Archive for the ‘暴力事件’ Category

介護職員を傷害で逮捕

2021-01-08

介護職員を傷害で逮捕

介護施設の職員が、入所者への傷害で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県名取市にある老人介護施設で働くAさん。
入所者に対し、たびたび暴力を振るっていました。
入所所の家族が入所者の体にあざができていることに気が付き、警察に相談。
岩沼警察署が捜査の結果、Aさんの犯行と発覚。
Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~傷害罪や暴行罪が成立~

福祉施設の職員が、入所者に暴力を振るうというニュースは、たまに聞くかと思います。
福祉施設では低賃金で過酷な労働を強いられているケースもあり、職員の方も不満がたまることもあると思います。

ただ、一線を越えてしまうと、取り返しのつかないことになってしまうことも。
上記事例のように、入所者に暴力を振るうと、傷害罪暴行罪が成立することになるでしょう。

刑法
第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

人に暴力を振るい、ケガをさせた場合には204条の傷害罪が成立します。
幸いケガはしなかった場合には、208条の暴行罪が成立します。

暴力を振るって、あざやかすり傷などの軽傷を負わせた場合にも、傷害罪が成立します。
そして傷害罪は、最高で15年の懲役という重い刑罰が定められています。

もちろんこの条文は、命の危険があるような重傷を負わせたような事件にも対応できるように重い刑罰が定められているので、軽傷で長年に渡るような懲役刑を受ける可能性は低いでしょう。
ただ、最高でも2年の懲役とされている暴行罪と比べると、雲泥の差と言えます。

また、罰金刑などで済む場合も、傷害か暴行かで、金額に差が出てくる可能性があります。
さらに、犯罪をしたとしても、事件の内容によっては逮捕されずに、自宅から捜査機関に出向いて取調べを受けるという「在宅事件」になる場合もありますが、逮捕されるのか、在宅事件で済むのかといったところにも、影響する可能性があります。

人に暴力を振るうというのは、その時点で少なくとも暴行罪が成立してしまう可能性が高い上、必然的にケガをさせて傷害罪まで成立し、被害者と加害者両方にとって、重大な結果となってしまう危険があるわけです。

~逮捕後の流れは?~

逮捕後の手続きの流れについて、詳しくはこちらをご覧ください。
【刑事事件の流れ】

できる限り軽い結果で終わるために、事件後にできることとして重要なので、被害者の方に謝罪・賠償して、示談を結ぶことです。
また、謝罪・賠償をする意向を早期に示すことは、早期釈放にとっても重要となります。

とはいえ、何と言って示談をお願いしたらいいのか、示談金はいくらにしたらいいのか、示談書の文言はどうしたらいいのかなど、わからないことだらけだと思います。

他にも、あなた自身やご家族が急に逮捕されたり、取調べを受けに来るよう警察に呼び出されたといった場合には、今後逮捕されるのか、いつ釈放されるのか、取調べではどう受け答えすべきか、どれくらいの刑罰を受けそうかなど、わからないことだらけでご不安だと思います。

事件の細かい内容によって変わってくるところでもございますので、ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
まだ逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。

他人の飼い犬を蹴り殺して逮捕

2020-12-25

他人の飼い犬を蹴り殺して逮捕

他人の飼い犬を蹴り殺して逮捕されたという事件がありました。

他人の飼い犬を蹴り殺した疑い ランニング中、男逮捕
Yahoo!ニュース(朝日新聞)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~動物愛護法違反~

この事件は、河川敷でランニングをしていた男が、リードが付いておらず飼い犬の手から離れていた犬を、複数回蹴り、頭部骨折などで死亡させたというものです。
男は容疑を否認し、「犬がぶつかってきただけ」などと供述しているということです。

男が否認していることもあり、この事件で犯罪が成立するのかどうかはわかりませんが、報道の通りの犯行をしていたとすれば、動物愛護法違反となる可能性があります。。

条文を見てみましょう。

動物の愛護及び管理に関する法律
第44条第1項
愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
第4項
前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
1号 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
2号 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの

動物愛護法は、今年6月から罰則が強化されました。
具体的な暴行の方法により適用される条文が異なりますが、上記条文にあるように、愛護動物をみだりに殺すといった行動に出た場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金という重い刑罰も科される可能性」があるのです。

