Archive for the ‘少年事件’ Category

高校生が特殊詐欺事件の受け子で逮捕 少年院を回避できるか!?

2023-04-18

特殊詐欺事件の受け子で逮捕された高校生の少年院を回避できるかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

事件内容

高校生のA君(17歳)は、春休みを利用して、SNSで知り合った人に紹介された闇バイトに参加しました。
指示されたアルバイトの内容は、スーツを着て、柴田郡大河原町にある独居老人の自宅に行き、住民の老人からキャッシュカードを受け取って来るといった簡単なもので、実際に、簡単にキャッシュカードを受け取ることができました。
そして最寄りの駅までタクシーで移動しようと幹線道路でタクシーを待っていたところ、偶然通りかかった宮城県大河原警察署の警察官に職務質問され、所持品から老人のキャッシュカードが見つかり、警察署に任意同行された後に逮捕されました。
職務質問した警察官は、まだ若いA君がビジネススーツを着ていたことに違和感を感じて職務質問したようです。
(実話をもとにしたフィクションです。)
 

特殊詐欺事件に高校生が関与

全国的に、特殊詐欺事件に関与したとして少年が逮捕されるケースが増加しているようです。
大学生や高校生はもちろんのこと、中学生も受け子として特殊詐欺事件に加担しているケースも見受けられます。
こういった特殊詐欺事件に関与してしまう若年層のほとんどが、SNSで応募していた闇バイトに応募したことがきっかけになっており、逮捕された少年らは「犯罪だと気付きながらも、逮捕されるリスクよりも、簡単に大金を得れるという目先の利益を優先し、その後のことを考えられなかった。」ようです。
ちなみに、特殊詐欺事件に関与したとして警察に逮捕される場合、適用されるのは詐欺罪窃盗罪です。
詐欺罪が適用された場合、成人の場合、起訴後に有罪判決を有罪判決を受けると「10年以下の懲役」が科せられます。(刑法246条1項)
複数の事件に関与していた場合は、実刑が科せられ刑務所に服役する例も珍しくありませんが、少年事件の場合には、こういった刑事罰が適用されることはなく、その代わりに少年院に入所する可能性があります。

少年院を回避する弁護活動

特殊詐欺事件の受け子で逮捕され、少年院を回避する弁護活動としては

  • 少年自身が反省し、その反省の意を弁護士から家庭裁判所に主張する
  • 弁護士が関係各所に働きかけ、更生に向けた環境を構築する
  • 事件によっては被害者と示談交渉を行う

等の弁護活動が代表的な弁護活動として挙げられます。
いずれの場合にも、少年本人の反省と今後の在り方が非常に重要になります。
反省している様子や言動が見受けられれば、その点を弁護士から家庭裁判所の調査官や裁判官に強く主張し、少年院を回避する可能性も出てきます。
ですので、未成年が詐欺の受け子で逮捕された場合には早期に弁護士に相談し、事件対応に当たってもらうことをお勧めします。

少年事件に強い宮城県の弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件、少年事件を専門に扱っている法律事務所で、仙台市内に事務所(仙台支部)がございます。
宮城県内の少年事件でお困りの方、宮城県内の警察署にお子様が逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部の、無料法律相談や、初回接見サービスをご利用ください。

仙台市の事後強盗事件で逮捕された少年の私選付添人

2023-03-29

仙台市の事後強盗事件で逮捕された少年の私選付添人について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

仙台市在住のAさん(15歳少年)は、無人の民家に空き巣に入ったところを、たまたま家に戻ってきた住人に見つかり、住人に追いかけられました。
Aさんは、住人の追跡から逃れるために、追いかけてきた住人に暴力を振るいました。
その後Aさんは、事後強盗罪の容疑で、宮城県若林警察署によって逮捕されました。
そして家庭裁判所に送致後、Aさんには国選付添人が付されることになりましたが、その国選付添人は、あまり接見に来てくれず、少年弁護についての熱意が感じられません。
不安に思ったAさんの両親は、刑事事件・少年事件に強い弁護士に事件のことを相談して、私選付添人への切り替えを検討することにしました。
(フィクションです)

国選付添人と私選付添人

少年が事件を起こして逮捕され、家庭裁判所による少年審判が開かれることになった場合には、少年の弁護のために、弁護士を「付添人」として付けることが認められています。
また、以下のいずれかの要件を満たす場合には、家庭裁判所が「国選付添人」として弁護士を付すことがあります。

  • 検察官の関与決定があったときに、少年に弁護士である付添人がないとき。
  • 死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪であり、かつ、少年に弁護士である付添人がないとき。

