Archive for the ‘刑事事件’ Category
「スマホを見ていただけなのに」では済まされない
「スマホを見ていただけなのに」では済まされない
スマホゲームをしながら自動車を運転し、歩行者をはねて死亡させた事件で、懲役2年4か月の実刑判決が出されました。
ながらスマホ運転の男に実刑 新潟、ゲーム中に死亡事故
Yahoo!ニュース(共同通信提供)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~過失運転致死罪~
この運転手は、過失運転致死罪に問われていました。
条文を見てみましょう。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
この犯罪が成立するのは、わざと人を死傷させたわけではない場合ですが、それでも最長で7年の懲役となる可能性もあるわけです。
今回の判決でも、スマホを3~5秒程度見ていたと指摘し、過失の程度は重く、危険で悪質な運転だと評価して、実刑判決を下しました。
普段、犯罪とは縁のない人であっても、実刑判決を受けて刑務所に入れられる可能性があるのが交通事故です。
被害者を出さないためにも、運転には十分注意しましょう。
~ひき逃げまですると~
仮に、被害者を救助せず逃げてしまった場合、道路交通法に定められた①被害者を救護する義務と、②警察官への報告義務に違反したことになります。
それぞれ以下のような刑罰が定められています。
①救護義務違反(道路交通法72条1項前段・117条2項)
→10年以下の懲役または100万円以下の罰金
②報告義務違反(道路交通法72条1項後段・119条1項10号)
→3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
①救護義務違反は、10年以下の懲役になる可能性もあるので、過失運転致死罪よりも重い罪です。
当然、実刑判決になる可能性も上がってしまいます。
人をひいてしまった場合は、気が動転するとは思いますが、被害者のためにも冷静に対処する必要があるわけです。
~お早めに弁護士にご相談を~
ひき逃げなどで逮捕されると、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、ご本人やご家族は不安な点が多いと思います。
また、被害者のご遺族に謝罪・賠償して示談できれば、判決が軽くなる可能性があります。
弁護士はこのような不安点に対するアドバイスや、示談に向けたサポートをすることができますので、ぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料を行っております。
逮捕されると一気に手続が進んでいきますので、ぜひお早めにご相談ください。
福島県での万引きで逮捕【窃盗罪】
福島県での万引きで逮捕【窃盗罪】
万引きをして窃盗罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
福島県福島市に住むAさん。
コンビニやスーパーなどで万引きを繰り返していました。
ある日、いつものように商品をカバンに入れ、会計をせずに店を出ようとしたAさん。
しかし店員に呼び止められ、
「お客さん、会計してないでしょ!?」
と言われてしまいました。
事務所に連れて行かれ、駆け付けた福島県福島警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~窃盗罪が成立~
いつものように万引きをしようとしたAさん。
今回は店員に見つかり失敗に終わった上、逮捕されてしまいました。
失敗に終わってはいますが、窃盗未遂罪ではなく窃盗罪が成立することになるでしょう。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
「窃取」(セッシュ)というなじみのない言葉が使われていますが、簡単に言うと、他人が占有している物を自分の占有下に移すことをいいます。
どの時点で自分の占有下に移ったと言えるかは状況によることになります。
たとえば、あまり大きくない商品であれば、カバンに入れてしまえば未会計の商品が入っていることはわかりませんから、そのまま持ち帰ることも容易です。
したがってカバンに入れた時点で自分の占有下に移ったとして、窃盗罪が成立してしまうでしょう。
その後に店員に声をかけられて失敗に終わったとしても、窃盗罪がすでに成立した後の事情にすぎません。
なお、理論的には、万引きしようとして商品を手に取った時点ですでに、商品の占有が店から犯人に移る危険が生じているため、窃盗未遂罪が成立するでしょう。
第243条
第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。
未遂にとどまれば、後述の検察官による起訴不起訴の判断や裁判所の判決が軽くなる可能性があります。
しかし万引きの場合、あとで会計するつもりだったという言い逃れを許さないため、店を出たあたりで店員や万引きGメンが声をかけることが多いので、捕まった時点では窃盗罪が成立していることが多いです。
~刑事事件の手続きの流れ~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。
勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
さらに、より軽い事件や示談が成立した事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
