認知症の高齢者をだまして逮捕【準詐欺罪】

認知症の高齢者をだまして逮捕【準詐欺罪】

認知症の高齢者からお金をだまし取り、準詐欺罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県内に住むAさんは、訪問販売をする会社で働いていました。
ある日、多賀城市内の住宅を回っていたところ、偶然、認知症の高齢者Vさんが一人暮らしをしている家に訪問しました。
会社の商品の売り込みもしましたが、
「この人ならもっとおいしい思いができるんじゃないか」
と考えたAさんは、その後も何度かVさん宅を訪問し、世間話をして距離を縮めたところで、
「学生時代の奨学金を返すのが大変なんですよ」
などとウソを言って、お金に困っていることをアピールしました。
そうするとVさんは、
「あなたには頑張ってほしいから、私も応援するわ。また明日来てちょうだい」
と言いました。
翌日AさんがVさん宅を訪れると、Vさんは用意していた100万円をAさんに渡しました。
後日、100万円をあげたことをVさんの子供が知ることとなり、警察に被害届を提出。
Aさんは塩釜警察署の警察官に逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~準詐欺罪とは~

認知症の高齢者Vさんに対し、お金に困っていると嘘をついてお金をもらったAさん。
Vさんは、自発的にお金をあげた面もありますが、それでもAさんには準詐欺罪という犯罪が成立する可能性があります。

まずは条文を見てみます。

刑法第248条
未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

これが準詐欺罪の条文です。
未成年者や知的障がい者、認知症の方など、知識や判断能力が万全ではないことに乗じて、財物を交付させるなどの行為を罰する規定となります。

ただし、一般の方でも被害に遭いかねない方法を用いて財物を交付させた場合には、未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に「乗じて」財物を交付させたわけではありませんので、通常の詐欺罪が成立します。
また、だまされたとか、知識・判断能力に劣るからお金を渡したのではなく、完全に自発的に贈与した場合には、準詐欺罪も詐欺罪も成立せず無罪ということになるでしょう。

~今回は有罪か~

Aさんの場合は、いずれかの罪で有罪となるでしょうか。

たしかに一般の方であっても、奨学金で困っているということ自体は本当だと信じてしまう可能性はあるかもしれません。
とはいえ、正常な知識・判断能力がある人が、訪問販売でたまたま訪れた人に対し大金をあげるということはほとんどないでしょう。

そうすると、一般の方でも被害に遭いかねない方法を用いて財物を交付させたわけではないので、詐欺罪は成立しないでしょう。
逆に、判断能力は正常で、完全に自発的に贈与したから無罪とも言いづらいでしょう。

したがって、準詐欺罪が成立する可能性が高いといえます。

~一度弁護士にご相談を~

逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

逮捕されると、いつ釈放されるのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、わからないことが多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

準詐欺罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。

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