親権者が娘に性交等をさせた場合②:児童福祉法違反

親権者性交等をさせ児童福祉法違反が成立するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~事例~
宮城県多賀城市に住む会社員のAさんは、実の娘のVさんと同居していましたが、Vさんが幼い時から、口腔性交をさせており、Vさんにそれが当たり前のように思い込ませていました。
Vさんは、中学生になってもAさんから口腔性交を命じられ、それに応じていましたが、次第にそれが普通ではないことに気が付き、学校の先生に相談しました。
学校は、児童相談所に報告し、Vさんは保護されることになりました。
児童相談所からの連絡を受けたVさんは、「警察にも報告することになります。」と言われており、事実、その後、宮城県塩釜警察署から出頭要請の連絡が来ました。
Aさんは、自分の行為がどのような罪に当たるのか、今後どのような流れになるのか、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

上記の事例では、親権者であるAさんが、同居しているのVさんに対し口腔性交をさせていました。
それが、幼少時からの性的な支配関係の中で行われた場合、監護者性交等罪が成立する可能性があることを前回のブログで説明しましたが、監護者性交等罪と児童福祉法違反が成立し得るため、今回は児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪)について解説します。

児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪)とは

児童福祉法は、児童の福祉を保障するための法律です。

児童福祉法は、その34条1項6号において、児童に淫行をさせる行為を禁止しています。

◇犯行の主体◇

本罪の犯行の主体には特に制限はなく、誰でも行えます。

◇犯行の対象◇

本罪の犯行の対象は「児童」です。
児童福祉法における「児童」とは、18歳未満の者です。

◇行為◇

本罪の実行行為は「淫行」を「させる」ことです。
「淫行」とは、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交または性交類似行為であって、児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として取り扱っているとしか認められないような者を相手とする性交または性交類似行為を含みます。
性交・性交類似行為には、性交、手淫、口淫、素股、肛淫などを含みます。
また、判例では、バイブレーターを調達して児童に手渡し、自己の面前において、児童をしてこれを性器に挿入させる行為も該当するとしています。(東京高裁平成8年10月30日)
淫行を「させる」行為については、児童に働きかけて淫行をするよう仕向ける行為のことをいい、直接・間接を問わず、児童に対して事実上の影響力を及ぼして、児童が淫行をすることを助長し促進する行為を含みます。
強制や直接的な勧誘等がなくとも、雇用関係等があり、児童に対して影響力を及ぼしやすい場合には消極的な関与でも足り、特別な関係がない場合であっても、児童の淫行を容易にさせ、助長、促進する事実上の影響力がある行為があれば足ります。
また、自己を相手に性交等をさせる場合も、淫行を「させる」行為に当たります。

◇故意◇

対象が18歳未満であることの認識・認容がなくても、過失があれば、本罪は成立します。

これに対する罰則は、10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です。

監護者性交等は、その保護法益を個人の性的自由とする犯罪であるのに対して、児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪)のそれは、社会における児童の福祉であり、異なる犯罪類型ではありますが、その適用要件は近似しており、児童に淫行をさせる罪の方が適用できる範囲は広くなっています。

上の事例において、Aさんは、同居しているとの間で、経済的な依存・被依存の関係にあるだけでなく、幼少時から口腔性交をさせ、これを当たり前のように思い込ませ精神的に支配していたという影響力に基づいて、Vさんに口腔性交をさせています。
これより、Vさんは「現に監護される者」であり、かつ「児童」でもあり、経済的・精神的依存・被依存関係に基づく影響力によってVさんに口腔性交をさせているのため、「現に監護する者であることに乗じて」、かつ「事実上の影響力を行使して」性交等をしていると言え、Aさんは、監護者性交等罪と児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪)の罪責を負うことになります。
この場合、両者は観念的競合(1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合)となり、処罰については、その最も重い刑により処断されることとなります。
つまり、5年以上の有期懲役の範囲内で刑が科されます。

以上のように、親権者性交等をさせた場合には、監護者性交等罪と児童福祉法違反の両方が成立することがあります。
その場合、両者は観念的競合となり、重い方の監護者性交等罪の法定刑の範囲内で刑罰が科されることになります。
非常に重い刑が科される可能性がありますので、容疑を認めている場合には、より軽い刑となるよう弁護する必要がありますし、えん罪であれば無罪を証明するため動くことになります。
どちらにせよ、早い段階から刑事事件に強い弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

 

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