付添人たる弁護士には、少年の意見を代弁し、少年の正当な権利・利益を守るという役割が期待されます。
しかし、国選付添人は弁護士の中から無作為に指名される制度であるため、場合によっては、少年事件に詳しくない弁護士が国選付添人に選ばれ、十分な少年弁護が受けられないケースも想定されるところです。

少年事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部の弁護士は、少年の「私選付添人」としてご依頼いただければ、刑事事件・少年事件の経験豊かな弁護士による、きめ細やかで充実した少年弁護に、熱意を持って尽力いたします。
具体的には、少年審判が開かれないようにする、または少年審判で不処分や少年院送致以外の保護処分を得るために、弁護士の方から、少年に非行事実が存在しないことや、非行事実が軽微で少年の性格や周囲の環境に照らして更生の余地があること等を主張し、少年審判を行う家庭裁判所に対して働きかけを行っていきます。


少年による事後強盗事件でお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。

少年事件における弁護士の活動 付添人活動と環境調整

2023-03-16

少年事件における弁護士の活動、付添人活動と環境調整について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

少年事件は、警察、検察庁の捜査を終えると、家庭裁判所に送致され、その後は成人の刑事手続きとは異なる流れとなります。
成人であれば、起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内での刑事処分が言い渡されますが、少年の場合は、この法定刑は適用されません。
事件捜査を終えると、検察庁から家庭裁判所に送致されて、家庭裁判所での少年審判によって、処分が決定するのですが、その手続きの中で弁護士がどういった活動を行うのかについて、ご紹介します。

環境調整

環境調整とは、少年を取り巻く人的および物的条件、周辺環境を、少年の立ち直りと今後の成長に資するよう調整し、「要保護性」を解消することを目的とする活動をいいます。
ここでいう「要保護性」は、少年の処分が決定する少年審判の審理の対象となる非常に重要なものです。

少年の処分が決定する少年審判では、主に「非行事実」「要保護性」の2つが審理されます。
犯罪行為の軽重がストレートに量刑に影響する成人の刑事事件とは異なり、少年事件では、非行事実自体が軽微なものであっても、要保護性が高いと判断された場合には、少年院送致等の身体拘束を伴う処遇が選択されることもあります。
他方、非行事実が重い犯罪に該当するものであっても、要保護性が解消され、社会内での更生を図ることが少年の健全育成のために望ましいと判断された場合には、社会内処遇が選択されることもあるのです。
ですので、少年事件においては、環境調整は非常に重要な活動であり、環境調整は少年事件の付添人に期待されるもっとも大きな役割の1つだとも言えます。

主な付添人活動(環境調整)

①少年本人への働きかけ
少年の心が、事件と向き合い、自身の更生に向けて前に進む準備が整っていなければ、家庭や学校、職場、交友関係等の外部環境の調整を行うことはできません。
まずは、少年自身が、事件についての内省を深め、被害者に対する謝罪の気持ちを持てるようにし、なぜ事件を起こしてしまったのか、再び事件を起こさないためにはどのように対処すればよいのか、自身が抱える問題点や解決策を自分なりに考えられるよう支援していきます。

②家庭環境の調整
少年にとって、家庭は一番身近な環境であり、少年に最も影響を与えるものです。
家庭の問題が非行の原因となっていることも少なくありません。
一件問題がなさそうなごく普通の家庭に見えても、非行の背景を探るにつれて、実は家庭の問題に行きつくことは多いのです。
付添人は、少年の保護者にもなぜ少年が非行を起こしてしまったのか、その原因を考えてもらい、今後の対応を一緒に話し合っていきます。
当事者である家族だからこそ、家庭内の問題に気づきにくいこともあり、付添人が間に入って、改めて家庭環境を見直す機会を持つことで、その問題に気づき、家族関係が修復されることもあります。
その中で、家庭にしっかりと少年の居場所を作り、家族間のコミュニケーションを活発にするよう少年や家族と一緒になって家庭の環境調整に取り組みます。

③学校環境の調整
少年が学校に通っている場合には、今後も少年が学校に通うことができるのか、学校が少年を受け入れて適切な指導をしてくれるかどうかは、少年の更生を考える上で重要です。
しかし、学校によっては、事件を起こして逮捕されたということにより退学とする場合もありますので、学校の状況や学校の先生との関係等を考慮し、適切なアプローチをすることになります。

④交友関係の調整
非行の背景に不良交友関係がある場合には、そうした関係をいかに解消するかが重要です。
大人からみれば不良交友関係であっても、少年からすれば、自身の居場所であると感じていることもあるので、単に交際関係を断つよう少年に求めることは逆効果になることもあります。
そのような場合には、付添人は、少年と一緒に非行の原因がなんであったのかを考え、少年が交際関係に問題があったことに気づくことで、問題解決に至るよう手助けをします。