なお、「みだりに」とは、「必要もないのに」といった意味です。

カッとなって蹴り殺したりすると、動物の命はもちろん、殺した側の人生にも取り返しの付かない影響が出る可能性があるのです。

~逮捕後の流れ~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身柄を拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

その後、検察官が刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判を受け、執行猶予とならない限り、そこで判断された刑罰を受ける流れになります。

比較的軽い犯罪では、検察官が不起訴処分をすることもあります。
これは起訴の反対で、刑事裁判にかけないという判断です。
今回は大目に見て、前科も付かずに終わるということになります。

罰則を重くする法改正がなされ、最高で懲役5年という規定になっていることから考えると、簡単には不起訴処分にならないかもしれませんが、飼い主の方に謝罪・賠償して示談を結ぶなど、誠実な対応が必要となってきます。

~弁護士にご相談ください~

あなた自身やご家族が、突然逮捕された、警察に呼び出されたといった場合、どんな罪に問われているのか、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうやってすればよいのかなど、わからないことが多いと思います。

事件ごとの具体的な事情をもとに、今後の見通しをご説明致しますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
まだ逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。

入店拒否され器物損壊で逮捕

2020-12-11

入店拒否され器物損壊で逮捕

マスクせずに入店しようとしたが断られ、逆上して店の物を壊して逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市に住むAさん。
ある飲食店に入店しようとしたところ、マスクをしていないことを理由に入店を断られました。
断られたことに腹を立てたAさんは、店入口付近にあった棚を蹴って壊してしまいました。
そのまま帰宅したAさんでしたが、防犯カメラ映像などから、棚を壊したのはAさんであることが発覚。
仙台東警察署の警察官により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~器物損壊罪が成立~

昔から、店員の態度に腹を立て、店の備品を壊して逮捕されたり、警察の事情聴取を受けるといった事件はありました。
最近では、上記事例のようにコロナに関連して、店の備品を壊すなどの事件も実際に起きています。

今回のAさんのように店の備品を壊した場合、器物損壊罪が成立することになります。

刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

~建造物損壊罪が成立する場合も~

今回は棚を壊したという事例でしたが、例えば、壁を蹴って穴を空けたといった場合には、建造物損壊罪という別の犯罪が成立する可能性があります。

第260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

建造物損壊罪は、中にいる人に危険が及ぶということで、人が死傷しない場合であっても5年以下の懲役と定められています。

実際にどれくらいの刑罰を受けるのかといった結果は、どれくらい壊したのか、被害金額、反省態度、賠償したかどうかといった事情により大きく異なります。
しかし、中にいる人に危険が及ぶ悪質さがあるということで、器物損壊罪よりも重い刑罰も科されうる規定となっているわけです。

~他にも様々な犯罪が成立する可能性が~

他にも、店員に暴行を働いてケガをさせれば傷害罪が、ケガをしなくても暴行罪が成立します。

第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

店員を脅して無理やり入店すれば強要罪が成立する可能性もあります。

第223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

入店拒否されたことをネットに書き込んで店を利用しないよう促したり、嫌がらせの電話などをすれば、偽計業務妨害罪が成立する可能性もあります。

第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

もちろん、実際に入店拒否された人ではなく、ネットなどで入店拒否の事実があったことを知り、入店拒否した店に嫌がらせをした人も、偽計業務妨害罪に問われる可能性があります。

このように、ついカッとなってしてしまった行為や、ある種の正義感に基づいた行為などにより、犯罪が成立してしまう可能性があるのです。

~弁護士にご相談を~

あなたやご家族が、上記のような行為で逮捕された、警察に呼び出されたといった場合、一体何があったのか、どんな犯罪に問われているのか、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、取調べではどのように受け答えしたらいいのかなど、わからないことだらけだと思います。

今後の見通しをご説明致しますので、ぜひ一度弁護士にご相談下さい。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事故を含めた刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
まだ逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。

事件関係者を脅して再逮捕

2020-10-23

事件関係者を脅して再逮捕

逮捕後に釈放された後、事件関係者を脅すような言動をして再逮捕された事件がありました。

神戸のカフェ従業員、釈放後目撃者に接触、再び逮捕
Yahoo!ニュース(産経新聞)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~業務上過失傷害罪と動物愛護法違反で逮捕~

