銀行への詐欺・私文書偽造
仙台市太白区に住むAさん。
2か月前にB社を退職して就職活動をしていましたが、なかなか決まりません。
貯金も少なくなってきたAさんは、銀行から借り入れすることを考えました。
身分や収入がしっかりしていれば借り入れが出来る可能性が上がり、金利も低くなることから、B社に在職中であることにして、借り入れすることにしました。
前年の所得証明書の他、所持し続けていたB社の社員証のコピーを提出し、申込書類にもB社に在職中である旨を記入して銀行に提出。
借り入れを受けてしまいました。
その後、返済が滞ったことから銀行がB社に問い合わせるなどして事実が発覚。
銀行から返済を迫られるとともに、刑事告訴も検討中である旨を言われて不安になったAさんは、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
~Aさんに成立しうる犯罪~
Aさんが身分を偽って借り入れした行為には、詐欺罪や私文書偽造・同行使罪が成立する可能性があります。
刑法
第246条1項(詐欺)
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第159条3項(私文書偽造等)
前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第161条1項(偽造私文書等行使)
前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
Aは、B社に在職中であると「人を欺いて」、借入金という「財物を交付させた」ので、詐欺罪が成立するでしょう。
また、借り入れの申込書類は、金銭消費貸借契約という「権利、義務…に関する文書」、あるいは職業に関する「事実証明に関する文書」にあたり、これに虚偽の記載をしたことは「偽造」にあたるとして、私文書偽造罪が成立する可能性があります。
この文書を用いて融資を受けたので、偽造私文書行使罪も成立するでしょう。
~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~
仮に刑事告訴された場合、逮捕されない場合とされる場合が考えられます。
逮捕されない場合は、自宅から警察署や検察庁に行って取調べを受けたり、自宅から裁判所に行って刑事裁判を受けることになります。
一方、逮捕された場合、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。
まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことによる本人や家族などの不利益を具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。
それでも勾留されてしまった場合には、準抗告という不服申し立て続きを行って、釈放を目指すこともあります。
また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
そこで、銀行と示談が成立していること、本人が反省していること、会社を解雇され社会的制裁を受けていることや前科がないことなど、有利な事情があれば出来る限り主張して、不起訴処分にするよう検察官にお願いしていきます。
起訴されてしまった場合には、釈放を目指して保釈申請を行います。
そして裁判においても、本人に有利な事情を主張し、執行猶予などの軽い判決で済むよう弁護していきます。
~ぜひ弁護士に相談を~
犯罪をして逮捕された場合、あるいは在宅で捜査を受けた場合、どのような罪が成立するのか、今後の刑事手続きはどうなるのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料で行っております。
また、逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
接見や法律相談では、上記の不安点などに対してお答えいたします。
詐欺罪や私文書偽造・同行使罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。