公務執行妨害罪で現行犯逮捕

公務執行妨害罪で現行犯逮捕

30代男性Aさんは職場に向かおうと仙台市青葉区内を歩いていたところ、宮城県仙台中央警察署の警察官から職務質問を受けました。
出勤が遅れることを心配したAさんは、渋々応じて、手短に済ませてほしいと警察官に頼んだところ警察官も「時間はとらせない」と言いました。
しかし、Aさんに前科があることが判明すると、警察官の態度が変わり、鞄の中なども調べさせてほしいと言い出しました。
仕事に遅れそうでイライラしていたAさんは、「時間は取らせないと言ったのに、約束と違うじゃないか」等と警察官に怒鳴り、無理やり警察官を突き飛ばして去っていこうとして警察官を転倒させました。
この行為が暴行と捉えられ、その場でAさんは公務執行妨害罪の疑いで現行犯逮捕され、宮城県仙台中央警察署に引致されてしまいました。
逮捕の知らせを受けたAさんの妻は、刑事事件に強い弁護士初回接見を依頼して事件の詳細を聞くことにしました。

~公務執行妨害罪~

公務執行妨害罪は「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者」(刑法95条1項)に成立します。
警察官などの公務員に対して、その職務を行わせないように妨害しようとする行為などに対して成立します。
職務質問の際に、警察官に手を出してしまったなど、ひょんなことから公務執行妨害事件が発生することはよくあります。
公務員の職務を実際に妨害せずとも、暴行脅迫が行われて「妨害されそう」という危険があれば、公務執行妨害罪は成立すると解釈されているため、①職務中の公務員に対して②暴行又は脅迫を加えた場合にはおおよそ成立してしまいます。

公務執行妨害罪を定めた刑法95条1項には、「暴行」という言葉が出てきていますが、刑法の条文に出てくる「暴行」とは犯罪によって定義が異なります。

「暴行」というと、暴行罪(208条)が思い当たる方が多いと思います。
暴行罪にいう「暴行」とは、人の身体に対する有形力の行使を指します。
他に、「暴行」を成立要件の一つとしている犯罪には、強盗罪や強制性交等罪があります。
強盗罪や強制性交等罪にいう「暴行」とは、人の反抗を抑圧する程度のものである必要があります。
これに対して、公務執行妨害罪における「暴行」はかなり広く認められます。
公務員たる人に対する物理力の行使であれば足りるとされており、直接身体に向けられている必要すらないとされています。
最高裁判所の判例では、パトカーに石を投げるという行為が「暴行」に当たるとされて、公務執行妨害罪となった事例があります。
事例のAさんの場合、巡回している職務中の警察官に対して、突き飛ばすという暴行をはたらいているため、公務執行妨害罪となる可能性が高いです。

上記事例では、Aさんが職務質問中の警察官に対し、無理やり警察官を突き飛ばして去っていこうとして警察官を転倒させるという暴行を加えています。
このような行為は公務執行妨害罪に当たると考えられ、Aさんは「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」という法定刑で処罰を受ける恐れがあります。
上記事例のように、公務執行妨害罪は警察官の目前で行われるケースが非常によく見られます。
そのため、現行犯逮捕が比較的多いという特徴を備えています。

~逮捕の種類~

逮捕には、通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3種類があります。
(1)通常逮捕
事前に発布された逮捕状を示されたうえで逮捕される方式です。
逮捕状は、警察官等が、事前に裁判官に資料を送り、資料を見た裁判官が逮捕しても構わないと考えた場合に発布されます。
逮捕をされる際には、逮捕状を見せられて、逮捕されることとなります。

(2)現行犯逮捕
逮捕状なく、その場で逮捕される場合を指します。
現行犯人とは、現に罪を行っている者、または罪を行い終わった者です(刑事訴訟法212条1項)。
現行犯人については、逮捕状によらずに誰でも逮捕をすることができます。
逮捕状なく逮捕ができると考えられている理由は、犯罪を行って間もなくに逮捕するので、逮捕される人物が犯人であることに間違いがなく、また、罪を犯したことも明白であるからと考えられています。

(3)緊急逮捕
緊急逮捕とは、重大事件で、逮捕状を取りに行く時間的余裕がない場合に、後で逮捕状の発布を求めることを条件として、まずは被疑者を逮捕する場合の逮捕手続きです。
緊急逮捕をした場合には、事後的に裁判官が本当に逮捕してよかったのかの判断をします。

現行犯逮捕された場合、家族を含む周囲の方は何が起こったのか分からないことが殆どです。
ご家族としては、逮捕後すぐにでも本人に面会に行って事件について知りたいと考えると思いますが、逮捕段階ではご家族の面会ができません。
そうした状況下で早期に事件の内容と流れを把握する手段として、弁護士による初回接見が挙げられます。
弁護士であれば、逮捕中の被疑者と詳細に事件の話をできるうえ、直接聞いた話をもとに事件の見通しをお話しすることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、24時間初回接見の受付をしています。
公務執行妨害罪で周囲の方が逮捕されたら、ぜひ早いうちから弊所の弁護士に初回接見をご依頼下さい。
(宮城県仙台中央警察署への初回接見費用:34,100円)

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