この事件は最初、カフェを経営する夫婦が、飼い犬をカフェ内で放し飼いにしていたところ、犬が客に噛み付きケガをさせたことから始まりました。
店内で編み物をしていた常連客が毛糸球を床に落としたところ、それを加えた犬を止めた別の女性が噛まれてけがをしたとのことです。

夫婦は業務上過失傷害罪の他、必要な登録をせずに店内で犬を展示したとして動物愛護法違反の容疑で逮捕されました。

その後、夫は罪を認めたことから、釈放されました。
自宅から捜査機関に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて裁判を受ける「在宅事件」に切り替わったのです。

~事件関係者を脅迫~

しかし夫は釈放後、編み物をしていた女性を路上で発見し、
「無事逮捕されました」
「職場が分かってよかった」
などと言い、スマートフォンで女性の顔を撮影するなどしたようです。

そして女性から相談を受けた警察が、夫を同じ容疑で再逮捕したのです。

通常、一度釈放された場合に同じ容疑で再逮捕されることはありません。
しかし、証拠隠滅逃亡のおそれが出てきた、あるいは実際に証拠隠滅や逃亡をした場合には、再逮捕される可能性が出てきます。

今回のケースでは、証拠隠滅のおそれがある、あるいはまさに証拠隠滅を図ったとして再逮捕に至ったと言えるでしょう。

つまり、男性が事件関係者に対し、脅しともとれるような言動をしたことにより、その事件関係者としては男性の報復をおそれ、警察の事情聴取などに対し、男性に不利な供述をしにくくなります。
目撃者の供述は、犯罪をしたことを証明する証拠の1つですから、その供述を捻じ曲げるような男性の行為は、証拠隠滅の一種だと判断されるわけです。

なお、逮捕されて身柄拘束中に、たとえば容疑を否認するなどしていると、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるなどと判断され、そもそも釈放されないことも多いです。
実際、今回一緒に逮捕された妻は、容疑を一部否認していたことから、釈放されていませんでした。

逆に言うと、釈放されたという場合には、罪を認めて反省していることが多く、釈放後に証拠隠滅や逃亡を疑われるような行為をする人も少ないことから、同じ容疑で再逮捕されるのは珍しいと言えます。

~別の犯罪成立の可能性も~

また、自分に不利な供述をさせないなど不正な目的で、被害者や目撃者などの事件関係者に対し、会うように要求したり、脅し文句を言ったりすると、元々の逮捕容疑とは別に、証人等威迫罪脅迫罪が成立する可能性もあります。

刑法105条の2(証人等威迫)
自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第222条1項(脅迫)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

このように、せっかく釈放されたのに再逮捕されたり、元々の逮捕容疑のみで処罰されるはずだったのに新たな犯罪にも問われて重く処罰されることにつながってしまいます。
万が一、関係者を偶然見つけても、脅すような言動はしてはいけません。

~犯罪に問われたらご相談を~

あなたやご家族が、何らかの犯罪をしたとして逮捕、あるいは再逮捕されたり、取調べを受けるとなった場合には、わからないことだらけだと思います。
事件内容に応じてアドバイス致しますので、まずは一度、弁護士にご相談下さい。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

体液をかけて逮捕

2020-10-09

体液をかけて逮捕

公共の場で女性に体液をかけて逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市に住むAさん。
電車内で居眠りをしていた女性に対し、精液をかけるという行為に出ました。
その後、Aさんが下車した後、目を覚ました女性が、精液をかけられたことに気が付き、駅員に相談。
宮城県仙台北警察署が捜査に入りました。
防犯カメラの映像などからAさんの犯行と発覚。
Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~成立する犯罪は?~

公共の場で、相手に気が付かれないように精液をかけるという行為は、時折見られる犯罪です。
このような行為は、暴行罪器物損壊罪が成立するでしょう。
条文を見てみます。

刑法
第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
第261条(器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

1つ目の暴行罪は、一般的には相手を殴るなどの暴力を振るった時に成立しうる犯罪です。
相手がケガをすれば傷害罪となりますが、ケガまではしなかった場合に暴行罪となります。