少年事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、刑事事件と共に少年事件を専門に扱っている法律事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、少年の更生を最優先にした活動を推進している法律事務所ですので、少年事件にお困りの方は、お気軽にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、少年事件に関するご相談を 初回無料 で承っております。

少年による暴行事件② 仙台市若林区

2022-05-09

少年が家庭で暴力を振るい、少年事件となってしまった場合の責任と展開について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

仙台市若林区の少年による暴行事件

仙台市若林区県在住のAくん(12歳・男子)は、母親に帰りが遅いことを注意されたことに腹を立て、母親に対して手拳で殴打するなどの暴行を加えました。
近隣住民の通報により、宮城県若林警察署の調査が始まりました。
最終的に児童相談所に通告がいき、事件は家庭裁判所に送致されました。
Aくんの母は、どうしたら良いかわからず、刑事事件と少年事件を扱う法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです。)

本ブログは前編・後編に分かれております。前編はコチラ

前編では、14歳未満の少年が家庭裁判所で審判を受ける場合について解説致しました。
後編では、少年が事件を起こした場合の事件の流れについて解説致します。

 

少年事件の展開

家庭裁判所に事件が送致された場合、審判が開始され、保護観察少年院送致などの保護処分を行うか判断されます。
14歳未満の少年事件の場合、家庭裁判所の審判において、少年院送致が必要と認めらない限り、少年が少年院に送致されることはありません。(少年法24条1項3号)
しかし、家庭裁判所が審判において、少年院送致が必要であると決定した場合は、たとえ14歳未満の少年でも、少年院へ送致されることになります。
万が一、少年院送致されてしまった場合には、長期にわたって少年院で過ごすことになります。

少年への保護処分をするかどうかは、もっぱら家庭裁判所の判断になります。
しかし、弁護士は付添人という立場で、裁判所に少年に関する生育状況などを報告することができ、それを審判の判断材料にしてもらえる可能性があります。

また、少年事件では、警察に逮捕され、家庭裁判所の審判を受けた後、少年鑑別所に留置されることがあります。
少年鑑別所にいる期間は、学校にも行けず、少年にとっては、社会的にも精神的にも負担が大きいでしょう。
そこで、弁護士が付添人となることで、少年との面会をし、精神面でのケアをしたり、事件を起こしたことによる反省の促す活動が重要となります。
そして、少年の反省の態度を家庭裁判所に報告することで、家庭裁判所が処分を決定する際の判断材料にしてもらいます。

もし、お子様が事件を起こしてしまった場合は、少年事件を扱う法律事務所の弁護士に相談することをおすすめ致します。

子供が事件を起こしてしまった

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、成人の刑事事件だけでなく、少年による少年事件も取り扱っております。

「子供が事件を起こし、警察が自宅に来た」

「子供が逮捕されてしまった」

など、突然の事態でどうしたら良いのかわからない方は、すぐに弊所のご相談窓口へお電話ください。

もし、お子様が逮捕されていない場合(在宅事件)は、弊所の無料法律相談をご利用下さい。

弊所の無料法律相談では、弊所の弁護士が、事件を起こしてしまったと思われるお子様から直接お話をうかがいます。
そして、保護者の方へ事件の見通しや、弁護士としてどのようなな活動が出来るのかをご説明させていただきます。

もし、お子様が警察に逮捕されてしまった場合は、弊所の初回接見サービスをご利用下さい。

弊所の初回接見サービスでは、弊所の弁護士が、お子様が留置されている警察署へ面会(接見)に向かい、起こしてしまった事件の内容について、お話を伺います。
その後、ご家族様に事件の見通しなどをご報告致します。

お子様が事件を起こしてしまった、または、事件を起こしたと疑われ警察からの連絡を受けた場合は、フリーダイアル 0120-631-881 にお電話ください。

無料法律相談初回接見サービスのご予約は、24時間・年中無休で受付中です。

ご家族が逮捕されてしまった方は、すぐにお電話下さい。

少年による暴行事件① 仙台市若林区

2022-05-06

少年が家庭で暴力を振るい、少年事件となってしまった場合の責任と展開について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

仙台市若林区の少年による暴行事件

仙台市若林区県在住のAくん(12歳・男子)は、母親に帰りが遅いことを注意されたことに腹を立て、母親に対して手拳で殴打するなどの暴行を加えました。
近隣住民の通報により、宮城県若林警察署の調査が始まりました。
最終的に児童相談所に通告がいき、事件は家庭裁判所に送致されました。
Aくんの母は、どうしたら良いかわからず、刑事事件と少年事件を扱う法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです。)

本ブログは前編・後編に分かれております。後編はコチラ

少年が事件を起こしたら

そもそも、少年とは何歳までの子供を表す言葉なのでしょうか。

わが国の刑法では、責任年齢は14歳とされています。(刑法41条)

