Archive for the ‘暴力事件’ Category

アルハラで強要罪

2019-04-16

アルハラで強要罪

大学3年生のAさん(20歳)は、仙台市内の飲食店で、サークルの新入生歓迎会として飲み会をしていました。 
酔っぱらって気が大きくなったAさんは、新入生Vさん(18歳)に対して「挨拶が面白くなかったから罰ゲームとしてこのビール瓶を一気飲みしろ」「全部飲むまで帰さない」等と言いながら、嫌がるVさんに無理矢理お酒を飲ませていました。
翌日、帰宅したVさんから話を聞いた両親とともにVさんが宮城県若林警察署被害届を提出したことで、Aさんのアルハラが発覚し、Aさんは強要罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです。)

~アルハラ~

アルハラとは、アルコール・ハラスメントの略で、飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為、人権侵害を指す言葉です。
特定非営利活動法人ASKおよびイッキ飲み防止連絡協議会という団体では、(1)飲酒の強要や(2)イッキ飲ませ、(3)意図的な酔いつぶし、(4)飲めない人への配慮を欠くこと、(5)酔ったうえでの迷惑行為、の5項目を主要なアルハラとして定め、啓発活動を実施しているそうです。
日本では、アルハラを個別に禁止する法律が特別にあるわけではありませんが、アルハラにあたる行動が刑法の以下の罪に該当することがありえます。
強要罪(刑法223条)生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、飲酒という義務のない行為を無理に強いた場合
・過失傷害罪(刑法209条) または 傷害罪(刑法204条):アルハラの結果として、体調不良や急性アルコール中毒にさせた場合
・傷害致死罪(刑法205条):アルハラの結果飲酒させられた人が死亡した場合

上記事例のAさんの行った飲酒の強要というアルハラは、刑法上の強要罪(刑法223条)にあたりえる行為です。

生命や身体などに害を加えることを伝えて脅迫したり、暴行を用いたりして人に義務のないことをさせれば強要罪が成立し、3年以下の懲役刑に処するとされています。
なお、強要罪には未遂罪(刑法223条3項)の規定もありますから、たとえアルハラで飲酒を強要された人が断って飲酒をしなかったとしても、飲酒の強要というアルハラ行為が行われた時点で、強要未遂罪となる可能性があります。

~Aさんは未成年者に飲酒させているが…~

日本では、「未成年者飲酒禁止法」という法律で未成年者の飲酒行為が禁止されています。
ただし、飲酒をした未成年者を処罰する規定は存在しないため、未成年者が飲酒をしたとしても当該未成年者は処罰されません。
その代わり、未成年者が飲酒した場合の責任は、未成年者の監督者である大人に課されており、未成年者の飲酒を容認した大人は処罰される場合があります。
この法律では、親権者または親権者に代わって監督する人は、未成年者の飲酒を止めるべきだと定めており(未成年者飲酒禁止法1条4項、2条2項)、これに違反した場合、科料となる可能性があります。
また、お酒を販売,提供する業に従事する人(酒類を扱うコンビニなどの小売店,飲食店の店員等)が、未成年者が飲酒することを知っていて未成年者に酒を販売または提供した場合、50万円以下の罰金(同法1条3項、2条1項)が科せられる可能性があります。
また、酒類販売免許が取り消されることもあります。

今回のAさんのように、大学のサークルの後輩に飲酒させた場合は未成年者飲酒禁止法の罰則を受けるのでしょうか。
結論から言うと、未成年者飲酒禁止法の罰則を受けない可能性が高いと考えられます。

未成年者飲酒禁止法では、未成年者の親権者または親権者に代わって監督する人が未成年者の飲酒を止めなかった場合、科料に処するとされています。
裁判例では、親権者に代わって監督する人とは、親権者に準じ、または親権者に代わって一般的、総合的に未成年者を監督すべき立場にある者とされています。
これは、親権者から依頼を受けて未成年者を監督する人や、事情によって親権者が未成年者の側で監督することができない場合に親権者に代わって未成年者の生活全般にわたって監督できる人のことだと考えられています。
大学のサークルの先輩は親権者ではありませんし、親権者に代わって監督する人にもあたらないとされると思われます。
しかし、未成年者飲酒禁止法の罰則を受けないとはいえ、サークルの後輩である未成年者に飲酒を勧めたり黙認したりすることはやめた方がいいでしょう。

新年度になり、歓迎会などの飲み会が増える時期です。
アルハラ強要罪などの刑事事件になってしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのお申込みは24時間受け付けています。
(宮城県若林警察署までの初回接見費用:36,300円)

脅迫事件で不起訴

2019-04-10

脅迫事件で不起訴

宮城県大郷町に住む20代Aさんは、交際している女性Vさんに対して日常的に暴言を言っていました。
ある日、些細な事から口論になった際、Aさんは「ボコボコにしてやる」と言って、隣の部屋の押し入れから金属バットを持ってVさんのいる部屋に入ってきました。
Aさんは実際にVさんに対して危害を加えようとは思っていませんでしたが、恐怖を感じて慌ててその場を逃げ出したVさんが宮城県大和警察署に助けを求めたことから、Aさんは脅迫罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは事件を反省してVさんに謝罪したいと考えており、Aさんの両親を通じて、Vさんとの示談交渉をしてくれる刑事事件専門の弁護士を探しています。
(フィクションです)

