建造物侵入罪で逮捕
宮城県仙台市若林区に住むAさん。
友人との飲み会で泥酔し、帰り道の途中にある建物のガラスを叩き割って侵入するという行為に出てしまいました。
その様子を見ていた通行人からの通報で、若林警察署の警察官が現場に到着。
Aさんは建造物侵入罪で現行犯逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~建造物等侵入罪とは~
酔っぱらってガラスを割り、建物に入り込んだAさん。
逮捕容疑となった建造物侵入罪の条文を見てみましょう。
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
住居侵入罪と一緒に規定されています。
住居として利用されていない、会社や店舗等の建物に勝手に入り込んだ場合には、建造物侵入罪が成立することになります。
~建造物等損壊罪や器物損壊罪も~
Aさんはガラスを叩き壊しているので、建造物等損壊罪や器物損壊罪も成立するでしょう。
第260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
Aさんが割ったガラスが、小さな窓などであれば器物損壊罪にとどまる可能性もありますが、たとえばコンビニのガラスなどのように、容易に取り外せず壁として重要な機能を有しているようなガラスであれば、より重い建造物等損壊罪が成立する可能性が高くなるでしょう。
~2つの犯罪成立で刑罰はどうなる?~
Aさんには建造物侵入罪と建造物等損壊罪または器物損壊罪が成立しています。
この場合、これらの条文に定められた刑罰(法定刑)をそのまま足すのではなく、併合罪という処理がなされます。
刑法45条以下に規定がありますが、簡単に言うと、
①両方の罪で懲役刑にする場合→最も重い罪の1.5倍の期間を上限とする
②片方を懲役、もう片方を罰金とする場合→法定刑通りの範囲内で両方受ける
③両方の罪で罰金にする→法定刑通りの範囲内で両方受ける
ということになります。
たとえば、建造物等損壊罪の懲役刑は5年以下、建造物侵入罪の懲役刑は3年以下ですので、①のパターンを選択する場合には、7年半以下の懲役ということになります。
裁判所が①②③のどれを選ぶかは、犯行の具体的内容、反省態度、前科の有無、被害者との示談締結の有無などによってくることになります。
~刑事手続きの流れ~
現行犯逮捕をされたAさんは、最初に最大で3日間、警察署の留置所等に入れられます。
そして、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が、被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタート。
無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。
~弁護活動の内容~
上記の手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。
まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留決定しなければ、最初の3日間以内に釈放されます。
そして、本人が反省している、前科がない、家族の監督が見込める、弁護士を通しての示談が見込めるといった事情があれば、勾留されない可能性も上がってきます。
そこで弁護士としては、検察官や裁判官に対し、これらの事情を主張するなどして勾留を防ぎ、早期に釈放されることを目指します。
また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付かないことになります。
特に初犯で、弁償して示談が成立したといった事情があれば、不起訴処分となることも十分ありえます。
また、起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
そこで、被害者に賠償をして示談を締結するなどの活動をし、不起訴処分や略式起訴で済むことを目指していきます。
~弁護士にご相談を~
逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。
建造物侵入罪や建造物等損壊罪、器物損壊罪で逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。