上記した仙台市若林区の事件例のAくんのように、12歳の少年には刑罰を加えることは出来ません。

そこで、14歳未満の少年が、犯罪が成立する用件を満たす犯罪行為を行い、児童相談所が送致した場合は、触法少年として、家庭裁判所にて審判を受けることになります(少年法3条1項2号、同2項)。

また、犯罪の構成要件に該当する行為が行われなくても、

 ① 保護者の正当な監督に服しない性癖がある
 ② 正当な理由なく家庭に寄り付かない
 ③ 犯罪性のある人・不道徳な人との交際やいかがわしい場所に出入りする
 ④ 自己または他人の徳性を害する行為をする性癖がある

といった事由があり、

 その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をする虞(おそれ)がある

場合には、虞犯少年(ぐ犯少年)として、同じく家庭裁判所にて審判を受けることになります(少年法3条1項3号)。

少年の事件と成人の事件を区別する理由は、少年の場合、判断能力が未熟であり、虐待や学校でのいじめなどの外的要因により、事件を起こす傾向が高いと考えられているからです。
そのため、児童相談所は、福祉的観点などの様々な事情を考慮し、その上で

 家庭裁判所の審判に付することが適当と認めるとき

に限って送致されます(児童福祉法27条1項4号)。

次回のブログでは、少年事件の展開について解説致します。

子供が事件を起こしてしまった

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、成人の刑事事件だけでなく、少年による少年事件も取り扱っております。

「子供が事件を起こし、警察が自宅に来た」

「子供が逮捕されてしまった」

など、突然の事態でどうしたら良いのかわからない方は、すぐに弊所のご相談窓口へお電話ください。

もし、お子様が逮捕されていない場合(在宅事件)は、弊所の無料法律相談をご利用下さい。

弊所の無料法律相談では、弊所の弁護士が、事件を起こしてしまったと思われるお子様から直接お話をうかがいます。
そして、保護者の方へ事件の見通しや、弁護士としてどのようなな活動が出来るのかをご説明させていただきます。

もし、お子様が警察に逮捕されてしまった場合は、弊所の初回接見サービスをご利用下さい。

弊所の初回接見サービスでは、弊所の弁護士が、お子様が留置されている警察署へ面会(接見)に向かい、起こしてしまった事件の内容について、お話を伺います。
その後、ご家族様に事件の見通しなどをご報告致します。

お子様が事件を起こしてしまった、または、事件を起こしたと疑われ警察からの連絡を受けた場合は、フリーダイアル 0120-631-881 にお電話ください。

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宮城県仙台市泉区の少年事件(後編)

2021-12-30

宮城県仙台市泉区の少年事件(後編)

宮城県仙台市泉区の少年事件(後編)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説致します。
この記事は,宮城県仙台市泉区の少年事件(前編)の続きとなります。

【少年法5条1項の例外はないのか】

もっとも、上記で説明した場合の例外が、少年法5条2項に定められています。

少年法 第5条2項

家庭裁判所は、保護の適正を期するため特に必要があると認めるときは、決定をもつて、事件を他の管轄家庭裁判所に移送することができる。

少年法5条2項は、現在少年事件が係属している家庭裁判所で調査・審判が行われるよりも、他の家庭裁判所で調査・審判が行われた方が適切である場合には、その他の家庭裁判所に少年事件を移す(移送する)ことを認める規定です。
この少年法5条2項は「保護の適正を期するため特に必要があると認めるとき」に適用されることになり、実際には、親と一緒に住んでいる少年の事件の場合には、親の住所を管轄する家庭裁判所に少年事件が移送されることが多いです。

これを少年事件例で説明すると、現在高校3年生で普段は神戸市内で両親と暮らしているAさんの調査・審判を、仮に仙台家庭裁判所が行うことになるとすると、神戸市に住むAさんやAさんの両親にとって負担が大きいです。
少年事件例においては、Aさんが普段両親と暮らしている神戸市を管轄とする神戸家庭裁判所に、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件を移送した方が適当であると言えるでしょう。
そのため、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件は、仙台家庭裁判所から神戸家庭裁判所へと移送される可能性が高いと言えます。

【少年事件が移送された場合に不都合はないのか】

少年事件例のように、仙台家庭裁判所から神戸家庭裁判所へと少年事件が移送された場合、同じ弁護士による法的な援助を受けることが難しくなるというデメリットが考えられます。
少年事件例では、仙台市の泉警察署に逮捕された時にAさんに対して法的なアドバイスをしてくれた弁護士がいた場合、その弁護士が神戸市まで出張して付き添ってくれるとは限りません。
従って、Aさんが仙台市の泉警察署で拘束されている段階では、仙台市の弁護士にAさんの強要児童ポルノ法違反事件の対応を依頼し、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件が神戸家庭裁判所に移送された段階では、別の神戸市の弁護士に改めてAさんの強要児童ポルノ法違反事件の対応を依頼する可能性が十分にありえます。
この場合、同じ弁護士による法的な援助を受けることが出来ず、少年の調査や審判において不利益になる危険性があります。
 