~脅迫罪~

脅迫罪は、相手方本人またはその親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、人を畏怖させる程度の害悪を告知した場合に成立する犯罪です。

(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

脅迫罪で起訴されて有罪が確定すると「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。

「脅迫」とは、一般に人を畏怖させるに足りる害悪の告知であり、不快感、困惑、気味悪さ、威圧感、漠然とした不安感を感じさせる程度のものでは足りないとされています。
告知した害悪が他人を畏怖させるに足りる程度と認められるかどうかは、いろいろな諸事情を考慮して、他人を畏怖させる程度のものかどうかが判断されます。
なお、害悪の内容が、犯罪となったり、違法であったりする必要はなく、害悪が一定の条件によって実現する旨を告知した場合や、単に害悪が及ぶ可能性をほのめかしても「脅迫」に当たります。
考慮される諸事情として具体的には、告知内容の他、告知の日時、場所、方法、相手や告知者の年齢、体格、経歴、職業、関係、告知に至った経緯等があり、これらを総合的に考慮して判断されます。

~示談して不起訴~

脅迫罪の容疑をかけられている方にとって気がかりなのは、逮捕されるか、科される刑事罰がどうなるか、という点だと思います。
刑事罰については、脅迫事件の場合、「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」と法定刑に罰金刑があります。
脅迫事件の初犯で犯行態様も悪質でなければ、略式手続き(公開の法廷での裁判ではなく、簡易な書類審査のみで罰金または科料を科す手続き)で罰金刑となる可能性もそれなりにあります。
しかし、罰金刑であっても刑事罰であるため,前科がついてしまいます。
脅迫事件の場合、被害者に対して示談交渉をすることで謝罪・賠償をおこない、被害者が許してくれれば、不起訴処分の可能性を高めることができます。
不起訴処分とは,容疑をかけられている方の処分を決める権限を有する検察官が,法廷で裁判を受けなくてもよいとの判断をした決定のことをいいます。
不起訴処分がなされると,刑事裁判にかけられることなく事件が終了し、前科による不利益を心配する必要がなくなります。
脅迫罪のような被害者のいる事件では、被害者と示談を成立させることによって、不起訴になる可能性が高くなるだけでなく、釈放される可能性を高めることができます。

脅迫事件の加害者とされた方の中には、一時的な感情の昂ぶりによって、本当は害を与えるつもりはないにもかかわらず、害を与える旨を伝えてしまった、という方もいらっしゃいます。
一時的な感情によって行ってしまって謝罪を行いたいという場合であっても、一度脅迫行為をしてしまった加害者から被害者に対して直接接触しようとすると、被害者が怖がってしまい、かえって謝罪や示談締結が困難となるケースがあります。
そこで、謝罪や被害弁償といった示談交渉は、弁護士が間に入って対応していくことで、示談締結や被害届の取り下げの可能性が高まり、事件を早期に解決することにつながります。
不起訴を目指すためには、検察官が起訴不起訴を決める前の、できるだけ早い時期に、弁護士に依頼することがおすすめです。

脅迫罪示談をして不起訴を獲得したいとお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の弁護士にご相談ください。
刑事事件を専門に扱う弁護士が、お客様のご質問に親身にお答えします。
初回無料相談を随時実施しており、24時間受付していますので、まずは、お気軽にお問い合わせください。
(無料法律相談と初回接見サービスのお申込み:フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。)

服を取り上げて監禁罪

2019-03-30

服を取り上げて監禁罪

宮城県美里町に住む20代女性Aさんは、知人女性のVさんとトラブルになっています。
Aさんは、VさんをAさんの自宅に呼びだして、Vさんに服を脱ぐよう脅して裸にさせ、Vさんから服を取り上げて、Aさんの自宅から出て行けないようにしました。
騒音を聞いた近隣住民からの通報により、Aさんは宮城県遠田警察署監禁罪の被疑者として逮捕されてしまいました。
警察から連絡を受けたAさんの両親は、刑事事件専門の弁護士に弁護を依頼しました。
(フィクションです。)

~監禁罪~

監禁罪は、不法に人を監禁した場合に成立する犯罪です。
監禁罪逮捕罪と同じ刑法220条に規定されており、人の行動の自由を侵害する犯罪です。

刑法220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

監禁罪で規定する「監禁」行為とは、人が一定の区域から出る事を不可能若しくは著しく困難にし、その行動の自由を奪い、人の行動の自由を場所的に拘束することを指します。
鍵をかけて部屋に閉じ込める行為が典型的ですが、物理的に部屋に閉じ込めて隔離する行為以外にも,物理的には脱出が容易でも暴行・脅迫や偽計などの心理的な方法によってその場から立ち去ることが著しく困難である場合も含まれます。
具体例としては、暴行・脅迫により畏怖させ脱出の気力を失わせて逃亡しえないようにする行為、入浴中の人の衣服を隠して羞恥心を生じさせて浴室から出られなくする行為、親のところに連れて行ってやるとだまして車に乗せる行為、出口に爆発装置があって逃げ出そうとすると爆発するなどとだまして脱出を妨げる行為などで、監禁罪が成立する可能性があります。

