虚偽告訴と偽証で逮捕
虚偽告訴罪や偽証罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県仙台市泉区にある会社社員のAさんたち。
社長の横暴さに強い恨みを抱いており、社長を失脚させようと画策しました。
そこで、社長が横領を行っていることをでっち上げることとし、警察に対し虚偽の告発を行いました。
その後、社長は逮捕されて刑事裁判が開かれ、Aさんたちは証人として出廷。
ここでも虚偽の証言をしました。
しかし、証言内容に不審な点があり、社長が無実であることが発覚。
社長は無罪となるとともに、逆にAさんたちが泉警察署の警察官に逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~虚偽告訴罪~
ウソの犯罪事実をでっち上げ、警察に告発したAさんたち。
虚偽告訴罪が成立することになるでしょう。
刑法第172条
人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
Aさんたちは、社長という「人に刑事…の処分を受けさせる目的で、虚偽の…告発をした者」ということになり、3カ月以上10年以下の懲役ということになってしまいます。
なお、「告訴」は犯罪の被害者が警察等に犯人の処罰を求めることを言います。
一方、「告発」は被害者以外の第三者が処罰を求めることを言います。
横領の被害者は会社(法人)ですので、社員は被害者以外の第三者として「告発」をしたということになります。
~偽証罪~
次に、Aさんたちは社長の刑事裁判でウソの証言をしています。
これについては偽証罪が成立する可能性があります。
第169条
法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。
証人として刑事裁判に出廷した者は、証言をする前に、「良心に従って真実を述べ,何事も隠さず,偽りを述べないことを誓います。」という内容の宣誓を必ず行うことになります。
これは、刑事訴訟法154条に基づくものであり、この宣誓をしたAさんは、「法律により宣誓した証人」ということになります。
そしてAさんたちは、社長が横領したという「虚偽の陳述」をしたわけですので、偽証罪が成立するということになります。
仮に社長がいかに悪い人だったとしても、ここまでやってしまうと、Aさんたちも重い責任を負う可能性が出てきてしまうわけです。
~刑事手続は?~
逮捕をされたAさんたちは、最初に最大で3日間、警察署の留置所等に入れられます。
そして、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
共犯者がいる犯罪だと、相談して足並みを揃えてウソの証言をするなどの証拠隠滅を疑われることが多く、勾留される可能性が上がる場合があります。
その後、検察官が、被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタート。
無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/
~弁護士にご相談を~
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。
虚偽告訴罪や偽証罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。