その点、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、そのようなデメリットを乗り越え、当初から一貫した方針で少年事件を対処することが可能であります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、札幌、仙台、千葉、東京(新宿・八王子)、埼玉、横浜、名古屋、京都、大阪、堺、神戸、福岡の全国12都市、計13か所に事務所を構える少年事件刑事事件専門の法律事務所です。
そして、弊所に在籍している弁護士は、少年事件刑事事件に精通している弁護士ばかりです。
そのため、少年事件例のように神戸市に住む高校生のお子さんが、仙台市の警察署に強要児童ポルノ法違反の疑いで逮捕されて連れて行かれたという場合でも、仙台市に在籍する弁護士と神戸市に在籍する弁護士が連携して、強要児童ポルノ法違反事件に対処することが可能になり、当初から一貫した方針で強要児童ポルノ法違反事件に対処することが可能であります。

高校生のお子さんが、いきなり現在の住所から遠く離れた仙台市の警察署に逮捕され、連れて行かれてしまってお困りの方は、いち早く、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部まで御相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
宮城県仙台市泉区の少年事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までお電話ください。

宮城県仙台市泉区の少年事件(前編)

2021-12-28

宮城県仙台市泉区の少年事件(前編)

宮城県仙台市泉区の少年事件(前編)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説致します。
この記事は,宮城県仙台市泉区の少年事件(前編)となります。

【少年事件例】

兵庫県神戸市内で両親と一緒に住んでいる高校3年生のAさん(17歳)は、SNS上で仲良くなった宮城県仙台市泉区在住の中学2年生のVさん(14歳)に対して、裸の画像を送ってもらうよう要求しました。
Aさんに好意を抱いていたVさんは、Aさんの求めに応じて自身の裸の写真をAさんに送りました。
これに味を占めたAさんは、もっと多くのVさんの裸の画像を要求しました。
Vさんは、これ以上の画像を送ることが怖くなってしまったので、この要求を断ると、Aさんは新たに裸の画像を送らなければ、これまで送ってもらったⅤさんの裸の画像をネット上で公開するぞとⅤさんにメッセージを送りました。
怖くなったVさんは両親に相談し、Vさんの両親は泉警察署に被害届を提出しました。
その後、泉警察署の警察官が、神戸市にあるAさんの自宅を訪れ、Aさんを逮捕しました。
(この少年事件例はフィクションです。)

【Aさんは今後どうなってしまうのか】

Aさんの行為は、強要罪児童ポルノ法違反(所持・製造)に当たる可能性が高いです。
20歳未満の少年が、強要罪児童ポルノ法違反といった犯罪に当たる可能性が高い行為をしてしまった場合、通常は以下のような流れで少年事件が進むことになります。

まず、被害届の受理などによって警察が少年事件を認知した場合、警察による捜査が開始されることになります。
そして、警察から、その警察署の管轄に対応する検察庁に少年事件が送致されます。
その後さらに、少年事件の送致を受けた検察庁と同じ管轄の家庭裁判所に少年事件が送致されることになり、その家庭裁判所で調査、審判が開始されることになるのが通常です。

これを少年事件例で説明すると、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件の捜査を担当しているのは、被害届を受理している仙台市にある泉警察署です。
泉警察署による捜査の後は、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件は泉警察署の管轄に対応している仙台地方検察庁に送致されることになります。
仙台地方検察庁にAさんの強要児童ポルノ法違反事件が送致された後は、仙台地方検察庁と管轄が対応する仙台家庭裁判所に、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件が送致されることになるでしょう。

【神戸市に住むAさんの少年事件がどうして仙台家庭裁判所へと送致されるのか】

少年事件例において、仙台地方検察庁から仙台家庭裁判所に少年事件が送致されるのは、少年法5条1項の規定によるものです。

少年法5条1項

保護事件の管轄は、少年の行為地、住所、居所又は現在地による。

少年法5条1項の「現在地」とは、少年が現在いる場所のことを言います。
そのため、普段は神戸市に住むAさんが、仙台市にある泉警察署逮捕されて泉警察署に留置されている場合は、Aさんの「現在地」は仙台市ということになります。
そのため、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件は、仙台地方検察庁から仙台家庭裁判所へと送致されることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
宮城県仙台市泉区の少年事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までお電話ください。