また、監禁する場所は必ずしも区画された場所である必要はありません。
判例では、被害者をバイクの荷台にのせたまま走行を続ける行為について、脱出を著しく困難にするものとして、「監禁」にあたり、監禁罪が成立するとしたケースがあります。

脱出の可否及び困難性は,物理的障害の有無・程度,被害者の年齢・性別・体力・性格・犯人との関係などの事情を考慮して判断されます。

~事例のAさんについて~

監禁罪の成立には、被害者が身体を拘束されて一定の限られた場所から脱出することが不可能、あるいは著しく困難であったことが必要ですが、物理的に脱出を困難にすることだけでなく、心理的に脱出を困難にした場合にも、監禁罪が成立する可能性があります。
Aさんは、Aさんの自宅に女性Vさんを呼び出して、Vさんを裸にして服を取り上げています。
Vさんが羞恥心のためにAさんの自宅から出られなくなった場合、施錠の有無にかかわらず監禁罪が成立すると考えられます。

~監禁罪の弁護活動~

監禁罪は、法定刑が「3月以上7年以下の懲役」と懲役刑しか規定のない、大変重い犯罪です。
監禁罪は、被害者がいる犯罪であるため、被害者への謝罪や示談交渉等が、身柄解放活動や不起訴執行猶予付き判決を目指すために重要となります。
監禁罪は親告罪ではないため、被害者と示談が成立したからといって必ず刑事罰を免れる事ができるというわけではありません。
しかし、検察官が起訴するか否かを判断する上で、被害者の処罰意思は大きく考慮されます。勾留期間中に被害者と示談する事ができれば、不起訴となる可能性を上げることができますし、例え起訴されたとしても、執行猶予付き判決になるなど軽い処分が予想されます。

第三者である弁護士を介することによって,被害者の怒りや不安を和らげて処罰感情を抑えながら,示談交渉をスムーズに進めることができます。
ご家族等が監禁罪逮捕されて被害者への謝罪や示談交渉を希望される方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回接見サービスをお申込みください。
(宮城県遠田警察署への初回接見費用:43,220円)

泥酔しての暴行事件(在宅事件)

2019-03-23

泥酔しての暴行事件(在宅事件)

宮城県七ヶ宿町に住む会社員のAさんは,帰宅の途中に寄った駅で,見知らぬ男性と肩がぶつかった,ぶつかっていないと言い合いになり,お酒の勢いで相手の男性の胸を突き飛ばして転倒させてしまいました。
Aさんは通報で駆け付けた宮城県白石警察署の警察官に連行され,数時間にわたる取調べを受けて帰宅を許されましたが,警察官から「相手が被害届を出したので,暴行事件として扱う」と言われ,不安になって弁護士事務所に無料法律相談に行きました。
(フィクションです)。

~逮捕されなければそれで終わり?~

Aさんは相手の男性を突き飛ばしてしまったので,怪我をさせなくても暴行罪が成立します(怪我をさせてしまうと,より罪の重い傷害罪が成立します)。
もちろん,暴行罪を起こして逮捕されてしまうこともありますが,設例のAさんのように,逮捕がされずに刑事手続が進むこともあります。
Aさんのように,逮捕が伴わない場合を在宅事件と呼びます。
なお,事件によっては途中まで在宅で進み,証拠が整い次第,捜査機関が逮捕に踏み切るケースもあります。
在宅事件の場合,逮捕がされていないため,警察や検察による取調べに応じていれば,普段どおりの生活が可能です。
それゆえ,あまり重大に考えずに,流れに任せて取調べ等に応じてしまう方も少なくありません。
しかし,在宅事件でも,弁護士に依頼をせずに単独で刑事事件に対応することにはいくつかの困難が伴います。
その一つに,被害者との示談が挙げられます。

~当事者同士での示談の難しさ~

謝罪や被害の弁償を内容とする示談が成立した場合,最終的に下される刑事処分が軽くなる可能性があります。
謝罪や被害の弁償ができている場合,被害者の方の処罰感情が緩和していることが多いため,検察官が下す処分も比例して軽くなる余地があるためです。
示談が成立するかどうかは,在宅事件でも逮捕・勾留がされている事件においても,最終的な処分の重さに関わってくる,非常に重要な事情となります。
示談が成立することで,正式裁判や罰金処分を回避し,前科をつけない余地も出てきます。
もっとも,当事者同士で話し合いをしても,刑事事件という枠組みの中では加害者,被害者という立ち位置に分かれるため,双方ともに感情的になって話が難航することも少なくありません。
話し合いの当初で互いに溝ができてしまうと,その後に話を修復させるのは非常に難しくなります。
また,設例のAさんのように,面識のない方が被害者となった場合,そもそも被害者の方に連絡がとれないという根本的な問題に直面します。
連絡がとれない場合,当然ですが示談が成立することはありません。
警察官や検察官を通じて被害者の方の連絡先を聞こうにも,断られてしまうことも多々あります。
なぜなら,被害者の方にとっては,加害者側に自身の個人情報を教えることになるため,恐怖感や事後的に話がもめてしまった場合を懸念して,連絡先を教えることに躊躇するためです。
このような場合に弁護士が間に入ると,状況は大きく変わります。
弁護士が間に入って示談交渉を行う場合,被害者の方は弁護士にのみ連絡先を教えることもできるため,加害者側に連絡先を教えずに済みます。
それゆえ,弁護士であれば連絡先を伝えてもよいと考える被害者の方も少なくありません。
このように,弁護士に依頼をして警察・検察を通じて被害者の方に連絡をとる場合,当事者単独で行うよりも示談成立の途を広げることが可能になります。
繰り返しになりますが,在宅事件であっても,弁護士に依頼をするかどうかで示談交渉等の成否が大きく左右され,その後の処分にも影響を及ぼします。
在宅事件弁護士に依頼をしようかお悩みの方は,初回無料の法律相談により,相談者の方のお悩みにお応えします。

刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(宮城県白石警察署への初回接見:41,120円)

ネット上での名誉毀損

2019-03-19

ネット上での名誉毀損

宮城県亘理町の会社に勤務するAさんは、以前から同僚のVさんとそりがあわないと感じていました。
Vさんを困らせてやろうと考えたAさんは、Vさんの顔写真と個人情報とともにインターネットの掲示板に「拡散希望。(同僚の名前)が会社の金を横領している。」等といったVさんの社会的信用を失墜させるような書き込みを複数回行いました。
Vさんが名誉毀損罪宮城県亘理警察署に告訴したと社内の噂で聞いたAさんは、宮城県内で刑事事件を専門とする弁護士無料法律相談しました。
(フィクションです。)

~名誉毀損罪~

名誉毀損罪という罪名を聞いたことのある方は多いと思います。
刑法第230条第1項には、「公然と事実を適示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万以下の罰金に処する」と、名誉毀損罪が規定されています。 

「公然と事実を摘示」するとは、不特定又は多数人がその事実を認識しうる状態、もしくは、伝播して不特定多数の者が認識する可能性がある状態(=「公然と」)で、人の社会的評価を害するに足りる事実を告げる(=「摘示」する)ことをいいます。
摘示された事実の真偽は問わず、人の社会的評価を低下させるような具体的事実であれば足ります。
つまり、真実かどうか、周りに知られているものなのかどうか、現在のものなのか過去のものなのかは問われないということです。
「摘示」の方法について制限は特にないため、インターネットの掲示板に「拡散希望」などとつけて書き込む方法でも、人の多く集まる駅前で、拡声器を用いて大声で叫んで回るといった方法でも、「摘示」したと認められることになります。
また、「名誉を毀損」するとは、社会的評価(=「名誉」)を害するおそれがある状態を発生させればたりるとされています(大判昭13.2.28)。

上記の事案では、Aさんは、同僚Vさんのイメージを落とすような情報(=「事実」)を、多数人が閲覧する可能性のあるインターネットの掲示板に複数回書き込んでいます。
Aさんが書き込んだインターネットの掲示板が、誰でも閲覧可能な掲示板であれば、「事実」を「公然と」「摘示」したと言える可能性が高いでしょう。
Aさんの「摘示」した「事実」は、Vさんのイメージを低下させる具体的な事実であったので、Vの社会的評価を害するおそれのある状態を起こしているといえます。
つまり「名誉」を「毀損」したと言える可能性が高く、したがってAさんには名誉毀損罪が成立すると考えられます。
(なお、たとえVさんの名誉が実際に侵害されていなくとも、「毀損した」にあたり、名誉毀損罪となります。)

~ネット上の名誉毀損罪~

近年、ネット上での個人に対する誹謗中傷が社会問題化しており、警察には多数の相談が寄せられているそうです。

警察庁サイバー犯罪対策プロジェクトの『平成30年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について[H30.9.20掲載]』によると、
平成27年には10,398件、平成28年には11,136件、平成29年には11,749件の名誉毀損・誹謗中傷等に関する相談が寄せられているそうです。
実際に警察へあった名誉毀損・誹謗中傷等に関する相談事例として、 「掲示板サイトに個人情報を掲載されるとともに誹謗中傷する内容を書き込まれた。」という事例が掲載されています。

インターネットの書き込みは基本的に匿名であるため、普段よりも攻撃的になってしまう場合があります。
深く考えずにインターネット上に人の悪口にあたる内容の書き込みをした結果、被害者が名誉毀損罪で警察に相談に行き捜査が開始されたといった方もいらっしゃるので、インターネットに書き込む前に、自身が書き込もうとしている内容をよく考える必要があるでしょう。

名誉毀損罪は、親告罪といって、被害者やその代理人などによる告訴がなければ、検察官が起訴することができません。
そのため、弁護活動としては、告訴がまだされていない場合には、被害者に謝罪と被害弁償を尽くして告訴をしないと約束してもらうことを目指します。
すでに告訴されている場合は、告訴を取り下げてもらうことを目指して弁護活動が行われることになります。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は、被害者との示談交渉や謝罪対応のための交渉を粘り強く行います。
名誉毀損罪などの親告罪で告訴された、または告訴されそうでお困りの方は、まずは無料法律相談をご利用ください。
(宮城県亘理警察署への初回接見費用:41,500円)

