの目の前で煮込む方法を採っていました。
ある日、火が付かなくなったカセットコンロ用のボンベを捨てるため、わずかに残っているガスを抜く作業を室内でしていました。
十分な換気もしておらず、室内にはガスが充満。
それに気づかなかったAさんは、、休憩のためタバコを吸おうとライターの火を付けた瞬間、ガスに引火し爆発。
火災が発生し、建物は全焼しました。
後日、一通りの治療を受け終えたAさんは、仙台東警察署から連絡を受け、取調べのために警察署に来るよう言われました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~業務上過失激発物破裂罪とは~

今回の事例と似た事故が、2018年12月に札幌で起こりました。
不要になったスプレー缶のガス抜きをした後、給湯器のスイッチを入れたところ、ガスに引火して爆発したというものです。
1年ほどたって、爆発させてしまった方は重過失傷害重過失激発物破裂の容疑で書類送検されました。

ガスボンベやスプレー缶は、飲食店だけでなく一般家庭でも使いますし、使用後の処理に問題があって火災が発生する例もあります。
残ったガスを抜いてからゴミに出すべきか否かは各自治体によっても異なるようですが、細心の注意を払って処理する必要があります。

さて、今回の事例のAさんのように、ガスボンベの処理方法に問題があり爆発させてしまった場合、業務上激発物破裂罪に問われる可能性があります。

条文を見てみましょう。

刑法第117条1項
火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を損壊した者は、放火の例による。第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を損壊し、よって公共の危険を生じさせた者も、同様とする。
第117条の2
第百十六条又は前条第一項の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるとき、又は重大な過失によるときは、三年以下の禁錮又は百五十万円以下の罰金に処する

赤く色付けした部分が今回のAさんに関係する部分ですが、各条文について順番に解説していきます。

117条1項は、ガスボンベなどを含む爆発の危険のある物を、わざと爆発させ、108条に規定する物または他人の所有に係る109条に規定する物(=人が住む建物や現に人が中にいる建物、人がいなくても他人の所有する建物)を壊した場合に適用される条文です(激発物破裂罪)。
放火罪と同じく極めて重く罰せられます。

一方、117条の2は、業務として行っていた行為について、不注意により爆発させた場合の規定です(業務上過失激発物破裂罪)。
Aさんの場合もこちらが成立することになるでしょう。
わざと爆発させた場合よりは軽く罰せられることになりますが、条文上は3年以下の懲役刑の可能性もあるわけです。

なお札幌の事例は、仕事として行っていたスプレー缶のガス抜きが原因でしたが、本業が不動産仲介業で、ガス抜きは本来的な業務ではなかったので、業務上過失激発物破裂罪とはならなかったと思われます。
ただし、不注意の度合いが強かったということで、業務上過失激発物破裂罪と同じ刑罰が定められている重過失激発物破裂罪で書類送検されています。

~人が死傷していると~

札幌の事例でも多くのケガ人が出ましたので、重過失傷害罪の容疑でも書類送検されています。
Aさんの場合も、Aさん以外に死亡や負傷した人がいれば、業務上過失致死傷罪に問われることになる可能性があります。

第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

~弁護士にご相談ください~

今回の事例のように、逮捕されるのではなく呼び出されたということであれば、今後も逮捕されず在宅事件として扱われる可能性が十分考えられます。
また、しっかりとした反省態度を示したり、被害者への対応をしっかり行えば、実刑判決を受けて刑務所に行くことにはならないかもしれません。

しかし、逮捕されてしまうのか、どれくらいの刑罰を受けることになるのか、今後の刑事手続きの流れ、取調べにはどう対応すればよいのかなどなど、不安な点が多いと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
弁護士事務所での法律相談は初回無料で行っております。

また、万が一逮捕されている場合には、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

業務上過失激発物破裂罪などで捜査を受けている場合には、ぜひ一度ご連絡ください。

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