この記事は,宮城県仙台市泉区の少年事件(後編)に続きます。

宮城県仙台市若林区の少年事件

2021-12-16

宮城県仙台市若林区の少年事件

宮城県仙台市若林区の少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【少年事件例】

小学6年生の12歳であるAさんは、宮城県仙台市若林区にある自宅内で、同級生のVさんに対して、Vさんの合意がないまま性交渉をしました。
Vさんがこのことを自身の両親に話したことから、Vさんの両親は若林警察署に通報しました。
後日、若林警察署から連絡が来て、AさんとAさんの父親は若林警察署に調書を作りに行くことになりました。
(この少年事件例はフィクションです)

【12歳の小学生の子どもでも罪に問われるのか】

刑法 177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

刑法 41条
14歳に満たない者の行為は、罰しない。

刑事事件例のAさんの行為自体は、刑法177条に規定する強制性交等罪に当たる可能性が高いです。
そのため、Aさんが成人であれば、Aさんは強制性交等罪の刑事責任を問われることになるでしょう。
もっとも、刑事事件例のAさんの年齢は12歳です。
刑法41条は刑事責任を問うことができる年齢を14歳以上であると規定しています。
14歳に達していないAさんは、この刑法41条の規定により強制性交等罪の刑事責任を問われることはありません。

【触法少年・触法事件とは】

少年法 3条 1項
次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
2 14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
 
少年法 3条 2項
家庭裁判所は、前項第2号に掲げる少年…については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。

14歳に満たないときに犯罪行為を行った少年は、触法少年と呼ばれます。
触法少年についての事件(触法事件)については、簡単に説明すると以下のような流れになります。

触法事件が発覚した場合、警察が触法調査と呼ばれる調査として、証拠の収集・確認などの活動が行われることになります。
その後、警察から児童相談所へ通告され、触法事件が児童相談所へ送致されると、児童相談所による調査が行われることになります。
そして、児童相談所による調査を踏まえて、福祉的措置を取ることが相当と判断されると、児童相談所長により福祉的措置が取られます。

触法事件における児童相談所長の福祉的措置には,児童・保護者へ訓戒を加えること、誓約書を提出させること、児童福祉司等に指導させること、里親に委託させること、児童養護施設や児童自立支援施設へ入所させることがあります。

一方、児童相談所長が家庭裁判所の審判に付するのを相当と認めたとき(少年法3条2項),又は一定の重大犯罪であるとき(少年法6条の7第1項)は,触法事件が児童相談所から家庭裁判所に送致されます。
その後、家庭裁判所による調査、審判が行われ、最終的に家庭裁判所による決定がなされることになります。
 
少年事件触法事件)における家庭裁判所による決定は、大きく分けて①そもそも審判手続きを開始しない審判不開始、②審判の結果、保護処分をしないこととする審判不処分、③保護処分、④通常の刑事事件へと移行する検察官送致、⑤都道府県知事または児童相談所長へ少年の身柄を移す措置の5つに分けることができます。

このうち、③の保護処分は更に、保護観察、児童自立支援施設送致、少年院送致の3つの種類があります。
保護観察とは、少年の身柄を拘束しないで、つまり、少年の生活環境を変更することなく、保護監督所と呼ばれる機関による指導監督を受ける処分のことを言います。
次に、児童自立支援施設送致とは、少年を児童自立支援施設に入所させる処分のことを言い、この処分は、少年の生活環境に問題があるような場合に取られるもので、この処分がなされることはあまり多くありません。
最後の少年院送致とは、少年を少年院に収容して、少年に矯正教育を行わせる処分です。

このような触法事件の流れは具体的な触法事件の内容によって変わってきます。
触法少年が起こした触法行為や、触法少年の家庭環境、発達状況、これまでの非行歴など、さまざまな事情が考慮されることになるでしょう。

【触法事件における弁護士の役割】

触法事件において、触法事件を含む少年事件に精通した弁護士を付添人として選任することで、次に挙げられるようなメリットが期待できます。

まず、警察の触法調査についてです。
触法事件については、警察による通常の捜査に代えて触法調査と呼ばれる調査が行われることになります。
触法調査において、警察は、触法少年を呼び出して質問をしたり、証拠となるような物を強制的に取得するといった措置を取ることができます。
この警察の触法調査は、触法少年の情操の保護に配慮しつつ行われるものとされています。

もっとも、必ずしも警察の触法調査が適正に行われるとは限りません。
ここで、少年事件に精通した弁護士を付添人として選任しておけば、少年事件に精通した弁護士が警察の触法調査について、触法事件を起こした触法少年やそのご家族の方に対して法的な観点からアドバイスをすることができますし、また、警察の触法調査が適正に行われているかを少年事件に精通した弁護士がチェックすることができるでしょう。

