給料が不満で横領
宮城県仙台市泉区のとある小さな会社で、会計担当として働いているAさん。
買掛金の支払い、売掛金の請求、帳簿や現金の管理などをほぼ1人で担っていました。
Aさんは日頃から自分の給料に不満を持っており、何度か社長に、
「給料上げてくださいよ~」
などと言っていましたが、取り合ってくれませんでした。
不満が募っていったAさんは、
「社長は細かいところまでチェックしないし、少しズルしてもバレないな」
と考えました。
Aさんは現金を抜き取って自分のものとし、抜き取った金額に合わせて帳簿を操作し帳尻を合わせるといった不正を行うようになりました。
不正を1年ほど繰り返していたところ、社長にバレてしまい、横領罪で泉警察署に刑事告訴すると言われてしまいました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)
~業務上横領罪~
Aさんの行為には、業務上横領罪が成立する可能性が高いです。
刑法第253条(業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
Aさんは、会社の会計担当者として、会社の現金をほぼ1人で管理していたので、会社の現金は「業務上自己の占有する他人の物」に当たります。
また、会社の現金を抜き取る行為は、会計担当者としての金銭を適切に管理するという任務に背き、勝手に自分のお金とする意思を表す行為として「横領」に当たります。
したがって業務上横領罪に当たると考えられます。
~刑事告訴とは~
社長はAさんを刑事告訴すると言っています。
刑事告訴とは、犯罪の被害者などが、犯罪事実と犯人を処罰してほしい旨を警察などに申し出ることを言います。
刑事告訴によって犯罪の発生を知った警察などは、必要な捜査を行い、場合によっては被疑者を逮捕するなどの刑事手続を進めていくわけです。
逆に言えば、被害者が刑事告訴しなければ、そもそも警察は犯罪があったことを知ることができず、犯人は処罰されずに前科・前歴も付かないこともあります。
被害者の側としても、刑事裁判等に巻き込まれるのは面倒だから弁償さえしてくれればいいと考えるケースもあります。
そこで、被害者と示談を締結してすみやかに被害の弁償ができれば、警察が関与せずに事件を終えることができる場合もあります(もちろん解雇等の処分を受ける可能性はあります)。
~刑事告訴されたら~
刑事告訴されてしまった場合には、警察が捜査を開始することになります。
捜査は被疑者を逮捕して行う場合もありますが、逮捕せずに被疑者を警察に自分で来させて取調べを行う場合もあります。
①逮捕された場合
逮捕とその後の勾留と呼ばれる期間も含め、最大で23日間の身体拘束がされ、取調べ等の捜査を受けます。
そして検察官が、被疑者を刑事裁判にかけるか否か(起訴するか不起訴とするか)の判断をします。
不起訴となれば手続は終了し、釈放され、前科も付かずに済みます。
一方、起訴された場合には刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り身体拘束が続く可能性があります。
②逮捕されていない場合
在宅のまま捜査が続けられ、検察官が起訴・不起訴の判断をし、起訴された場合には刑事裁判がスタートします。
刑事裁判が開かれる日に、自ら裁判所に出向くという形になることが考えられます。
~刑事告訴されそうになったら弁護士に相談を~
前述のように、刑事告訴されないためには、すみやかに被害者と示談締結・被害弁償することが重要です。
また、刑事告訴された場合であっても、示談締結・被害弁償ができれば、不起訴処分や執行猶予など、軽い結果で終えられる可能性も上がります。
示談締結の方法など、わからないことが多いと思いますので、ぜひ弁護士に相談されることをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
業務上横領罪などで捜査を受ける可能性のある方は、ぜひ0120-631-881までご連絡ください。
(泉警察署までの初回接見費用:34,800円)