Archive for the ‘刑事事件’ Category

ウイルス作成で取調べ

2019-07-17

ウイルス作成で取調べ

宮城県名取市に住む17歳のAくん。
パソコンが得意で、プログラミングも器用にこなします。
ある時期、興味本位でコンピュータウイルスを作成。
なかなか出来が良かったことから、実際に使ってみたくなりました。
Aくんは自身のブログにリンクを貼り、クリックした人のパソコンがウイルス感染する仕組みにしました。
これによりウイルス感染した人から警察に相談があり、Aくんの犯行が発覚。
Aくんは岩沼警察署の警察官から取調べを受け、パソコンを押収されました。
今後どうなってしまうのか不安になったAくんの両親は、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

~不正指令電磁的記録作成罪~

Aさんの行為には、不正指令電磁的記録作成罪が成立するでしょう。

刑法第168条の2
正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
1号 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録

「不正指令電磁的記録作成罪」というのは聞き慣れない名前ですが、要するに人のパソコンに感染させる目的でコンピュータウイルスを作成または提供すると、この罪が成立するということです。

Aくんの場合、興味本位でウイルスを作った時点では、人のパソコンに感染させるつもりではなかったことから罪になりません。
しかし、感染させるためにブログで「提供」してしまったので、不正指令電磁的記録作成罪が成立してしまうことになります。

~少年事件の手続~

逮捕されたAくんは、まずは最大3日間拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、さらに最大20日間、勾留と呼ばれる身体拘束期間が続く可能性があります。
勾留の代わりに、少年鑑別所での観護措置が採られ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査がなされることもあります。

その後、家庭裁判所に送られ、家庭裁判所調査官が中心となって、さらに少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査を行います。

なお、逮捕されていない少年や途中で釈放された少年についても、家庭裁判所に出向いて家庭裁判所調査官による面談を受けるなどの調査が行われます。

~少年審判とは?~

調査官等による調査の結果、比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。

そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
Aくんの少年審判の内容としては以下のものが考えられます。

①不処分
非行事実が認められない、あるいは認められるとしても反省し、再犯の可能性がないような場合になされます。
成人事件における無罪判決や不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。

②保護観察
保護観察所の指導・監督の下、少年を社会の中で生活させながら、更生させていくというものです。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。

③少年院送致
非行性が進んでいる少年について、基本的に外出が許されない少年院で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。

~弁護士の活動~

弁護士は、少年の権利保護や更生に向けた環境作りのために活動します。

たとえば、ちょっとした出来心でやってしまったものであり非行性が進んでいないこと、被害者との示談が成立していること、家族等による監督が期待できることなど、本人に有利な事情をできる限り主張し、審判不開始決定を目指したり、観護措置などによる身体拘束を防いだり、少年審判においてより軽い審判内容となるように活動していきます。

少年の人生に大きくかかわってくることですので、一度弁護士にご相談されるのが良いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件や刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料で行っております。
仮に逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
接見や法律相談では、今後の手続の流れや予想される処分、弁護士の活動などをご説明いたします。

不正指令電磁的記録作成罪などの少年事件でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。

痴漢で逮捕も示談

2019-07-16

痴漢で逮捕も示談

宮城県仙台市に住むAさん。
数年前から電車内での痴漢を繰り返していました。
「どうせ被害者は声を上げない」
Aさんはタカをくくっていました。
しかしある日、いつものように痴漢をしたところ、被害者は、
「この人痴漢です」
と声を上げました。
目撃者もいたことから、Aさんは駅事務所に連れていかれ、駆け付けた仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~痴漢で成立する犯罪~

痴漢をした場合、①各都道府県の条例違反になる場合と、より重い刑法の②強制わいせつ罪が成立する場合があります。

たとえば服の上から痴漢をした場合、①各都道府県の条例違反となることが多いです。
一方、スカートや下着の中に手を入れて触ったというようなケースでは、②強制わいせつ罪が成立する可能性が高いでしょう。

