示談交渉をしようとして証人等威迫罪

示談交渉をしようとして証人等威迫罪

仙台市宮城野区に暮らすAさんは、傷害事件を起こしてしまい、宮城県仙台東警察署の捜査を受けています。
Aさんは、弁護士に頼らずに自分で被害者と示談交渉をしようと考えて、被害者Vさんのもとを訪れました。
しかし、Vさんが示談を渋ったため、Aさんは苛立って、「俺の言う通りにしないとお前と家族がどうなるかわかってるな。」と脅しました。
VさんはAさんを恐れてその場では承諾したものの、後日、Vさんが担当の警察官に対してAさんの行動を話したため、警察にAさんの行動が明らかになりました。
Aさんは証人等威迫罪の容疑で、宮城県仙台東警察署逮捕されました。
(フィクションです。)

~証人等威迫罪~

刑事事件における証人や参考人等の証言は、被告人や被疑者の今後の刑事処分を決める上で、非常に重要な判断材料です。
そこで、刑事事件の証人や参考人等に対する面会強請、強談威迫の行為を処罰して、刑事司法の適正な運用を確保しようとするとともに、証人等の私生活の平穏ないし自由という個人的法益の保護をも図ることを目的として設けられた犯罪類型が証人等威迫罪です。

証人等威迫罪は、刑法105条の2において、「自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」と規定されています。

証人等威迫罪の対象は、自己または他人の刑事事件の捜査もしくは審判に必要な知識を有すると認められる者とその親族です。
「捜査若しくは審判に必要な知識を有する」とは、犯罪の成否・情状・犯人または証拠発見に役立つ知識などを有することです。
「必要な知識を有すると認められる者」と、「認められる者」という表現になっている意味は、現にその知識を有する者に限られず、具体的状況から、そのような知識を有すると認められるものであれば足りるためです。
現に捜査機関の取調べを受けている者や裁判の証人として呼ばれている者などでも、将来その可能性がある者でもよいとされています。
「捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者」には、当然、被害者が含まれます。

証人等威迫罪では面会の強請、強談、威迫が禁止されています。
「面会の強請」とは、面会の意図のないことの明らかな相手に対して面会を強要することをいいます。
「強談」は相手方に対し、言語により強いて自己の要求に応ずるよう迫ることをいい、「威迫」とは,言語・態度によって気勢を示し,不安・困惑の念を生じさせることをいいます。

証人等威迫罪にあたる行為は、逮捕勾留の要件にも含まれる罪証隠滅にあたる行為であるため、逮捕勾留をされてしまう可能性が高いです。

~示談交渉を弁護士に依頼した方がいい理由~

証人等威迫罪は、被害者に対して面会を強請し、又は強談威迫の行為をした場合にも適用されます。
ご本人やご家族が刑事事件を起こしてしまった場合、被害者の方に対して謝罪をしたい、示談交渉をしたいと考える方は多いです。
しかし、謝罪や示談交渉のためとはいえ、ご本人やご家族が被害者と直接接触する場合、行き過ぎた示談交渉となってしまい、今回のAさんのケースのように証人等威迫罪に問われてしまうこともなくはありません。
また、証人等威迫罪は他人の刑事事件を対象とする者についても適用されるため、ご本人の代わりに示談交渉しようとしたご家族が罪に問われることも考えられます。

証人等威迫罪にならないように示談交渉を試みるとしても、加害者が被害者に直接接触して示談交渉することはお勧めできません。
そもそも、被害者は加害者に対する怒りや恐怖から、加害者やその家族と連絡を取りたがらないことが多いです。
仮に、加害者が被害者に連絡をとれたとしても、当事者が直接話し合うと、被害者の加害者に対する恐怖や憎悪・怒りから交渉が難航したり、最悪の場合被害者の恐怖感や怒りの感情をさらに高めたりしてしまうおそれがあります。
また、無事に示談が成立したように見えるケースでも、法律の専門家ではない当事者による示談の場合は、示談に不備があって法的な効力が認められず、後日紛争が蒸し返されるということもあります。

このように、弁護士を通さない示談交渉では、さらなる刑事事件やトラブルに発展してしまうおそれがあります。
そのため、被害者への謝罪や示談交渉は、弁護士を通して行うことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、これまで多数の示談交渉をまとめ上げてきた弁護士が多数在籍しており、被害者と加害者双方が納得のいく示談締結を目指します。
弁護士による無料法律相談、初回接見をご希望の方はフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
初回法律相談:無料
宮城県仙台東警察署までの初回接見費用:36,900円

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら