体液をかけて逮捕

体液をかけて逮捕

公共の場で女性に体液をかけて逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市に住むAさん。
電車内で居眠りをしていた女性に対し、精液をかけるという行為に出ました。
その後、Aさんが下車した後、目を覚ました女性が、精液をかけられたことに気が付き、駅員に相談。
宮城県仙台北警察署が捜査に入りました。
防犯カメラの映像などからAさんの犯行と発覚。
Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~成立する犯罪は?~

公共の場で、相手に気が付かれないように精液をかけるという行為は、時折見られる犯罪です。
このような行為は、暴行罪器物損壊罪が成立するでしょう。
条文を見てみます。

刑法
第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
第261条(器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

1つ目の暴行罪は、一般的には相手を殴るなどの暴力を振るった時に成立しうる犯罪です。
相手がケガをすれば傷害罪となりますが、ケガまではしなかった場合に暴行罪となります。

ただ暴行罪は、あからさまな暴力だけでなく、「人の身体に対する不法な有形力の行使」をした場合に成立しうる犯罪です。
勝手に精液をかけることも、「人の身体に対する不法な有形力の行使」に当たるとして、暴行罪に問われる可能性があるのです。

一方、2つ目の器物損壊罪はご存知の通り、一般的には物を壊した場合に成立する犯罪です。
ただし、物理的に破壊した場合だけでなく、事実上、物を使えなくした場合も成立する可能性があります。

たとえば精液を服やカバンにかけた場合、綺麗に洗えばその後も使えなくはないでしょう。
しかし、被害者としては心理的に使えるはずがありません。
証拠品として押収された後は廃棄されるのが一般的です。

したがって事実上、物を使えなくしたことになり、器物損壊罪が成立するのです。

人に精液をかけて、暴行罪ではなく、物に対する犯罪である器物損壊罪が成立するというのも違和感を感じるかもしれません。
ただし、暴行罪よりも器物損壊罪の方が重い刑罰が定められているという事情などもあり、器物損壊罪で立件されることも多いです。

~逮捕後の手続き~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

その後、刑事裁判がスタートする流れとなることもあります。
しかし、比較的軽い事件では、今回は大目に見るということで裁判にかけない不起訴処分をしてもらい、前科も付かずに終わることもあります。
あるいは、簡単な手続きで罰金だけ納めて終わるという場合もあります(略式罰金)。

できるだけ軽い結果を目指すために事件後に出来ることとして重要なのは、被害者に謝罪・賠償して示談を結ぶことです。
しかし、性犯罪の被害者は、加害者側と関わることの心理的負担が大きかったり、処罰感情の強さなどから、示談交渉を行うことは容易ではありません。

しかし、被害者と加害者の間に弁護士が入ることにより話が進むケースも多くあります。

~弁護士にご相談を~

示談の他にも、あなたやご家族が何らかの犯罪で逮捕されたり、取調べを受けると、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、性犯罪の再犯防止のための治療やカウンセリングを受けるべきかどうかなど、わからないことが多いと思います。

そこでぜひ一度、ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

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