万引きの場合、たとえば初犯だと不起訴処分や罰金処分、2回目が執行猶予付きの懲役刑、3回目が実刑判決といったように、だんだんと重い結果となっていくことが多いです。
弁護士としては示談締結に向けて被害店舗と示談交渉する他、窃盗がやめられない依存症的な状態(クレプトマニア)になっているのであれば、専門的な治療を行っている病院を紹介し、更生に向けて動き出していることを主張するなどして、不起訴処分などの軽い結果を目指して弁護活動をしてまいります。
~弁護士にご相談ください~
あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、今後の流れがわからずに不安だと思います。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談をご利用ください。
福島県の事件にも対応しておりますので、ご連絡をお待ちしております。
自宅内を盗撮して逮捕
自宅内を盗撮して逮捕
交際相手との自宅での性行為を盗撮して逮捕された事件について、あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。
【事例】
宮城県仙台市に住むAさん。
交際相手と自宅で性行為をする際、小型カメラを設置して盗撮していました。
ある日、交際相手にそのことが発覚し、交際相手が警察に被害届を提出。
Aさんは宮城県仙台東警察署の警察官により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~迷惑行為防止条例違反に~
公共交通機関やお店などでの盗撮が処罰されるのはご存知の方が多いと思いますが、自分の家の中の盗撮でも条例違反として処罰される可能性があります。
宮城県の迷惑行為防止条例を見てみましょう。
第3条の2第3項
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
この条文によると、
①住居など、人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所で
②実際に衣服の全部または一部を着けない状態にある人を
③撮影したり、撮影目的でカメラを向けたり設置した時点で
犯罪が成立することになります。
自宅であっても「住居」には変わりませんので、トイレ内や性行為の様子など、衣服の全部または一部を着けていない状況の来客者や家族を撮影したり、撮影しようとカメラを向けたり設置したりすれば、犯罪となってしまうのです。
罰則は、
・撮影に成功した場合
→盗撮非常習者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金
→盗撮常習者は2年以下の懲役または100万円以下の罰金
・カメラを向けたり設置した場合(未遂で終わった場合)
→盗撮非常習者は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
→盗撮常習者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金
となっています。
各都道府県は、公共の場所での盗撮を条例で処罰していますが、住居内など私的空間の盗撮は処罰の対象となっていないところもあります。
最近は処罰の対象にできるよう改正する例も増えており、宮城県ではすでに改正済みなので処罰の対象となっているのです。
~逮捕後の手続~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。
勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
さらに、より軽い事件や示談が成立した事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
~弁護士にご相談ください~
あなたやご家族が突然逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうやって行えばよいのかなど、不安だらけだと思います。
事件解決に向けて全力でサポート致しますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
売春相手を探して逮捕
売春相手を探して逮捕
路上で通行人に対し、売春の相手にならないか声をかけた女性が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。
【事例】
女性Aさんは宮城県仙台市内において、売春相手を探すため、通行人の男性に声をかける行為を繰り返していました。
ある日Aさんは、違法な風俗店の取り締まりなどの目的で私服で警戒に当たっていた仙台中央警察署の警察官に対し、売春の相手になるよう声をかけてしまいました。
Aさんはその場で現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~売春防止法違反~
路上で売春の相手を探している、いわゆる「立ちんぼ」に声をかけられたことのある男性は多くいらっしゃると思います。
売春や買春は売春防止法で禁止された行為ですが、罰則はありません。
しかし、路上で売春の相手となるよう声をかけるなどの行為には罰則が定められています。
売春防止法第5条
売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
1号 公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