殺人未遂の少年事件で逆送回避

2019-03-12

殺人未遂の少年事件で逆送回避

宮城県石巻市に住む少年A(15歳)は、別の中学校に通う不良グループと諍いになり、Aはそのうちの1人少年Vを公園に呼び出した。
呼び出したVから侮蔑するような言動をされたと感じたAはカッとなり、持っていたカッターナイフでVの腹や腕、顔を数回切り付け、Vに加療約3週間の怪我を負わせた。
Aは、殺人未遂罪の容疑で宮城県石巻警察署に逮捕された。
殺人未遂罪の容疑でAが逮捕されたと聞いたA君の両親は、少年事件刑事事件専門の弁護士に相談することにした。
(フィクションです。)

~殺人未遂罪~

殺人未遂罪(刑法203条、199条)は、殺人の実行行為をしたが、殺害の結果が生じなかった場合に成立する犯罪です。
殺人の実行行為とは、「殺意を持って、人が死亡する危険性がある行為をすること」です。
つまり、殺人未遂罪となるのは、人を殺害しようとして、人を殺害する危険性のある行為をしたにもかかわらず、人を死に至らせなかった場合です。

~逆送~

少年事件では、通常の成人の刑事事件とは違い、全件家裁送致主義が採用され、全ての少年事件が家庭裁判所に送致されます。
もっとも、今回のような少年による殺人未遂事件の場合、逆送されることがあります。
逆送とは,家庭裁判所が送致された少年を調査した結果、保護処分ではなく刑事処分を科すことが相当であるとして検察に送致する決定を行います。
これが検察官送致決定であり,通常,「逆送」といわれています。
逆送された場合、成人と同じ刑事裁判を受け、刑事罰を受けるかどうか判断されることになります。  
刑事裁判を受ける、刑事罰を受けるか判断されるということは、少年にとっては負担が大きいものです。

逆送には,(1)年齢超過を理由とする場合と,(2)刑事処分相当を理由とする場合の2種類があります。

~刑事処分相当を理由とする場合の逆送~

家庭裁判所は,死刑,懲役または禁固に当たる罪の事件について,調査の結果,その罪質及び情状に照らして刑事処分相当と認めるときは,事件を検察官に送致を決定しなければならないとされています(少年法20条)
この逆送は,刑事処分相当逆送と呼ばれています。
また、「16歳以上の少年の殺人事件」は原則として逆送されることになっています。

少年が殺人未遂事件のような重大な少年事件を起こしたような場合、審判において不処分や保護観察とされるのは珍しく、少年院送致や逆送等の決定になることが多いと言えます。

刑事処分相当を理由とする逆送を防ぐためには,裁判官に対して,刑事処分が相当ではないことを主張する必要があります。
「刑事処分が相当である」場合には,保護処分によっては少年の矯正改善の見込みがない場合「保護不能」のほか,事案の性質,社会感情,被害感情等から,保護処分に付すことが社会的に許容されない場合「保護不適」が含まれます。

逆送を防ぐためには,保護不能ではない、つまり当該少年は保護処分により更生できることを主張すること、保護不適ではない、つまり、事案の性質,社会感情,被害感情等から,保護処分に付すことが社会的にも許容されるということを,具体的な事情に即して主張すること必要になります。

たとえば、意見書を作成して調査官等と面談し、少年の更生可能性等を主張し保護処分が相当である旨の弁護活動を行うことが考えられます。
少年を取り巻く環境の調整や、被害者家族に対する示談など少年の真摯な反省を示す有利な証拠を家庭裁判所に提出することも考えられます。

逆送の可能性が考えられる重大な少年事件では、少年事件に精通した弁護士のサポートや力が少年の処遇を左右するでしょう。
お子様が殺人未遂罪の容疑で逮捕されたご家族は、少年事件刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご用命ください。
初回接見サービスは、フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
(宮城県石巻警察署までの初回接見費用 43,200円)

傷害致死罪の執行猶予

2019-03-06

傷害致死罪の執行猶予

仙台市太白区に住むAさんは、居酒屋で友人とお酒を飲んでいたところ、隣席の酔払いのサラリーマンVさんと口論になった末、Vさんの顔面を殴りつけました。
Vさんは転倒して店内の床に頭を強打し、その翌日に出血性ショックによって死亡してしまいました。
Aさんは、店主の通報で駆け付けた宮城県仙台南警察署の警察官に傷害罪で現行犯逮捕されましたが、その後、罪名が傷害致死罪に切り替わって勾留されました。
Aさんの家族は、執行猶予を獲得したいと考えて、刑事事件専門の弁護士を探しています。
(フィクションです。)

~傷害致死罪~

人を死亡させてしまった場合、成立する犯罪の候補はいくつかあります。
例えば、今回のAさんのような傷害致死罪、殺人罪、過失致死罪、保護責任者遺棄致死罪といった犯罪があげられます。
いずれの犯罪が成立するのかは、行為態様や故意の有無によります。

人を暴行して傷害した結果、人を死亡させたら傷害致死罪となります。

【傷害致死罪】
刑法第205条
身体を傷害し,よって人を死亡させた者は,3年以上の有期懲役に処する。

人が死亡するという結果は、殺人罪と傷害致死罪で同じです。
この二つの犯罪の違いは、人を殺害する故意があったかどうかです。
殺人罪に「人を殺す故意」(=殺意)が必要とされているのに対して、傷害致死罪の成立には「暴行の故意」で足りるとされています。
ただし、「死ぬかもしれない。」という認識があって暴行していれば、結果を容認したとして未必の故意が認められて殺人罪となる場合もあるので注意が必要です。
人を殺害する故意は無く、ただ、人に暴行又は傷害の故意がありその結果死亡させてしまった場合には傷害致死罪となります。

