脅迫で取調べ
脅迫の容疑で警察から取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県角田市に住むAさん。
同市内を運転中に、後続車からクラクションを鳴らされました。
カッとなったAさんは車を降りて後続車の運転席横まで行き、
「なに鳴らしてんだ、ナンバー覚えたからな、若い者連れて痛い目にあわせるぞ」
などと怒鳴りつけました。
後日、被害者からの相談を受けた宮城県角田警察署からAさんに連絡が入り、
「事情を聞きたいから角田署まで来てくれますか」
と言われました。
急に不安になったAさんは、弁護士に相談することにしました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~脅迫罪の可能性~
クラクションを鳴らされカッとなり、脅し文句を言って怒鳴りつけたAさん。
脅迫罪が成立する可能性があります。
条文を見てみましょう。
刑法第222条1項
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
Aさんの「なに鳴らしてんだ、ナンバー覚えたからな、若い者連れて痛い目にあわせるぞ」という言葉は、被害者の身元を特定し、複数名で暴行を加えることを想像させ、恐怖を与えるものといえます。
したがって条文の中の、「身体…対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」に該当し、脅迫罪が成立する可能性があるわけです。
~道路交通法違反や暴行罪の可能性も~
また、後続車の進路をふさいだり、いわゆるあおり運転などもしていれば、道路交通法の急ブレーキ禁止や車間距離保持義務、安全運転義務に違反したとして、点数減点や反則金納付などを強いられる可能性もあります。
また最近では、悪質なあおり運転を処罰するために、刑法の暴行罪で摘発される例もありますので注意が必要です。
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
~今後の刑事手続きは?~
今回のように、被疑者を逮捕せずに捜査を進める事件を在宅事件と言います。
在宅事件では、警察からの呼び出しに応じて警察署に出向き、取調べや現場検証などの捜査を受けます。
一通りの捜査が終わると、捜査書類が警察から検察に送られます(書類送検)。
書類送検を受けた検察官は、さらに取調べなどの捜査をした上で、その犯罪をしたと疑われている被疑者を、刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
~軽い結果を目指すには~
出来るだけ軽い結果になるためには、相手に謝罪・賠償して示談するといったことが重要です。
しかし相手にとって、脅迫した本人と示談交渉をするのは心理的負担が大きく、スムーズに進まない可能性もあります。
また、取調べにはどう対応したら良いのかといった不安も強いと思います。
刑事事件に詳しい弁護士がアドバイスさせていただきますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
無料法律相談を行っておりますので、ぜひご利用ください。
なお、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスをご利用ください。