2号 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
3号 公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。
1号は勧誘行為を、2号は立ちふさがったり付きまとったりする行為を、3号は客待ちをすることなどを禁止しています。
3号によれば、通行人に声をかける前であっても、売春相手を探す目的で路上などに立っているだけで、罰則の対象となってしまうことになります。
売買春自体に処罰規定を置かず、勧誘行為などに処罰規定を置いているのは不思議な感じもしますが、繁華街の雰囲気を健全に保つといった意味合いもあるのかもしれません。
※ 売春しているのが20歳未満の場合には、その子は補導されて家庭裁判所の審判に付される可能性があります。
また、売春しているのが18歳未満の場合には、売春の相手方は青少年健全育成条例違反で処罰される可能性があります。宮城県では2年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
~刑事事件の手続~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。
勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
~弁護士にご相談ください~
あなたやご家族が突然逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、今後どうなってしまうのかわからずに不安だと思います。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
自販機に放火して窃盗未遂
自販機に放火して窃盗未遂
仙台市内で少年2人が、自動販売機に火を付けて現金を盗もうとしたとして、窃盗未遂の容疑で書類送検される事件がありました。
自販機を燃やし 現金盗もうとした疑い…17歳の少年2人 書類送検〈仙台市・泉区〉
Yahoo!ニュース(仙台放送提供)
成立する犯罪などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~窃盗未遂罪~
少年2人は、自動販売機の中の現金を盗もうとして火を付けましたが、盗めずに終わったということで、窃盗未遂罪に問われています。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第243条
第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。
少年事件の場合はそもそも刑事手続きや処遇が成人事件と異なりますが、成人の場合は窃盗未遂罪も条文上は懲役10年にすることもできる重い犯罪です。
~放火にはならない?~
少年らは自動販売機に火を付けています。
状況によっては、建造物等以外放火罪という犯罪が成立する可能性もありました。
条文を見てみましょう。
第110条1項
①放火して、②前二条に規定する物以外の物を③焼損し、④よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
実際の条文には①~④の数字は振られていませんが、建造物等以外放火罪が成立するためには、①から④の条件を満たす必要があります。
今回の事件では満たすのか検討してみます。
少年らは火を付ける行為をしたでしょうから、①放火してに該当するでしょう。
また、②前二条に規定する物以外の物とは、住居や建造物等以外の物のことを指すので、自動販売機も該当します。
しかし、③焼損とは、ある程度継続して火が燃え上がり続ける状態になることを言います。
たとえば今回、自動販売機に火を付けようとしたがそれほど燃上がらず、少し焦げたくらいで終わったのであれば、③焼損に該当しないでしょう。
また、④よって公共の危険を生じさせたとは、不特定または多数人の生命・身体・財産に対し脅威が及ぶ状態にしたことを言うとされています。
仮に今回、周りに燃え移るような建物や物がなく人もいなかったような場合や、ほとんど自動販売機が燃え上がらなかった場合には、このような脅威が生じたとはいえず、④よって公共の危険を生じさせたとは言えないことになるでしょう。
このような理由から、建造物等以外放火罪には問われていないものと思われます。
ただし、自動販売機が正常に使えない状態になっていれば、器物損壊罪は成立することになるでしょう。
第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
~弁護士にご相談ください~
少年事件の手続などについて、詳しくはこちらをご覧ください。
今回の事件の少年らは逮捕まではされていないようです。
警察が一通りの捜査を終えて、捜査資料を検察に送る書類送検の段階にあります。
この後は、検察官も必要な取調べをした後、事件は家庭裁判所に送られ、少年の処遇が決められるということになります。
もしあなたのお子さんが犯罪をしたとして逮捕されたり、警察の取調べを受けたといった場合には、今後のお子さんの人生に関わるところですので、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
タイヤ落下死亡事故で不起訴処分
タイヤ落下死亡事故で不起訴処分
トラックのスペアタイヤが走行中に落下したことを原因として母娘2人が死亡した事故で、トラックの運転手らが不起訴処分になりました。
営業所長と運転手を不起訴 中国道タイヤ落下事故で岡山地検
山陽新聞
