宮城県での強要・恐喝で逮捕
強要罪や恐喝未遂罪などで逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県松島町で建設業を営むAさん。
下請け会社の社員が小さなミスをし、建築資材の到着が遅れるという事態が発生しました。
工事への影響はほとんどなかったものの、Aさんは下請け会社の社長とミスをした社員を呼び出し、激しい口調で罵倒した上、
「元請けに迷惑かけるとは何事だ。土下座しろ」
と言って土下座をさせた上、
「これで済むと思うなよ、誠意を示せ」
などと言って、金銭を要求しました。
普段からAさんの態度に困っていたこともあり、これ以上付き合いきれないと判断した下請け会社の社長は、警察に被害届を提出しました。
Aさんは、塩釜警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)
~強要罪~
下請けのミスに乗じて、強い態度に出てしまったAさん。
もちろんモラル面でも問題となりますが、その前に立派な犯罪となってしまいます。
まず、土下座をさせたことについて、強要罪が成立するでしょう。
第223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
Aさんは、「元請けに迷惑かけるとは何事だ。土下座しろ」と言っています。
元請けと下請けという関係からすると、このような発言をされれば下請けとしては、契約を切られるのではないかと恐れることが多いでしょう。
下請けにとっては大きな財産的損失となりかねません。
したがって、Aさんの行為は、「財産に対し害を加える旨を告知して脅迫」して、土下座をするという「義務のないことを行わせ」たとして、強要罪が成立する可能性があるわけです。
~恐喝未遂罪~
さらにAさんは、「これで済むと思うなよ、誠意を示せ」などと言って、金銭を要求しました。
この行為には、恐喝未遂罪が成立するでしょう。
第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条
この章の罪の未遂は、罰する。
契約打ち切りをちらつかせて恐れさせ金銭を要求したことは、恐喝行為に当たりうるものです。
したがって恐喝未遂罪が成立する可能性があるでしょう。
もちろん、実際に金銭を受け取るところまで行ったら、恐喝罪ということになります。
~刑事事件の手続き~
逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
犯行を否認していたり、前科がある場合などには、逃亡や証拠隠滅のおそれが高いので勾留するという判断がされやすくなります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
起訴された場合には、裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されることを目指した上で、下請け会社側と示談を締結するなどし、執行猶予などの軽い結果となるよう弁護活動をしてまいります。
~弁護士にご相談を~
逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
強要罪や恐喝(未遂)罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。