酔って公務執行妨害と傷害
宮城県女川町に住むAさんは、居酒屋で友人と酒を飲んだ後、徒歩で自宅に向かっていました。
しかし泥酔していたAさんの足取りはおぼつかなく、交番の近くを通りかかったところで転倒してしまいました。
その様子に気付いた警察官はAさんに、「大丈夫ですか」と声をかけました。
Aさんは、「大丈夫だ」と言っていますが、立ち上がろうとしてもふらふらでうまく立ち上がれず、とても大丈夫には見えません。
警察官は、「危ないので家まで送りますよ」と言いましたが、Aさんは拒否。
とはいえ放っておくわけにもいかない警察官は、家まで送り届けるのでパトカーに乗るよう説得しました。
しかしAさんは、「警察の世話にはならん!」などと大声で叫びだし、手に負えない状況に。
その後、警察官はAさんを抱きかかえて立ち上がらせようとしました。
するとAさんは、「触るな!」と大声で叫び、警察官の顔面をこぶしで殴打。
現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~公務執行妨害罪・傷害罪~
Aさんが警察官を殴った行為には、公務執行妨害罪や傷害罪が成立する可能性があります。
刑法95条1項(公務執行妨害)
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
Aさんに殴られた警察官がケガをしなかった場合は、公務執行妨害罪のみが成立します。
一方、警察官がケガをした場合には、公務執行妨害罪と傷害罪の両方が成立します。
ただし、1つの行為で2つの犯罪が成立する場合、最も重い罪で処罰されるので、今回はより重い懲役刑や罰金刑が定められている傷害罪で処罰されることになります。
第54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
~今後の刑事手続~
逮捕されると、最大3日間身体拘束されます。
逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとされれば、さらに勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束が最大20日間続き、その後に刑事裁判がスタートするという流れになる可能性があります。
勾留は検察官が請求し、裁判官が許可すれば行われます。
ただ、酔って過ちを犯すことは、犯罪の中では軽い部類に入ることが多いです。
したがって、罪を認めて反省の態度を示せば、警察官の傷害の程度によっては、検察官が勾留請求せず、逮捕翌日に釈放されることも考えられます。
しかし、釈放されたとしても、自宅から検察庁に出向いて取調べを受けるなどした後、被疑者を刑事裁判にかけるか否かの決定権限を持っている検察官が、刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判を受けることになります。
裁判も自宅から裁判所に出向いて受けることになります。
~弁護士に相談を~
逮捕された場合、自分の行為にどんな罪が成立するのか、刑事裁判を受けることになるのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、身体拘束がいつまで続くのか、会社は解雇されるのか等々、不安が大きいと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事弁護を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、留置されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、すでに釈放されている場合には、当事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では上記の不安点に対する見通しなどをご説明いたします。
その後、正式に弁護をご依頼いただいた場合には、検察官が勾留請求や起訴をしないように、あるいは軽い判決で済むように弁護活動をしてまいります。
公務執行妨害罪や傷害罪で逮捕されたら、ぜひ一度ご相談ください。