寝ている乗客の体を触り逮捕

寝ている乗客の体を触り逮捕

電車で寝ている乗客の体を触り逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県石巻市に住む男性Aさん。
仙台市内から仙石線で帰宅途中、隣に座っていた女性が、酔って寝はじめました。
魔が差したAさんは、女性の胸などを触ってしまいました。
それに気が付いた女性はAさんに対し、
「今触りましたよね?」
と言いました。
慌てたAさんは逃げようとしましたが、すぐに捕まり、駅事務室に連れていかれました。
そして、駆け付けた石巻警察署の警察官に逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~条例違反や準強制わいせつ罪に~

寝ている女性の体を触ったAさん。
各都道府県が制定する迷惑防止条例違反や、強制わいせつ罪に問われる可能性があります。

まずは宮城県の条例を見てみましょう。

迷惑行為防止条例
第3条の2
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
1号 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。

これが、一般的な痴漢事件で適用される条文です。
罰則は、原則として6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
犯罪の中では、比較的軽い罰則が定められています。

しかし、犯行内容によっては、強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。

刑法
第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
第178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

まず、176条が強制わいせつ罪の条文です。
暴行または脅迫を用いて無理やり体を触るなどのわいせつな行為をした場合に成立します。
6か月以上10年以下の懲役という、前述の条例違反とは比べ物にならないほどの重い刑罰が定められています。

そして178条1項が強制わいせつ罪と呼ばれる犯罪の条文です。
暴行や脅迫を用いて無理やりわいせつ行為をするのではなく、人が睡眠や薬物などの影響で意識がないことに乗じて、あるいは意識がない状態にさせて、わいせつ行為をするような場合に成立します。
罰則は、強制わいせつ罪と同じく6か月以上10年以下の懲役です。

今回のAさんのように、酔って寝ている人の体を触った場合にも、準強制わいせつ罪が成立しうるということになります。

では、迷惑防止条例違反と準強制わいせつ罪のどちらに問われるのでしょうか。

大まかに言うと、準強制わいせつ罪の方が重い刑罰が定められているので、より悪質な触り方をした場合に準強制わいせつ罪が成立するということになります。

ただし、明確な基準があるわけではありません。
体のどの部分を触ったか、服の上からか手を入れて触ったか、どのような触り方をしたか、といった事情を総合的に判断していくことになります。

たとえば、服の上から足を触ったというような場合は迷惑防止条例違反になるでしょう。
服の中に手を入れて、体を直接触った場合には準強制わいせつ罪の可能性が上がってきます。
特に、下着に手を入れて性器を触ったような場合は、準強制わいせつ罪となる可能性が高いでしょう。
とはいえ、服の上からであれば必ず条例違反にしかならないというわけでもなく、具体的な犯行方法によるということになります。

~弁護士にご相談ください~

あなた自身やご家族が、わいせつ行為をして逮捕された、警察に呼び出されたといった場合、どんな罪に問われているのか、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうやってすればよいのかなど、わからないことが多いと思います。

事件の具体的な事情をもとに、最もいい事件解決のためにどう動いていくべきかをご説明致しますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
まだ逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。

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