宮城県の条例は、以下のような規定となっています。

宮城県・迷惑行為防止条例
第3条の2第1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
第1号
衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。

罰則は、痴漢常習者ではない場合には、17条1項1号により、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金になる可能性があります。
痴漢常習者の場合、同条2項により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金になる可能性があります。
痴漢の前科がある場合には、常習者として処罰される可能性が上がるでしょう。

一方、②強制わいせつ罪は以下のような規定になっており、刑罰もより重くなっています。

刑法第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

~今後の刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そしてもし検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。

弁護士としては、検察官の勾留請求や裁判官の勾留許可を防ぎ、早期釈放を目指します。
また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付かないので、不起訴処分を目指して弁護活動をしていきます。

~示談の重要性~

示談が成立しているか否かは、検察官が不起訴処分にするかといった判断に大きく影響する可能性があります。
そこで、すみやかに被害者の方に賠償し、示談を締結することが重要です。
さらにその示談書の内容として、被害者は加害者の処罰を求めない旨の文言を入れていただくことが考えられます。
この文言を、「宥恕条項」(ゆうじょじょうこう)といいます。

性犯罪の被害者の方にとっては、警察の捜査や刑事裁判に協力することは心理的負担が大きく、長く関わりたくはないものです。
そこで、宥恕条項を入れて早期に賠償を受け、刑事裁判が開かれない形で事件を終わらせる道を望むこともあります。

検察官としても、被害者に裁判での供述を強いるようなことはしたくありませんから、宥恕条項の入った示談がなされている場合には、不起訴処分にする可能性が上がります。
逆に検察官の方から被疑者に対し、被害者のためにも示談締結した方が良いといったことを言ってくる場合もあるほどです。

しかし示談交渉をしようにも、被害者が加害者本人と直接会うことも心理的負担が大きく、会ってくれないことが多いでしょう。
ご家族が交渉するにしても、示談金額や示談書の内容をどうしたらよいのか、なんと言ってお願いすればよいのか、わからないことが多いと思います。

そこで、示談交渉を含めた弁護活動を弁護士に依頼することも、有力な選択肢の一つと言えます。

~弁護士にご相談を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、示談はどう進めたらよいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

痴漢で逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

賭博で逮捕

2019-07-15

賭博で逮捕

宮城県仙台市に住む暴力団員のAさんは、人を集めて賭博をさせ、金を稼いでいました。
ある夜、Aさんが賭博場所を提供しているとの情報を得て捜査を続けていた仙台中央警察署の警察官らは、賭博場所に突入し、Aを現行犯逮捕しました。
また、ちょうど賭博をしに来ていた客のBさんも現行犯逮捕されました。
AさんとBさんは、今後どうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)

~賭博罪と賭博場開張等図利罪~

賭博場所を提供して稼いでいたAさんには賭博場開張等図利罪が成立します。

刑法第186条2項
賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

一方、お客として賭博をしていたBさんには、賭博罪あるいは常習賭博罪が成立します。

第185条 
賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。
第186条1項
常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。

ご飯代を賭けるといった程度であれば、185条ただし書きの「一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるとき」にあたり、犯罪は成立しません。
しかし暴力団員のAさんが開いている賭博場で賭博していた場合には、この言い分は通らないでしょう。

また、Bさんが賭博の常習者であった場合には185条の単純賭博罪ではなく186条2項の常習賭博罪が成立し、より重く罰せられます。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。
そして裁判で無罪執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになるでしょう。

これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。

まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことにより本人や家族の社会生活に過度の不利益が生じることなどを具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。

また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
また、単純賭博罪では罰金刑も定められているので、Bさんが常習者ではなく単純賭博罪が成立するにすぎない場合、検察官が起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
そこで、本人が反省していること、前科がないこと、家族の監督が期待できること、直接の被害者がいない犯罪であることなど、ご本人に有利な事情を出来る限り主張して、不起訴処分や略式起訴にするよう検察官に要請していきます。

~弁護士にご相談を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

賭博罪や賭博場開張等図利罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

公然わいせつで逮捕

2019-07-14

公然わいせつで逮捕

宮城県松島町に住むAさん。
ある日の夜、観光客が行き交う場所で下半身を露出。
すぐさま逃走しましたが、防犯カメラの映像などからAさんの犯行と発覚。
塩釜警察署の警察官によって逮捕されました。
警察から連絡を受けたAさんの家族は大変驚き、今後どうなってしまうのかという不安から、弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです)

~公然わいせつ罪~

Aさんの行為には、公然わいせつ罪が成立します。

刑法第174条
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

「公然」とは、不特定又は多数の人が認識できる状態をいいます。
観光客が行き交う場所でのAさんの行為は、「公然」と行われたといえるでしょう。

また、公然わいせつ罪における「わいせつ」とは、性欲を刺激、興奮、または満足させる行為であり、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいいます。
下半身を露出させる行為はまさに「わいせつ」な行為といえるでしょう。

したがって、公然わいせつ罪が成立することになります。

なお、条文にある「拘留」とは1日以上30日未満の身体拘束がされる刑罰で、「科料」とは千円以上一万円未満を徴収される刑罰です。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになるでしょう。

これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。

まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことにより本人や家族の社会生活に過度の不利益が生じることなどを具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。

また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
また、検察官が起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
そこで、被害者に賠償し示談が成立していること、反省していること、前科がないことなど、ご本人に有利な事情を出来る限り主張して、不起訴処分や略式起訴にするよう検察官に要請していきます。

~示談の重要性~

示談が成立しているか否かは、検察官の処分や判決内容に大きく影響する可能性があります。

性犯罪の被害者の方にとっては、警察の捜査や刑事裁判に協力することは心理的負担が大きく、長く関わりたくはないものです。
そこで、すみやかに被害者の方に賠償し、示談を締結することが考えられます。
さらにその示談書の内容として、「被害者は加害者の処罰を求めない」といった内容の文言を入れていただくことが考えられます。
この文言を、「宥恕条項」(ゆうじょじょうこう)といいます。

検察官としても、被害者に裁判での供述を強いるようなことはしたくありませんから、宥恕条項の入った示談がなされている場合には、不起訴処分にすることも考えられます。
逆に検察官の方から、被害者のためにも示談締結した方が良いといったことを言ってくる場合もあるほどです。

したがって示談をすることはとても重要となります。

しかし、被害者が加害者本人と直接会うことも心理的負担が大きく、会ってくれないことが多いでしょう。
ご家族が交渉するにしても、示談金額や示談書の内容をどうしたらよいのか、なんと言ってお願いすればよいのか、わからないことが多いと思います。

そこで、示談交渉を含めた弁護活動を弁護士に依頼することも、有力な選択肢の一つと言えます。

~弁護士にご相談を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、示談はどう行えばよいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

公然わいせつ罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

犯罪をでっち上げ逮捕

2019-07-13

犯罪をでっち上げ逮捕

宮城県仙台市に住むAさん。
夜、仲間たちと繁華街を歩いていたところ、ホームレスであるVさんの姿を発見。
Aさんらはいたずらしてやろうと思い、Vさんを蹴り付けたり、Vさんが持っていたバッグの中身を路上にぶちまけるなどの行為をしてしまいました。
さらに、VさんがAさんらの暴行を払いのけようとしたところ、Aさんらは
「暴行だ!」
などと言って警察を呼び、ウソの被害の申し出を行いました。
その後、警察が防犯カメラに写っていた現場の様子を確認したところ、Aさんらの申し出た内容と全く違うことが判明。
Aさんらは仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~暴行・傷害・器物損壊~

まずAさんらの行為には、Vさんがケガをしていれば傷害罪、ケガをしていなければ暴行罪が成立します。
また、Vさんの持ち物が壊れていれば器物損壊罪も成立します。

刑法第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
第261条(器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

~虚偽告訴等~

さらに、軽犯罪法違反虚偽告訴等罪偽計業務妨害罪も成立する可能性があります。

軽犯罪法第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
16号 虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者

具体的な状況にもよりますが、VさんがAさんらの暴行を払いのけようとした行為は、少なくとも正当防衛が成立し、犯罪は成立しないと思われます。
そこで警察官に対し虚偽の暴行被害を申し出たAさんらは、「虚構の犯罪…の事実を公務員に申し出た者」に該当するおそれがあります。

なお、拘留とは1日以上30日未満の身体拘束がされる刑罰で、科料とは千円以上一万円未満を徴収される刑罰です。

刑法第172条(虚偽告訴等)
人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。

Aさんらは、「人に刑事…処分を受けさせる目的で…その他の申告をした者」に該当しする可能性があります。

第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

Vさんが犯罪をした事実がないのに、暴行したという「偽計を用いて」、警察に不要な捜査をさせ、他の業務にあてる時間を削らせたという意味で「業務を妨害した」として、偽計業務妨害罪も成立する可能性があります。

実際に裁判となる場合、これらのうちいずれか1つの罪で裁判が開かれることも考えられます。
より詳しい事件の内容等にもよるでしょうが、人に無実の罪を着せるという悪質さを考えると、一番重い虚偽告訴等の罪で裁かれる可能性もあるので、注意が必要です。

~刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんらは、まずは最大で3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大で20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官がAさんを刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続くという可能性もあります。
そして裁判で無罪執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

詳しくはこちらをご覧ください
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留許可しなければ釈放されます。
そこで弁護士としては、出来心から行ってしまった計画性のない犯罪であること、前科がないこと、被害者に賠償し示談が成立していること、本人が反省していることなど、有利な事情があればできる限り主張し、釈放するよう検察官や裁判官に要請していきます。

また、検察官が不起訴処分とすれば刑事手続きはそこで終了し、前科も付きません。
また、起訴するとしても、簡易な手続により罰金で終わらせる略式起訴にする場合もあります。
そこで弁護士は、不起訴処分や略式起訴による罰金にとどめることを目指して、弁護活動をしていきます。

~弁護士に接見依頼・相談を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

刑事事件の経験が豊富な弁護士が対応いたしますので、犯罪をして逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

盗撮で逮捕

2019-07-12

盗撮で逮捕

宮城県富谷市に住むAさん。
数年前から女性のスカートの中を盗撮をはじめました。
最初は悪いことだと思いつつ、やめられないという状況でしたが、だんだんと罪悪感も薄れてきていました。
そんな中、ショッピングセンターでいつものように靴に仕掛けたカメラで盗撮していたところ、周りの人がその不審な様子に気付き、警察に通報。
Aさんは駆け付けた大和警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~迷惑行為防止条例違反~

盗撮は、薬物犯罪などと同様に依存的症状、つまり、やめたくてもやめられないという状態になってしまう場合があります。
しっかりとした治療やカウンセリングなどの対策が必要となってきます。

さて、Aさんが行ったような盗撮行為は、各都道府県で制定されている迷惑行為防止条例違反となります。
宮城県の条例をみてみましょう。

第3条の2第1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
3号 人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。

条文番号が長いですが、この第3条の2第1項第3号の「人の下着等を撮影し」に該当することになります。
なお、撮影に至らなくても、下着等を撮影する目的でカメラを向けたり設置したりするだけで、この条文に該当することになります。

では、この条文に違反すると、どの程度の罰則が科されるのでしょうか。

第16条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
1号 第三条の二第一項(第三号に係る部分に限る。)、第二項又は第三項の規定に違反して撮影した者
第2項
常習として前項の違反行為をした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

常習者ではない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
常習者の場合はより重く、2年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
盗撮の前科がある場合には、常習者として処罰される可能性が上がるでしょう。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そして、もし検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。

これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。

まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そして、本人が反省している、前科がない、家族の監督が見込める、弁護士を通しての示談が見込めるといった事情があれば、勾留されない可能性も上がってきます。
そこで弁護士としては、検察官や裁判官に対し、これらの事情を主張するなどして、勾留を防ぎます。

また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
さらに、検察官が起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
そこで、被害者に損害賠償をして示談が成立したこと、治療やカウンセリングを受け始めたことなど、ご本人に有利な事情を出来る限り主張して、不起訴処分や略式起訴にするよう検察官に要請していきます。

~弁護士にご相談を~

盗撮で逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、示談はどう進めたらよいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

盗撮で逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

詐欺・横領で逮捕

2019-07-11

詐欺・横領で逮捕

宮城県仙台市に住むAさん。
知人のBさんから土地売買の仲介を頼まれ、登記済権利証や印鑑登録証明書等を預かっていました。
しかしこの時Aさんは、借金の支払いに困っていました。
「もう、こうするしかない」
冷静な判断が出来なくなっていたAさんは、Bさんの土地を勝手に自分の名義に所有権移転登記し、Cさんに土地を売って、代金を自分の借金の返済に充ててしまいました。
Bさんから被害届の提出を受けた仙台中央警察署の警察官は、Aさんを逮捕しました。
Aさんの家族は、
「Aや私たちはどうなってしまうんだろう」
と心配になり、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

~詐欺罪・横領罪~

Aさんには、多くの犯罪が成立してしまいます。
まず、Bさん対する詐欺罪(業務上)横領罪が問題となります。

刑法第246条1項(詐欺)
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第252条1項(横領)
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
第253条(業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

Aさんが始めからBさんをだますつもりで、土地の権利証等を預かり、自分に所有権移転登記をした場合、詐欺罪が成立するでしょう。

一方、始めは本当に仲介するつもりだったが、途中で借金返済のために自分に所有権移転登記をした場合、(業務上)横領罪が問題となります。
権利証や印鑑登録証明書等を預かり、土地の売却や所有権移転登記を勝手に出来てしまう状況であれば、その土地は既にAさんの占有下にあるといえるので、「自己の占有する他人の物」にあたるといえます。
そこで、Aさんが仕事として仲介を行っていた場合は業務上横領罪が、今回偶然知り合いのBさんから頼まれたから仲介したという場合には横領罪が成立するでしょう。

~公正証書原本不実記載・同行使罪~

Aさんが自分に所有権が移転したとして虚偽の移転登記を行った行為については、公正証書原本不実記載・同行使罪も成立する可能性があります。

第157条1項(公正証書原本不実記載等)
公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第158条1項(偽造公文書行使等)
第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。

まずは157条1項についてみると、Aさんは法務局の「公務員に対し」、自己が土地の所有者であるとの「虚偽の事実の申し立てをして、登記簿…に不実の記載をさせ」たといえます。
したがって、公正証書原本不実記載罪が成立します。

また、158条1項にある文書等の「行使」とは、正しい内容の文書として他人が閲覧できる状態にすることも含まれます。
そして備え付けられた登記簿は誰でも見ることができるます。
したがって、虚偽の内容の登記簿を法務局に備え付けさせるだけで「行使」にあたり、158条1項の不実記載登記簿の行使罪も成立します。

~Cさんへの詐欺罪も~

さらに、自分の土地だと偽ってCさんに土地を売り代金を受け取った行為には、Cさんを被害者とする詐欺罪(246条1項)も成立することになるでしょう。

~弁護士に接見依頼・相談を~

逮捕されると、ご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安が大きいと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合や既に釈放された場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

刑事事件の経験が豊富な弁護士が対応いたしますので、詐欺や横領、公正証書原本不実記載・同行使などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

強制執行を妨害し取調べ

2019-07-10

強制執行を妨害し取調べ

宮城県大崎市に住むAさん。
妻のBさんと離婚することになり、Bさんは家を出ていきました。
財産分与の結果、AさんはBさんに対し、2人が居住していた家に飾ってあった絵画を渡すことになりました。
しかし、AさんはBさんに恨みを抱いており、任意の引き渡しを拒否していました。
BさんはAさんに裁判で引き渡し請求をし、勝訴。
強制執行がなされることとなり、執行官がAさん宅に行きました。
しかしAさんは、Bさんの手に渡るくらいならと、絵画を床に叩きつけて壊し、価値のない状態にしてしまいました。
後日、Aさんは、古川警察署に呼び出され、取調べを受けることとなりました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)

~どんな罪が成立するか~

Aさんには、強制執行妨害目的財産損壊罪が成立する可能性があります。

刑法第96条の2
強制執行を妨害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第三号に規定する譲渡又は権利の設定の相手方となった者も、同様とする。
1号 強制執行を受け、若しくは受けるべき財産を隠匿し、損壊し、若しくはその譲渡を仮装し、又は債務の負担を仮装する行為

Aさんは絵画をBさんに渡したくないと思っており、「強制執行を妨害する目的」があるといえます。
また、絵画は「強制執行を受け、若しくは受けるべき財産」に当たりますし、これを床に叩きつけて壊した行為は「損壊」に当たります。

したがって、強制執行妨害目的財産損壊罪が成立するでしょう。

~刑事手続きの流れ~

制度上、Aさんは取調べ後にそのまま逮捕される可能性もあります。
逮捕されると、まずは最大で3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大で20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官がAさんを刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして裁判で無罪執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

逮捕された場合、弁護士としては勾留請求または勾留許可を防いで、早く釈放されるように弁護活動を行います。
勾留は証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合になされることになっているので、今回のケースでは、執行官が犯行を目撃しており既に証拠隠滅をする余地はないことや、いまさら逃亡のおそれもないことなどを検察官や裁判官に主張していくことなどが考えられます。

また、検察官が不起訴処分にすれば、刑事手続はそこで終わり、前科も付かないことになります。
仮に起訴するとしても、簡易な手続で罰金処分にする略式起訴をする場合もあります。
そこで、Bさんに対して絵画に代わる財産分与を行うなどして反省態度を示し、不起訴処分や略式起訴を狙っていくことが考えられます。

一方、逮捕されずに捜査が続けられる可能性もあります。
その場合、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて裁判を受けるという流れになりますが、不起訴処分や略式起訴を狙っていくという点は同じになります。

~ぜひ弁護士に相談を~

犯罪をして捜査を受けた場合、どんな罪が成立するのか、逮捕されてしまうのか、刑事手続はどうなっていくのか等々、わからない点が多いかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
すでに逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等へすみやかに接見に伺います。

刑事事件の経験が豊富な弁護士が上記疑問にお答え致しますので、ぜひ一度ご連絡ください。

痴漢で逮捕

2019-07-09

痴漢で逮捕

宮城県仙台市に住むAさん。
毎日利用している東北本線の電車内で何度も痴漢をしていました。
Aさんは、
「これまで捕まったこともないし、どうせ大丈夫だろう」
などと考えて犯行を重ねていました。
ところがある日、いつものように痴漢をしたところ、
「痴漢はやめてください。」
と言われ、あれよあれよという間に駅事務所に連れていかれ、仙台南警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~痴漢で成立する犯罪~

痴漢をした場合、①各都道府県の条例違反になる場合と、より重い刑法の②強制わいせつ罪が成立する場合があります。
どちらに該当するかは、痴漢の方法によります。

たとえば服の上から痴漢をした場合、①各都道府県の条例違反となることが多いです。
ただし、具体的な態様によっては②強制わいせつ罪が成立する可能性がないとはいえません。
また、スカートや下着の中に手を入れて触ったというようなケースでは、②強制わいせつ罪が成立する可能性が高いでしょう。

宮城県の条例は、以下のような規定となっています。

宮城県・迷惑行為防止条例
第3条の2第1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
第1号
衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。

この痴漢行為への罰則規定は、以下のようになっています。

第17条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第1号
第三条の二第一項から第三項までの規定に違反した者(以下略)
第2項
常習として前項第一号から第三号までの違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

痴漢常習者ではない場合には、17条1項1号により、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金になる可能性があります。
痴漢常習者の場合、同条2項により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金になる可能性があります。
痴漢の前科がある場合には、常習者として処罰される可能性が上がるでしょう。

一方、②強制わいせつ罪は以下のような規定になっており、定められている刑罰もより重くなっています。

刑法第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そしてもし検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。

これらの手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。

まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことにより本人や家族の社会生活に過度の不利益が生じることなどを具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。

また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
さらに、①条例違反の場合には罰金刑も定められているので、検察官が起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
そこで、被害者と示談が成立していること、本人が反省していること、前科がないこと、家族の監督が期待できることなど、ご本人に有利な事情を出来る限り主張して、不起訴処分略式起訴にするよう検察官に要請していきます。

~弁護士にご相談を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、示談はどう進めたらよいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

痴漢で逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

放火で逮捕

2019-07-08

放火で逮捕

宮城県多賀城市に住むAさん。
人生への絶望感を感じて自暴自棄となり、うさ晴らしのために空き家を狙って放火することにしました。
ある日の深夜、Aさんは目ぼしい一軒家を見つけて放火し、その家を全焼させました。
しかしその一軒家は、手入れが行き届いていないものの、高齢者が一人暮らしをする家でした。
Aさんは塩釜警察署に警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~(非)現住建造物等放火罪~

Aさんの行為に成立しうる犯罪として、まずは現住建造物等放火罪と非現住建造物等放火罪が考えられます。

刑法第108条(現住建造物等放火罪)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第109条1項(非現住建造物等放火罪)
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。

木造建築が多い我が国では、放火により多くの人の命が失われる可能性があることから、重い刑罰が定められています。
特に108条の現住建造物等放火罪には、殺人罪と同じ重さの刑罰が定められています。

Aさんが放火した家は人が住んでいたわけですから、客観的には108条の現住建造物等放火罪に当たる行為をしたことになります。
しかしAさんの内心としては、人が住んでいると思っておらず、109条1項の非現住建造物等放火罪を犯したに過ぎないことになります。

この場合、刑法38条2項により故意がないとされ、重い現住建造物等放火罪に問うことが出来ないので、軽い非現住建造物等放火罪が成立するにとどまることになります。

第38条2項
重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。

ただし、「行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった」というのは、まったく思いもよらなかったような場合を指します。
したがって、「おそらく人は住んでいないだろうけど、もしかしたら住んでいるかも」などと思っていた場合は「知らなかった」とは言えず、重い現住建造物等放火罪が成立することになります(未必の故意があると言います)。

~住居侵入罪~

Aさんは放火のために敷地内に立ち入っているでしょうから、住居侵入罪も成立するでしょう。

第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

ただし今回、住居侵入罪という手段を用いて、(非)現住建造物等放火罪という目的を果たしたといえます。
このように2つの罪が手段と目的の関係にある場合、牽連犯(けんれんぱん)という処理がなされ、重い方の(非)現住建造物等放火罪の法定刑の範囲内で量刑(懲役の長さ)が決まります。

第54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

~殺人罪~

仮に放火犯が家の中にいる人を殺害しようと思って放火した場合、別途殺人罪が成立します。

第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

今回のAさんはそのつもりではなかったので殺人罪は成立せず、たとえ住んでいた高齢者が死亡しても成立する犯罪は変わりません。
ただし、死亡したか否かによって量刑(懲役の長さ)は変わってくるでしょう。

~刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大で20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官がAさんを刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

詳しくはこちらをご覧ください
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

弁護士としては、Aさんは人が住んでいることを知らず、あくまでも非現住建造物等放火罪が成立するにすぎないことを主張していくなどの弁護活動をしていくことになるでしょう。

~一度弁護士に相談を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

刑事事件の経験が豊富な弁護士が対応いたしますので、現住建造物等放火罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

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