傷害致死罪で逮捕・勾留された場合でも、のちに殺人罪に切り替えられて起訴されることがあるため、ご家族、ご友人が傷害致死罪で勾留されている場合は、できるだけ早く弁護士に依頼して対応を検討することが望ましいでしょう。

~傷害致死罪で執行猶予を目指す~

傷害致死罪は、人の死という結果の重大性、法定刑が「3年以上の有期懲役」とされる重い罪であることから、初犯であっても起訴されて刑務所に服役する可能性が高い犯罪と言えます。

事実内容を認めている傷害致死事件で公判が開かれた場合、情状を主張して執行猶予付判決を目指していくことが考えられます。
公判で被告人に有利に考慮される要素としては、
・犯行態様が悪質でない
・同情すべき事情がある
・計画的でなく偶発的犯行である
・被害者側に落ち度がある
等が挙げられます。
どのような事情をどのように主張すべきかは、個々の事案によって異なります。

~裁判員裁判~

傷害致死罪で起訴されて正式裁判となった場合、検察官と裁判官、弁護士が関わる通常の裁判ではなく、裁判員も参加する「裁判員裁判」となります。
裁判員裁判とは、平成21年から始まった刑事裁判の制度で、ある一定の重い罪の刑事裁判においては、裁判所によって無作為に選出された国民が、裁判に参加し、裁判官と共に被告人の処分を決定する裁判のことです。

重大犯罪が対象となる裁判員裁判では、捜査機関が作成している報告書や調書などといった証拠や資料が大量に存在します。
そのため、弁護士には、膨大な証拠を精査して取捨選択するための知識と経験が必要となります。
加えて、裁判員裁判においては、法的な知識を有しない裁判員に対して、効果的に主張をアピールするための法廷技術等も必要となります。
裁判員裁判の弁護活動は、刑事事件に精通した弁護士に依頼することがお勧めです。

傷害致死罪執行猶予を獲得したい、裁判員裁判の経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼したいという場合は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご用命ください。
まずは無料法律相談または初回接見サービスをご利用ください。
(宮城県仙台南警察署への初回接見費用:34,600円)

公務執行妨害罪で現行犯逮捕

2019-02-28

公務執行妨害罪で現行犯逮捕

30代男性Aさんは職場に向かおうと仙台市青葉区内を歩いていたところ、宮城県仙台中央警察署の警察官から職務質問を受けました。
出勤が遅れることを心配したAさんは、渋々応じて、手短に済ませてほしいと警察官に頼んだところ警察官も「時間はとらせない」と言いました。
しかし、Aさんに前科があることが判明すると、警察官の態度が変わり、鞄の中なども調べさせてほしいと言い出しました。
仕事に遅れそうでイライラしていたAさんは、「時間は取らせないと言ったのに、約束と違うじゃないか」等と警察官に怒鳴り、無理やり警察官を突き飛ばして去っていこうとして警察官を転倒させました。
この行為が暴行と捉えられ、その場でAさんは公務執行妨害罪の疑いで現行犯逮捕され、宮城県仙台中央警察署に引致されてしまいました。
逮捕の知らせを受けたAさんの妻は、刑事事件に強い弁護士初回接見を依頼して事件の詳細を聞くことにしました。

~公務執行妨害罪~

公務執行妨害罪は「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者」(刑法95条1項)に成立します。
警察官などの公務員に対して、その職務を行わせないように妨害しようとする行為などに対して成立します。
職務質問の際に、警察官に手を出してしまったなど、ひょんなことから公務執行妨害事件が発生することはよくあります。
公務員の職務を実際に妨害せずとも、暴行脅迫が行われて「妨害されそう」という危険があれば、公務執行妨害罪は成立すると解釈されているため、①職務中の公務員に対して②暴行又は脅迫を加えた場合にはおおよそ成立してしまいます。

公務執行妨害罪を定めた刑法95条1項には、「暴行」という言葉が出てきていますが、刑法の条文に出てくる「暴行」とは犯罪によって定義が異なります。

「暴行」というと、暴行罪(208条)が思い当たる方が多いと思います。
暴行罪にいう「暴行」とは、人の身体に対する有形力の行使を指します。
他に、「暴行」を成立要件の一つとしている犯罪には、強盗罪や強制性交等罪があります。
強盗罪や強制性交等罪にいう「暴行」とは、人の反抗を抑圧する程度のものである必要があります。
これに対して、公務執行妨害罪における「暴行」はかなり広く認められます。
公務員たる人に対する物理力の行使であれば足りるとされており、直接身体に向けられている必要すらないとされています。
最高裁判所の判例では、パトカーに石を投げるという行為が「暴行」に当たるとされて、公務執行妨害罪となった事例があります。
事例のAさんの場合、巡回している職務中の警察官に対して、突き飛ばすという暴行をはたらいているため、公務執行妨害罪となる可能性が高いです。

