器物損壊罪で取調べ
店の看板を壊したとして器物損壊罪で警察の取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県大和町に住むAさん。
自宅近くの居酒屋で飲食してたところ、酔って冷静な判断が出来なくなり、店主と口げんかになりました。
Aさんは、
「こんな店2度と来るか!」
と怒鳴りながら店外に。
怒りが収まらなかったAさんは、店の看板を蹴り、壊してしまいました。
後日、店主が警察に相談したことから、宮城県大和警察署からAさんに連絡が入り、取調べを受けに来るよう伝えられました。
急に不安になったAさんは、弁護士に相談することにしました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~器物損壊罪が成立~
酔っぱらって店の看板を壊してしまったAさん。
器物損壊罪が成立してしまいます。
刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
また、今回の事例とは異なり、店内で暴れて物を壊しまくるなどして店を営業できない状態にまでした場合には、威力業務妨害罪が成立する可能性もあります。
第234条
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
「前条の例による」というのは、233条と同じ刑罰(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)になってしまうということです。
人を殴ってケガをさせた場合に比べればマシですが、酔っぱらってやりすぎてしまい警察沙汰になると、ある程度重い刑事責任を負うことになりかねないわけです。
~今後の刑事手続きの流れは?~
今回の事例で警察は、Aさんを逮捕するのではなく、任意での取調べを受けに来るよう連絡してきたことになります。
このような場合、取調べで容疑が固まり次第逮捕するということもありえますが、わりと単純かつ軽い事件ではあるので、警察としては、このまま逮捕はせずに捜査を進めていく可能性も高いといえます。
このように逮捕せずに捜査を進める事件を在宅事件と言います。
在宅事件では、警察からの呼び出しに応じて警察署に出向き、取調べや現場検証などの捜査を受けます。
一通りの捜査が終わると、捜査書類が警察から検察に送られます(書類送検)。
書類送検を受けた検察官は、さらに取調べなどの捜査をした上で、その犯罪をしたと疑われている被疑者を、刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
~軽い結果を目指すには~
今回の事例は比較的軽い犯罪ではあるので、前科の有無などにもよりますが、不起訴処分や略式起訴で罰金に終わる可能性も十分考えられます。
他に処分を軽くするために重要なものとして、被害店舗に謝罪・弁償して示談することがあげられます。
示談を締結できたか否かによって結果が変わってくることも多くあります。
しかしご自身では、相手に何と言って示談をお願いすればいいのか、示談金額をいくらにしたらよいのか、示談書の文言はどうしたらよいのかなど、わからないことも多いと思いますので、ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
無料法律相談を行っておりますので、ぜひご利用ください。
なお、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスをご利用ください。
0120-631-881まで、ご連絡をお待ちしております。