また、触法事件については、警察が触法少年を逮捕・勾留することはできません。
しかし、触法少年の場合、殺人罪などの重大な触法事件については、児童相談所が一時保護という形で触法少年の身柄を拘束することができます。
児童相談所による一時保護により触法少年の身柄が拘束されてしまえば、触法少年の日常生活に影響が及ぶ可能性は非常に高いと言えるでしょう。
このような場合に備えて、少年事件に精通した弁護士を付添人として選任しておけば、一時保護の必要がないことを児童相談所に対して事前に申し立てることで、一時保護を回避する活動を取ることが期待できます。

【小学生のお子さんが事件を起こしてお悩みの方は】

触法事件の場合、一般の刑事事件とは異なり、警察や児童相談所による調査が在宅で進められることが多く、触法事件を起こしてしまったお子さんのご家族の方にとっては、あまり切迫感が感じられないかもしれません。
しかし、在宅事件であっても警察や児童相談所による調査は着々と進められ、この調査結果に基づいて、児童相談所へ送致され、児童相談所による措置がなされることになります。
また,家庭裁判所に送致されてしまった場合には、家庭裁判所による審判が行われることになります。
そのため、家庭裁判所による審判の結果が適切なものにするためには、いち早く、少年事件に精通した弁護士を付添人として選任し、警察や児童相談所による調査に対する対応や、家庭裁判所での審判での振る舞い方などについて、適宜アドバイスを得ておくことが望ましいでしょう。

弁護人法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、少年事件の付添人としての経験が豊富な少年事件に精通した弁護人が在籍しています。
宮城県仙台市若林区で、小学生のお子さんが少年事件を起こしてしまいでお困りのご家族の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部まで一度ご相談ください。

壁への落書きは犯罪になるのか(建造物損壊事件)

2021-09-03

壁への落書きは犯罪になるのか(建造物損壊事件)

壁への落書きは犯罪になるのかという建造物損壊事件に関する疑問について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは宮城県仙台市若林区にある県立高校に通う高校生です。
Aさんは,同市のビル(V会社所有)の壁に塗料で落書きをしたとして逮捕されました。
Aさんは深夜,落書きしたビル付近の公園で,友人とたむろしていたところ,宮城県若林警察署の警察官により職務質問されました。
そして,その会話の中でAさんが壁への落書き事件に関与していたことが発覚してしまいました。
その後,宮城県若林警察署の警察官が捜査した結果,容疑が固まったとして,事件発生から3か月ほど経った後,逮捕されてしまったといいます。
Aさんによる壁への落書きは犯罪になるのでしょうか。
(2021年8月4日にHBC北海道放送に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【壁への落書きは建造物損壊罪にあたり得る】

刑法260条
他人の建造物…を損壊した者は,5年以下の懲役に処する。

建造物損壊罪は,刑法260条に定められている犯罪です。
建造物損壊罪の成立要件は,「他人の建造物」を「損壊」することです。

刑事事件例の壁への落書き事件では,Aさんは,V会社所有のビルに落書きをしており,建造物損壊罪の「他人の建造物」という要件は満たすと考えられます。

問題は壁への落書きが建造物損壊罪の「損壊」に当たるのかという点です。
この点,建造物損壊罪の「損壊」とは,効用の減少であると考えられています。
そして,この効用には,建造物の美観も含まれると考えられています。

この考え方と同じく,平成18年1月17日の最高裁判所決定では,公園の公衆トイレの壁にスプレーで「反戦」と大きく書いた行為について,「建物の外観ないし美観を著しく汚損し,原状回復に相当の困難を生じさせた」として建造物損壊罪の「損壊」に当たると判示されています。

この最高裁判所決定の考え方によって刑事事件例をみてみると,Aさんによる壁への落書きも建造物損壊罪の「損壊」に当たり得ると考えられます。

よって,Aさんには建造物損壊罪が成立すると考えられます。
壁への落書きは建造物損壊罪にあたり得るのです。

【壁への落書き事件(建造物損壊事件)と少年事件の関係】

壁への落書き事件(建造物損壊事件)を未成年(20歳未満)の少年が起こした場合,少年には少年法の規定が適用されます。

成年の刑事事件における刑事裁判が被疑事実があるか否か(被疑事実があれば,有罪となります)という点が問題となるのに対して,少年法が適用される少年事件では,①非行事実があるか否かと,②少年の保護が必要か否かという2点が問題となります。

刑事事件例で考えれば,①非行事実があるか否かということは,すなわちAさんが本当に壁への落書き事件(建造物損壊事件)を起こしたのかという問題を意味します。

一方,②少年の保護が必要か否かということは,少年の性格や環境に照らして将来再び非行を行ってしまう可能性があるのか,少年審判による保護処分によって将来再び非行を行ってしまうことを防ぐことができる可能性があるか,少年審判による保護処分が少年の更生に最も有効かつ適切かという問題を意味します。

刑事事件例で考えれば,Aさんが深夜,落書きしたビル付近の公園で,友人とたむろしていたことから,Aさんの環境は必ずしも良好であったとはいえなかったと考えられます。
そうすると,家庭裁判所は,少年の性格や環境に照らして将来再び非行を行ってしまう可能性があると考えてしまう可能性があり,その結果,少年の保護が必要であると考えられてしまう可能性があります。

少年事件では,壁への落書き事件(建造物損壊事件)を起こした背景等によっては,少年の要保護性(②少年の保護が必要か否か)が認められてしまう可能性があります。
この少年の要保護性を解消するためには,少年自身の改心やご家族の協力はもちろん,刑事弁護士による環境調整活動が大切となるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
壁への落書き事件(建造物損壊事件)でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。

傷害事件(正当防衛事件・少年事件)

2021-06-29

傷害事件(正当防衛事件・少年事件)

傷害事件(正当防衛事件・少年事件)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

山形県尾花沢市の高校に通うAさん(15歳)は,高校の学生集会に参加することを予定していました。
しかし,同じ高校には日頃から仲が悪かったVさん(15歳)がおり,Aさんは「Vが来たら返り討ちにしてやる」と考え,鉄パイプを持って学生集会に参加しました。
すると,案の定,Vさんがメリケンサックをはめて現れ,Aさんのもとに向かってきたため,Aさんは「これを機に痛めつけてやる」と考え,Aさんに対して鉄パイプを振り回し,肋骨を骨折させました。
その結果,Vさんは,山形県尾花沢警察署の警察官に傷害事件の被害を訴えました。
Aさんは「Vがメリケンなんかはめてくるのが悪い」と考えていますが,Aさんには傷害罪が成立するのでしょうか。
(フィクションです。)

【傷害罪とは】

刑法204条
人の身体を傷害した者は,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

Aさんは,Vさんに鉄パイプを振り回すことで,肋骨骨折という生理機能障害(傷害罪の「傷害」)を与えています。
しかし,Aさんが「Vがメリケンなんかはめてくるのが悪い」と考えているように,Aさんの傷害行為は正当防衛(刑法36条1項)に当たるのではないのでしょうか。
以下では,Aさんの傷害行為に正当防衛(刑法36条1項)が成立し,Aさんに傷害罪は不成立となるのか考えてみます。

【正当防衛とは】

刑法36条1項
急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。

正当防衛により犯罪(刑事事件例では傷害罪)が不成立となるのは,一見すると犯罪(刑事事件例では傷害罪)が成立するような行為を行ったとしても,それが社会的に相当な行為であれば,違法(社会倫理規範に違反する法益侵害のことをいいます。)とはいえないからです。

そして,上述のように正当防衛が社会的相当性を有している(ゆえに,違法性がない)というためには,行為者(刑事事件例では傷害行為者)に防衛の意思があったといえる必要があると考えられています。
また,具体的に防衛の意思とは,急迫不正の侵害を認識し,これを避けようとする単純な心理状態のことをいいます。

刑事事件例では,Aさんは,Vさんに対してかねてから憎悪の念をもち,攻撃を受けたのに乗じて積極的に加害(傷害行為)をする意思を持っていたといえます。
このような場合,急迫不正の侵害を「避けようとする意思」がないとして,防衛の意思を欠くと考えられます。

したがって,Aさんには正当防衛は成立せず,傷害罪が成立すると考えられます。

【正当防衛事件と少年事件】

以上のように,Aさん自身は「Vがメリケンなんかはめてくるのが悪い」と考えているようですが,実際は,Aさんの傷害行為は正当防衛(刑法36条1項)には当たらず,Aさんには傷害罪が成立すると考えられます。

Aさんに傷害罪が成立する場合,刑事事件例のAさんは未成年者であり,少年事件として少年法に規定された処分がなされる可能性があります。
刑事事件例では,Aさんは「Vがメリケンなんかはめてくるのが悪い」と考えていますが,このような認識が傷害事件を担当する家庭裁判所の裁判官や調査官に悪印象を与えてしまう可能性もあります。
その結果,傷害事件の少年審判において,保護観察(少年法24条1項1号),児童自立支援施設または児童養護施設送致(少年法24条1項2号),少年院送致(少年法24条1項3号)などの重い処分(少年審判での終局処分)が下されてしまう可能性があります。

そこで,刑事弁護士少年付添人)を選任し,法律の専門家としての立場から,少年の規範意識を正し,傷害事件を担当する家庭裁判所の裁判官や調査官に対して好印象を与えられるようにしていくことが大切であると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件少年事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害事件(正当防衛事件・少年事件)でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。

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