自転車で歩行者と接触しケンカ

自転車で歩行者と接触しケンカ

宮城県大河原町に住むAさんは、歩道を自転車で走行していました。
すると前方に、Aさんと同じ方角に向かって歩いているBさんの背中が見えてきました。
「邪魔だな…ちょっと狭いけどすり抜けてしまおう」と考えたAさん。
Bさんの横をすり抜けようとしましたが、案の定、Bさんに接触。
Bさんは転倒して左手を骨折してしまいました。
ぶつかられたことに腹を立てたBさんは、痛みも忘れて、「あぶねえだろ!」とAさんを怒鳴りつけました。
するとAさんは、「チンタラ歩いて邪魔なんだよ!」と言い返してしまいました。
さらに腹を立てたBさんは、Aさんの顔面を右手で一発殴り、出血や打撲の傷害を負わせました。
AさんとBさんはそれぞれどのような罪に問われるでしょうか。
(フィクションです)

~自転車のAさんの罪~

まず、自転車で歩行者をケガさせてしまったAさんは、過失傷害罪重過失傷害罪に問われる可能性があります。

刑法
第209条1項(過失傷害)
過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
第211条(業務上過失致死傷罪・重過失致死傷罪)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

過失傷害罪にとどまるのか、過失の程度が甚だしいとして重過失傷害罪になるかの判別は難しいところです。
ポイントとしては、たとえば接触して傷害を負わせることになることが容易に予測できたか否かが挙げられるでしょう。

また、これとは別に、道路交通法にも違反する可能性があります。
例えば、
①自転車が通行できない歩道を通行していた場合、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金(17条1項、119条1項2の2号参照)、
②自転車が通行できる歩道であっても、徐行や一時停止等をしなかったとして、二万円以下の罰金又は科料(63条の4、121条1項5号参照)、
となる可能性があります。

なお、②自転車が歩道を通行できるのは、道路標識等で通行可能とされている場合、運転者が13歳未満もしくは70歳以上、身体障害者である場合、安全確保のためやむを得ない場合となっています(63条の4第1項、道路交通法施行令26条参照)。

~殴ったBさんの罪~

Bさんは事故の被害者であり、Aさんの態度が悪かったという事情もありますが、殴ってはいけませんでした。
当然ながら傷害罪が成立すると考えられます。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

もちろん、Aが殴りかかってくるような状況でなければ正当防衛(刑法第36条1項)も成立しません。
正当防衛は、暴行などの侵害が現に存在するか、少なくとも間近に差し迫っていることが要件の一つだと考えられているからです。

~刑事手続~

犯罪をした場合、逮捕勾留といった身体拘束がされることがあります。

ただ、自転車のAさんは、あくまでわざとではなく過失により傷害を負わせてしまったにとどまることから、身体拘束されず在宅のまま捜査される可能性も高いでしょう。
その後、軽微な事件だとして不起訴(起訴猶予)となり刑事裁判を受けずに済めば、罰則を受けなくて済みますし、前科も付きません。
起訴されても罰金刑にとどまる可能性も高いでしょう。

一方、Bさんはわざと殴ってけがをさせていることから、Aさんよりも重い処分となる可能性もあります。
もちろん、事故の被害者であること、Aさんの態度が悪かったことなどを考慮し、Aさんと同じような軽い処分となる可能性もあります。

~弁護士にご相談ください~

このように、犯行の内容の違いの他、前科があるか否かといったことにより、その後の流れが変わってくることになります。

身体拘束されなければ仕事や学校に通い続けることができますし、前科が付くか否かは就職活動や国家資格の取得の可否に関わるなど、その後の人生に大きく影響してきます。

弁護士であれば、事件の見通しをお示ししたり、取調べを受ける際のアドバイスをしたり、軽い処分で済むよう弁護活動をすることができるので、まずは一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事弁護を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
刑法や道路交通法違反で捜査を受けたら、ぜひ0120-631-881までご連絡ください。
(大河原警察署までの初回接見費用:41,600円)

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