不起訴処分となった理由について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~過失運転致死罪などに問われた~
この事故は、走行中のトラックのスペアタイヤがキャリアの腐食により落下し、母娘2人が乗る自動車に衝突しました。
しかし母娘2人は衝突自体で死亡したのではありませんでした。
衝突後に2人が路肩に避難していたところ、後続のトレーラーが脱落したタイヤに乗り上げ横転。
これに巻き込まれた2人が死亡するという痛ましい事故でした。
この事故では、タイヤが脱落したトラックの運転手と、横転したトレーラーの運転手が過失運転致死罪に問われていました。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
また、タイヤが脱落したトラックの運送会社の所長も、トラックの整備を怠ったなどとして業務上過失致死罪に問われていました。
刑法211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
しかし、3人ともが不起訴処分となりました。
~不起訴処分とは~
そもそも不起訴処分とは何でしょうか。
犯罪が起こると、まずは警察が一通りの捜査をします。
その後、検察に事件が送られ、検察官が取調べ等の捜査をします。
そして検察官はこれらの結果を踏まえ、犯罪をしたと疑われている被疑者を、裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)を判断します。
不起訴処分になれば、前科も付かずに刑事手続きが終わります。
不起訴処分は、①軽い犯罪などで今回は大目に見るという意味などでなされるパターン(起訴猶予)と、②そもそも犯罪をしていないと判断されたパターン(嫌疑なし)、③犯罪をしたと言い切れないと判断されたパターン(嫌疑不十分)があります。
今回、運転手2人と所長は、③嫌疑不十分を理由として不起訴処分となりました。
~不起訴処分の理由は?~
【タイヤが脱落したトラックの運転手について】
今回問題となっている過失運転致死罪は、わざとやった犯罪(故意犯)ではなく、間違ってやった犯罪(過失犯)です。
過失犯は、(A)悪い結果が生じることを予見でき、(B)その悪い結果を防ぐことも出来たのに、(C)防ぐ行動を取らなかった場合に成立します。
しかし今回は、(A)悪い結果が生じることを予見できたとは言い切れないと判断されました。
今回の事故での「悪い結果」というのはタイヤが脱落することです。
しかしスペアタイヤを取り付けているキャリアごと腐食により脱落することは、運転手が予見するのは難しいと判断されました。
絶対に予見が不可能とまでは言い切れないと判断したのか、過失運転致死罪が絶対に成立しないという②嫌疑なしとまではしなかったようですが、犯罪が成立すると言うのは困難だとして③嫌疑不十分のパターンの不起訴処分になったようです。
【後続のトレーラー運転手について】
トレーラーの運転手についてどういった理由で不起訴処分となったのか、報道からは詳しくはわかりません。
たとえば今回は、 (A)タイヤを発見後に、このまま衝突すれば事故になることを予見し、(B)減速・停止するなどにより衝突を回避できたのに、(C)回避行動を適切に取らなかった場合などに過失が認められることになります。
しかし今回の事故では、たとえば、(B)タイヤを発見してからでは衝突を避けることはどうやっても不可能な状況だった可能性があるといった理由により、③嫌疑不十分のパターンによる不起訴処分になったものと思われます。
【運送会社の所長について】
所長については、(A)スペアタイヤが脱落して事故が起こることを予見できたかが問題となります。
しかし事故当時、運送業者に義務付けられていた3カ月ごとの法定点検の項目に、スペアタイヤの固定状況は含まれていなかったことなどから、予見はできたとは言い切れないとして、③嫌疑不十分の不起訴処分となりました。
~弁護士に相談を~
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事件も含めた刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
不起訴処分や無罪が見込まれる事件かどうかに関わらず、もしあなたやご家族が、交通事故などで逮捕されたり、取調べを受けるという場合には、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
示談対応、釈放活動、取調べ対応などの必要な弁護活動をさせていただきます。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
娘への性的暴行で逆転有罪判決
娘への性的暴行で逆転有罪判決
娘への準強制性交等罪に問われた父親の控訴審判決で、一審の無罪判決から一転、懲役10年の有罪判決が出されました。
娘への性的暴行罪 父親に有罪の逆転判決 名古屋高裁
NHK NEWS WEB
娘への性的虐待に逆転有罪、地裁と高裁で分かれた判断3つのポイント
Yahoo!ニュース(ハフポスト提供/執筆・中村かさねさん)
この判決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~準強制性交等罪とは~
今回の裁判で父親が問われていたのは、準強制性交等罪という犯罪です。
そもそもどのような犯罪なのでしょうか。
前提として刑法には、いわゆるレイプをした場合に成立する強制性交等罪という犯罪が定められています。
刑法177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
