知人のギターを横領
宮城県石巻市内に住むAさんは趣味でバンド活動を行う大学生です。
Aさんは使っていたギターを床に落として壊してしまいました。
Aさんは修理費用が出せない貧乏学生だったので、知人のVさんから、使っていないギターを少しの期間借りることにしました。
しばらくそのギターを使っていましたが、Vさんからそろそろ返してくれないかと言われました。
「自分のギターの修理費用もないし、返したらバンド活動できなくなるな…このまま借りパクできないかな」
そう考えたAさんは、「近いうちに返すよ」などと言ってはぐらかし、そのままギターを使い続けていました。
その後Vさんから何度も返還請求を受けたにもかかわらずギターを使い続けていたAさん。
ある日Vさんから、宮城県石巻警察署に横領罪でAさんを告訴したと伝えられました。
「これはヤバいことになった…」
Aさんはこの後どうなってしまうのでしょうか。
(事実を基にしたフィクションです)
~横領罪~
本件のような、いわゆる「借りパク」のケースでは、横領罪が成立するか問題となります。
刑法には「自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。」(252条1項)と規定されています。
AさんにとってVさんのギターは「自己の占有する他人の物」にあたることは間違いありません。
では「横領した」とはどのような場合を指すのでしょうか。
専門的には「横領」とは、
①他人の物の占有者が委託の任務に背いて、
②その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思
を実現するすべての行為を指すといわれています(なお、①と②を合わせて不法領得の意思といいます)。
①については、「借りパク」のケースで「委託の任務」と言われてもピンと来ないかもしれませんが、今回のケースでは一時的にギターを借りて使うが、ある程度の期間が過ぎ、Vから返還請求されたら返すというのがAのなすべき行動、すなわち「委託の任務」といえるでしょう。
②については、Aはギターをまるで自分の物のように使い続けているわけですから、所有者のように使い続ける権限がないにもかかわらず、所有者でなければできないような処分をしているといえます。
以上により、Aさんの行為には横領罪が成立しそうです。
~逮捕されてしまう?~
宮城県石巻警察署が告訴状を受理したのであれば、Aさんは横領罪の被疑者として捜査対象となります。
ただ、いきなり逮捕されるとは限りません。
たとえばギターの時価が低いものであったり、Aさんに前科がなかったり、ギターを慌てて返したりといった事情があれば、警察としても軽微な事件と判断するかもしれません。
そうなれば警察の呼び出しに応じて自ら警察署に行き、取調べを受けることはあるかもしれませんが、強制的に身柄を拘束される逮捕まではされないことになるでしょう。
一方で、上記とは逆の事情が多い場合には、逮捕される可能性が上がってくるでしょう。
~裁判にかけられてしまう?~
逮捕という身体拘束を受けていなくても、刑事裁判にかけられてしまう可能性は別途生じます。
逃亡や証拠隠滅のおそれはないから身柄拘束までする必要はないが、悪いことをしたことに変わりはないのだから裁判は受けてもらう、という在宅起訴というものです。
裁判にかけられるかどうかについても、 ~逮捕されてしまう?~ という段落に書いた事情等を考慮し判断されます。
裁判にかけられて有罪判決が確定すれば前科がついてしまいますし、執行猶予がつかなければ刑務所に入ることになります。
~不安の解消のためにも無料法律相談を~
あなたがAさんの立場であれば、横領罪で逮捕されるのか、裁判にかけられるのか、ギターを返せば済むのかなどなど、非常に不安な気持ちになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談では、今後の見通しや逮捕・起訴を免れる可能性を上げるための方法についてアドバイスさせていただきます。
初回相談無料ですので、ぜひお気軽にご連絡ください。
宮城県石巻警察署への初回接見費用:43,200円