上記事例では、Aさんが職務質問中の警察官に対し、無理やり警察官を突き飛ばして去っていこうとして警察官を転倒させるという暴行を加えています。
このような行為は公務執行妨害罪に当たると考えられ、Aさんは「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」という法定刑で処罰を受ける恐れがあります。
上記事例のように、公務執行妨害罪は警察官の目前で行われるケースが非常によく見られます。
そのため、現行犯逮捕が比較的多いという特徴を備えています。

~逮捕の種類~

逮捕には、通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3種類があります。
(1)通常逮捕
事前に発布された逮捕状を示されたうえで逮捕される方式です。
逮捕状は、警察官等が、事前に裁判官に資料を送り、資料を見た裁判官が逮捕しても構わないと考えた場合に発布されます。
逮捕をされる際には、逮捕状を見せられて、逮捕されることとなります。

(2)現行犯逮捕
逮捕状なく、その場で逮捕される場合を指します。
現行犯人とは、現に罪を行っている者、または罪を行い終わった者です(刑事訴訟法212条1項)。
現行犯人については、逮捕状によらずに誰でも逮捕をすることができます。
逮捕状なく逮捕ができると考えられている理由は、犯罪を行って間もなくに逮捕するので、逮捕される人物が犯人であることに間違いがなく、また、罪を犯したことも明白であるからと考えられています。

(3)緊急逮捕
緊急逮捕とは、重大事件で、逮捕状を取りに行く時間的余裕がない場合に、後で逮捕状の発布を求めることを条件として、まずは被疑者を逮捕する場合の逮捕手続きです。
緊急逮捕をした場合には、事後的に裁判官が本当に逮捕してよかったのかの判断をします。

現行犯逮捕された場合、家族を含む周囲の方は何が起こったのか分からないことが殆どです。
ご家族としては、逮捕後すぐにでも本人に面会に行って事件について知りたいと考えると思いますが、逮捕段階ではご家族の面会ができません。
そうした状況下で早期に事件の内容と流れを把握する手段として、弁護士による初回接見が挙げられます。
弁護士であれば、逮捕中の被疑者と詳細に事件の話をできるうえ、直接聞いた話をもとに事件の見通しをお話しすることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、24時間初回接見の受付をしています。
公務執行妨害罪で周囲の方が逮捕されたら、ぜひ早いうちから弊所の弁護士に初回接見をご依頼下さい。
(宮城県仙台中央警察署への初回接見費用:34,100円)

傷害罪の少年事件

2019-02-22

傷害罪の少年事件

宮城県柴田町の15歳中学生A君は、同じ中学校に通うVさんと喧嘩になり、Vさんに対して殴る蹴る等の暴行をして全治2か月の傷害を負わせる傷害事件を起こしました。 
激怒したVさんの両親が、宮城県柴田町を管轄する宮城県大河原警察署に被害届を出したことから、後日A君は、傷害罪の疑いで逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~傷害罪~

傷害罪は、刑法204条に規定されている罪で、「人の身体を傷害した」場合に成立します。
「傷害」とは、人の生理的機能に障害を生じさせたことを意味します。
たとえば、骨折や切り傷・打撲等の怪我を負わせた場合には、生理的機能への障害が生じたといえます。
なお、判例・通説によると、暴行によって結果的に怪我を負わせてしまったケースでは、他人に怪我を負わせるつもりがなくても傷害罪が成立します。
暴行の意図があれば、傷害の意図(けがをさせるという認識)は不要とされているため、結果的にけがをさせてしまった場合でも傷害罪が成立します。
例えば、怪我をさせるつもりはなかったが殴って骨を折ってしまったというケースでは、骨を折ってやろう(けがをさせてやろう)という意図はありませんが、殴るという暴行については意図的に行っている(=暴行の意図がある)ものといえます。

傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められています。
この法定刑は成人に適用されるものです。
今回のAさんは15歳であり、20歳未満ですから、少年法の定める「少年」にあたり、原則的には、懲役や罰金といった刑事処罰を受けることにはなりません。
逮捕又は捜査対象とされた方が「少年」である場合には、原則的に少年法が適用され成人の刑事事件とは異なる手続きで処分が決まります。
少年事件は、少年の保護・改善のために特別な制度となっている部分も多くあります。

~少年事件の目的と少年の更生~

少年法は、少年の更生を目的とした法律であり、少年法1条には次のようなことが書かれています。
「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う・・・ことを目的とする」
少年法では、非行のある少年に対して、成人のように刑罰ではなく、健全な成長・発達を促す働きかけが必要であるという考え方をとっています。
成人の刑事事件では、行った行為に対する制裁を主たる目的にしていますが、他方、少年事件の目的は、少年が再非行をしないようにするためにはどうすればよいのかという点になります。

そのため、少年事件において、保護処分を決める裁判官がもっとも重視するのは、少年の更生の未来が描けるか、ということになります。
少年の反省が見られ、再非行をする可能性がほとんど考えられないといったような場合には、家庭裁判所から処分をしないという「不処分」という決定を言い渡されることがあります。
このまま放置すれば再非行をするおそれが高いと判断された場合には、「少年院送致」(少年に矯正教育を授ける施設に収容する)という重い処分を受けることになります。