ただ暴行罪は、あからさまな暴力だけでなく、「人の身体に対する不法な有形力の行使」をした場合に成立しうる犯罪です。
勝手に精液をかけることも、「人の身体に対する不法な有形力の行使」に当たるとして、暴行罪に問われる可能性があるのです。

一方、2つ目の器物損壊罪はご存知の通り、一般的には物を壊した場合に成立する犯罪です。
ただし、物理的に破壊した場合だけでなく、事実上、物を使えなくした場合も成立する可能性があります。

たとえば精液を服やカバンにかけた場合、綺麗に洗えばその後も使えなくはないでしょう。
しかし、被害者としては心理的に使えるはずがありません。
証拠品として押収された後は廃棄されるのが一般的です。

したがって事実上、物を使えなくしたことになり、器物損壊罪が成立するのです。

人に精液をかけて、暴行罪ではなく、物に対する犯罪である器物損壊罪が成立するというのも違和感を感じるかもしれません。
ただし、暴行罪よりも器物損壊罪の方が重い刑罰が定められているという事情などもあり、器物損壊罪で立件されることも多いです。

~逮捕後の手続き~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

その後、刑事裁判がスタートする流れとなることもあります。
しかし、比較的軽い事件では、今回は大目に見るということで裁判にかけない不起訴処分をしてもらい、前科も付かずに終わることもあります。
あるいは、簡単な手続きで罰金だけ納めて終わるという場合もあります(略式罰金)。

できるだけ軽い結果を目指すために事件後に出来ることとして重要なのは、被害者に謝罪・賠償して示談を結ぶことです。
しかし、性犯罪の被害者は、加害者側と関わることの心理的負担が大きかったり、処罰感情の強さなどから、示談交渉を行うことは容易ではありません。

しかし、被害者と加害者の間に弁護士が入ることにより話が進むケースも多くあります。

~弁護士にご相談を~

示談の他にも、あなたやご家族が何らかの犯罪で逮捕されたり、取調べを受けると、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、性犯罪の再犯防止のための治療やカウンセリングを受けるべきかどうかなど、わからないことが多いと思います。

そこでぜひ一度、ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

アマゾンのやらせレビューで罰金

2020-09-25

アマゾンのやらせレビューで罰金

アマゾンに低評価のレビューを書かせて罰金刑となった事件がありました。

アマゾンで「星一つ」やらせ投稿 依頼者に異例の刑事罰
朝日新聞DIGITAL

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~信用毀損罪が成立~

この事件は、福岡市内の健康食品・器具の通販会社を経営する男性が、仕事仲介サイトを通じて応募してきた女性に対し、報酬500円を支払い、福岡市の別の健康食品販売会社がアマゾンで扱うサプリメントに低評価のレビューをつけさせたというものです。

この行為には信用毀損罪(シンヨウキソンザイ)という犯罪が成立するとして、男性は罰金20万円が言い渡されました。

信用毀損罪とはどんな犯罪なのでしょうか。
まずは刑法の条文を見てみましょう。

刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

この条文には、みなさんもよく耳にする業務妨害罪と、信用毀損罪が規定されています。

「虚偽の風説を流布し」とは、ウソのうわさを流すということです。
「偽計を用いて」とは、人をだましたり、人の勘違いを利用するといった不正な手段を使うことです。
「信用を毀損し」とは、商品に対する信頼や、人の金銭面での支払い能力に対する信頼を下げることをいいます。

今回の事例で言うと、真実と異なる理由による低評価のレビューの投稿は、「虚偽の風説を流布し」あるいは「偽計を用いて」にあたるでしょう。
また、このような投稿は、商品に対する信頼が下がりうるものなので、「信用を毀損し」にもあたるでしょう。

したがって信用毀損罪が成立するわけです。

~投稿者の女性は不起訴処分に~

この事件では、投稿を依頼した男性が罰金刑となり、実際に投稿をした女性は不起訴処分となっています。
不起訴処分とは、比較的軽い事件で、今回は大目に見るということで、裁判にかけず、前科も付かずに手続きを終わらせることをいいます。

今回の事件では、黒幕は投稿を依頼した男性であることや、女性の反省態度などが考慮されて不起訴処分となったのでしょう。

今回の女性は以前から、1回500円前後でレビューを投稿するという仕事を、インターネットを通じて受けていたとのこと。
普段は高評価を付ける仕事ばかりで、今回のように低評価を付ける仕事は今回が初めてだったと供述しているようです。

