手紙を隠したり勝手に開封して捜査対象に【信書隠匿罪・信書開封罪】

手紙を隠したり勝手に開封して捜査対象に【信書隠匿罪・信書開封罪】

他人の手紙を隠したり勝手に開封して取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
岩手県一関市に住むAさん。
隣人のVさんが大音量で音楽をかけるなどの騒音に悩まされ、何度か注意したものの改善が見られませんでした。
ある日、外出先から自宅に帰ったAさんは、Vさんのポストに郵便局員が手紙を入れるところを目にしました。
嫌がらせしてやろうと考えてしまったAさんは、そのポストから手紙を取り出し、自宅に持ち帰って隠しました。
後日、中身まで見てやろうと考えたAさんは、手紙を開封し、内容を確認しました。
その頃、来るはずの手紙が届かないことを不審に思ったVさんが郵便局や一関警察署に相談。
警察官が近隣で聞き込み捜査をし、Aさん宅にも訪れて何か知らないか聞いていきました。
Aさんは、今後どうなってしまうのか、大きな不安を感じています。
(フィクションです)

~信書隠匿罪・信書開封罪とは?~

他人のポストに入っていた手紙を勝手に持ち出して隠したり、開封してしまったAさん。
信書隠匿罪信書開封罪という聞き慣れない犯罪が成立してしまうことになるでしょう。

条文を確認してみます。

刑法
第263条(信書隠匿)
他人の信書を隠匿した者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
第133条(信書開封)
正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

263条の信書隠匿罪は、他人の信書(手紙等)を隠匿(イントク=かくす)した場合に成立します。
郵便によるやりとりを邪魔しないようにするための規定です。

一方、133条の信書開封罪は、手紙等を隠したのではなく開封した場合に成立します。
プライバシーを保護するという意味合いもあります。
単に隠されるよりも内容を知られてしまう方が不利益が大きいため、定められた刑罰も信書隠匿罪の2倍の重さになっています。

~自首すべき?~

今回のような事例だと、Vさんは警察に対し、元々トラブルになっていたAさんが怪しいと言っている可能性があります。
そこで、自ら進んで警察やVさんに真実を打ち明けて、謝罪するのがいいかもしれません。

犯罪があったことと、その犯人が誰なのかという両方が発覚する前に打ち明ければ、判決が軽くなる可能性があります。

第42条1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
第2項
告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

信書隠匿罪も信書開封罪も、第2項の「告訴がなければ公訴を提起することができない罪」、すなわち、捜査機関が勝手に犯人を刑事裁判にかけることができず、被害者が警察などに犯人の処罰を求めた場合にのみ犯人を刑事裁判にかけることができる犯罪です(264条・135条参照。親告罪(シンコクザイ)といいます)。
したがって警察に自首した場合だけではなく、被害者であるVさんに対し、自分が犯人であると打ち明けた場合にも、刑が軽くなる可能性があります。

逆に、証拠を残さないようにと思って手紙を捨ててしまうと、手紙の内容によっては私文書等毀棄罪などのより重い罪が成立してしまうこともありますのでお勧めできません。

第259条
権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は、五年以下の懲役に処する。

~弁護士にご相談ください~

今後の刑事手続きの流れについて、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

弁護士としては、前科が付かずに終わる不起訴処分や、罰金などの軽い処分・判決を目指して活動していくことになります。

犯罪をしてしまうと、自首した方がいいのか、どのくらいの刑罰を受けそうか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、わからないことが多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
弁護士事務所での法律相談は初回無料で行っております。

また、万が一逮捕されている場合には、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

信書隠匿罪・信書開封罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。

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