この犯罪は、被害者を暴行または脅迫して性交等をした場合に成立します。
※ 強制性交「等」となっているのは、性器ではなく口や肛門に性器を挿入した場合も成立する犯罪だからです。また、被害者が13歳未満の場合には、暴行・脅迫がなくても成立します。
この犯罪とは別に、刑法には準強制性交等罪という犯罪も定められています。
第178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
この犯罪は、暴行・脅迫をしなくても、被害者が心神喪失(気を失っている等)や抗拒不能(抵抗ができない等)の状態にあることを利用して、あるいはこれらの状態にさせて性交等をした場合に成立します。
飲み物に睡眠薬を入れて眠らせ、レイプするような方法が典型例です。
※ 条文中の「前条の例による」というのは、177条の強制性交等罪と同じく、5年以上の有期懲役(余罪がなければ上限は20年)ということです。
今回の事件では、父親が暴行や脅迫をしたというよりも、父親の立場を利用して性交をしたことから、準強制性交等罪が成立するのかが問題となったのです。
~判決が分かれた理由は?~
今回の裁判では、被害者が抗拒不能な状態にあったのかが争いになりました。
1審判決は抗拒不能だったとは言い切れず、準強制性交等罪の成立条件を満たさないので無罪としました。
2審判決は、抗拒不能だったとして有罪としました。
現状、どのような状態であれば抗拒不能だったといえるのかという基準が明確に定まっていないことから、裁判所の判断が分かれてしまったのです。
では、それぞれの裁判所はどのような理由によりこのような判断をしたのでしょうか。
無罪とした1審の裁判所は、抗拒不能と言うためには、「人格を完全に支配され服従せざるをえない状態」になっている必要があると判断しているようです。
これはつまり、子供は親に対し精神的・経済的に依存して立場の強弱があることを背景として、性交を拒むことが不可能なほど親が子供の言いなりになっていたかどうか、というような基準を立てたと言えるでしょう。
該当するケースが減りやすい厳しい基準と言えます。
そして今回の事件では、過去に実際に抵抗して拒んだことがあったこと、弟らに相談して性的暴行を受けないような対策をしていたこと、アルバイト収入があり家を出て1人で暮らすことも検討して経済的な依存度も強くないことなどから、「人格を完全に支配され服従せざるをえない状態」とまでは言えないとして、無罪にしたのです。
一方、有罪とした2審の裁判所は、1審のような厳しい基準で考えることは間違っている旨を述べ、「抵抗が著しく困難であったか」という1審よりは緩やかな基準を立てています。
そして、被害者が中学2年生の頃から意に反した性行為をくり返し受けてきたこと、抵抗した場合には暴力を受けたことがあったこと、弟と同じ部屋で寝ていた時は性行為はされなかったが弟が別の部屋で寝るようになるとかえって性行為の頻度が増えて抵抗の意思・意欲が奪われたこと、父親が逮捕されれば弟が生活に困ると考えたことなどから、抵抗できない状態だったと優に認められるとして有罪としました。
また今回の事件では、被害者が両親の反対を押し切って専門学校に行くことにしたり、その入学金や学費のうち、被害者が負担する分を減らして父親が負担する分を増やさせるなど、日常生活では父親に対しても自由に行動できる部分がありました。
この点も1審は抗拒不能ではないといえる事情の1つとしましたが、2審は「日常生活で自由に行動できることと性交時の抵抗が困難になることとは両立し得るものであり、矛盾するものではない」と判断しました。
一般に性犯罪においては、外部の人間が一見すると抵抗できるのではないかと思えるような場合でも、実際には抵抗が極めて難しいケースがあります。
今回の2審判決は、このことに配慮した判決と言えます。
~今後の展開~
父親は上告したので、まだ判決は確定していません。
最高裁判所がどのような判断をするかは注目です。
1審の無罪判決は、性暴力根絶を訴えるフラワーデモが広がるきっかけにもなりました。
(準)強制性交等罪の成立条件から暴行・脅迫・心神喪失・抗拒不能という条件を消し、相手の同意がない性交であれば犯罪が成立するようにすべきという意見もあります。
海外ではすでにそうなっている国もあり、今後日本でも刑法が変わる可能性があります。
性犯罪の被害者はもちろん、加害者も減らしていくためにどのような制度がいいのか、真剣に考えるべき時と言えるでしょう。
風俗の禁止行為で成立する犯罪
風俗の禁止行為で成立する犯罪
風俗で禁止されている行為をした場合にどんな犯罪に問われるおそれがあるのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~強制性交等罪~
風俗店はわいせつ行為をすることが許されている店なので、ルールの範囲内でわいせつ行為をしただけなら犯罪が成立することはありません。
しかし、ルール違反をすると犯罪が成立してしまうことがあります。
典型的なパターンとしては、禁止されている本番行為を無理やりしてしまい、強制性交等罪に問われることがあります。
刑法第177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
ちなみに、わざとではなく不意に挿入する形になった場合には強制性交等罪は成立しません。
しかし、わざとではないことを信じてもらうのは難しいこともあります。
~強制わいせつ罪~
本番行為までしなくても、たとえば時間を超えて無理やり触り続けたり、触ることを禁止されている部位を触ったりすると、強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。