ただし、同じような事件で今後も不起訴処分になるとは限りません。
気軽にお小遣い稼ぎができると思って手を出すと、危ない目に遭う可能性があるので注意が必要です。

もちろん、本当に商品を利用した人が、本心で低評価を付ける分には問題ありませんのでご安心ください。

~弁護士にご相談を~

あなたやご家族が何らかの犯罪で逮捕されたり、取調べを受けると、いつか釈放されるのか、取調べにはどのように対応したらよいのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、不起訴処分になる可能性はあるのかなど、わからないことが多くて不安だと思います。

事件の内容に応じたアドバイスを致しますので、ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

柴田町での殺人事件

2020-09-18

柴田町での殺人事件

宮城県柴田町で殺人事件がありました。

宮城・柴田町の殺人事件 被害者の妻が椅子を振り回して抵抗「夫は玄関を開けたらすぐに刺された」
Yahoo!ニュース(KHB東日本放送)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

~殺人罪と殺人未遂罪に~

この事件は、宮城県柴田町で、74歳の男性が自宅を訪れた何者かに刺され死亡したというものです。
男性は玄関を開けてすぐに切り付けられた模様です。
男性の妻も、犯人に左ひじを切りつけられてケガをしましたが、命の別状はないとのことです。

犯人は不明で、9月18日現在も逃走中。
警察が行方を捜しています。

犯人は逮捕されれば、男性に対する殺人罪で裁判にかけられることになるでしょう。

刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

殺人はご存知の通り死刑もありうる重い犯罪です。
正当防衛が成立したり、精神鑑定で責任能力がなく罪に問えないという判断が出ない限り、少なくとも長い年月にわたる刑務所暮らしとなるでしょう。

また、男性の妻に対する殺人未遂罪でも同時に裁判にかけられるでしょう。

刑法203条
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。

殺人罪と殺人未遂罪の両方で裁判にかけられると、死刑・無期懲役・5年以上30年以下の有期懲役のいずれかに処されることになります。
殺人罪1件のみだと有期懲役の上限は20年ですので、死刑・無期懲役にはせず、より長い期間の有期懲役にするという判断もありえます。

また、今回の事件は裁判員裁判の対象となります。
一般的に、2人以上を殺害した場合でないと死刑にはなりませんが、裁判員の方々は難しい判断を迫られることになるでしょう。

~犯行動機の報道~

今回引用したニュース記事では、犯行動機については書かれていませんが、他の記事では動機を憶測する文章が書かれているものもあります。

犯人が逃走中ということもあり、通り魔的な犯行なのかどうかは読者にとっても重要な部分ですので、最低限の記載は必要かもしれません。

しかし、殺害された男性とその妻のプライバシーに深くかかわる事情が書かれているものもあります。
こういった報道がどこまでなされるべきかは、検証が必要かもしれません。

~逮捕後の刑事手続きの流れ~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

その後、刑事裁判がスタートする流れとなるでしょう。

~弁護士にご相談を~

今回は殺人事件のニュースを紹介しましたが、もっと軽い犯罪も含め、あなたやご家族が何らかの犯罪で逮捕されたり、取調べを受けると、いつか釈放されるのか、取調べにはどのように対応したらよいのか、被害者にはどのように謝罪・賠償をしたらよいのか、どんな罪に問われるのか、どれくらいの刑罰を受けるのかなど、わからないことが多いと思います。

事件の内容に応じたアドバイスを致しますので、ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

マンションで殺人事件

2020-07-24

マンションで殺人事件

横浜で殺人事件があったようです。

横浜のマンションで腹や首を刺されて男性死亡…一緒にいた29歳男を逮捕
Yahoo!ニュース(読売新聞)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~殺人未遂容疑で現行犯逮捕~

この事件は横浜市内のマンションで、叫び声を聞いた近隣住民の通報で駆け付けた神奈川県金沢警察署の警察官が、被害者の男性と一緒にいた男性を殺人未遂の容疑で現行犯逮捕したというものです。

