強制わいせつ罪になる電車内痴漢

強制わいせつ罪になる電車内痴漢

通勤途中の50代男性のAさんは、仙台市内を走る満員電車の電車内で、前に立っていた女性Vさんの臀部を着衣の上から触りました。
Vさんが抵抗しなかったため、Aさんは行動をエスカレートさせて、Vさんの下着の中に手を滑り込ませて直接陰部を弄びました。
耐えかねたVさんが、Aさんに対して「痴漢しないで」と叫んだため、周りの乗客によってAさんは取り押さえられ、現行犯逮捕されました。
Aさんは通報を受けて駆け付けた宮城県仙台東警察署に引き渡されて、強制わいせつ罪の疑いでそのまま身体を拘束されることになりました。
(事実を基にしたフィクションです。)

~ 電車内痴漢 条例違反の場合と強制わいせつ罪の場合 ~

世間で「痴漢」と呼ばれる行為の犯行場所や手口にはいくつか種類がありますが、各都道府県の迷惑行為防止条例で規定されている痴漢行為や刑法で規定されている強制わいせつ罪にあたる行為が、一般的に痴漢と呼ばれます。
その中でも、「痴漢」と聞いた場合に真っ先に思い浮かぶのは、電車内での痴漢行為でしょう。
迷惑行為防止条例は、痴漢行為に関して、強制わいせつ罪の成立範囲より広い範囲で、一定の行為を禁止しています。
その分、強制わいせつ罪よりも迷惑行為防止条例違反の痴漢の罰則の方が一般的に軽くなっています。

宮城県の迷惑行為防止条例の場合、衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れることが、いわゆる「痴漢」行為になります。
一方、刑法第176条で規定されている強制わいせつ罪は、暴行や脅迫で相手をひるませながら、わいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。

これだけ聞くと、電車内での痴漢行為はすべて迷惑行為防止条例違反になるのではないかと感じるかもしれません。
電車内での痴漢事件の場合、多くの場合は各都道府県で定められている迷惑行為防止条例が適用されます。
しかし、痴漢行為の態様等によっては、事例のAのように、強制わいせつ罪が適用される可能性があります。
服や下着の中にまで手を入れて直接陰部などを触るような悪質な痴漢行為である場合には、衣服の上から触れた場合よりも、強制わいせつ罪が適用される可能性は高くなります。
ただし、下着の中に手を入れて臀部や陰部を触ったら強制わいせつ罪、服や下着の上から触った場合には迷惑行為防止条例違反、という明確な基準があるわけではありません。
強制わいせつ罪か迷惑行為防止条例違反のいずれにあたるかどうかは,痴漢態様そのものや,痴漢に至るまでの経緯,犯行時刻・場所,被疑者の言動等を総合的に勘案して判断されると言われています。
また、下着の上から臀部を触った場合に強制わいせつ罪を認めた裁判例もあることには注意が必要です。

つまりは、どちらの罪が成立するかは、痴漢事件の個々の内容によるということです。

~電車内での痴漢が強制わいせつ罪になってしまったら~

強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反では罰則に大きな違いがあります。
強制わいせつ罪は、法定刑が6か月以上10年以下の懲役であり、初犯でも,態様,計画性,結果,被害者の処罰感情等によっては実刑となる可能性もある重大な犯罪です。
加えて、迷惑防止条例違反とは違い罰金刑が規定されていないために、起訴されれば必ず刑事裁判を受けなければなりません。
刑事裁判は、一般に公開されるため、誰でも傍聴席から裁判の様子を見学することができます。
被疑者・被告人にとっては、どちらの罪で立件されるかがとても重要な要素となるでしょう。

~電車内痴漢事件を疑われたら~

電車内痴漢事件では、実際は痴漢をしていないのに痴漢として扱われたという冤罪事件のケースもあります。
また、痴漢をしてしまった場合でも、実際には下着の中には手を入れていないにも関わらず、被害者や周囲の乗客の勘違いなどで「下着の中に手を入れて、直接触られた」と証言される場合も考えられます。

冤罪の場合、事実と異なることを話されている場合は、早急に弁護士に相談すべきです。
実際に痴漢をしてしまい、認めている場合でも、被害者と示談できれば、検察官から不起訴処分を受ける可能性が高まるため、示談を弁護士に相談することをお勧めします。
仙台市内の電車内で痴漢として現行犯逮捕されお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
(宮城県仙台東警察署 初回接見費用:36,900円)

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