第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
ルールの範囲内であれば成立しませんが、ルールを破ってしまうと強制わいせつ罪が成立する可能性があるわけです。
~暴行罪・傷害罪~
風俗嬢を殴ったり蹴ったりした場合、ケガをすれば傷害罪、ケガまではしなかった場合でも暴行罪が成立する可能性があります。
第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
~強制性交等致傷罪・強制わいせつ致傷罪~
無理やり本番行為をしたり、ルール違反のわいせつ行為をした上、ケガをさせてしまった場合には、強制性交等致傷罪や強制わいせつ致傷罪が成立する可能性があります。
強制性交等致死傷罪は無期または6年以上の懲役、強制わいせつ致死傷罪は無期または3年以上の懲役と定められています。
これらは死亡させた場合も含んだ規定ですが、とても重い刑罰が定められています。
抵抗する相手に無理やりこのような行為に及んだ場合には、相手がケガをしてしまう可能性も十分考えられ、重い刑罰を受けることにつながります。
~盗撮で迷惑行為防止条例違反~
部屋に隠しカメラを設置し、風俗嬢とのプレイを盗撮したような場合には、迷惑行為防止条例違反になる可能性があります。
宮城県・迷惑行為防止条例
第3条の2第3項
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
罰則は、非常習者が6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習者の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。
~ストーカー規制法違反・強要罪~
風俗嬢に対しストーカーをして、ストーカー規制法違反に問われるケースもあります。
ストーカー行為等の規制等に関する法律
第18条
ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
他にも、脅し文句を言ってプライベートで会うことや画像の送信を要求した場合などには、強要罪や強要未遂罪などが成立する可能性もあります。
刑法第223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
プライベートで女の子と関わろうとした場合、その方法によっては犯罪になってしまう可能性があるわけです。
~弁護士にご相談を~
このようなトラブルを起こしてしまった場合、処分や判決を軽くするためには、お店や女性側に謝罪・賠償して示談を締結するのが重要となってきます。
しかし、風俗店相手にどうやって示談交渉すればよいか不安だと思います。
また、被害届が出されれば警察に逮捕されたり、取調べを受ける可能性もあります。
そうなるといつ釈放されるのか、取調べでは何と答えたらよいのかなど、わからない点が多いと思います。
あなたやご家族が何らかの犯罪をしてお困りの場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事件も含めた刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
警察官が取調べ中に暴行
警察官が取調べ中に暴行
警察官が少年を取調べ中に暴行し、有罪判決を受けた事件がありました。
捜査中に少年殴る暴行 和歌山県警の元巡査に執行猶予付き有罪判決
Yahoo!ニュース(ABCテレビ提供)
特別公務員暴行陵虐罪という罪に問われたこの事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~特別公務員暴行陵虐罪とは~
この事件は、器物損壊事件で中学1年生の少年を取り調べていた警察官が、少年を何度も殴ったというものです。
幸い少年にケガはありませんでした。
少年は事件現場にいたものの、器物損壊行為には加わっていなかったようです。
裁判所は暴行をした元警察官に対し、懲役1年6ヵ月・執行猶予3年を言い渡しました。
今回問題となった特別公務員暴行陵虐罪という犯罪は、あまり聞きなじみがないと思います。
条文を見てみましょう。
刑法195条1項
裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁錮に処する。
この犯罪は、条文記載の仕事をしている人が、犯罪をしたと疑われている被疑者や刑事裁判にかけられている被告人などに対し、暴行や陵辱(わいせつ行為などの恥ずかしめる行為)、加虐(暴行以外の方法で肉体的に苦痛を与える行為)をした場合に成立することになります。
定められた刑罰(法定刑)は7年以下の懲役または禁錮です。
通常の暴行罪が2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料なので、だいぶ重くなっています。
警察官などによる暴行等は、近年は少なくなったとはいえ、たびたび行われていたことであり、ウソの自白の強要など冤罪事件につながる可能性もあるので、重く罰することとされています。
※ 禁錮は、刑務作業をするかは自由であること以外は懲役と同じ刑罰です。
拘留は、1日以上30日未満の期間、刑事施設に収容される刑罰です。
罰金は1万円以上を、科料は1000円以上1万円未満を徴収される刑罰です。
なお、暴行によりケガをさせた場合は15年以下の懲役または禁錮となります。
通常の傷害罪と比べると、罰金刑で済む可能性がなくなるという違いがあります。