被害者が死亡したにも関わらず、殺人未遂罪で現行犯逮捕されています。
その理由は、警察官が現場に駆けつけて逮捕した時点では、被害者が死亡しているのか分からないため、最低でも成立するであろう殺人未遂罪で逮捕したということです。
今回は被害者の死亡が確認されたので、今後は殺人罪で捜査や裁判を受けることになるでしょう。

さて、ここで殺人罪の条文を見ておきましょう。

刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

殺人罪は犯罪の中でもトップクラスに重い犯罪です。
死刑の可能性もある犯罪ですし、最低でも懲役5年と定められています。

~傷害致死罪との違い~

今回の事件では、容疑者は殺すつもりであったと供述し、容疑を認めているとの報道もあります。
しかし、仮に殺意を否定した場合はどうなるのでしょうか。

殺人罪はわざと人を殺した場合にのみ成立する犯罪です。
暴力は振るったが、殺すつもりはなかった場合には、傷害致死罪が成立するにとどまります。

とはいえ、容疑者が「殺すつもりはありませんでした」とさえ言えば、殺人罪が成立しなくなるのは不都合です。
そこで、容疑者が認めているかどうか、という事情の他に、犯行の具体的内容から、殺意の有無を判断します。

たとえば、こぶしで一発殴ったような場合に、当たり所が悪く死亡してしまったというような場合には、殺意まではなく傷害致死罪にとどまると判断される可能性も十分あるでしょう。
一方、鋭利な刃物で、腹部や頭部などの重要部分を刺したとなれば、いくら殺すつもりまではなかったと言っても、殺意があったとして殺人罪が成立してしまう可能性が十分考えられます。

~弁護士にご相談を~

殺人罪や傷害致死罪以外の犯罪についても、わざとやったのかどうかが問題となる事件はあります。
たとえば、書類を運ぶだけの仕事と思ったら、中身が違法薬物であったり、特殊詐欺の被害金であったりといったこともあります。

もし、あなたが思わぬ犯罪に加担してしまった場合には、あなたに有利な事情を集め、捜査機関や裁判所に対ししっかりと主張していく必要があります。
弁護士はそのためのサポートをしっかりしてまいりますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

もちろん、わざと犯罪をしてしまった場合にも、相手方への示談対応を行い、取調べでの対応方法などをアドバイスするなど、処分・判決を軽くするなどのより良い事件解決に向けて弁護活動をしてまいりますので、ぜひご相談下さい。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

ベランダからごみを捨てて逮捕【廃棄物処理法違反】

2020-04-17

ベランダからごみを捨てて逮捕【廃棄物処理法違反】

マンションのベランダから土鍋などのゴミを捨てた人が逮捕される事件がありました。

“カリスマ美容師”6階から『土鍋投げ捨てた』疑いで逮捕…テレビなども投げたか
Yahoo!ニュース(MBSニュース)

この事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

~廃棄物処理法違反に~

この事件は美容師の男性が、自宅マンションの6階のベランダから土鍋を投げて捨てたとして、廃棄物処理法違反の容疑で逮捕されたというものです。
土鍋の他にもテレビやCDプレーヤーも投げ捨てた疑いが持たれています。

やや珍しい犯行内容で逮捕されたように思いますが、具体的にどういう規定に違反したのでしょうか。
条文を見てみましょう。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律
第16条
何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
第25条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第14号 第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者

16条の「廃棄物」には産業廃棄物のような事業活動によって生じるゴミだけでなく、一般家庭で出るゴミ・粗大ゴミなども含まれます。
これを正しくない方法で捨てると「みだりに廃棄物を捨て」たことになり、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらの両方を科される可能性があるわけです。

時々、空き地や高架の下などゴミが捨てられそうな場所に、「不法投棄は5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその両方を科されます」といった看板が立てられていることがあるのですが、この規定に従って作られたものと言えます。

罰金の金額は、せいぜい50万円や100万円が上限となっている犯罪が多い中、1000万円という高額になっています。
主に業者が不法投棄をして利益を得ることを防ぐために、高額に設定されています。

したがって今回の事件のように一般人がごみを捨てた事例で巨額の罰金となる可能性は低いでしょう。
ただ、逮捕されて懲役刑や罰金刑を受ける可能性がある以上、大きなリスクがある行為と言えます。

~重過失致死傷罪なども~

今回の事件では6階からごみを捨てています。
幸いケガ人は出ていないとのことですが、万が一ごみを捨てた時に人に当たって怪我をさせた場合には過失致傷罪重過失致傷罪に、死亡させた場合には過失致死罪重過失致死罪に問われる可能性があります。

刑法第209条1項(過失致傷)
過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
第210条(過失致死)
過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。
第211条(重過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

死傷者が出て、これらの犯罪も成立してしまった場合には、廃棄物処理法違反だけの場合よりも判決が重くなることが予想されます。

特に、重大な過失がある方が、すなわち不注意の程度が重い方が重く処罰されます。
不注意の程度の重さは、死傷者が出ることが予想できたかといった点から判断することになります。
たとえば人が立ち入る可能性があるような場所に投げた場合には、不注意の程度が重いと判断される可能性が上がるでしょう。

~犯罪に問われたら弁護士にご相談を~

犯罪になると思っていなかった行為で逮捕や取調べをされてしまい、どうしたらよいかわからないという場合があるかもしれません。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

宮城県大崎市の保護責任者遺棄致死事件

2020-04-15

宮城県大崎市の保護責任者遺棄致死事件

【参考ニュース】
体調不良の父親を放置し死亡 息子を逮捕
KHB東日本放送

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~保護責任者遺棄致死罪とは~

この事件は、62歳の男性が、同居する87歳の父親が体調不良だったことを知りながら外出し、翌日まで放置し死亡させた疑いが持たれているというものです。
容疑者の男性は、「面倒になって救急車を呼ばなかった」と述べ、容疑を認めているとのことです。

今回問題となっている保護責任者遺棄致死罪とはどんな犯罪でしょうか。
まずは関係する条文を見てみましょう。

刑法217条(遺棄)
老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の懲役に処する。
第218条(保護責任者遺棄等)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
第219条(遺棄等致死傷)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

まず、今回の容疑者の行為は217条の遺棄罪に該当するように思えます。
体調不良の87歳の男性は、「老年…又は疾病のために扶助を必要とする者」に当たり、容疑者はこの男性の扶助をしなかったからです。

しかし217条は、たとえば偶然家を訪ねるなどして体調不良の人を発見したアカの他人が、そのまま体調不良者を放置した場合などを想定した条文です。
今回の容疑者と87歳の男性は同居する親子ですから、息子である容疑者はむしろ218条の「老年者…又は病者を保護する責任のある者」に該当するでしょう。

アカの他人が遺棄するよりも、特別な関係にある者が遺棄した場合の方が悪質性が強いといった理由により、より重い刑罰が定められている218条の保護責任者遺棄罪が優先的に成立することになるのです。

しかも今回は息子が父親を遺棄した結果、父親が死亡していますから、219条の保護責任者遺棄致死罪が成立することになります。
罰則は「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」と書かれていますが、具体的には3か月以上15年以下の懲役となります。

余談ですが、218条には「遺棄」「その生存に必要な保護をしなかった」(=不保護)という2つの行為が規定されています。
どちらも必要な保護をしなかった点では同じですが、「遺棄」は場所的に離れてしまったパターン、不保護は場所的に離れずに必要な保護をしなかったパターンが該当します。

今回の事件の容疑者は父親を放置して外出したので、場所的に離れており、「遺棄」に該当します。
親が一緒に住んでいる幼児に食事を与えなかったような場合は不保護に該当するでしょう。

~殺人罪の可能性も~

今回のような事件では、殺人罪に問われる可能性もあります。

第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

理論上、殺人罪と保護責任者遺棄致死罪の区別は、このまま放置すれば死亡してしまうかもしれないとわかっており、それでもいいと思って放置したような場合には殺人罪に、そこまでの思ってなければ保護責任者遺棄致死罪に問われるということになります。

ただ、実際には両者の区別は非常に難しいです。
今回の事件では保護責任者遺棄致死罪の容疑で逮捕されていますが、最終的に殺人罪の容疑に切り替わって裁判を受けるという可能性も否定できません。

~弁護士にご相談を~

今回の事件について、犯行理由などの詳しい事情は分かりませんが、介護が必要な高齢者が増えていくわけですので、今後こういった事件が増えてしまうかもしれません。
あなたやご家族がこういった犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合には、お早めに弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

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