もちろん処分を決めるにあたって事件自体の重大性は考慮されますが、比較的法定刑の軽い罪の事件でも、素行や性格、環境などから、社会内での処遇では更生が望めず再非行の可能性が高いと判断されれば、少年院送致といった厳しい処分が下されることもあります。

少年事件では、少年に反省を促し、今回の問題点はどんなところにあったのか、再び同じような事を繰り返さないためにはどうすればよいのかを、早期の段階から考えることが大切です。
少年の保護者で少年を監督する立場であるご両親も、本人とともに今後どうすることが本人の更生や未来のためになるのかを考えることが大切です。
少年の今後の更生や成長の手助けとなるようにサポートと環境整備をするためのお手伝いをできるのが弁護士です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は、少年にとって最善の解決となるよう尽力致します。

中学生のお子様が傷害事件を起こしてしまい警察に逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご用命ください。
少年事件に強い弁護士のご相談は0120-631-881にお電話ください。
初回法律相談:無料
宮城県大河原警察署までの初回接見費用:41,600円

ネットへの投稿で脅迫罪

2019-02-15

ネットへの投稿で脅迫罪

30代男性Aさんは、会社の元同僚Vさんに対して、SNSアプリ上で、Vさんの名を挙げて「殺すぞ」等と複数回にわたり脅す文句を投稿しました。
投稿を目にしたVさんは怖がらなかったものの不快に思って、宮城県鳴子警察署被害届を提出しました。
その結果、Aさんは脅迫罪の疑いで宮城県鳴子警察署逮捕されました。
Aさんの家族はネット上で起きた刑事事件に強い弁護士にAさんの刑事弁護を依頼したいと思い、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部の初回接見サービスを利用しました。
(フィクションです。)

~インターネット上の投稿でも脅迫罪になる~

インターネット上で、他人に対して脅すような言葉を書き込むと、「脅迫罪」が成立する可能性があります。
近年は、掲示板やメール、ツイッター、LINEなどのSNSが発達し、ネット上で脅迫行為が行いやすい環境になっています。

~脅迫罪~

脅迫罪とは、対象者本人やその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に害悪を加えることを告知して、脅した場合に成立する犯罪です(刑法222条)。

脅迫罪 刑法222条
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

条文からわかる通り、脅迫の対象が生命・身体・自由・名誉・財産の5つに限定されています。

害悪の告知方法については、その手段・方法には特に制限はもうけられていません。
口頭、文書、態度などいずれの場合でも成立します。
直接言葉で告げた場合や脅迫文などの手紙を送付した場合に限らず、ネットを使った方法でも成立しえます。
例えば、自分や相手のSNSやブログへの投稿、掲示板への投稿、LINEやメールでの送信なども、相手を畏怖させるに足りるものであれば、「告知」にあたります。

加えて、自分のSNSやブログ、ネット掲示板などのように、相手に直接送られたものではなくても、相手を畏怖させるような投稿をした場合は脅迫罪が成立する可能性があります。

今回の事例では、投稿を目にしたVさんは、怖がらなかったものの不快に思って被害届を提出しています。
相手を脅そうと思ってメッセージを送ったものの相手が怖がらなかった場合でも、脅迫罪は成立するのでしょうか。

結論から言うと、脅迫罪の成立には、実際に恐怖心が起きたかどうかは関係がないとされています。
脅迫にあたるかどうかは、告知の内容、相手方の性別、年齢、周囲の状況等を考慮して決定すべきとされており、一般的客観的に判断されるため、相手方が害悪の告知を受けて実際に畏怖しなくても構いません。
つまり、相手が「怖い」と思わなくても、普通なら恐怖心を感じると言えるような内容であれば、脅迫罪になってしまいます。
事例のように、「殺す」と言われたら恐怖心を感じることがほとんどでしょうから、脅迫罪が成立する可能性が高いです。

なお、ネット上では、「殺す」という発言が気軽に使われてしまいがちですが、気軽に使われやすいからといって脅迫罪にならないというわけではありません。
ネット上でのやりとりの場合、口頭で言われた場合と比べて、口調や文脈、状況などから発言した人の真意を窺い知ることは難しいです。
「殺す」と言われた人が文字通りの意味で捉える可能性があることは、「殺す」と発言した人も想定し得るでしょう。
そのため、ネット上での「殺す」という発言でも脅迫罪が成立しえます。

~ネット上の脅迫で刑事事件に発展する可能性~

文面によらない脅迫罪の場合は、証拠が残らないケースが多いため、刑事事件にまで発展することは多くありません。
しかし、ネット上での脅迫行為の場合、投稿や送信した文面が記録(証拠)として残りますので、被害届も受理されやすい傾向があります。

ネット上での脅迫事件の場合、文面を消去してしまう方もいらっしゃいますが、消去されていても捜査機関はある程度復元できるそうです。
むしろ、消去などの証拠隠滅行為は、捜査機関や裁判官の心証に悪い影響を及ぼし、逮捕の可能性を高めてしまいかねません。
証拠隠滅行為は行わずに、早めに刑事事件専門の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脅迫罪でトラブルになっている方の無料法律相談を常時受け付けています。
まずはフリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
初回法律相談:無料

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら