痴漢で逮捕も示談

痴漢で逮捕も示談

宮城県仙台市に住むAさん。
数年前から電車内での痴漢を繰り返していました。
「どうせ被害者は声を上げない」
Aさんはタカをくくっていました。
しかしある日、いつものように痴漢をしたところ、被害者は、
「この人痴漢です」
と声を上げました。
目撃者もいたことから、Aさんは駅事務所に連れていかれ、駆け付けた仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~痴漢で成立する犯罪~

痴漢をした場合、①各都道府県の条例違反になる場合と、より重い刑法の②強制わいせつ罪が成立する場合があります。

たとえば服の上から痴漢をした場合、①各都道府県の条例違反となることが多いです。
一方、スカートや下着の中に手を入れて触ったというようなケースでは、②強制わいせつ罪が成立する可能性が高いでしょう。

宮城県の条例は、以下のような規定となっています。

宮城県・迷惑行為防止条例
第3条の2第1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
第1号
衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。

罰則は、痴漢常習者ではない場合には、17条1項1号により、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金になる可能性があります。
痴漢常習者の場合、同条2項により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金になる可能性があります。
痴漢の前科がある場合には、常習者として処罰される可能性が上がるでしょう。

一方、②強制わいせつ罪は以下のような規定になっており、刑罰もより重くなっています。

刑法第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

~今後の刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そしてもし検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。

弁護士としては、検察官の勾留請求や裁判官の勾留許可を防ぎ、早期釈放を目指します。
また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付かないので、不起訴処分を目指して弁護活動をしていきます。

~示談の重要性~

示談が成立しているか否かは、検察官が不起訴処分にするかといった判断に大きく影響する可能性があります。
そこで、すみやかに被害者の方に賠償し、示談を締結することが重要です。
さらにその示談書の内容として、被害者は加害者の処罰を求めない旨の文言を入れていただくことが考えられます。
この文言を、「宥恕条項」(ゆうじょじょうこう)といいます。

性犯罪の被害者の方にとっては、警察の捜査や刑事裁判に協力することは心理的負担が大きく、長く関わりたくはないものです。
そこで、宥恕条項を入れて早期に賠償を受け、刑事裁判が開かれない形で事件を終わらせる道を望むこともあります。

検察官としても、被害者に裁判での供述を強いるようなことはしたくありませんから、宥恕条項の入った示談がなされている場合には、不起訴処分にする可能性が上がります。
逆に検察官の方から被疑者に対し、被害者のためにも示談締結した方が良いといったことを言ってくる場合もあるほどです。

しかし示談交渉をしようにも、被害者が加害者本人と直接会うことも心理的負担が大きく、会ってくれないことが多いでしょう。
ご家族が交渉するにしても、示談金額や示談書の内容をどうしたらよいのか、なんと言ってお願いすればよいのか、わからないことが多いと思います。

そこで、示談交渉を含めた弁護活動を弁護士に依頼することも、有力な選択肢の一つと言えます。

~弁護士にご相談を~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、示談はどう進めたらよいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

痴漢で逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

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