~判決理由は?~
報道によると、和歌山地裁は判決理由として、「中学1年生に対する事情聴取の方法としては不適切極まりなく、厳しく非難されなければならない」と指摘しています。
「中学1年生に対する事情聴取の方法としては不適切」という部分に対しては、相手が大人であっても不適切では?と突っ込みたくなりますが、いずれにしろ、許されないことなのだという指摘はなされているといえます。
一方、示談が成立していることなどが、被告人にとって有利な事情をしてあげられています。
たしかに、被害者に謝罪・賠償して示談が成立していれば、していない場合よりも悪質さは減るので、判決が軽くなる事情となりえます。
特別公務員暴行陵虐罪に限らず、被害者のいる犯罪で少しでも軽い結果を目指すためには、示談を結ぶことが重要となってきます。
~弁護士にご相談ください~
しかし示談を結ぼうにも、何と言ってお願いしたらよいのか、示談金はいくらにしたらよいのか、示談書の文言はどうしたらよいのかなど、わからないことが多いと思います。
あなたやご家族が犯罪をしてお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事件も含めた刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
信号無視の自転車をひいて裁判に【無罪】
信号無視の自転車をひいて裁判に【無罪】
信号無視の自転車をひいて死亡させ、裁判になった事件がありました。
女子高生死亡事故で男性に無罪 徳島地裁「過失なし」
Yahoo!ニュース(共同通信提供)
無罪判決が出されたということなので、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~過失運転致死罪に問われた~
この裁判で自動車の運転手は、過失運転致死罪に問われていました。
条文を見てみましょう。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
もし有罪となれば、条文にある通り、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金という刑罰が科される可能性があります。
今回は、自転車の側が信号無視をしたわけなので、このような重い刑罰を受ける可能性が出てくるというのは腑に落ちない気もします。
しかし、相手が交通違反をしたのが事故の主たる原因だったとしても、こちらにも非があれば(=過失があれば)、こちらも罪の問われる可能性があるわけです。
~求刑は罰金30万円だった~
とはいえ、今回の事故は自動車の運転手の側に過失が認められるか微妙なところだったようです。
刑事裁判において検察官は、裁判にかけられた被告人にどれくらいの刑罰を受けさせるべきかという意見を述べますが(求刑)、この求刑は罰金30万円でした。
今回は有罪となれば最高で懲役7年を科すことも出来る犯罪ですが、求刑自体がだいぶ軽いものだったといえます。
仮に自動車の運転手にも過失があったとしても、悪質さは低いというのが検察官と弁護人の一致した意見だったと思われます。
~過失が認められず無罪に~
そして今回の裁判、自動車の運転手の過失が認められないとして無罪となりました。
判決理由では、
①自転車が赤に従って横断を差し控えるものと期待、信頼するのが通常
②前照灯の光や反射板を踏まえても、自転車の存在を予見できたか疑いが残る
といった理由が述べられたそうです。
①は、刑事裁判で時々用いられる、信頼の原則と呼ばれる考え方を示しています。
たしかに相手が交通違反をするかもしれないと注意深く運転していれば避けられたかもしれないが、このような注意を払うのにも限界があるので、相手が交通ルールを守ることを前提として信頼して運転していれば、事故が起こっても責任を負わなくて済むこともあるという考え方です(絶対に責任を負わないということではありません)。
この①は交通事故全般に当てはまる一般論に近いことを言っていますが、②は今回の事故を具体的に検討した結果を示しています。
すなわち、今回たしかに自転車が信号無視をしていたものの、自転車のライトや反射板が光っており、自転車の存在に気が付くことができたのだから、自動車の側で事故を避けることができたのではないかといった主張が検察官からなされていたのだと思われます。
しかし裁判所としては、自転車の存在に気付いて事故を避けられたとまでは言い切れないという判断をしたということになります。
~お困りの方は弁護士にご相談を~
今回の運転手は無罪となりましたが、裁判や取調べ対応などは大変だったでしょうし、仕事などにも影響が出たかもしれません。
また、人をひいて死亡に至ったということ自体が大きな心理的負担となったことでしょう。
さらに、主たる事故原因が相手にある場合でも、こちらにも非がある(過失がある)場合には有罪となってしまう可能性もあります。
普段、犯罪と縁がない人であっても犯罪者となってしまう可能性があるのが交通事故です。
運転は慎重に行うことが重要です。
もし、あなたやご家族が交通事故を起こして逮捕されたり、警察の取調べを受けるといった場合には、いつ釈放されるのか、被害者との示談はどうすればいいのか、どのくらいの刑罰を受けることになるのか、取調べでは何と答えたらよいのか、今後の刑事手続きの流れなど、わからない点が多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件も含めた刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。